『はてしない物語』(はてしないものがたり、Die unendliche Geschichte)は、ドイツの作家ミヒャエル・エンデによる、児童向けファンタジー小説である。1979年刊。
はてしない物語 Die unendliche Geschichte | |
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作者 | ミヒャエル・エンデ |
国 | ドイツ |
言語 | ドイツ語 |
ジャンル | 児童文学、ファンタジー |
刊本情報 | |
出版元 | Thienemanns Verlag 岩波書店 |
出版年月日 | 1979年9月 1982年6月 |
日本語訳 | |
訳者 | 上田真而子、佐藤真理子(1982年) |
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前後半に分かれる2部構成。前半では主人公の少年・バスチアン(Bastian)がひょんなことから手にした本『はてしない物語』に描かれた世界「ファンタージエン」の崩壊を救い、後半ではバスチアン自身が「ファンタージエン」の世界に入り込み、そこでの旅を通じて本当の自分を探す。物語の本筋から反れた際に「これは別の物語、いつかまた、別のときにはなすことにしよう」という言葉で、本筋に戻ることが特徴。また、主に前半部分においては、バスチアンのいる現実世界ともう一人の主人公アトレーユが旅をする本の世界(ファンタージエン)の2つの世界を並行して描いており、現実世界でのストーリーは赤茶色の文字、ファンタージエンでのストーリーは緑色の文字で印刷されている(詳細後述)。
読書と空想が好きなバスチアン・バルタザール・ブックスは肥満体型やX脚、運動音痴を理由に学校のクラスメートからいじめを受けていた。また、母親を亡くしたことをきっかけに父親との間にも溝が出来てしまい、居場所を失っていた。
ある日、いじめっ子に追い回されたバスチアンはカール・コンラート・コレアンダーが経営する古本屋に逃げ込んだ。バスチアンはそこで、『はてしない物語』という風変わりな本を目にし興味を抱く。お金を持っていなかったバスチアンはコレアンダーの目を盗んで本を店から盗み出し、忍び込んだ学校の物置で読み始めるのだった。
本の世界では、幼ごころの君が支配する国「ファンタージエン」が「虚無」の拡大によって崩壊の危機に晒されていた。病に倒れた幼ごころの君と「ファンタージエン」を救うための方法を探す使者に指名された緑の肌族の少年・アトレーユは、女王の名代として「アウリン」を授けられ、「救い主」を求めて大いなる探索の旅に出る。
冒険を重ね、幸いの竜フッフールなどとの出会いや数々の試練を経て、「救い主」が人間のバスチアンであることに気づくアトレーユであったが、努力虚しく「ファンタージエン」は崩壊する。幼ごころの君は最後の手段としてさすらい山の古老のもとを訪れる。さすらい山の古老は「ファンタージエン」を取り巻く全ての出来事を本に記しており、そこから物語の内容もバスチアンのいる現実世界の話へと変わり始める。
現実と本の世界が交錯する中、バスチアンは幼ごころの君に「月の子(モンデンキント)」という新たな名前を授け、本の世界に飛び込む。そして持ち前の想像力と女王から授けられた「アウリン」の力によって、崩壊した「ファンタージエン」を新たに作り上げていく。
こうして自ら再建した新たな「ファンタージエン」の世界に入り込んだバスチアンは、その後アトレーユやフッフールと友達になったり、「ファンタージエン」の住人や場所に名を与え物語を作ったりして、「ファンタージエン」の世界を楽しんでいた。また、コンプレックスの塊であった自分の外見も、「アウリン」の力を使い容姿端麗で強く立派な勇者のような姿に変えていった。
しかし、バスチアンは「アウリン」の力を使い続けるうちに、次第に現実世界の記憶を失くしてしまう。そして、幼ごころの君に再び会いたいという気持ちが芽生えたバスチアンは、救世主バスチアンを慕う人々を引き連れ女王の居住地であるエルフェンバイン塔に行くが、そこに幼ごころの君はいなかった。
女魔術師・サイーデにそそのかされたバスチアンは「ファンタージエン」の新しい王になることを決意する。我を失い権力まで欲するようになったバスチアンを諭すアトレーユとフッフールであったが、バスチアンは口うるさい彼らを疎ましがるようになる。このままでは取り返しのつかないことになると考えたアトレーユはアウリンを盗み出そうとするが失敗。対立は決定的なものとなり、バスチアンは彼らを裏切り者と罵り一行から追放してしまう。
