ダービーマッチ(英語: Derby match)は、主にイギリスが発祥とされるフットボール(サッカー)などの球技のスポーツで広く使われている、ある共通の条件を持つクラブチーム同士の試合を指す言葉である。
基本的にダービーマッチは、まず都市単位や州単位による地理的な要因によって発生し、その上に様々な特性が加わりながら次第に両者の間に敵対心が芽生え始め、ダービーマッチへと発展する。その主な特性としては、社会階級や所得格差などによる社会的な特性や、宗派・民族間の対立などによる政治的な特性、クラブチーム同士が持つ過去の禍根などによる歴史的な特性が挙げられるが、そのリーグによってダービーマッチそのものの性質は若干異なっている。
例えば、発祥の地とされるイングランドではあくまでも同一の都市や州の範囲内においてダービーマッチは終始しているが、イタリアでは歴史的な都市間の対立を背景に、まったく行政区画が異なる都市同士であってもダービーマッチが成立している事が少なくない。また、スペインでは民族問題といった歴史的な対立を背景とした一戦で重要視する傾向が多く見られ、貧富の差が激しいブラジルやアルゼンチンでは所得格差による社会的な対立によるダービーマッチが多い。ちなみに、ソビエト連邦などの共産主義圏の国や地域では、政府系のクラブチームと民衆系のクラブチームによる政治的な特性の強いダービーマッチがかつては多く見られたが、国家の独立や民主化といった時代の変化で、現在では単なるサポーターとクラブチームによる儀式と化している事が多い。
英語圏ではダービーマッチ(Derby match)や単にダービー(Derby)と表記するが、スペイン語圏およびポルトガル語圏ではデルビ(Derbi)、イタリア語圏およびフランス語圏ではデルビー(Derby)などと表記される。ただし、言葉が指している意味は同じである。
また、長期的に行われているダービーマッチ(伝統の一戦)の事をクラシックダービー(Classic derby)と英語圏では表記するが、スペイン語圏ではエル・クラシコ(El Clásico)、フランス語圏ではル・クラスィク(Le Classique)、ポルトガル語圏ではオ・クラシコ(O Clássico)、ドイツ語圏ではデア・クラシカー(Der Klassiker)、オランダ語圏ではデ・クラシケル(De Klassieker)と表記し、それぞれ定冠詞がつく場合は自国リーグの伝統の一戦として特定のカードを指す。
ヨーロッパ(UEFA)では多くの国にエターナルダービー(Eternal derby)という名のダービーマッチが存在する。
ダービー名 | 対戦クラブ | |
---|---|---|
アメリカ合衆国 | エル・トラフィコ | ロサンゼルス・ギャラクシー、ロサンゼルスFC |
カリフォルニアクラシコ | ロサンゼルス・ギャラクシー、サンノゼ・アースクエイクス | |
ニューヨークダービー (ハドソンリバー・ダービー) | ニューヨーク・シティFC、ニューヨーク・レッドブルズ | |
テキサスダービー (コパ・テジャス) | FCダラス、ヒューストン・ダイナモ 、オースティンFC | |
アトランティックダービー (アトランティック・カップ) | D.C. ユナイテッド、ニューヨーク・レッドブルズ | |
オハイオダービー | コロンバス・クルー、FCシンシナティ | |
フロリダダービー | オーランド・シティSC、インテル・マイアミCF | |
アメリカ合衆国 カナダ | カスケードダービー (カスケーディア・カップ) | シアトル・サウンダーズFC、ポートランド・ティンバーズ、バンクーバー・ホワイトキャップス |
カナダ | カナディアンクラシック (401ダービー) | トロントFC、モントリオール・インパクト |
905ダービー | フォージFC、ヨーク9FC | |
メキシコ | メキシコシティダービー | クルブ・アメリカ、クルブ・ウニベルシダ・ナシオナル、クルス・アスル |
クラシコ・タパティオ | CDグアダラハラ、CFアトラス | |
モンテレイダービー (クラシコ・レヒオモンターノ) | CFモンテレイ、UANLティグレス |
ダービー名 | 対戦クラブ | |
---|---|---|
アルジェリア | アルジェダービー | USMアルジェ、MCアルジェ |
オランダービー | MCオラン、ASMオラン | |
チュニジア | チュニスダービー | エスペランス・スポルティーブ・ドゥ・チュニス、クラブ・アフリカーン |
モロッコ | カサブランカダービー | ウィダード・カサブランカ、ラジャ・カサブランカ |
カメルーン | ヤウンデダービー | キャノン・ヤウンデ、トネール・ヤウンデ |
コートジボワール | アビジャンダービー | ASECミモザ、アフリカ・スポール |
