『パラサイト・イヴ』(PARASITE EVE)は、瀬名秀明の小説『パラサイト・イヴ』を原作としたスクウェア(現:スクウェア・エニックス)のテレビゲーム、またはゲームシリーズである。PEと略される。
このフィクションに関する記事は、ほとんどがあらすじ・登場人物のエピソードといった物語内容の紹介だけで成り立っています。 |
ジャンル | シネマティックRPG サバイバルホラー |
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対応機種 | プレイステーション ゲームアーカイブス[GA] |
開発元 | スクウェアUSA LAオフィス |
発売元 | スクウェア(スクウェア・エニックス) |
プロデューサー | 坂口博信 |
ディレクター | 時田貴司 |
デザイナー | 坂口博信 赤田義郎 |
シナリオ | 坂口博信 |
プログラマー | 川井博司 |
音楽 | 下村陽子 |
美術 | 野村哲也 皆葉英夫 |
人数 | 1人用 |
メディア | CD-ROM2枚組 |
発売日 | 1998年3月29日 2010年11月4日[GA] |
対象年齢 | CERO:B(12才以上対象) ESRB:M(17歳以上) |
アスペクト比 | 4:3 |
売上本数 | 日本:105万本 世界:210万本 |
1998年に第一作(PlayStation版)が発売された。ゲームシリーズの第1・2作で全世界300万本以上を出荷した。ゲームの3作目、『ザ・サード バースデイ』は2010年に発売された。
瀬名のホラー小説『パラサイト・イヴ』を元としているが、主人公のアヤ・ブレアをはじめとする登場キャラクターはゲームオリジナルで、原作とは異なるストーリーが展開される。発売時のジャンル表記は「シネマティックRPG」。『ファイナルファンタジー』シリーズを手がけていた坂口博信などが製作した。
ゲームの舞台は小説の数年後という設定で、舞台も日本からアメリカ合衆国のN.Y. マンハッタンへと移っている。多くの生命が持つ細胞内小器官ミトコンドリアがネオ・ミトコンドリアとして覚醒、人類に対する反乱を起こし、同様に超人的能力へ目覚めた主人公の女性刑事が、それに立ち向かうというもの。
続編として『パラサイト・イヴ2』(1999年発売)、『ザ・サード バースデイ』(2010年発売)がある。
オーソドックスなアクションRPGである。また、ファイナルファンタジーシリーズで採用されているアクティブタイムバトル(ATB)を踏襲するシステムを採用しているが、行動するために必要となる「ATBゲージ」が溜まるまでの間は主人公を移動させることができ敵の攻撃を避けることが可能。
装備を改造し、それを2周目以降に引き継げるなど、やりこみ要素もある。最大のやりこみ要素は、2周目以降に攻略可能となる、77階建てのクライスラービルである。このダンジョンのマップは自動生成され、また10階ごとにボスが存在するなど、ローグライクゲーム、ランダムシャッフルダンジョンとしての楽しみも味わえる。同ダンジョン77階にいるボスを倒すことにより真のエンディングを見ることができる。
1997年のクリスマス・イヴ……。ニューヨーク・マンハッタン島の中ほどに位置するカーネギー・ホールに、NYPD17分署の新米刑事アヤ・ブレアは、自分をデートに誘ったボーイフレンドと共にオペラ観劇に訪れた。
しかし、舞台上で歌っていた新進のオペラ歌手メリッサ・ピアスの様子がおかしくなり、舞台上にいた俳優たちや観客たちが次々と人体発火していき、火の海と化す。メリッサは、自らをミトコンドリア「イヴ」だと名乗り、アヤを「同じ力を持つ者」だと告げる。仲間になることを拒まれたイブはアヤに襲いかかり、アヤに追い込まれたイヴは床に穴を開け、下水道へと逃げ込む。
劇場地下に追い詰められたイヴは、「核の支配は終わった」と言い、異形の姿となってアヤに襲い掛かる。劣勢になったイヴは、「ミトコンドリアが解放される日がやって来た。お前は分からなくともミトコンドリアは理解している」と言い残し、ゲル状に変形させて下水道の奥へと消える。
翌日、唯一の生存者アヤとコンビを組むダニエルは、捜査を開始する。オペラ歌手メリッサには身寄りがなく、身体が弱く薬を常用していたが、事件直後に自宅も全焼したため、薬も病院も不明であるという。ミトコンドリアの研究者ハンス・クランプ博士によると、ミトコンドリアが熱エネルギーを発生させて人体を発火させることもできる可能性を示唆したが、事件については口をつぐむ。
