鹿島線(かしません)は、千葉県香取市の香取駅から茨城県鹿嶋市の鹿島サッカースタジアム駅に至る、東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線(地方交通線)である。
鹿島線 | |
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基本情報 | |
国 | 日本 |
所在地 | 千葉県、茨城県 |
種類 | 普通鉄道(在来線・地方交通線) |
起点 | 香取駅 |
終点 | 鹿島サッカースタジアム駅 |
駅数 | 6駅 |
開業 | 1970年8月20日 |
所有者 | 東日本旅客鉄道(JR東日本) |
運営者 | 東日本旅客鉄道 日本貨物鉄道 |
使用車両 | 使用車両を参照 |
路線諸元 | |
路線距離 | 17.4 km |
軌間 | 1,067 mm |
線路数 | 単線 |
電化方式 | 直流1,500 V 架空電車線方式 |
閉塞方式 | 自動閉塞式 |
保安装置 | ATS-P |
最高速度 | 85 km/h |
停車場・施設・接続路線 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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成田線の佐原駅から銚子側の1駅先にある香取駅から分岐し、水郷潮来あやめ園や十二橋めぐりなどの水郷の観光地を持つ潮来駅、鹿島神宮や鹿島臨海工業地帯のある鹿嶋市の中心である鹿島神宮駅を経由し、鹿島サッカースタジアム駅を終点とする。ラインカラーは茶色(■)である。
日本鉄道建設公団によって建設され、開業は1970年と比較的新しい路線である。国家的な開発プロジェクトであった鹿島臨海工業地帯の開発・発展に寄与するため、現在の鹿島臨海鉄道の営業路線(大洗鹿島線・鹿島臨港線)と共々に計画・建設され、香取駅 - 北鹿島駅(現在の鹿島サッカースタジアム駅)間が日本国有鉄道(国鉄)の「鹿島線」として開業した。
高規格路線として建設されたため、全線のほとんどが高架となっている。成田線との分岐点を過ぎると、鹿島線内には踏切は一つもない。このことは接続先の大洗鹿島線でも水戸駅付近を除けば同様である。また利根川・常陸利根川・北浦に架かる橋梁はいずれも長大で、特に北浦に架かる北浦橋梁は1236 mの長さを持ち、東海道新幹線の富士川橋梁に次ぐ長さを有する。これらの高架・橋梁を合わせた長さは全線の55%に達し、軟弱地盤で水域が多い水郷地帯を貫通している。ただし、強風時は香取駅 - 十二橋駅間、延方駅 - 鹿島神宮駅間で速度制限や運転見合わせが行われることがある。
JRにおける実質的な旅客上の運用範囲は佐原駅 - 鹿島神宮駅間である。鹿島神宮駅 - 鹿島サッカースタジアム駅間はJRの区間であるが、旅客輸送は鹿島臨海鉄道の車両が担う。よって鹿島線の同区間に大洗鹿島線が乗り入れる形態となるが、特に多客が見込まれる時は、鹿島神宮駅以西より鹿島サッカースタジアム駅までJRによる旅客輸送が行われる場合がある。なお鹿島神宮駅 - 鹿島サッカースタジアム駅間はあくまでJR線なので、「青春18きっぷ」など、企画きっぷもエリア内であれば使用可能である。
また旅客列車のほかに、日本貨物鉄道(JR貨物)による貨物列車も運行されている。このため交換可能な駅は、いずれも有効長がかなり長い。
利用者は地元の沿線住民がほとんどで、純然たるローカル輸送に留まっている。鹿嶋市と東京間のアクセスとしては1975年から特急「あやめ」が運行されていた。しかし東関東自動車道が潮来ICまで開通し、1989年から高速バス「かしま号」が運行開始したことにより、東京駅と鹿島神宮駅間の普通運賃よりも安く、本数も非常に多く、渋滞が無ければ所要時間でもほぼ互角となった高速バスの乗客が激増し、沿線から東京の輸送では高速バスが圧倒的な優位となっていった。「あやめ」は1982年には最大5往復運行されていたが、乗客減により1993年には3往復、1994年からは1往復のみの運行となった(鹿島線には乗り入れていない「ホームタウン成田」「すいごう」が2004年から「あやめ」に名称変更した分は除く)。2015年で「あやめ」は定期運行を終了した。
全区間が旅客営業規則の定める「東京近郊区間」に含まれており、Suicaなど交通系ICカードの利用が可能である。みどりの窓口、自動改札機は全駅とも設置されておらず、交通系ICカードも簡易Suica改札機を利用しての入出場となる。
沿線自治体からは特急「あやめ」復活のほか東京駅への直通列車増便、鹿島線各駅への交通系ICカード機器設置、鹿島サッカースタジアム駅の常設化をJR東日本に求めていたが、2018年4月にJR東日本は「『あやめ』復活は厳しい」との見解を示している。この内、鹿島線各駅への交通系ICカード機器設置については、2020年3月14日から使用開始している。
全区間がJR東日本千葉支社の管轄である。
鹿島臨海工業地帯の開発に伴って敷設された路線である。予定線としては、改正鉄道敷設法別表第39号の2に「茨城縣鹿島ヨリ千葉縣佐原ニ至ル鐵道」と掲げられていた。1964年に運輸大臣から日本鉄道建設公団への建設指定を受けて鉄道建設が行われた。同別表第39号の「茨城縣水戸ヨリ鉾田ヲ經テ鹿島ニ至ル鐵道」は北鹿島駅までの開業後、引き続き日本鉄道建設公団により鹿島線として鹿島灘沿岸地域を縦貫する北鹿島駅 - 水戸駅間(約58 km)の建設が進められ、1980年の日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(国鉄再建法)制定に際しても輸送需要が見込める(輸送密度4000人/日以上)として工事が続行されたが、国鉄が第三セクターでの運行を希望したため、鹿島臨海鉄道の路線として開業することになった。
