Twitter中傷投稿「いいね」訴訟(ツイッターちゅうしょうとうこう「いいね」そしょう)とは、自民党所属の衆議院議員である杉田水脈とフリージャーナリストの伊藤詩織の間で争われた訴訟である。Twitter上で伊藤を誹謗中傷する25件の投稿に対して杉田が「いいね」を押したことが名誉感情の侵害に当たるかどうかが裁判で争われた。
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2022年10月20日、東京高裁は「いいね」に至る前後の文脈と経緯を考慮して名誉毀損を認め(詳細は後述)、杉田に55万円の賠償を命じた。Twitterの「いいね」で名誉毀損を認めた初めての判決とみられる。
2022年11月2日、杉田は賠償不服として上告したが、2024年2月9日、最高裁判所第1小法廷は上告を棄却した。
2015年4月、伊藤は元TBS記者の山口敬之から性的暴行を受けた。この事件は2022年7月に最高裁で「山口敬之が同意なく行為に及んだ」と認められたものの、被害を訴える伊藤に対して多くの誹謗中傷が行われた(被害者非難)。
2018年6月から7月にかけて、杉田はTwitter上でのそうした投稿のうち25件に対して「いいね」を押した。それにより杉田のフォロワーに誹謗中傷が拡散され、名誉を傷つけられたとして、伊藤は杉田に対して賠償を求める訴訟を提起した。
杉田が「いいね」した25件のツイートは、以下の通りである。一部は要約されている。
2022年3月25日、東京地裁は伊藤の請求を棄却する判決を言い渡した。
判決では、「いいね」が好意的・肯定的な感情を示すものだと認定した一方、その感情の程度は幅広いと指摘した。そのため「『いいね』それ自体からは感情の対象や程度を特定することができず、非常に抽象的、多義的な表現行為にとどまる」として、「いいね」を押す行為がただちに違法になるわけではないとした。その上で杉田の行為について、執拗な繰り返しや直接的な行為はなかったとして「社会通念上許される限度を超えた違法行為とは認められない」と判断した。
2022年10月20日、東京高裁は地裁判決を破棄し、名誉毀損を認めて杉田に55万円の賠償を命じた。
判決では、「いいね」を押す行為が名誉毀損にあたるかどうかの判断について、対象ツイートの内容や、行為者と被害者の関係、「いいね」が押された経緯なども検討する必要があるとした。その上で、実際のツイートの内容や前後の文脈などを踏まえ、名誉毀損にあたると判断した。
フリーライターの小川たまかによる要約を引用すると、判決の要旨は次の通りである。なお、東京高裁が指摘する「杉田議員の過去の言動」とは、山口からの性的暴行被害を訴える伊藤に対し、杉田が「枕営業大失敗」と描かれたイラストとともに揶揄したり、「女としても落ち度がありますよね」と発言したことなどである。
- 杉田議員の過去の言動や、伊藤さんや伊藤さんの支持者を中傷するツイートに「いいね」する一方で、杉田議員を批判するツイートには「いいね」していなかったといった事実から、杉田議員の「いいね」は好意的・肯定的な感情を示すために行われたものであることが優に認められる
- 杉田議員の「いいね」は合計25回と多数回に及んでいる
- 回数や杉田議員の過去の言動と照らし合わせれば、単なる故意にとどまらず、伊藤さんの名誉感情を害する意図をもって「いいね」をしたと認められる
- 当時11万人のフォロワーがいる杉田議員のツイッターで行われたものであるから、不特定多数が認識し得る状況であり、杉田議員は国会議員であるからその影響は大きいと認められる
2022年11月2日に杉田が上告したが、2024年2月9日、最高裁判所第1小法廷は控訴審判決を支持し、三行決定で上告を棄却した。
Twitterの別機能である「リツイート」については、損害賠償を認める判決がすでに複数出されている。伊藤自身、漫画家のはすみとしこによる誹謗中傷をリツイートした2人の男性から各々11万円と22万円の賠償を受けている。
この他にも、フリー記者が元大阪府知事の橋下徹に対して「府の幹部たちに生意気な口をきき、自殺に追い込んだ」とする投稿をリツイートしたことについて、2020年6月に大阪高裁が33万円の賠償を命じている。
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