チェアスキー(英語: sit-skiまたはoutrigger skiまたはmonoski)は、障害者スポーツのうち、座位で行うアルペンスキー競技及び、それに使用する用具。
主に下肢に障害のあるスキーヤーがレジャーとして、または競技として、座席にスキー板を固定し、滑降などを行う。冬季パラリンピックにおいても座位のクラスが設定されている。
傾斜面を滑降する競技である。用具はサスペンションやショックアブソーバーを組み込んだ金属フレームが、炭素繊維等を使用したFRP製のバケットシートを支える形状である。スキー板への固定は、スキーブーツと同じ方法(ビンディング)により行う。初心者は2本板(バイスキー)、上級者は1本板(モノスキー)を使用する。また両手には、ストックの先に短いスキー板がついたアウトリガーを装着する。モノスキーを使用した滑降において、上級者では時速100km程度に達する。
「チェアスキー」は日本独特の呼称であり、主にメカニカルな衝撃吸収機構の付いたもの、またはそれを使用して行う競技を指すが、海外での正式な呼称はsit-skiである。なお、整地されたコースを腕の力だけで走破する、クロスカントリースキーで使用するものは、日本においてもシットスキーと呼ばれる。
競技 | 日本での呼称 | 海外での呼称 |
---|---|---|
アルペンスキー座位 | チェアスキー | sit-ski, outrigger ski, monoski |
クロスカントリースキー座位 | シットスキー | sit-ski |
日本においては神奈川県の福祉関係者が、車椅子使用者にもスキーを楽しんでもらうために研究を始めたのが開発のきっかけとなり、1980年に神奈川総合リハビリテーションセンター(神奈川リハ)にて誕生した。また1998年に長野県で開催された長野パラリンピックにおいて、日本選手が使う用具を産学官共同で開発に当たったことが、世界的にも高いレベルを維持できている要因である。
これとは別に、1980年頃から北海道札幌市の北海道立肢体不自由者訓練センター(当時、現在の北海道立子ども総合医療・療育センター)の職員によって、神奈川県の施設にて作られていたチェアスキーを参考に、壊れた椅子・パイプ・不要のスキー板といった廃物利用品にバイクのショックアブソーバーを組み合わせ、ターンを可能として非常用ブレーキも備えた3本スキータイプの、現在のチェアスキーに通ずるそりが考案・試作されており、1982年(昭和57年)2月13日に全道ハンディキャップスキー大会会場となった北見市の北見若松市民スキー場で完成品2台の披露と試乗会が行われ、参加者や試乗体験者からかなりの好評を得ていたという。
現在、普及型の長野モデルと、競技者向けのトリノモデルが購入可能である。
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