アヤたちが署へ戻ると、中止になったはずのメリッサのソロ・コンサートのために、セントラルパークの野外音楽堂に観客が集まっているという。アヤがパーク内の音楽堂に到着すると、イヴは舞台上から「今宵から我々ミトコンドリアが宿主である核を支配するのだ」と宣言する。その途端、観客たちの身体はゲル状に溶けて液状化してしまい、「巨大なスライム」に一体化してしまう。
イヴは舞台から逃げ、アヤがイヴの乗っている馬車に乗りこむと、馬車を引いていた馬が発火し、通りを疾走し始める。戦いの中、「私より赤の他人につくのか」「自分が誰だか知らないようだ。私とおまえは元は…」と語り掛けてくるが、馬が燃え尽きてしまい、アヤは馬車から放り出されて気を失ってしまう。
気を失っていたアヤは、日本人の化学者・前田邦彦に助けられ、ダニエルと合流して3人でミトコンドリアについて調査することになった。前田によると、日本でも3年前に「ミトコンドリアに関する事件」が起こっており、今回の事件の調査にやってきたという。
アメリカ自然博物館内のクランプ博士の研究室で実験を行った結果、アヤの上着に付着していたゲル状のものは、イヴの細胞らしいことが判明する。前田は、「前田の細胞とイヴの細胞」「アヤの細胞とイヴの細胞」をそれぞれ合わせる実験を行う。前田の細胞はあっというまに核との共生関係を逆転して核を支配されたが、アヤの細胞は核を保護強化してイヴの細胞を跳ね返してしまったのだ。
さらにダニエルは、クランプ博士のパソコンに「臓器移植の適用判断のためのリスト」を発見する。そこにはセントラルパークで被害に遭ったダニエルの妻・ロレーンと息子のベンの名前も書かれていた。その時、クランプ博士が研究室へ戻り、前田の実験結果を知っている今回の事件に深く関与しているらしいクランプ博士は、アヤたち3人を研究室から追い出してしまう。
警察署に戻ると、イヴに襲撃されたらしく犠牲者も出ていたことから、アヤは単身でイヴを追う。署の地下に行くと、ダニエルの息子ベンとベイカー部長がいた。アヤが来た瞬間、2人とともにいた警察犬が「異形の姿」へと変身、アヤは警察犬を倒して2人を保護する。
前田によると、現在のイヴは「メリッサの体に寄生している」にすぎず、やがて肉体の限界がきてしまうため、『完全体』とよばれる肉体を手に入れようとしているのではないかと語る。イヴは、人工授精を行っている病院で、精子を手に入れ「自らの体で完全体を産もうとしている」という。アヤと前田は病院へと向かう。
単身で病院へ乗り込んだアヤは、不思議な少女の幻を見る。アヤは昔この病院に来たことがあり、幻の少女はアヤの姉「マヤ」で、母親と共に事故で死んだはずだった。マヤと母親のマリコは交通事故でこの病院へ来ていたという記録があり、そして両名ともに死亡していた。病院にはメリッサの記録もあり、彼女は臓器移植手術を受け成功したが、その後は投薬治療を行っていた。アヤは、「メリッサの入院日」と「マヤが運び込まれた日」が同じだったことに気付く。
イヴは人工精子を手に入れ、病院の屋上にいた。イヴは「アヤが自分と同様に進化している」と言い、仲間になるよう説得する。アヤは自分は人間であり、罪のない人々を殺して異形の姿に変えたりするイヴに反発する。イヴはアヤと理解しあえぬことを嘆いて、姿を消す。
そこにダニエルが現れ、「病院の医者が移植患者のリストをクランプに横流ししていたこと」「深夜の博物館にメリッサが訪れていた」という情報が判明したという。イヴとクランプ博士の繋がりが立証され、アヤ達はクランプ博士とイヴの行方を探す。
クランプ博士の研究室には「Mayaと書かれた血清」があり、Eveという研究コードがついていた。クランプ博士は「マヤの肝細胞」を培養し、そして最近ではイヴに完全体を産ませるために「人工精子の研究」をしていた。不純な核遺伝子のない精子を作り、それを病院の精子バンクへ移し、人工授精の希望者に臨床実験を行っていたのだ。
クランプ博士は、イヴを使って「完全なるミトコンドリア生物」を作り出そうとしたのだ。捕らえられたクランプ博士によると、「ミトコンドリアには父系と母系があり、日本では父系が反発したため失敗したこと」「そのため、父系を排除した人工精子を研究したこと」「イヴはメリッサの体をかり、既に妊娠中であること」を語り、人体発火によって亡くなる。
