粛清(しゅくせい)とは、原義では「厳しく取り締まって、不純・不正なものを除き、整え清めること」、または「不正者・反対者などを厳しく取り締まること」。政治的には、政党や政治結社において、理論上あるいは政策上の対立を一方が他方を組織から排除して政治的に抹殺し組織の純化をはかること。英語ではパージ(英: purge)、フランス語ではエピュラシオン(仏: épuration)、ロシア語ではチーストカ(露: чистка)と呼ばれる。しばしば同音異義語の「粛正」と混同されるが、こちらは「綱紀粛正」などに見られるように、厳しく取り締まって、不正を正すことを意味する。
狭義の「粛清」は、独裁国家や社会主義国家などにおいて多くみられ、その場合には物理的暴力や殺戮を伴うことが多い。例として、政治犯の死刑執行や追放をはじめとして、刺客による暗殺、強制収容所への送致などが挙げられる。
広義の「粛清」は、組織の人事の名のもとにきわめて恣意的ではあるが合法的な範囲で行われるものも指す。生命や財産の自由にこそ及ばないが、社会的地位の剥奪、いじめ、ハラスメント、吊し上げなどの一部も、これに含むことができる。これらは古今東西、いかなる組織においても起こり得るものであるが、国家や企業、圧力団体などにおいては、特に「粛清人事」と呼ばれる。一般には、組織のトップによる有力幹部および前のトップとそれに連なる者の解雇、追放、契約解除、左遷などが該当する。これもトップ交代に前後して行われやすい。
粛清は、革命や反革命、クーデター、弾圧の一場面として行われる事も多い。共産主義・独裁国家・新たな王朝の建国(日本では新たな幕府が設立された時や新たな征夷大将軍が就任した時)においては、体制を保つために必ずと言って良いほど発生する。特に、新たな独裁政権が誕生した時は、謀反を起こしやすい人物、将来自身またはその後継者を脅かしそうな存在(将来は自分または後継者を抹殺するような人物)に対して行われる。 ベニート・ムッソリーニは独裁者の中では同胞の殺戮を伴う粛清には消極的な方だった。
粛清の本来の意味は「組織的な点検による共産党員としてふさわしくない者の党からの追放」である。
1933年1月、ソビエト連邦において全連邦共産党(ボリシェヴィキ)が決定した総粛清(全党チーストカ)は、のちに続く「大テロル」と無関係とはいえないものの、党員の資格審査活動であり、末端党組織による党員記帳の乱雑さをただそうとする性質のものであった。
2013年に朝鮮民主主義人民共和国で発生した金正恩による張成沢派粛清(およびそれに関連した族滅を含む大量殺戮)の際、朝鮮中央通信は「張成沢を取り除き、その一党を粛清することによって、党内に新しく芽生える危険極まりない分派的行動に決定的な打撃を加えた」と報道し、金正恩政権が公式に「粛清」の語を使用した。これはテロル的な意味での狭義の「粛清」の一例と言える。
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