Coincheck(コインチェック)は、コインチェック株式会社が運営する暗号通貨取引所(英語版)。マネックスグループ株式会社の完全子会社の仮想通貨交換業者である。
種類 | 株式会社 |
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本社所在地 | 日本 〒150-0044 東京都渋谷区円山町3番6号 E・スペースタワー12階 北緯35度39分27.0秒 東経139度41分44.0秒 / 北緯35.657500度 東経139.695556度 東経139度41分44.0秒 / 北緯35.657500度 東経139.695556度 |
設立 | 2012年8月28日 (レジュプレス株式会社) |
業種 | 証券、商品先物取引業 |
法人番号 | 1010001148860 |
事業内容 | 暗号資産交換業 |
代表者 | 代表取締役 蓮尾聡 |
資本金 | 385百万円 (2022年9月18日現在) |
発行済株式総数 | 178万1467株 (2020年3月31日現在) |
売上高 | 38億1400万円 (2020年3月期) |
営業利益 | 3億6900万円 (2020年3月期) |
経常利益 | 3億4000万円 (2020年3月期) |
純利益 | 2億8500万円 (2020年3月期) |
純資産 | 28億2700万円 (2020年3月31日現在) |
総資産 | 756億7800万円 (2020年3月31日現在) |
従業員数 | 212名 (2022年3月末現在) |
決算期 | 3月31日 |
会計監査人 | 有限責任あずさ監査法人 |
主要株主 | マネックスグループ 100% |
関係する人物 | 和田晃一良(創業者、元社長) |
外部リンク | https://corporate.coincheck.com/ |
コインチェック株式会社(旧レジュプレス株式会社)(2012年設立)が2014年8月に運営を開始したビットコイン取引所サービス。下記の通り多種類の暗号通貨(仮想通貨の一種)を取り扱っており、売買、信用取引、入出金、送金、決済、(客からみての)貸出などが行える。
2015年12月には、中国や香港、台湾の投資家をサポートするために株式会社世界と提携。ビットコインで不動産投資が行えるようになった。
2016年3月には、エンターテインメント企業DMM.comにビットコイン決済サービスのCoincheck paymentを導入。
2016年9月に株式会社イーネットワークシステムズと業務提携し、日本初となる電気代のビットコイン支払いサービス「Coincheckでんき」をリリース。
一般社団法人日本ブロックチェーン協会 (JBA) に参画しており、仮想通貨における消費税問題対応、利用規制対応、認定自主規制機関を目指す活動を行い、日本におけるビットコイン・ブロックチェーン技術の発展を目指している。
「通貨記号: 通貨名(読み)」全17種類を一覧で示す(コインチェック公式サイトの表示順。2022年1月現在)。
2017年5月9日 午前11:25、coincheckのビットコイン価格表示が突然20万円から90万円に急上昇し、他の暗号通貨も異常価格が表示される障害が発生した。同社は約20分後に取引を停止した。
その後「該当時間に行われた取引を障害発生時間11:25の状態に戻すと発表し実行した(ロールバック)。これにより取引再開時点でのレート前後の金額の注文はキャンセルになり、障害発生前の時点で対象となったロスカットが行われた。
ロールバックとは、データベースを特定の時点に戻した状態(バージョン)を作る操作であり、現用のデータをそれにそっくり置き換えてしまえば、当該時点以後の売買や送金などの取引は存在しなかったと同等になる。これを実行したため、障害発生から約20分間にビットコインを売買したのが無効にされた利用者たちが、「損害」を被ったとしてコインチェックに多数抗議した。
2018年1月26日 00:02:13から08:26:13にかけて、コインチェックが保持している暗号通貨のうちNEM(ネム)(通貨記号はXEM)建ての顧客資産がクラッキングにより取引所から外部に送金され、さらに別口座に移転されてほぼ100%流出してしまう事態が発生した。
11:25、同社はこれをNEM残高激減から認識し、11:58より順次取引を停止して告知し、警視庁と金融庁に報告して原因究明に当たった。また、NEMを推進するNEM財団や国内外のNEM取引所に、流出NEM資産の追跡や売買停止を要請した。しかしその後、NEM財団とコミュニケーションが取れていない一部取引所で交換が行われて100億円規模で漏れ出すことになったことを、NEM財団のマクドナルド副代表も認めている。