タンザニア | ダルエスサラームダービー | ヤング・アフリカンズSC、シンバSC |
ジンバブエ | ハラレダービー | ダイナモズFC、CAPSユナイテッドFC |
ブラワヨダービー | ハイランダーズFC、ジンバブエ・セインツFC | |
南アフリカ | ソウェトダービー | カイザー・チーフスFC、オーランド・パイレーツFC |
ケープタウンダービー | アヤックス・ケープタウンFC、サントスFC | |
ツワネダービー | マメロディ・サンダウンズFC、スーパースポート・ユナイテッドFC | |
ダーバンダービー | アマ・ズールーFC、ゴールデン・アローズFC |
ダービー名 | 対戦クラブ | |
---|---|---|
ニュージーランド | オークランドダービー | オークランド・シティFC、ワイタケレ・ユナイテッド |
※ミラノダービーやビッグロンドン・ダービー、マンチェスター・ダービー、は両者とも世界中で人気のあるクラブであり、ローカル・ダービーであるとともにナショナル・ダービーとしての面も合わせ持つ。
国 | ダービー名 | 対戦クラブ |
---|---|---|
イングランド | ノースウェスト・ダービー | マンチェスター・ユナイテッドFC、リヴァプールFC |
スペイン | エル・クラシコ | レアル・マドリード、FCバルセロナ |
ポルトガル | オ・クラシコ | FCポルト、SLベンフィカ |
イタリア | イタリアダービー | ユヴェントスFC、インテルナツィオナーレ・ミラノ |
フランス | ル・クラスィク | パリ・サンジェルマンFC、オリンピック・マルセイユ |
オランダ | デ・クラシケル | アヤックス・アムステルダム、フェイエノールト、PSVアイントホーフェン |
ドイツ | デア・クラシカー | ボルシア・ドルトムント、FCバイエルン・ミュンヘン |
デンマーク | ニューファーム | ブレンビーIF、FCコペンハーゲン |
ウクライナ | ウクライナダービー | FCディナモ・キエフ、FCシャフタール・ドネツク |
ギリシャ | ギリシャダービー | オリンピアコスFC、パナシナイコスFC |
セルビア | ヴェチティ・デルビ | レッドスター・ベオグラード、パルチザン・ベオグラード |
クロアチア | ヴィエチュニ・デルビ | NKディナモ・ザグレブ、HNKハイドゥク・スプリト |
スロベニア | ヴェチュニ・デルビ | NKマリボル、NKオリンピア・リュブリャナ |
北マケドニア | ヴェチュノ・デルビ | FKバルダール、FKペリステル |
ボスニア・ヘルツェゴビナ | ヴィエチティ・デルビ | FKジェリェズニチャル・サラエヴォ、FKサラエヴォ |
モンテネグロ | ヴェチティ・デルビ | FKスティエスカ・ニクシッチ、FKブドゥチノスト・ポドゴリツァ |
アルバニア | アルバニア・ダービー | KFティラナ、FKヴラズニア・シュコダル |
スロバキア | スロバキア・ダービー | ŠKスロヴァン・ブラチスラヴァ、FCスパルタク・トルナヴァ |
イスラエル | イスラエル・ダービー | マッカビ・テルアビブFC、マッカビ・ハイファFC |
リトアニア | リトアニア・ダービー | FBKカウナス、FKエクラナス・パネヴェジース |
ジョージア | ジョージアダービー | FCディナモ・トビリシ、トルペド・クタイシ |
アゼルバイジャン | アゼルバイジャンダービー | ネフチ・バクー、FKハザル・レンコラン |
国 | ダービー名 | 対戦クラブ |
---|---|---|
アルゼンチン | ブエノスアイレスダービー (スーペルクラシコ) | ボカ・ジュニアーズ、CAリーベル・プレート |
ウルグアイ | モンテビデオダービー (スーペルクラシコ) | CAペニャロール、クルブ・ナシオナル・デ・フットボール |
パラグアイ | パラグアイダービー (スーペルクラシコ) | オリンピア・アスンシオン、セロ・ポルテーニョ |
チリ | チリダービー (スーペルクラシコ) | CSDコロコロ、クルブ・ウニベルシダ・デ・チレ |
ベネズエラ | ベネズエラダービー (クラシコナシオナル) | カラカスFC、デポルティーボ・タチラFC |
ペルー | ペルーダービー (エル・クラシコ・ペルアーノ) | アリアンサ・リマ、ウニベルシタリオ・デポルテス、スポルティング・クリスタル |
国 | ダービー名 | 対戦クラブ |
---|---|---|
メキシコ | メキシコダービー (スーペルクラシコ) | クルブ・アメリカ、CDグアダラハラ |
エルサルバドル | エルサルバドルダービー (クラシコナシオナル) | クルブ・デポルティーボFAS、クルブ・デポルティーボ・アギラ |
