全国郵便局長会(ぜんこくゆうびんきょくちょうかい)は、中小規模の郵便局(民営化前の特定郵便局)局長にある者を構成員とし、1953年(昭和28年)に発足した任意団体。
総務省や日本郵政グループの外郭団体ではない。かつては、全国特定郵便局長会(ぜんこくとくていゆうびんきょくちょうかい)という名称であったが、郵政民営化のため2008年(平成20年)より名称が変更された。略称の全特(ぜんとく)は、名称変更後も使用され続けている。
2022年現在の組織は全国郵便局長会に、12の地方郵便局長会、238の地区郵便局長会、さらに多くの部会が連なる。 組織の位置づけとしては、私的な団体である。一方で、全国郵便局長会においては各地区グループに対応した「地区会」を有しており、また地域グループの役員がそのまま局長会の役員を兼ねているという実態があるとされる。これは戦後進駐軍の指摘により、公私混同の色合いが強かった特定局業務推進連絡会(特推連)が一時期解体されたとき、私的な部分を継承する形で局長会が成立した、という経緯とも関係している。
なお、地方を管轄する支社の管轄エリアを超える全国的な役職が特定局業務推進連絡会に必要であるのか、かつてから疑問は出されていた。また、特推連(地域グループ)の役員会、部会(地区グループ会議)等が開かれたあと、そのまま局長会の会議に移行している事実もあったとされ、公私混同の誹りを受けかねない要因がかつては存在していたとされる。特推連(地域グループ)と局長会は表裏一体であって公私混同であると批判されてきた経緯がある。
特定郵便局自体は郵政民営化により廃止されたが、局長会はその後もいわば「中小規模の郵便局長の団体」として残っており、今も総会が年に一回開催され、業務上支障がない場合は、郵便局長が休暇を取って出席することもある。
小規模郵便局長の採用については、全国郵便局長会が推薦する形で実質的に採用する人物を選んでいるのではないかと取り沙汰されてきたが、2022年5月13日、日本郵政の増田寛也社長は「局長会の推薦でやるというのではなく、人物本位で採用している」として否定している。
地域社会への貢献活動として、郵便局長会では全国の郵便局長に、防災に対する意識・知識・技能を持った防災士の資格取得を促している。
2006年(平成18年)5月20日付の朝日新聞大阪本社版朝刊によると、全国特定郵便局長会は、特定局長全員が防災士の資格を10年以内に取得する方針を定め、3年前から局長会が取得を奨励。現在までに約5,500人が合格しているが、期間内に19,000人全員の合格を目指し、年2,000人の合格を目標にするとしている。
2009年(平成21年)3月16日、フジサンケイ ビジネスアイは、防災士認証登録者30,000人のうち10,000人超は郵便局長だと報じている。
2009年(平成21年)9月末現在、防災士資格取得者の有志が集まる日本防災士会(代表幹事:浦野修)の会員数は4,445名。シェア3分の1を超える約1,500名を郵便局関係者で占めるという実績を誇っている。
全特には会の歌がある。歌詞は「…流氷きしむ最果ての地の文化を拓く、…ああ全特に誇りあり…」となっている。
毎年開催される総会は政治色が強く現れ、長年自由民主党の有力な支持組織となっている。
小泉純一郎による郵政民営化が問われた2005年(平成17年)の衆議院議員総選挙以降は、自民党議員だった郵政造反組で結成された国民新党を支援していたが、2012年に民主党政権が提出した郵政改革法案が自民党も賛成する形で国会で成立したこともあり、2013年(平成25年)の参議院選挙では、再び自民党を支援している。
全国の局長が出資し建築した賃貸オフィスビル、郵便局やホテルその他オフィスとして利用されている。
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