飯豊山(いいでさん)は、飯豊山地の標高2,105.1 mの山である。主峰は、通称飯豊本山とも呼ばれることもあるが、国土地理院地図における表示は飯豊山のみである。
飯豊山 | |
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山形県側から望む飯豊山 | |
標高 | 2,105.1 m |
所在地 | 日本 山形県西置賜郡小国町 新潟県東蒲原郡阿賀町 福島県喜多方市 |
位置 | 北緯37度51分17秒 東経139度42分26秒 / 北緯37.85472度 東経139.70722度 東経139度42分26秒 / 北緯37.85472度 東経139.70722度 |
山系 | 飯豊山地 |
飯豊山の位置 | |
プロジェクト 山 |
磐梯朝日国立公園内に位置し、可憐に咲く高山植物が有名で、日本百名山や東北百名山、やまがた百名山のひとつに数えられている。飯豊連峰の最高峰は、標高2,128 mの大日岳である。
飯豊山は、福島県と新潟県そして山形県三県の県境にあるが、南東麓の福島県側から山頂を経て御西岳に至る登山道付近のみが福島県喜多方市になっており、山頂付近は喜多方市である。理由は、明治期の廃藩置県で飯豊山付近が新潟県に編入されたが、飯豊山神社は麓宮と奥宮で一宮であるとする福島県側の猛烈な反対運動により、参道にあたる登山道および山頂を再び福島県にすることで決着した結果である。そのため、福島県の県境がいびつな形になっている。
飯豊山の名の由来には諸説あり、確定していない。福島県会津地方では「いいとよさん」とも呼び、雪化粧した山容が飯を豊かに盛った様子に見えることから、この名がついたとされる。 陸奥国風土記逸文には飯豊山の名の由来について、以下の2つの伝承が記されている(飯豊青皇女の項目も参照のこと)。
「垂仁天皇の時代に飢饉が発生し、多くの人々が死んだ。そのため、この山を『宇惠々山』と呼ぶようになった。後に好字に改めて豊田と呼ぶようになり、さらにそれが変化して飯豊と呼ぶようになった」
飯豊(いいとよ)を歴史的仮名遣いで表記すると、「いひとよ」となる。「いひとよ」とは古代日本語でフクロウをさす言葉であり、それが語源であるという説もある。他にも、山麓に温泉(湯ノ平温泉)があることから「湯出(ゆいで)」が変化したものだとする説がある。 また、飯豊山が飯豊本山と呼ばれることがあるが、これは飯豊連峰の盟主として「本山」を付けて呼称した可能性や、神仏習合時代に山岳信仰の拠点である飯豊山神社奥宮を指して仏教方式に本山と称したものが飯豊山本体と混同された可能性があり、またそれが飯豊山を指すときに飯豊連峰の他の山々と区別する際に分かりやすかったことなどから定着した可能性などが考えられる。
652年(白雉3年)、知同和尚と役小角が開山したとされる古い山岳信仰の場である。飯豊山大権現を祀る修験の場として栄え、江戸時代初期までには修験道の修験者が多く訪れた。元禄期以降は修験色は弱まり、稲作信仰、成人儀礼、死者供養などを中心とする庶民信仰の形態に移行した。
また、明治初年の神仏分離によって飯豊山神社となり、地域住民から崇敬された。特に太平洋戦争前までは、飯豊山への登頂は少年の成人儀式として用いられたことから地域との密着性が高まった。15歳までに登頂しなかったものは一人前として認めてもらえなかった(通過儀礼も参照)ことから、盛んに集団登山「御山駆け」が行われていたのである。終戦後は、こうした習慣が廃れはしたものの、女人禁制が解除され、多くの登山者が訪れる山として変貌した。前述したように県境の設定の原因にもなった。
四方から登山道が整備されているが、飯豊山地は朝日山地と並び東北アルプスの異名を持ち、山容が非常に大きく万年雪も残るため、充分な装備が必要である。環境省が歩道を整備し環境保全に努めている。また3県、3市4町1村からの登山アクセスが可能なためルートによっては各案内箇所が変わるため注意が必要である。
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