自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(じどうしゃのうんてんによりひとをししょうさせるこういとうのしょばつにかんするほうりつ、平成25年法律第86号)は、自動車の運転により人を死傷させる行為等に対する刑罰を定めた日本の法律。略称は、自動車運転処罰法または自動車運転死傷行為処罰法。
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自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律 | |
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日本の法令 | |
通称・略称 | 自動車運転処罰法 自動車運転死傷行為処罰法 |
法令番号 | 平成25年法律第86号 |
種類 | 刑事法(特別刑法) |
効力 | 現行法 |
成立 | 2013年11月20日 |
公布 | 2013年11月27日 |
施行 | 2014年5月20日 |
所管 | 法務省[刑事局] 国家公安委員会 警察庁[交通局] |
主な内容 | 自動車の運転により人を死傷させる行為等に対する刑罰を定める。 |
関連法令 | 刑法 道路交通法 |
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ウィキソース原文 |
本法律は、それまで刑法に規定されていた当該罰則規定を独立させた特別刑法である。そのため、法務省刑事局刑事課と警察庁交通局交通指導課が共同で所管する。
自動車による交通事故のうち、加害者の飲酒運転など原因が悪質とされるものに対して厳罰を望む社会的運動の高まりを受けて、刑法に危険運転致死傷罪が規定された。しかし、その構成要件は、運転行為の中でも特に危険性の高いものに限定されていたため、例えば、下記のように、刑事裁判において危険運転致死傷罪を適用することには困難を伴っていた。
本法律は、これら悪質な運転者が死亡事故を起こしている現状に刑法の規定が対応できていないとの意見により、構成要件に修正を加えると共に、刑法から関連規定を分離して独立した法律として、新たに制定されたものである。
なお、刑法に規定されていた時期と異なり、犯罪の主体は道路交通法に規定する自動車および原動機付自転車、と明確化されている。この明記化以前の、即ち刑法規定時期の用語「自動車」については、判例および類推解釈によりオートバイ・原動機付自転車も含まれると解釈されてきた。
あおり運転(妨害運転)による死亡事故や事件の多発を受けて、2020年(令和2年)に改正法が成立、同年7月2日に施行された。
妨害運転行為の処罰に関しては、改正道路交通法が第201回国会・同年6月2日に可決成立、同10日に公布され、6月30日に施行である。道路交通法の妨害運転罪については、具体的危険や交通事故(人身事故)の発生が無い場合であっても処罰対象となる。
処罰対象の主な類型としては、「通行区分違反」「急ブレーキ禁止違反」「車間距離不保持」「進路変更禁止違反」「追い越し違反」「減光等義務違反」「警音器使用制限違反」「安全運転義務違反」「最低速度違反(高速自動車国道)」「高速自動車国道等駐停車違反」に分類できる。
2014年(平成26年)現在、危険運転致死傷罪に該当する態様で死傷事故を起こした場合には、運転免許証の行政処分に関し「特定違反行為による交通事故等」の基準が適用され、致傷では基礎点数45~55点・欠格期間5~7年(被害者の治療期間による)、致死では62点・欠格期間8年となっており、殺人や傷害の故意をもって自動車等により人を死傷させた場合(運転殺人、運転傷害)と同程度の処分となっている。
(第二条)下記の行為を行い、よって人を死傷させた者
(第三条)下記の行為を行い、よって人を死傷させた者
(第四条 過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱)
(第五条)自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる(裁量的免除)。
第六条。本法律各条(第2条から第5条まで)罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、刑を加重するとする規定。無免許運転であることと事故(死傷)の間に因果関係は不要である。なお、運転技能を有しない状態で運転する行為については第2条で評価される。
有期刑の上限は20年(刑法第12条1項)。ただし、他の罪が併合罪加重として適用される場合や再犯加重の場合などは30年(刑法第14条、同第47条)。危険運転致死罪は裁判員裁判での審理対象となることがある。
なお、故意性が極めて強いと判断される危険運転致死は、自動車運転処罰法ではなく刑法第199条の殺人罪で処断される。殺人罪は暴力団幹部など一部の例外を除き必ず裁判員制度の対象となり、法定刑が死刑・無期または5年以上の有期懲役となる。
罪状 | 一般 | 無免許 | |
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危険運転致死罪 | 1年以上の有期懲役 | 加重なし(同左) | |
準酩酊・準薬物・病気運転 | 15年以下の懲役 | 6月以上の有期懲役 | |
危険運転致傷罪 | 15年以下の懲役 | 6月以上の有期懲役 | |
未熟運転 | 15年以下の懲役 | 加重なし(同左) | |
準酩酊・準薬物・病気運転 | 12年以下の懲役 | 15年以下の懲役 | |
発覚免脱罪 | 12年以下の懲役 | 15年以下の懲役 | |
過失運転致死傷罪 | 7年以下の懲役もしくは禁錮、 または100万円以下の罰金 | 10年以下の懲役 |
本法律の各罪と道路交通法違反の各罪(救護義務違反の罪を含む)とは、下記の関係にある。
この法律の罪は、次の部分を除き、道路外致死傷(道路以外の場所において自動車等をその本来の用い方に従って用いることにより人を死傷させる行為)にも適用される。ただし、適法に開催された自動車競技、オートレース等、正当行為と判断される場合に限っては、この限りではない。
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