そして、バスチアンは「ファンタージエン」の帝王となったことを宣言するが、アトレーユは反対派を取りまとめその就任式を急襲。バスチアンの軍勢とアトレーユたちは戦争となり、バスチアンがアトレーユに重傷を負わせる。逃げたアトレーユたちを追ったバスチアンは「元帝王の都」に辿り着く。そこにはバスチアンと同じように現実世界から「ファンタージエン」に入り込み、「アウリン」によって願いを叶え続け、その果てに完全に記憶を失ってしまったかつての「ファンタージエン」の王たちが徘徊していた。ようやく自分の間違いに気づいたバスチアンは、残り少なくなった記憶を守りながら自分の世界に戻るための旅を始める。
そして旅の果て、目的地まであと少しのところまで来ながらバスチアンは、自らの名前以外のほとんど全ての記憶を失うが、アトレーユとフッフールの助けで無事現実世界に生還を果たす。
現実世界に戻ることができたバスチアンは、古書店へ本を返しに行く。そこで、コレアンダーもかつての「ファンタージエン」の「救い主」だったことを明かし、二人はそれぞれの体験を語り合うのであった。
父親が著名な画家だったエンデは自身も絵を描いており、本の装丁にもこだわりを持っていた。17年にわたりエンデの編集者を務めたローマン・ホッケは「エンデは、この本を『魔法の本』と言っていました。だから装丁も、中に独立した世界があるような、特別なものでなければならない、と」と語っており、出版された本はその言葉通り表紙に二匹の蛇が描かれた布張りの本として装丁され、物語に入り込む入り口としての装置となった。読者は自身が手にした本が、作中でバスチアンが読んでいるものと同じものであると悟り、主人公と一体化していくのである。
岩波書店発行の日本語版ハードカバーでも、本の中に登場する『はてしない物語』と同じく、ハードケースを外した中の書籍本体の装丁はあかがね色の布張りとなっており、二匹の蛇が互いの尾を咬んで楕円になった「アウリン」の文様があしらわれている。さらに、文字も現実世界の部分はあかがね色、「ファンタージエン」の部分は緑色と刷り分けられている。岩波書店は出版・装丁にあたり布を特注、そのため価格は税込みで3千円を超える。岩波少年文庫として文庫化された際には、上下巻の2分冊となり、文字色は黒色の1色刷りで、「ファンタージエン」の部分は本文の上部に装飾を施す形で表現されている。
『ネバーエンディング・ストーリー』として映画化され、シリーズにもなった。しかし、シリーズ第1作のラストはエンデの意図に沿っておらず、彼はこれを嫌い、訴訟を起こした。
3作目 は原作のストーリーとはほとんど関係がない。
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2001年にカナダ・ドイツで制作され、日本で放送された海外ドラマ。
原題『Tales from the Neverending Story』
邦題『ネバーエンディング・ストーリー 遥かなる冒険』
全13話制作されたが、日本では6時間に渡る前後編形式のテレビ映画としてDVD化された。
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やや改変気味ではあるが、前半は原作に忠実にしようとしていた作品である。ゲームボーイ好きの少年バスチアンは本屋の老人に無理矢理本を薦められ、ネバーエンディングストーリーの物語を読み始める。本の中の主人公アトレイユは最初こそ真面目に冒険をし女王を救う任務を果たすのだが、ここからテコ入れが入り始める。
バスチアンとアトレイユの接点は繋がる事もなく恋愛にしか関心がない様子。しかし現実の世界に飛び出したアトレイユはスケボーでバスチアンの前に現れ、ここから物語が動き出す・・・かと思われたが打ち切りになってしまった。
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バスチアン ゲーム好きな現代人に。恋愛やラップに関心がある等映画版パート3の性格に近い。
アトレイユ バスチアンの親友だった筈が、フライガールとの恋愛の方に関心が移っている普通の高校生風の青年に。
幼心の君とザイーデ 姉妹と言う設定に。出番が増えてお互い気さくに。
ファルコン 幸運を呼ぶアトレイユのパートナーだったが、今回は牢屋の中に隔離されている。またアトレイユもフライガールの戦闘機を愛用しているためファルコンに乗るのはラストのみである。
コレアンダー 映画版パート3からの設定流用でファンタージエンと現実世界の両方に住んでいる。
学友の存在 苛められっ子と言う設定は消え、学友達とのラブコメが後半の物語の骨格になる。
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『はてしない物語』をシェアワールド化した小説群『ファンタージエン』がある。
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