一般社団法人(いっぱんしゃだんほうじん、英: general incorporated association)は、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)」に基づいて設立される社団法人である。税制上「普通型」と「非営利型」の2種類がある。 非営利型は非営利法人の代表格「NPO法人」と同等の税制優遇措置を受けることができる。
一般社団法人は2006年(平成18年)の公益法人制度改革により、従来の民法により設立される社団法人に代わって設けられた法人である。その団体名称の中に「一般社団法人」の文字を使わなくてはならない(一般社団・財団法人法5条)。
設立許可を必要とした2005年末以前の従来の「社団法人」とは違い、2006年度以降の「一般社団法人」は公益の有無は問われず、一定の手続き及び登記さえ経れば、主務官庁の許可を得るのではなく準則主義によって、誰でも設立することができる。また設立後も行政からの監督・指導はない。
営利法人である株式会社などと同じく収益事業や共益事業なども行うことができる。ただし、株式会社等と異なり、設立者に剰余金または残余財産の分配を受ける権利を与えることはできず、そのような趣旨の定款は無効となる(一般社団・財団法人法11条2項)。
一般社団法人は、上述のように「構成員に利益の分配を行わない」という意味での非営利法人ではあるが、「特定の相手に対して利益供与を行う」「解散時の残余財産の帰属先を定款で定めず、社員総会によって残余財産を社員の帰属とする」などの方法により構成員が利益を得る余地が存在する。
そこで、一般社団法人は税制上「普通型」と「非営利型」の2つに区分されることとなる。非営利型法人では、「残余財産を公益目的を持つ一定の団体に帰属させること」「特定の個人又は団体に特別の利益を与えないこと」「同族経営としないこと」などいくつかの条件を満たすことを条件として、非営利法人の代表格とされる「NPO法人」と同等の税制優遇措置を受けることができる。
非営利型の場合、課税対象は「収益事業から生じた所得のみ」になり、収益事業以外の会費や寄付金に対しては課税がない。一方、普通型の場合は、株式会社と同様の課税対象となる。
非営利型一般社団法人であっても、利益を出したり、収益事業を行ったり、役員報酬を出すなどすることは一般認識と異なり合法である。ただし、利益が多く出てお金を多く稼いでも役員報酬増加に合法的に回せるが、出資者への分配である「配当」は禁止されており、来年度以降の法人の事業目的達成のための活動費用にしかしてはいけない義務がある。つまり、NPO(非営利団体)と同じく非営利法人とは「利益を出さない、収益事業をしない」という意味ではなく、「利益の配当をしない法人」である。
NPOと非営利型一般社団法人は似ているため、何が違うのか知られていないが下記の相違点がある。非営利型一般社団法人には下記のメリットがある。
税制優遇措置は全ての一般社団法人にある訳では無いが、非営利型一般社団法人である場合はNPOと同じ優遇措置がある。NPOの場合は、毎年度所轄庁への報告義務や市民と利害関係人への情報開示制度があるが一般社団法人にはない。NPO法人の場合は、設立後も「主たる事務所」の所在する都道府県の「知事」といった所轄庁への報告義務があり、その監督の下に置かれる。
設立には一般社団法人が社員2名以上で設立可能だが、 NPO法人は10人以上必要である。事業目的や活動内容はNPO法人の場合はNPO法に定められている20種類の「特定非営利活動」のみだが、一般社団法人には活動内容へ制限がない。
一般社団法人と異なり、NPO法人は設立に役所からの認可が必要である。 そのため、一般社団法人が設立まで1週間から2週間であるのに対し、NPO法人は4か月は必要となる。上記のように、一般社団法人の場合はNPOのような所轄庁の審査自体なく、登記手続きで済むので迅速に設立出来る。
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詳しくない人には制度改革前の社団法人と混同されやすく[要出典]、公益性が設立要件と誤解したり行政庁の許可が必要と誤解している人も少なくない[要出典]。公益性など良いイメージを悪用し、「一般社団法人」の法人格を乱用し、脱税や公金横領、投資詐欺などの違法行為を行う事態も多く発生している。
一般社団法人は2人以上の社員によって設立が可能となり、主たる事務所の所在地を管轄する法務局または地方法務局に登記を行うことで設立できる。
一般社団法人は、その法人の意思決定をし、行為をするために機関を設ける。機関とはその法人の意思決定や行為を司る自然人や合議体のことである。一般社団法人の場合は、法律上の社員(株式会社での株主に位置する人)によって構成される社員総会と理事が設置必須の機関である。また、その他にも任意で理事会、監事、会計監査人を置くことができる。
ただし、理事会を設置する場合は、3名以上の理事と監事を必ず設置しなければならない。その他にも事業年度末の貸借対照表の負債の部の合計額が200億円以上である一般社団法人は「大規模一般社団法人」(一般社団・財団法人法2条)といい、会計監査人を必ず置かねばならない(一般社団・財団法人法62条)。
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