サモワール(ロシア語:самовар, IPA: ( 音声ファイル)サマヴァール、ペルシア語: سماور サマーヴァル、トルコ語: semaver)は、ロシアなどのスラブ諸国、イラン、トルコで古来より用いられてきた、湯を沸かすための金属製の伝統的器具。
イギリスに先だって紅茶文化を発達させていたロシアで、給茶器として発達したと見られ、ロシア語の「サミ(自分で)」と「ワリーチ(沸かす)」にちなむとされる。
片手で持てるサイズから据付設備レベルまで幅広い大きさの金属製容器で、胴部の中央に燃料を収納し燃焼させる構造を持つ。 燃料は石炭や炭、裕福な層では松かさなどが用いられ、数リットルから大きいものでは100リットル以上の水を加熱・保温し蛇口を備えるなど、現代の電気ポットのようにオンデマンドで熱湯を供給できる機能と、上部にティーポットを収納し保温する機能を備えていた。 当然ながら、現代では電熱式が主流となっている。
居間における重要な存在とされ、素材は銅、黄銅、青銅、ニッケル、スズなどで、富裕層向けには貴金属製のものや非常に装飾性の高いものも作られた。 起源には諸説あるが中央アジアで発明されたとみられ、小型のものは行楽に携行されることもあった。ちなみに、イギリスには「Tea Urn」(ティーアーン)と呼ばれる似た装置がある。
歴史的に記録されている最初のサモワール製造者は、ロシアの技術者リシツィン・イワン・フェドロヴィッチとナザール・フェドロヴィッチである。幼少の頃から、父フェードル・イヴァノヴィッチ・リシツィンの真鍮工場で金属加工に従事していた。1778年にはサモワールを製造し、同じ年にナザール・リシツィンがロシア初のサモワール工場を登録した。彼らはサモワールの発明者ではないかもしれないが、記録に残る最初のサモワール製造者であり、その多様で美しいサモワールのデザインは、その後のサモワール製造の歴史に大きな影響を与えた。こうした初期の製作者たちは、金属加工と武器製作で知られるトゥーラに住んでいた。18世紀以来、トゥーラはロシアのサモワール生産の中心地でもあり、サモワールはトゥーラのトレードマークとなっている。石炭を持ってニューカッスルに行く」と同じ意味のロシアのことわざは、「サモワールを持ってトゥーラに行く」という意味である。
カシミール地方のサモワは銅製で、カリグラフィーのモチーフが彫り込まれている。カシミールでは、サモワールには2つのバージョンがあった。銅製のサモワールはイスラム教徒が使い、真鍮製のサモワールはカシミール・パンディットと呼ばれる地元のヒンズー教徒が使った。真鍮製のサモワールには内側にニッケルメッキが施されていた。
トルコのサモワは観光客に人気のお土産であり、炭焼きサモワは今でも現地で人気がある。しかし、現代の家庭では、チャイダンルクに取って代わられている。金属製のティーポットで、上に小さいティーポットがあり、下のティーポットの蓋の代わりになる。トルコ茶を作るには、下の部分でお湯を沸かし、デムリクと呼ばれる上の部分で濃縮茶を作る。
ウィキメディア・コモンズには、サモワールに関するカテゴリがあります。
This article uses material from the Wikipedia 日本語 article サモワール, which is released under the Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 license ("CC BY-SA 3.0"); additional terms may apply (view authors). コンテンツは、特に記載されていない限り、CC BY-SA 4.0のもとで利用可能です。 Images, videos and audio are available under their respective licenses.
®Wikipedia is a registered trademark of the Wiki Foundation, Inc. Wiki 日本語 (DUHOCTRUNGQUOC.VN) is an independent company and has no affiliation with Wiki Foundation.