酒粕(さけかす、酒糟)とは、日本酒などのもろみを、圧搾した後に残る白色の固形物のことである。
100 gあたりの栄養価 | |
---|---|
エネルギー | 227 kcal (950 kJ) |
23.8 g | |
食物繊維 | 5.2 g |
1.5 g | |
14.9 g | |
ビタミン | |
チアミン (B1) | (3%) 0.03 mg |
リボフラビン (B2) | (22%) 0.26 mg |
ナイアシン (B3) | (13%) 2 mg |
パントテン酸 (B5) | (10%) 0.48 mg |
葉酸 (B9) | (43%) 170 µg |
ミネラル | |
ナトリウム | (0%) 5 mg |
カリウム | (1%) 28 mg |
カルシウム | (1%) 8 mg |
マグネシウム | (3%) 9 mg |
リン | (1%) 8 mg |
鉄分 | (6%) 0.8 mg |
亜鉛 | (24%) 2.3 mg |
銅 | (20%) 0.39 mg |
他の成分 | |
水分 | 51.1 g |
アルコール (エタノール) | 8.2 g |
| |
%はアメリカ合衆国における 成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。 出典: USDA栄養データベース(英語) |
酒米を醸造すると重量比で25%ほどの酒粕が取り出され、その成分は日本食品標準成分表によると、水分51%・炭水化物23%・蛋白質13%・脂質・灰分となっており、他にもペプチド・アミノ酸・ビタミン・酵母など栄養素に富んでいるので、健康効果が期待される食品としての価値が見直されている。1975年以降、年々、日本酒の生産量が減少していることと、大手を中心に一部の日本酒メーカーが高熱液化仕込み(高温糖化法)を採り入れていて液化粕になり、主に飼料、肥料として処理されることから、副産物である酒粕も食用としての流通量は減少傾向にある。2013年7月 - 2014年6月までの産出量は41906トン弱。2014年7月 - 2015年6月までの見込み産出量は約42000トンである(食料新聞より)。
味醂のもろみから取れる味醂粕(こぼれ梅)はもち米を含むことから風味が異なり、焼酎のもろみから取れる焼酎粕はクエン酸を多量に含むので酸味を有する。
家庭や飲食店での粕漬け、粕汁、甘酒づくり用といった従来用途に加え、近年では酒粕を加工したり更に乳酸発酵させたりした調味料など各種料理用の製品や、酒粕を使った栄養補助食品などが開発されるようになった。
酒粕は、そのまま食料としたり、料理の材料・原料として利用されている。粕はそのままで食べることができるが、直火で焼く(もしくは電子レンジ、オーブントースター等で軽く加熱する)と風味が引き立ち、砂糖をまぶして菓子のように食べる場合(「もみじ焼き」「雪もみじ焼き」等と呼ばれている)もある。乳製品と相性がいい。
俗に美白効果があるとされ、水で溶いて顔にパックを施すなどの方法で美容素材として用いられることがある。また、酒粕を配合した基礎化粧品なども市販されている。そうした際にはアルブチンやリノール酸の含有が“美容成分”として強調されることが多い。
酒粕の状態にもよるが、日本食品標準成分表によるとエタノールが約8%程度残存しているので、摂取した後自動車の運転や機械類を操作すると法律違反となる可能性がある。生食は酒酔いになりやすい。酒に弱い人や子供が食べると酒を飲んだ時と同様となり、20歳未満の者の飲酒と同様の問題が起こる可能性があるので、摂取量や誤食には注意が必要となる。なお、2006年9月15日に粕汁2杯を食べて自動車で帰宅していた神戸市の教師が呼気1リットル中、0.15ミリリットルのエタノールが検出されたとして2007年3月に酒気帯び運転容疑で書類送検されたという事例[要出典]もある。このように、十分に酒粕を加熱するなどして、酒粕中のエタノールを揮発させないと問題が起こる場合がある。
酒を摂取したかどうかに関係なく血中のアルコールが危険をもたらすのであって、交通法規もそこに基準を取っている。酒酔い運転で逮捕され、言い逃れのために奈良漬けを食べただけだと主張する者もいたが、実際には呼気から十分な濃度のアルコールが検出されれば例外なく検挙対象となり、どうやってアルコールを摂取したかについては問われない。なお2007年4月26日に警察庁が「アルコールが運転に与える影響の調査研究」という報告書の中で、奈良漬け50グラム(7切れ程度)、ウイスキーボンボン3個をそれぞれ、15〜20人に摂取させて呼気中アルコール濃度を調べたところ、いずれも20分後には呼気中濃度はゼロになり、運転能力への顕著な影響もみられなかったという実験結果を公表している。奈良漬けは最も高い商品で3%、ウイスキーボンボンは2%だった[要出典]。
酒粕は、清酒製造時の副産物のため、原料米由来の胚芽等が含まれることがある。また、伝統的な酒造道具(木桶等)を使用して製造されるため、それらが剥離し酒粕の中に混入することもまれにある。
発酵臭を有するためショウジョウバエを誘引することがある。
酒粕はエタノールや乳酸、生きた微生物が含まれているので、雑菌が繁殖しにくく腐りにくい。ただし、含まれる酵素により熟成が進み、また、糖分とアミノ酸がメイラード反応し、白色→黄色→ピンク色→褐色→焦げ茶色→黒色となる。変化の進み具合は温度、時間に依存する。
漬物用酒粕は4か月 - 1年程熟成させた酒粕を、酢原料酒粕は1 - 7年熟成させた酒粕を使用するのが一般的である。
市販の酒粕商品は、保存方法を「要冷蔵保存」あるいは「直射日光、高温多湿を避け、涼しいところでの保存」を記載している。
また、熟成に伴い、茶色等の着色や軟化など風味が変化していくことを記載し、この変化を抑えたい場合は冷蔵庫あるいは冷凍庫での保存を勧める旨を表示している商品が多い。
-18℃以下であれば3年間以上保存しても品質が大きく劣化することはない。また、熟成の過程でアミノ酸の一種・チロシンが結晶化し表面に白い斑点状のものが現れることがあるが、食べても問題はない。
しぼりたては香りは豊かだが、やや硬く、味が薄い。1週間ほど熟成させると香りは薄まるが、しっとりと軟らかくなり、味が出てくる。
酒粕には、体内の消化酵素で分解されにくく食物繊維様の生理機能を有するタンパク質であるレジスタントプロテインが含まれている。
This article uses material from the Wikipedia 日本語 article 酒粕, which is released under the Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 license ("CC BY-SA 3.0"); additional terms may apply (view authors). コンテンツは、特に記載されていない限り、CC BY-SA 4.0のもとで利用可能です。 Images, videos and audio are available under their respective licenses.
®Wikipedia is a registered trademark of the Wiki Foundation, Inc. Wiki 日本語 (DUHOCTRUNGQUOC.VN) is an independent company and has no affiliation with Wiki Foundation.