香取駅 - 北鹿島駅間の鹿島線は、開業当初はディーゼル動力の気動車で運転していたが、1974年に全線電化された。1978年に新東京国際空港(現・成田国際空港)が開港すると、鹿島臨海工業地帯で生産される航空燃料輸送に用いられた。当初3年間使用が予定されていたが、千葉港と空港を結ぶパイプラインの完成が遅延したため変更されることになり、地域住民の不信感を増大させる結果となった。
成田線からの分岐駅は香取駅であるが、運転系統上の分岐駅は佐原駅である。2023年3月18日改正時点のダイヤでは1日16往復の運行で、佐原駅(一部は成田駅)からの普通列車が鹿島神宮駅まで運転されている。1日1往復(佐原発20時台・鹿島神宮発6時台)のみ総武快速線との直通列車があり、鹿島神宮行きは平日が横須賀線久里浜発、土休日が東京発で、鹿島神宮発は東京行きで運行される。この列車は佐倉駅で成田空港行き列車から分割された付属編成の4両が使用され、夜に鹿島神宮駅到着後、翌朝の東京行きの運用となる。2021年3月13日改正までは、千葉駅発の普通列車1本が成田線経由にて鹿島神宮駅まで運転されていた。
鹿島神宮駅 - 鹿島サッカースタジアム駅間は、車両の夜間滞泊のための回送列車以外JR車の運行はなく、鹿島臨海鉄道大洗鹿島線からの直通列車(気動車)のみが運行される。
2006年7月15日の2006JOMOオールスターサッカーに際して、初めてJR東日本の旅客車両が鹿島サッカースタジアム駅まで営業運行(臨時列車)された。2008年からは、鹿島アントラーズホームゲームで多客が見込める試合開催時に、成田駅と鹿島サッカースタジアム駅を結ぶ臨時列車が運行されている(運行される場合はJR東日本千葉支社のホームページで告知される)。
定期列車の編成は長くないが、貨物列車とのすれ違いを可能にするため途中駅のホームは11両まで対応している。
貨物列車は全線で運転されており、鹿島臨海鉄道鹿島臨港線の神栖方面へと引き継がれる。鹿島臨海鉄道鹿島臨港線内で荷役するコンテナ輸送や鹿島臨海工業地帯で製造・消費される化成品輸送が主な収入源である。化成品は従来タンク車で輸送されていたが、タンクコンテナ化が進んでいることからコキ100形とコキ200形積載に置き換えられている。
2024年3月現在、新鶴見機関区のEF210形が2往復を牽引している。
かつてはDD51形ディーゼル機関車やEF64形、EF65形電気機関車が牽引していた。成田国際空港(当時は新東京国際空港)が開港した1978年から千葉港から成田空港を直結するパイプラインが完成した1983年までの間、鹿島港から鹿島臨港線・鹿島線・成田線を経由して成田市土屋地先までタキ40000形貨車による航空燃料の暫定輸送が行われていた。
基本的に香取駅 - 鹿島神宮駅間はJR東日本の電車で、鹿島神宮駅 - 鹿島サッカースタジアム駅間は鹿島臨海鉄道の気動車で運転されている。JR東日本の車両は臨時列車で鹿島サッカースタジアム駅までの全線で運用される場合もある。貨物列車は「貨物列車」の節も参照。
便宜上、全列車が直通する成田線佐原駅からの区間を記載する。
路線名 | 駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 線路 | 所在地 | ||
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駅間 | 累計 | ||||||
成田線 | 佐原駅 | - | 3.6 | 東日本旅客鉄道:■成田線(成田方面) | ∨ | 千葉県 香取市 | |
香取駅 | 3.6 | 0.0 | 東日本旅客鉄道:■成田線(銚子方面) | ◇ | |||
鹿島線 | |||||||
十二橋駅 | 3.0 | 3.0 | | | ||||
潮来駅 | 2.2 | 5.2 | ◇ | 茨城県 | 潮来市 | ||
延方駅 | 5.2 | 10.4 | | | ||||
鹿島神宮駅 | 3.8 | 14.2 | 鹿島臨海鉄道:大洗鹿島線(水戸方面:旅客列車乗換駅) | ◇ | 鹿嶋市 | ||
(臨)鹿島サッカースタジアム駅 | 3.2 | 17.4 | 鹿島臨海鉄道:大洗鹿島線・鹿島臨港線(貨物線) | ∧ |
各年度の平均通過人員、旅客運輸収入は以下の通り。
年度 | 平均通過人員(人/日) | 旅客運輸収入(万円) | 出典 |
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1987 | 2,549 | ||
2010 | 1,275 | ||
2011 | 1,119 | ||
2012 | 1,204 | ||
2013 | 1,305 | ||
2014 | 1,275 | 9,200 | |
2015 | 1,228 | 8,900 | |
2016 | 1,171 | ||
2017 | 1,157 | ||
2018 | 1,221 | 8,700 |
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