NEM(ネム)のシステムは、ハードフォークという非常手段をもっている。しかし、NEM財団は本事件に対し、NEMの欠陥は認めず、流出事件発生前に巻き戻すことはなかった。
ほとんどの暗号通貨の入出金および売買そして資産の日本円出金もできなくなっていると知った顧客の間で大騒ぎとなり、午後から深夜に至るまで東京都渋谷区の本社前は、顧客数十人、報道陣、警察官、見物人でごった返し、「2億返せ」「どうなっているんだ」などと怒鳴る人もいた。
同日23:30、同社が記者会見を開き(全文記録)、5億2,300万XEM、検知時のレート換算で約580億円が不正に流出した事実と、原因を調査中であることを説明し、取引一時停止で迷惑をかけていることを謝罪した。
金融庁は同日、同社から事情聴取を行った。
1月27日23:00、同社は「1月26日に不正送金されたNEMの補償について」を発表した。時期と手続き方法は検討中として、同社の自己資金を原資として、各保持者宛に日本円で「保持NEM数 × 停止期間中加重平均レート 88.549円」をコインチェックウォレットに返金することを示した。保有者数は約26万人、総額は5億2,300万XEM(88.549円を乗じると463億1,112万7,000円)。
1月28日、大塚雄介取締役は記者団に、原資は基本的に現預金で持っていて返金しても債務超過にならない、また、セキュリティー対策を行ったのちに停止している業務を再開する、と述べた。
1月29日、財務省の関東財務局は同社に、(1) 原因究明、(2) 顧客への適切対応、(3) リスク管理強化と責任所在明確化、(4) リスク管理態勢構築と再発防止策策定 および (5) 報告からなる業務改善命令を出した。金融庁は利用者に仮想通貨トラブルへの注意を呼びかけた。
2月2日、金融庁は、顧客の補償に充てる資金が十分にあるのかなど、財務内容を早急に調べる必要があるとして、立ち入り検査に入った。
2月3日、暗号通貨流出事件の被害者らが被害者の会を結成し、訴訟も視野に活動を開始した。
顧客の一人が、同社が出金を停止しているのは契約違反として、暗号通貨の購入費用60万円の返還を求める訴えを東京簡裁に起こしたことが、2月5日分かった。
2月5日以降警視庁は、同社からデータの提供を受けながら、サーバーへの不審なアクセスやネム流出の経緯などの解析を進めた。
2月1日から2日にかけて、第三者が犯人に暗号通貨 Dash(ダッシュ)を用いた資金洗浄をもちかけたような日本語メッセージが2月7日までに発見された。
その後、IPアドレスがばれにくいインターネット空間「ダークウェブ」のサイトを介し、5億円相当以上のNEMが他の暗号通貨に交換される動きが見られた。警視庁はこのうち少額のNEMをライトコイン (LTC) に交換した日本人男性から10日までに事情聴取し、さらに捜査を進行。
2月13日、同社は上記業務改善命令への報告書を提出完了し、日本円については出金を再開した(記者会見全文)。これは預けていた日本円がそのまま日本円で出金できるようになっただけであり、暗号通貨を日本円に変えて出金できるようになったわけではない。
2月26日に、警視庁サイバー犯罪対策課は、本事件を担当している数十人を100人規模に増員した捜査本部を設置。サーバの解析などを通じて、不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)違反容疑で捜査を進める。
2月26日現在、暗号通貨流出事件に関係する被害者団体は3団体となった。1月26日の事件発生以来、ビットコイン (BTC) を除く仮想通貨の売買や仮想通貨全般の送金(入出金)は停止されている。このため、NEMでもBTCでもない暗号通貨で資産を保有する「のべ約百万人」といわれている利用者も、長期間資産が使えない状況に陥り、生活費や前年利益に課される税金の準備に困窮する人が続出した。
3月8日、財務省の関東財務局は同社に対し、二度目の業務改善命令を出した。その内容は次の通り。
これを受けて同社は同日、業務改善命令を受けたことを反省し「改善策を着実に実施することにより、お客様の信頼回復に向け、最善の努力をしてまいります。」とウェブサイトで発表し、合わせて「仮想通貨NEMの不正送金に関するご報告と対応について」を発表した。同日16時から都内で記者会見を行った(全文記録)。
3月20日、NEM財団が流出したNEMの追跡を打ち切ったことを発表した。この発表後、ダークウェブ上に設置された流出NEMの交換サイトでの換金が加速した。
