セヴァストポリ: クリミアの都市

セヴァストポリ(ウクライナ語:Севастополь,  (セワストーポリ)、ロシア語:Севастополь,  (シヴァストーパリ)、ラテン文字転写の例:Sevastopol、クリミア・タタール語:Акъяр (アキヤール), Aqyar)は、黒海に面したクリミア半島南西部に位置する都市である。

セヴァストポリ
Севастополь
Sevastopol
セヴァストポリ(2015年)
セヴァストポリ(2015年)
セヴァストポリの市旗 セヴァストポリの市章
市旗 市章
位置
ウクライナのセヴァストポリ特別市の位置図
ウクライナのセヴァストポリ特別市
ロシア連邦のセヴァストポリ連邦市の位置図
ロシア連邦のセヴァストポリ連邦市
座標 : 北緯44度36分00秒 東経33度31分48秒 / 北緯44.60000度 東経33.53000度 / 44.60000; 33.53000
行政
セヴァストポリ: 歴史, 行政区分, 産業 ウクライナ国連総会決議
ロシアの旗 ロシア実効支配
 行政区画 ウクライナの旗 セヴァストポリ特別市
ロシアの旗 セヴァストポリ連邦市
 市 セヴァストポリ
知事 ミハイル・ラズフォザエフ英語版
地理
面積  
  市域 864 km2
  市街地 57.45 km2
標高 100 m (300 ft)
人口
人口 (2016年現在)
  市域 416,263人
    人口密度   481.8人/km2
  市街地 370,750人
    市街地人口密度   6,453.4人/km2
その他
等時帯 ウクライナの旗 EETUTC+2
ロシアの旗 MSKUTC+3
夏時間 ウクライナの旗 EEST (UTC+2)
郵便番号 ロシアの旗 299000—299699
市外局番 ウクライナの旗 +380-692
ロシアの旗 +7-8692
ナンバープレート ウクライナの旗 CH
ロシアの旗 92
ISO 3166-2 UA-40(ウクライナ)
公式ウェブサイト : セヴァストポリ連邦市の公式サイト

広義・行政区画上のセヴァストポリ(特別市 / 連邦市)は864平方キロメートル、41万6263人(2016年)。4つの行政区で構成され、インケルマン英語版カチャ英語版などの集落を含む。 狭義・都市としてのセヴァストポリは57.45平方キロメートル、37万750人(2016年)。

歴史

古代この地にはボスポロス王国の都市ケルソネソス(ケルソン)があり、6世紀に東ローマ帝国の統治下になった後も東ローマ帝国のクリミア半島における統治の拠点、ハザールキエフ大公国などとの交易拠点としてテマ(軍管区)が置かれ、12世紀のコムネノス王朝時代まで東ローマの領土であった。

12世紀後半に東ローマが衰退すると、その後はモンゴル人ジョチ・ウルス、その後裔のクリミア・ハン国などの支配下にあったが、1783年ロシア帝国クリミア半島を併合した際、一緒に組み込まれた。その後、重要な海軍基地、商業港として発展してきた。

セヴァストポリ: 歴史, 行政区分, 産業 
1856年のセヴァストポリ

1853年からのクリミア戦争では、同地を拠点とする黒海艦隊シノープの海戦オスマン帝国の艦隊を撃破するなどの戦果を挙げたが、1854年にオスマン帝国と同盟を結んで参戦してきたイギリスフランスオーストリアの妨害工作により攻略目標をオデッサからセヴァストポリに変更。ロシア軍は英仏艦隊の侵入を阻止するために黒海艦隊を湾内に自沈させ、市街地全体に防塁を築いて要塞化したが、長期にわたる包囲戦の末にパーヴェル・ナヒーモフ提督やヴラジーミル・コルニーロフ提督も戦死し(セヴァストポリ包囲戦 (1854年-1855年))、1855年9月に放棄を決定。後にパリで開かれた講和会議でカルス要塞と引き換えに返還された。

第二次世界大戦時、要塞化された同地に対してドイツ軍は80cm列車砲「ドーラ」、カール自走臼砲などを用いて攻略、占領したが、その後赤軍の反撃によりセヴァストポリはソ連へ取り戻された。(セヴァストポリ包囲戦 (1941年-1942年)

ソビエト連邦の時代には、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国内のクリミア州の一部としてではなく、キエフ(1954年以前はモスクワ)の直轄下に置かれ、外国人の立ち入りを固く規制する閉鎖都市だった。

ソ連時代に、クリミア戦争第二次世界大戦での攻防戦の奮闘を讃え英雄都市の称号を与えられた。

ソビエト連邦崩壊後のセヴァストポリ軍港にはロシア連邦海軍基地とウクライナ海軍の司令部も置かれている。ソビエト連邦時代はソ連の黒海艦隊の基地であったが、ソ連邦解体後の1997年にロシア・ウクライナ間で締結された協定により、2017年まで租借、また2010年に再締結された協定によりさらに2042年まで駐留が認められることになった。ウクライナが受け取る租借料は年間9800万ドルであり、そのセヴァストポリ軍港租借料はウクライナがロシアへ払うガス料金未納分を考慮して決められている。

