2009 ワールド・ベースボール・クラシック日本代表(2009 ワールド・ベースボール・クラシックにっぽんだいひょう)は、2009年3月に開催されたワールド・ベースボール・クラシック第2回大会に出場した日本代表である。第1回大会での優勝に続き、第2回大会も優勝。連覇を果たした。監督は原辰徳。通称「侍ジャパン」。
2009 ワールド・ベースボール・クラシック日本代表 | |
---|---|
日本代表の監督・コーチ・選手の直筆サインボード | |
大会名 | 2009 ワールド・ベースボール・クラシック |
日程 | 2009年3月5日 - 23日 |
成績 | 優勝 |
監督 | 原辰徳 |
< 20062013 > |
獲得メダル | ||
---|---|---|
日本 | ||
ワールド・ベースボール・クラシック | ||
金 | 2009 | 野球 |
2008年3月に第2回大会の詳細が発表されたものの、世間の目は2008年8月に開催される北京オリンピックに目が向けられており、WBCの監督人選についても北京オリンピック終了後となっていた。
金メダルを目指した北京五輪代表(星野ジャパン)は4位に終わり、その後、WBCの監督人選問題について報道されるようになる。星野仙一(五輪代表監督)への就任要請があったとの報道 や落合博満(中日監督)への監督就任要請がされ、本人は固辞したとの報道 があった。
9月1日のプロ野球実行委員会で監督人選問題が議論され、コミッショナーの加藤良三を中心に人選を進めることでまとまる。加藤は監督人事や選手選考の体制などについて協議するためのWBC体制検討会議を招集した。検討会議のメンバーは次の通り(肩書きはいずれも当時のもの)。
会議は10月中旬に数回開催されたが、前代表監督の王(前回終了時点で北京五輪並びに今回の監督就任を辞退する方針を示していた)が健康問題を理由に早々と辞退を表明したこと、現役監督の起用に複数の球団が難色を示したことから、一旦は監督受諾の意思がないと表明した 星野の就任を既定路線 とする方向で進んだ。しかし、五輪で惨敗した星野を就任させることへの世論の反発があり、野村克也は会議の内実について星野の監督就任が既定路線のようであったと発言。また、イチローは、NPBの現役監督は候補から外すという報道に対して「本気で最強のチームをつくろうとしているとは思えない」「WBCは北京のリベンジの場ではない」といった発言を行った。
10月22日に星野が世間の逆風、家族の反対を理由に改めて就任辞退を表明すると、星野の就任を前提としたコーチの人選も白紙となった。
その後は日本一監督を代表監督とする案が浮上し、当初現役監督の起用に反対していた西武が渡辺久信の起用に反対しない考えを表明した ほか、巨人も原の起用を容認 するなど、現役監督の起用が濃厚となった。日本シリーズを控えた段階で日本一となる可能性のあった巨人の原と西武の渡辺に事実上候補は絞られたが、渡辺がこの年就任一年目であったため経験不足が指摘され(渡辺本人も「百戦錬磨の監督が良いと思う」と自身の就任には否定的な立場を取った)、10月27日にセ・リーグを連覇した原へ監督就任の要請を行うことを検討会議で決定し、翌28日に原が監督就任を受諾した。
11月12日には代表コーチ6名を正式発表し、王が日本代表監督相談役に就任することも発表された。
原が上層部へ「今までは監督の苗字+ジャパン(長嶋ジャパン、王ジャパン、星野ジャパン等)で呼ばれるのが通常であったが、自分は「監督の苗字+ジャパン」のように呼ばれるような値の人間ではない。それに「ジャパン」というのは未来永劫続く、野球界の誇りであり憧れのチームだという風に思っているので、何か違う形での名前を考えてくれないか?」と相談したところ、『サムライジャパン』という名前がNPB側から挙がり、原が採用し11月に発表された。
正式な名称はこの『サムライジャパン』だが、一部メディアでは『原ジャパン』という名称も使用された。また、メディアによっては『侍ジャパン』、『SAMURAI JAPAN』といった表記も見られた。