コスタリカ | コスタリカダービー (クラシコナシオナル) | デポルティーボ・サプリサ、LDアラフエレンセ |
パナマ | パナマダービー (スーペルクラシコナシオナル) | タウロFC、クルブ・デポルティーボ・プラサ・アマドル |
ホンジュラス | ホンジュラスダービー (クラシコナシオナル) | CDオリンピア、CDマラトン |
国 | ダービー名 | 対戦クラブ |
---|---|---|
韓国 | ナショナルダービー | FCソウル、水原三星ブルーウィングス |
東海岸ダービー | 蔚山現代FC、浦項スティーラース | |
中国 | ナショナルダービー | 北京中赫国安足球倶楽部、上海申花足球倶楽部 |
インドネシア | クラシックダービー | ペルシヤ・ジャカルタ、ペルシブ・マンドゥン |
ウズベキスタン | ウズベク・エル・クラシコ | FCパフタコール・タシュケント、ネフチ・フェルガナ |
バングラデシュ | バングラデシュダービー | アバハニ・リミテッド・ダッカ、モハメダンSC |
イラン | イランダービー | ペルセポリスFC、フーラッド・モバラケ・セパハンFC |
クウェート | クウェートダービー | アル・アラビ・クウェート、アル・カーディシーヤ・クウェート |
サウジアラビア | スーパーダービー | アル・ヒラル、アル・イテハド |
バーレーン | バーレーンダービー | アル・ムハッラク・クラブ、アル・アハリ・マナーマ |
国 | ダービー名 | 対戦クラブ |
---|---|---|
エジプト | エジプトダービー | アル・アハリ、アル・ザマレク |
ガーナ | ガーナダービー | アクラ・ハーツ・オブ・オーク、アサンテ・コトコSC |
ジンバブエ | ジンバブエダービー | ダイナモズFC、ハイランダーズFC |
ダービー名 | 対戦国 | |
---|---|---|
ヨーロッパ | イベリアダービー | スペイン、ポルトガル |
ドーバー海峡ダービー | フランス、イングランド | |
低地国ダービー | オランダ、ベルギー | |
イギリスダービー | イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド | |
因縁の対決 | フランス、イタリア(参照) ドイツ、セルビア(ユーゴスラビア) オランダ、チェコ デンマーク、スウェーデン(参照) セルビア、クロアチア | |
伝統の一戦 | ドイツ、イングランド ドイツ、イタリア ドイツ、オランダ フランス、スペイン フランス、ベルギー | |
北中米 | 北中米ダービー(参照) | アメリカ、メキシコ |
中米ダービー | エルサルバドル、ホンジュラス | |
南米 | リオ・デ・ラ・プラタダービー | アルゼンチン、ウルグアイ |
南米ダービー | アルゼンチン、ブラジル | |
アジア | コリアダービー (南北対決) | 韓国、北朝鮮 |
日韓戦 | 日本、韓国 | |
日中戦 | 日本、中国 | |
日朝戦 | 日本、北朝鮮 | |
日豪戦 | 日本、オーストラリア | |
中韓戦(参照) | 中国、韓国 | |
イラン・イラクダービー | イラン、イラク | |
インド・パキスタンダービー | インド、パキスタン | |
アフリカ | アフリカダービー | ナイジェリア、カメルーン |
マグリブダービー | チュニジア、モロッコ | |
その他 | - | アルゼンチン、イングランド |
- | アメリカ、イラン | |
- | アメリカ、イラク | |
ジブラルタル海峡ダービー | スペイン、モロッコ | |
- | ブラジル、スウェーデン | |
- | ドイツ、アルゼンチン |
This article uses material from the Wikipedia 日本語 article ダービーマッチ, which is released under the Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 license ("CC BY-SA 3.0"); additional terms may apply (view authors). コンテンツは、特に記載されていない限り、CC BY-SA 4.0のもとで利用可能です。 Images, videos and audio are available under their respective licenses.
®Wikipedia is a registered trademark of the Wiki Foundation, Inc. Wiki 日本語 (DUHOCTRUNGQUOC.VN) is an independent company and has no affiliation with Wiki Foundation.