博物館を出たアヤは、ダニエルから調査結果を伝えられる。メリッサが服用していた薬は「免疫抑制剤」で、メリッサは幼い頃、アヤの姉のマヤの腎臓を移植されていた。事故にあったマヤと母親はドナー登録をしていたため、腎不全だったメリッサへ移植することになったのだ。その移植手術に立ち会ったのが、クランプ博士だった。つまりイヴのオリジナルは、元々マヤに寄生していたのだ。
自由の女神前にいた巨大なゲル状の物体は、妊婦となったイヴを外敵から守るように包み込んでおり、その物体に近づくだけで発火させられるため、軍隊では攻撃することすらできない。そのため唯一発火しないアヤは軍の空母へ招へいされ、自動運転のヘリに単独で乗り、時限爆弾をゲル状の物体へ撃ち込む……という作戦を実行するよう命じられる。
ヘリからミサイルが撃ち込まれ、ゲル状の物体を爆破させることには成功。イヴは「人間を繁栄させてきたのは自分たちミトコンドリアであり、人間は乗り物のようなものだ」「自分たちのために、人間は文化を発展させて生活環境を整えてくれた。今こそ人間に代わって、ミトコンドリアが地上を支配するときが来たのだ」と言う。
しかし、アヤのミトコンドリアは「人間の細胞の核と共存すること」を選んでおり、イヴは「アヤとは永遠にわかりあうことはないようだ」と言い、2人は戦闘へと突入する。激闘の末にイヴは倒れ、ゲル状になって溶けていった。
イブを倒して歓喜に沸く中、溶けたはずのゲル状の中から生命体が動きはじめる。ゲル状になったイヴの胎内から「完全体の赤ん坊」は生まれていたのだ。完全体の赤ん坊は、イブを遥かに超える強大な力を持ち、巡洋艦を次々と爆破させていく。兵士から脱出を促されるが、アヤは残って完全体と決着をつけることを決意する。
アヤのいる巡洋艦に乗り込んできた完全体とアヤ、ミトコンドリアと人間のどちらが生き残るのか、最後の戦いが始まる。完全体の赤ん坊は急速に進化を続け、異形の姿に変化してしまい、アヤの攻撃も通用しなくなってしまう。
ヘリの中で、苦戦するアヤを見守っていた前田は、「アヤの細胞の入った特別な弾丸」をアヤに届けたかったという。ダニエルはその弾丸を前田から受け取ってヘリから飛び降り、アヤに向かって弾丸の入った弾倉を投げ、ダニエルは発火しながらそのまま海へと落下する。
受け取った弾丸は絶大な効果を発揮したものの、なおも完全体はしぶとく生きており、ずるずると這いずってアヤへと迫る。アヤは巡洋艦のエンジンの出力を限界以上に上げて爆破し、巡洋艦もろとも完全体を撃破することに成功する。アヤは間一髪で海へと逃れ、ダニエルも発火したものの海へ落ちて無事だった。
イヴの調査をした前田によると、幼い頃のアヤは右目が弱く、幼い頃に「マヤの角膜」の移植が行われ、マヤの角膜の細胞は「アヤの細胞との共存」を選び、イヴとは逆の進化を辿ったのだという。そのため、アヤにはマヤの幻影が、時折フラッシュバックするかのように見えていたのだ。マヤが、アヤの中で「イヴに対抗する力」を発揮してくれていたのだ。
アヤはダニエル、ベン、前田を連れて、オペラ鑑賞に向かう。オペラの幕が上がり、ヒロインが歌いはじめると突然、舞台上から炎があがる。驚いてアヤは立ち上がるが、それは舞台の演出であり、アヤたちはホッと胸を撫でおろす。しかし、舞台を見ているアヤの目の奥底で、細胞が怪しく光を放つ。ダニエルや前田、会場にいるすべての観客の目が光ったように見えたところで、物語は幕を閉じる。
同年には角川書店から『PARASITE EVE DIVA(ディーヴァ)【N.Y.死の歌姫】』のタイトルで漫画版(全2巻、藤貴紀子著)が発売されている。ゲーム版とは一部設定が異なり、漫画版のみのオリジナルキャラクターもいる。
ゲーム版との主な設定の違いは以下の通り。
この他、プレイステーション用レースゲーム『チョコボレーシング 〜幻界へのロード〜』には隠しキャラクターとして「Aya」が出演している。ただし、ゲーム中のグラフィックは彼女の乗るパトカーであり、アヤ自身の姿は一切登場しない。
L.A制作現場の保存版映像が満載された特別付録のCD-ROMが付属している『スクウェアマニアックス'98』が『ファミ通WAVE』から出されている。
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