しかし、2008年3月にホッケー日本代表が発表した商標登録済である愛称の「さむらいJAPAN」に酷似しており、日本ホッケー協会広報委員長の永井東一は「WBC日本代表より前に“さむらい”を名乗っていた。元祖は私たちなのでパクったのではない」「露出の差を考えれば、こちらがマネしたと思われる」と主張、日本野球機構(NPB)など関係団体に抗議文を提出した。これに対し、NPB側は「商標類似」など、ルール上の問題はないとし「SAMURAI JAPAN(サムライ・ジャパン)」を取り下げることはしなかったことで、日本ホッケー協会理事からは「オレたちの方が早かったのだから金を取れ」という意見も出た。これについて、加藤は「双方の代表が親しまれ、さらに活躍できるように協力、応援をお願いしたい」と配慮するコメントを残したが、WBCで日本代表の活躍を見た永井は「“侍ジャパン”の名前がこうして表に出ていることに関しては、複雑な思いもありますね」とも語った。 2012年、代表常設化と同時にチームの呼称として侍ジャパンが正式に使われることとなった。
オーダーについて原は、「1〜3番に出塁率が高く足の使える選手(イチロー、青木宣親ら)、4〜6番は得点力と進塁打などの自己犠牲を兼ねた選手(村田修一、小笠原道大ら)、7〜9番は意外性のある選手(福留孝介、城島健司らメジャーリーガー)」を起用すると発言。これを上杉謙信の戦術になぞらえて車懸かりの陣と呼んだ。
投手陣は前回の先発投手二人制に近いものの、若干球数制限が緩和されたため厳密ではなくなった。先発投手三本柱は前年メジャーで18勝を挙げた松坂大輔、日本を代表する投手と原自ら賞賛したダルビッシュ有、前年沢村賞の岩隈久志の三名。前回のWBCも経験している杉内俊哉、渡辺俊介らがブルペンで待機。前年セ・リーグ新人王の山口鉄也、ソフトバンクのクローザー馬原孝浩から藤川球児を経由して逃げ切りを図る。しかし本番では藤川球児の調子が上がらず、準決勝からは先発登板予定のないダルビッシュ有がクローザーに回った。
背番号 | 氏名 | 所属球団 | 投 | 打 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|---|
監督 | 83 | 原辰徳 | 読売ジャイアンツ監督 | 右 | 右 | |
コーチ | 72 | 伊東勤 | 右 | 右 | 総合コーチ | |
71 | 山田久志 | 右 | 右 | 投手コーチ | ||
92 | 与田剛 | 右 | 右 | 投手コーチ(ブルペン担当) | ||
81 | 篠塚和典 | 読売ジャイアンツ打撃コーチ | 右 | 左 | 打撃コーチ | |
63 | 高代延博 | 右 | 右 | 内野守備走塁コーチ | ||
73 | 緒方耕一 | 読売ジャイアンツ外野守備走塁コーチ | 右 | 両 | 外野守備走塁コーチ | |
投手 | 11 | ダルビッシュ有 | 北海道日本ハムファイターズ | 右 | 右 | |
14 | 馬原孝浩 | 福岡ソフトバンクホークス | 右 | 右 | ||
15 | 田中将大 | 東北楽天ゴールデンイーグルス | 右 | 右 | ||
16 | 涌井秀章 | 埼玉西武ライオンズ | 右 | 右 | ||
18 | 松坂大輔 | ボストン・レッドソックス | 右 | 右 | ||
19 | 岩田稔 | 阪神タイガース | 左 | 左 | ||
20 | 岩隈久志 | 東北楽天ゴールデンイーグルス | 右 | 右 | ||
22 | 藤川球児 | 阪神タイガース | 右 | 左 | ||
26 | 内海哲也 | 読売ジャイアンツ | 左 | 左 | ||
28 | 小松聖 | オリックス・バファローズ | 右 | 右 | ||
31 | 渡辺俊介 | 千葉ロッテマリーンズ | 右 | 右 | ||
39 | 山口鉄也 | 読売ジャイアンツ | 左 | 左 | ||
47 | 杉内俊哉 | 福岡ソフトバンクホークス | 左 | 左 | ||
捕手 | 2 | 城島健司 | シアトル・マリナーズ | 右 | 右 | |
10 | 阿部慎之助 | 読売ジャイアンツ | 右 | 左 | ||
29 | 石原慶幸 | 広島東洋カープ | 右 | 右 | ||