セヴァストポリ: 歴史, 行政区分, 産業 
ロシア編入後のセヴァストポリ(2014年4月)

ロシアとウクライナの政治対立から、セヴァストポリのロシア領土編入を求める運動がしばしば同地に住むロシア人住民によって起きており、両国の対立の火種となってきた。2010年以降のヴィクトル・ヤヌコーヴィチ政権では対立は沈静化していた。しかし2014年2月にヤヌコーヴィチ政権が崩壊し、親欧米派の暫定政権が樹立されたことにロシアは反発。2014年3月11日、ロシア軍の占領下で実施された同月16日の住民投票においてクリミアのロシアへの編入が賛成多数を得た場合、ウクライナよりいったん独立する決議をクリミア自治共和国とともに採択した(クリミア・セヴァストポリ独立宣言)。16日の投票では賛成票が全体の9割を超え(2014年クリミア住民投票)、クリミア自治共和国とともに主権宣言した上で(クリミア共和国)、3月18日にロシア連邦に編入される条約をロシア連邦と締結した(ロシアによるクリミアの併合)。この編入により、セヴァストポリはロシア連邦の連邦市という位置付けになったが、ウクライナを始めとする大多数の国は認めていないため、国際的にはウクライナの特別市のままである。2014年4月1日には市政のトップが市長から知事へと改められた。

2022年ロシアのウクライナ侵攻は、ロシアに併合された状態で迎えた。2023年に入るとセヴァストポリは、ウクライナからドローンなどの攻撃を受けるようになり、同年8月20日、ロシア黒海艦隊の司令部がドローンによる攻撃を受けたほか、同年9月13日には、巡航ミサイルやドローンがロシア海軍の艦船修理工場に着弾。潜水艦と大型揚陸艦が損傷する被害を受けた。同年9月20日、ウクライナは黒海艦隊司令部をドローンで攻撃したことを発表した。

行政区分

セヴァストポリ: 歴史, 行政区分, 産業 
セヴァストポリの行政区分
1. Gagarin Raion (pink)
2. Lenin Raion (red)
3. Nakhimov Raion (blue)
4. Balaklava Raion (light green)
5. Inkerman (green)
  1. ガガーリン地区ウクライナ語版ロシア語版英語版・・・ケルソネソス
  2. レーニン地区ウクライナ語版ロシア語版英語版
  3. ナヒモフ地区ウクライナ語版ロシア語版英語版
  4. バラクラヴァ地区ウクライナ語版ロシア語版英語版 - バラクラヴァ・・・旧ソ連バラクラヴァ原子力潜水艦地下秘密基地(Balaklava Underground submarine base)の所在地
  5. インケルマンウクライナ語版ロシア語版英語版

産業

帝政ロシア時代以来セヴァストポリは軍港都市・商港都市として発展してきた。またリゾート地・観光地としても有名である。

人口

母語話者(セヴァストポリ市) 2001
ロシア語
  
90.6%
ウクライナ語
  
6.8%

2001年ウクライナ国勢調査によるデータ。

  • 総人口379,500人
  • 都市人口358,100人(94%);農村人口:21,400人(6%)
  • 性別人口:男性173,500人(46%);女性206,000人(54%)
民族構成
ロシア人
  
270,000人 (71.6%)
ウクライナ人
  
84,400人 (22.4%)
ベラルーシ人
  
5,800人 (1.6%)
タタール人
  
2.500人 (0.7%)
クリミア・タタール人
  
1,800人 (0.5%)
アルメニア人
  
1,300人 (0.3%)
ユダヤ人
  
1,000人 (0.3%)
モルドヴァ人
  
800人 (0.2%)
アゼルバイジャン人
  
600人 (0.2%)

姉妹都市

標準時

セヴァストポリ: 歴史, 行政区分, 産業  この地域は、モスクワ時間帯標準時を使用している。時差はUTC+3時間で、夏時間はない。ロシア編入前は標準時がUTC+2で、夏時間がUTC+3であった。2014年3月に通年UTC+4に変更されたが、同年10月に通年UTC+3に変更された。

脚注

出典

参考文献

  • (日本語) 伊東孝之, 井内敏夫, 中井和夫編 『ポーランド・ウクライナ・バルト史』 (世界各国史; 20)-東京: 山川出版社, 1998年. ISBN 978-4-634-41500-3.
  • (日本語) 黒川祐次著 『物語ウクライナの歴史 : ヨーロッパ最後の大国』 (中公新書; 1655)-東京 : 中央公論新社, 2002年. ISBN 4-12-101655-6.
  • (ウクライナ語) Історія міст і сіл Української РСР: Кримська область. — Київ: УРЕ АН УРСР, 1971.

関連項目

外部リンク

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