3月22日、ダークウェブ上の交換サイトで流出したNEM(ネム)が完売し、サイトには金正恩とみられる人物が札束に囲まれているコラージュ写真と「Thank you!!!」の文字が表示された。流出したNEMはほぼ全額がビットコイン及びライトコインに交換された。
2017年4月改正の資金決済法第63条の11 第1項と仮想通貨交換業者に関する内閣府令は「仮想通貨交換業の利用者の金銭又は仮想通貨を自己の金銭又は仮想通貨と分別して管理」することを義務付け金融庁が監督しているが、同社はそれ以前に営業を開始している「みなし業者」のため、事件発生時点でその義務はなかった(各顧客ごとにウォレットを分ける義務規定はなく帳簿で管理すればよい模様)。もっとも、同社幹部は、分別管理を行っていたと発言していて、同取引所の「仮想通貨取引説明書」でも以下のように説明している。
「帳簿上のお客様の仮想通貨残高とお客様用ウォレットの仮想通貨残高を仮想通貨毎に、毎営業日照合します。照合した結果、お客様用ウォレットの仮想通貨残高が帳簿上のお客様の仮想通貨残高を下回っていることを確認した場合、当該不足額を5営業日以内に解消します。なお、帳簿上のお客様の仮想通貨残高は、各お客様の持分が直ちに判別できるように管理します。」
分別管理には、業者が顧客資産に手を付けて返金できなくなる事態を防ぐ目的がある。(とはいえ、一般には、分別管理をしていても、仮想通貨交換業者が万一倒産したとき、仮想通貨の相場変動が激しく損害が大きくなりやすいことや、本業界に供託や保険の仕組みがないこと、その返済と従業員の賃金や一般債権との優先権の関係から、顧客に全額戻る可能性も一部しか戻らない可能性もある。)
東京弁護士会の機関紙に、一般論として仮想通貨交換業者が倒産した場合の法的取扱の論点解説がみられる。
コインチェックがNEM(ネム)でなく日本円での返金を選択した理由は、盗難額がNEM総量の6%にもなっており、返金用のNEMを買い付けるだけでおそらく相場が高騰し、結果的にコインチェックの損失が膨らむため、と金融庁が言っているという。しかし、この返金方法を巡って2022年4月27日、東京地方裁判所は顧客らの集団訴訟に対する判決で、「補償は法的性質が明らかではない一方的な給付で、その後の価格上昇で利益を得る機会を奪うものだった」として、日本円での返金を補償と認めず、NEMでの返金を命じた。
NEM顧客資産をプールしていた口座は、常時インターネットに接続されている、いわゆるホットウォレット(反対語はコールドウォレット)で管理されていたため、クラッキングに弱かった。
NEM(ネム)のシステムは、口座からの出金にn人中m人の署名を必要にできる機能「多重署名」(マルチシグ(造語);マルチシグニチャ, Multisig, Multisignature)を提供している(有償)(nは最大32)。口座を適切にマルチシグにして、鍵を複数署名者が各々持つ、あるいは、各鍵を設計の異なるプラットフォームやコールドウォレットに分散保存するような体制にすれば、一つの鍵の漏洩やひとりの犯行では出金できない管理が可能である。しかしコインチェックでは事件当時、顧客NEM資産管理口座にに対しマルチシグを未適用であった。
コールドウォレット化が望ましいのはもちろんであるが、実現方法によって安全性は分かれる。暗号化チップをもつ独立したハンディな記憶媒体「ハードウェアウォレット」は非常に安全と言われるが、流出対象となったNEMは新しい暗号化アルゴリズムを使っているため、ハードウェアウォレットが製品化されたのはわずか一ヶ月前の2017年12月20日頃であった。
この事件を経て、資産がコールドウォレットで保全されているなど、セキュリティ体制の堅固な取引所を選ぶことがユーザ側の対策として喚起されるようになった。
クラッキングがどのように行われたかについては、警視庁によるcoincheckサーバの解析が進められている。
仮想通貨はその性質上、取引が匿名のまま送金先の連鎖もすべて含めて誰でも見ることができるので、本件では流出資金の取引連鎖状況が公開の状況で確認・調査できた。
NEM(ネム)にはたまたま取引条件記録を付随させるための「モザイク」という機能があった。あるNEM財団協力者が、事件発生から間髪を入れず、当該アドレス(ウォレット)にモザイクで印(実際には英文コメント)を付けることで、以後の追跡監視を容易にして脚光を浴びた。モザイクを「汚れたコイン」の識別と取引抑止に使えることは知られていなかったことで、斬新なアイデアであった。
ただ、犯人も少額の分割送金を繰り返して対抗しており、闇で相対(あいたい)取引をして処分する可能性も指摘されている。
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