小森 陽一(こもり よういち、1953年(昭和28年)5月14日 - )は、日本の日本文学研究者(近代日本文学・構造主義記号論)。東京大学名誉教授。和光学園理事長。全国「九条の会」事務局長。
東京都出身。日本共産党党員(書記局員)であった父・小森良夫(1926-2008)の仕事の関係で、1961年から4年間、ソ連の衛星国だったチェコスロバキアのプラハで過ごす。プラハでは、ソ連外務省が直接運営する外国共産党幹部子弟専用のソビエト学校に通い、ピオネール(ソ連・共産圏の少年団)にも加入していた。そのために帰国後、型にはまった日本語でしか話すことができず苦労した(『小森陽一、ニホン語に出会う』)。
北海道大学文学部・同大学院では亀井秀雄の指導を受ける。大学院在学中に、札幌の進学予備校北大学力増進会の現代文科講師を勤め、その後成城大学勤務を経て、東京大学に着任する。
母親は小森香子(詩人、東京原水協・日本平和委員会理事・詩人会議常任運営委員・日本子どもを守る会理事)。共著もある(『青い空は青いままで子どもらに伝えたい - 母と子で語る昭和といま - 』)。
1987年、夏目漱石の『こころ』の解釈を巡って三好行雄と論争し、注目を集める。
日本の明治以降期における西洋化の試みを、植民地的無意識の形成、列強への過剰な模倣など、ポストコロニアル理論研究の視点から再考している(『ポストコロニアル』)。さらに、日本近代文学、特に漱石の作品における植民地的要素の分析を行う(『世紀末の予言者・夏目漱石』『漱石をよみなおす』p251)。『日本語の近代』(岩波書店)の第2刷りの追記にあるが、この本の多くの部分は安田敏朗の仕事を注記なしに引いたもので、問題となった(すが秀実『帝国の文学』)。
また、NHK大河ドラマ「春の波涛」の盗作問題をめぐる裁判では、国文学の専門家としてNHK側で証言している(山口玲子『NHK犯歴録』)。
講演、執筆活動を活発に行っているが、文学評論にとどまらず、政治的な主張も行っている。
現在、日本国憲法第9条の平和主義を守るため、憲法改正に反対する「九条の会」の運営に事務局長として関わり、憲法改正及びその手続法である国民投票法に反対して、各地で開催される集会で発言を続けるとともに、積極的に活字媒体への執筆活動を行っている(「九条の会」事務局長から新年のご挨拶)。
また、憲法の趣旨から外れ天皇中心の国家に戻る契機となるとして、教育基本法改正に強く反対。2004年、「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」の呼びかけ人となり、改正反対の運動を行っていた。(2007年1月解散)
1998年、「天皇陛下御即位十年をお祝いする国民祭典」において、X JAPANのYOSHIKIが奉祝曲を式典で演奏することについて、石田英敬らとともに「公開質問状」[1] を送付した(YOSHIKIは受け取り拒否)。
日本学術会議東洋学研究連絡委員会主催学術シンポジウム「アジアとは何か」(2001年11月17日開催)において「9・11テロは日本の神風特攻隊から学んだものである」と発言。
同僚である東京大学教養学部教授で、フランス哲学者の高橋哲哉は、思想的な意味での盟友といえる。(『ナショナル・ヒストリーを超えて』)
『戦後日本スタディーズ3 80年代・90年代』に於いて自らがマルクス主義者であることを明らかにした。
「しんぶん赤旗」にも多く登場し、日本共産党系と見なされることも多い知識人の一人であるが、「偏向教育」により共産党系の全教と対立・脱退した増田都子の応援を行っている。
日本による対韓輸出優遇撤廃に反対する、<声明>「韓国は「敵」なのか」呼びかけ人の1人。
1969年5月、竹早高校学内で学年主任の3名の教員を中心に学校ぐるみで補習費や修学旅行費でリベートを慣例的に受領していた事実が明るみに出た。「竹早高校リベート事件」としてマスコミや国会の文教委員会(当時)にも取り上げられ、3名の教員はじめ(1名は懲戒免職処分)、殆どの教職員が処分を受ける事態となった。連日全校集会が続き、学校の機能は一時完全に停止。混乱の中、2学期に入ると校舎改築工事の為、都立新宿高校旧校舎へ1年間、間借りすることになる。この年、小森は1年生ながら生徒会長に選出され、事件発覚後、全校ストを組織。教師らを土下座させ、「授業の内容、教師の講義方針に関しては教師・生徒間の話し合いにより決定する」、「生徒に関する諸規則は生徒が定め、生徒が管理する」といった内容の「生徒権宣言」を学校側に受諾させるという逸話を残している [要出典]。
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