加藤 敏(かとう さとし、1939年3月1日 - )は日本の音響監督、録音技師。東北新社外画製作事業部演出部吹替課吹替ディレクター。
大学卒業後、同級生であった内池望博に誘われ東北新社に入社。誘われた当初はどんな仕事か分からずとりあえずスタジオに行ったところ、アフレコやダビング等の作業を一生懸命に皆がやる姿を見て感銘を受けたといい、本人曰く「それからずっと居着いちゃったみたいな感じ」とのことである。また、当時の東北新社は7人体制だったため忙しく、入社試験や面接は特に無かったという。
1960年代から吹き替えの演出を行い、吹き替えの創生期から活躍するベテランの一人である。アニメでは手塚プロダクションや東京ムービー新社制作の作品に数多く携わっている。近年は映像テクノアカデミアで講師を務めていた。現在もフリーで活動している。
吹き替え演出では、原語で言っている意味をきちんと汲み取り表現することを大切にしており「そこから外れなければどういう表現にしてもそれでいいだろう、と僕は思っているんですけどね」と語っている。近年は字幕との整合性を指示されることが多いというが、これについては「直訳をそのまま持ってこられても、わけが分からないときってあるんですよね。言わんとしているところのニュアンスをしっかり捉えて日本語に置き換えてくれれば、それでいいんですよ」「本当にその表情に合うような、強く言えるような、そういう日本語で出来れば一番良い訳ですが(笑)」と発言している。
アニメで一番大変な仕事に声優のキャスティングを挙げている。台本でキャラクター、絵コンテで動きをつかみ、あとはキャラクターの設定表を見ての総合判断でキャストを決めているという。
加藤の演出について井上真樹夫は「あんまり駄目出しとかはしない人だよね。でもあの人は言わないから怖い。おどけて笑いながら、実はかなり厳しく見てますから。笑っているからってなめちゃいけない。何も言われないから、逆に新人にはすごく堪えたんじゃないかな」「それでも常に笑っていたのは、スタジオの緊張感を少しでも和らげるためだったのかもしれないね」と語っている。
アニメ『ルパン三世』シリーズでは1977年の『TV第2シリーズ』以降、2010年の『ルパン三世 the Last Job』まで約33年に渡り全作品の音響監督として携わっていた。そのためレギュラー声優陣との付き合いも深い。2012年のインタビューでは、演出について基本的に声優陣の演技を邪魔しないよう自由に演じてもらっていたが、「キャラクターがぶれないこと」「リアルな喋りの芝居と誇張された絵的な芝居のメリハリをつけること」には気を付けていたと述べている。
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