内野手 | 5 | 栗原健太 | 広島東洋カープ | 右 | 右 | 村田に代わり追加招集 |
6 | 中島裕之 | 埼玉西武ライオンズ | 右 | 右 | ||
7 | 片岡易之 | 埼玉西武ライオンズ | 右 | 右 | ||
8 | 岩村明憲 | タンパベイ・レイズ | 右 | 左 | ||
9 | 小笠原道大 | 読売ジャイアンツ | 右 | 左 | ||
25 | 村田修一 | 横浜ベイスターズ | 右 | 右 | 第2ラウンドで負傷離脱 | |
52 | 川﨑宗則 | 福岡ソフトバンクホークス | 右 | 左 | ||
外野手 | 1 | 福留孝介 | シカゴ・カブス | 右 | 左 | |
23 | 青木宣親 | 東京ヤクルトスワローズ | 右 | 左 | ||
24 | 内川聖一 | 横浜ベイスターズ | 右 | 右 | ||
35 | 亀井義行 | 読売ジャイアンツ | 右 | 左 | ||
41 | 稲葉篤紀 | 北海道日本ハムファイターズ | 左 | 左 | ||
51 | イチロー | シアトル・マリナーズ | 右 | 左 |
ラウンド | 日付 | 対戦相手 | 勝敗 | 結果 | 場所 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
1次ラウンド | 3月5日 | 中国 | ○ | 4 - 0 | 東京ドーム | |
3月7日 | 韓国 | ○ | 14 - 2 | 東京ドーム | 7回コールド・2次ラウンド進出 | |
3月9日 | 韓国 | ● | 0 - 1 | 東京ドーム | 2位通過 | |
2次ラウンド | 3月15日 | キューバ | ○ | 6 - 0 | ペトコ・パーク | |
3月17日 | 韓国 | ● | 1 - 4 | ペトコ・パーク | ||
3月18日 | キューバ | ○ | 5 - 0 | ペトコ・パーク | 準決勝進出 | |
3月19日 | 韓国 | ○ | 6 - 2 | ペトコ・パーク | 1位通過 | |
準決勝 | 3月22日 | アメリカ | ○ | 9 - 4 | ドジャー・スタジアム | 決勝進出 |
決勝 | 3月23日 | 韓国 | ○ | 5 - 3 | ドジャー・スタジアム | 延長10回・優勝 |
日付 | 対戦相手 | 勝敗 | 結果 | 場所 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
2月21日 | 読売ジャイアンツ | ○ | 10 - 0 | サンマリンスタジアム宮崎 | 練習試合 |
2月22日 | 読売ジャイアンツ | ○ | 13 - 1 | サンマリンスタジアム宮崎 | 練習試合・7回降雨コールド |
2月24日 | オーストラリア代表 | ○ | 8 - 2 | 京セラドーム大阪 | エキシビションマッチ |
2月25日 | オーストラリア代表 | ○ | 11 - 2 | 京セラドーム大阪 | エキシビションマッチ |
2月28日 | 埼玉西武ライオンズ | ● | 2 - 7 | 東京ドーム | エキシビションマッチ |
3月1日 | 読売ジャイアンツ | ○ | 2x - 1 | 東京ドーム | エキシビションマッチ・延長10回 |
3月11日 | サンフランシスコ・ジャイアンツ | ○ | 6 - 4 | スコッツデール・スタジアム | エキシビションマッチ |
3月12日 | シカゴ・カブス | ○ | 3 - 2 | HoHoKam Park | エキシビションマッチ |
()内の数字は各選手の背番号、◆は、追加招集された選手。▼は、本大会途中にて出場不能となった選手。△は、本大会途中より出場となった選手。
リーグ | チーム名 | 最終出場選手 | 第1次候補 (合宿参加選手) | 第1次登録選手 (合宿参加選手外) |
---|---|---|---|---|
NPB | 巨人 | 内海哲也(投・26) 山口鉄也(投・39) 阿部慎之助(捕・10) 小笠原道大(内・9) 亀井義行(外・35) | ||
ヤクルト | 青木宣親(外・23) | 福地寿樹(外) | ||
