大帝(たいてい)は、「偉大な王」や「すぐれた帝王」に対する尊号・美称(称号)。 これとは別に、中国文化圏の民間信仰や道教では神格一般の尊号・美称として用いられる語。
日本語では、偉大な君主に対し用いて、「帝(皇帝・天皇)」に対する「大帝」の語のほか、類似表現として「王」に対する「大王」の表現もある。
さまざまな言語での表現 | ||||||
古代ギリシャ語 | ラテン語 | フランス語 | ドイツ語 | 英語 | 中国語 | 日本語 |
Karolus Magnus (カロルス・マグヌス) | Charlemagne (シャルルマーニュ) | Karl der Große (カール・デア・グローセ) | Charles the Great (チャールズ・ザ・グレート) | 查理大帝 | カール大帝 | |
Ἀλέξανδρος ὁ Μέγας (アレクサンドロス・ホ・メガス) | Alexander Magnus (アレクサンデル・マグヌス) | Alexandre le Grand (アレクサンドル・ル・グラン) | Alexander der Große (アレクサンダー・デア・グローセ) | Alexander the Great (アレクサンダー・ザ・グレート) | 亚历山大大帝 | アレキサンダー大王 |
たとえばラテン語の「Karolus Magnus」(カロルス・マグヌス)が、フランス語では「Charlemagne」(シャルルマーニュ)、ドイツ語では「Karl der Große」(カール・デア・グローセ)、英語では「Charles the Great」(チャールズ・ザ・グレート)などとなり、直訳的には「偉大なカルロス(シャルル/カール/チャールズ)」、意訳として「カール大帝」のように用いる。
中国神話や道教では神格に対する尊称・尊号のひとつに「○○大帝」がある。この文化圏では、天帝・天そのものなどの最高神のような存在から、自然や実在の人物を神格化したものまで、さまざまな対象の異称としても用いる。
中国神話では最初の伝説的な神格として「三皇五帝」が登場する。たとえば、そのうち「神農」の異称の一つに「神農大帝」がある。ほかにも自然事物では、たとえば北極星を神格化した「北極紫微大帝」は道教では「玉皇大帝」とも呼ばれたり、聖地の一つ泰山は「東嶽大帝」(仏教の文脈では「太山府君」)などとなる。
民間信仰がより体系化された道教でも、神格に対するさまざまな尊称として、「○○君」「○○天尊」「○○大帝」「○○大帝君」などの多様な表現がある。たとえば最高神とされる3神格を総称して「三清」や「三清大帝」などという。さらに、たとえば三清のなかで1位の神格「元始天尊」には、「天宝君」「清微天宝君」「玉清大帝」「玉清聖境虚無自然元始天尊」などの呼び方がある。同様に、「三清」のうち「太上道君」の異称の一つに「上清大帝」がある。中国民間信仰のうちの最高神「玉皇大帝」は、道教では三清の下位「四御」の一柱とされ、「天公」「玉帝」「玉皇上帝」などの異称をもつ。
ほかにも、たとえば中国文化の霊獣玄武には、「玄天上帝」「真武大帝」などの異称がある。玄武は道教では「三清」の一「太上老君」の化身とされる。中国の南方では火の神「華光大帝」があり、これを5神として「五顕大帝」ともいい、明代に編まれた『西遊記』にも登場する。これは仏教のもとでは黄檗宗で伽藍を守る仏神となり、日本の寺院でも「華光像」(華光菩薩像)などとして祀られている。
10世紀から11世紀のアモイ(福建省廈門市)の医師「呉夲」は、死後神格化されて「保生大帝」となった。『三国志』に登場する武将・関羽を神格化した関帝を「関聖大帝」などと諡されている例もある。
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