横浜 | 村田修一(内・25)▼ 内川聖一(外・24) | 寺原隼人(投) | ||
中日 | ||||
阪神 | 藤川球児(投・22) 岩田稔(投・19)◆ | |||
広島 | 石原慶幸(捕・29) 栗原健太(内・5)△ | 永川勝浩(投) | ||
日本ハム | ダルビッシュ有(投・11) 稲葉篤紀(外・41) | 武田勝(投) 髙橋信二(捕) 田中賢介(内) | ||
楽天 | 田中将大(投・15) 岩隈久志(投・20) | |||
西武 | 涌井秀章(投・16) 中島裕之(内・6) 片岡易之(内・7) | 岸孝之(投・17) 細川亨(捕・27) | ||
ロッテ | 渡辺俊介(投・31) | 西岡剛(内) | ||
オリックス | 小松聖(投・28) | |||
ソフトバンク | 馬原孝浩(投・14) 杉内俊哉(投・47) 川﨑宗則(内・52) | 松中信彦(内・3) 和田毅(投・21) | ||
MLB | レッドソックス | 松坂大輔(投・18) | 岡島秀樹(投) | |
マリナーズ | 城島健司(捕・2) イチロー(外・51) | |||
レイズ | 岩村明憲(内・8) | |||
カブス | 福留孝介(外・1) | |||
インディアンス | 小林雅英(投) |
ポジション | 氏名 | 所属球団 | 投 | 打 | 辞退理由 |
---|---|---|---|---|---|
投手 | 岩瀬仁紀 | 中日ドラゴンズ | 左 | 左 | シーズンに専念のため |
浅尾拓也 | 中日ドラゴンズ | 右 | 右 | シーズンに専念のため | |
高橋聡文 | 中日ドラゴンズ | 左 | 左 | シーズンに専念のため | |
捕手 | 里崎智也 | 千葉ロッテマリーンズ | 右 | 右 | 右ひじ治療集中 |
内野手 | 新井貴浩 | 阪神タイガース | 右 | 右 | 腰痛の完治に専念 |
矢野輝弘 | 阪神タイガース | 右 | 右 | 右ひじの遊離軟骨除去手術を受けることになったため | |
森野将彦 | 中日ドラゴンズ | 右 | 左 | シーズンに専念するため | |
外野手 | 和田一浩 | 中日ドラゴンズ | 右 | 右 | シーズンに専念するため |
松井秀喜 | ニューヨーク・ヤンキース | 右 | 左 | チームが許可せず |
ポジション | 氏名 | 所属球団 | 投 | 打 | 辞退理由 |
---|---|---|---|---|---|
投手 | 黒田博樹 | ロサンゼルス・ドジャース | 右 | 右 | 調整上の理由により |
斎藤隆 | ボストン・レッドソックス | 右 | 左 | 球団と協議の上 |
今回もオリンピック等で組織する全日本野球会議の派遣ではなく前回大会に引き続きNPBによる派遣のためユニフォームはオリンピック等で使用する黒色の縦縞のユニフォームではない。デザインは前回大会と比較して大きく変わってはいないが細部にわたり変更点がある。
This article uses material from the Wikipedia 日本語 article 2009 ワールド・ベースボール・クラシック日本代表, which is released under the Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 license ("CC BY-SA 3.0"); additional terms may apply (view authors). コンテンツは、特に記載されていない限り、CC BY-SA 4.0のもとで利用可能です。 Images, videos and audio are available under their respective licenses.
®Wikipedia is a registered trademark of the Wiki Foundation, Inc. Wiki 日本語 (DUHOCTRUNGQUOC.VN) is an independent company and has no affiliation with Wiki Foundation.