『エイリアン3』(エイリアンスリー、Alien 3)は、1992年のアメリカ合衆国のSFホラー映画。『エイリアン』シリーズの3作目。デヴィッド・フィンチャーの映画初監督作品。
エイリアン3 | |
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Alien 3 | |
監督 | デヴィッド・フィンチャー |
脚本 | デヴィッド・ガイラー ウォルター・ヒル ラリー・ファーガソン |
原案 | ヴィンセント・ウォード |
原作 | キャラクター創造 ダン・オバノン ロナルド・シャセット |
製作 | ゴードン・キャロル デヴィッド・ガイラー ウォルター・ヒル |
製作総指揮 | エズラ・スワードロウ |
出演者 | シガニー・ウィーバー チャールズ・ダンス ブライアン・グローヴァー ラルフ・ブラウン チャールズ・S・ダットン ダニー・ウェッブ ポール・マッギャン ランス・ヘンリクセン |
音楽 | エリオット・ゴールデンサール |
撮影 | アレックス・トムソン |
編集 | テリー・ローリングス |
製作会社 | ブランディワイン・プロダクションズ |
配給 | 20世紀フォックス映画 |
公開 | 1992年5月22日 1992年8月22日 |
上映時間 | 114分(劇場公開版) 145分(完全版) |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $50,000,000 |
興行収入 | $159,814,498 |
配給収入 | 19億5000万円 |
前作 | エイリアン2 |
次作 | エイリアン4 |
今作ではシガニー・ウィーバーは坊主頭にするなど、強い印象を残した。今作のエイリアンは、犬(完全版では牛)に寄生して生まれたドッグ(バンビ)・エイリアンで、宿主が四足獣のため、四足歩行で素早く移動でき、脚力が強く、天井を逆さまに走ったり壁にへばり付いたりできる。人間側は武器無しの状況で、襲いかかってくるエイリアン1体に対し、逃げることが物語のメインになるという、第1作を彷彿とさせる原点回帰となった。一方でエイリアンが獲物を捕食するなど、これまでと印象が異なる場面も描かれた。
2004年には、ストーリー上の重要な場面を含む未公開シーンを追加した完全版が公開された。
惑星LV-426のエイリアン殲滅作戦後、冷凍睡眠につくリプリーら生存者達を乗せて地球に帰還するはずだった植民地海兵隊の宇宙戦艦スラコ号に謎の事故が発生。スラコ号から自動的に切り離された脱出艇は、流刑惑星フィオリーナ161(通称「フューリー」)へと不時着したが、共に生還したはずのヒックスやニュートが着陸時に死亡した上に、ビショップも機能を停止しており、一人生き残ったリプリーは悲しみに暮れる。
フューリーでは、凶悪な数十名の男性囚人が戒律(宗教的規律)に従い心静かに自活的な生活をおくり、放射性廃棄物を格納する鉛のコンテナの製造作業に従事していた。そこに、女性であるリプリーが現れたことで惑星の秩序は一時危機を迎えるも、囚人達のリーダーであるディロンがその状況を抑える。
そんな中、脱出艇に潜んでいたフェイスハガーによってエイリアンが生まれ、活動を始めた。スラコ号の事故の真相は、脱出ポッド内にエイリアン・クイーンが卵を生み落していたことに気付かないままリプリー達が冷凍睡眠に入ってしまい、その間に生まれたフェイスハガーによってポッドが故障したというものだった。
凶悪で強靭なことにかけては人並み外れた囚人たちも、さすがに武器無しの状況では対抗できず、為す術無くエイリアンの餌食になっていく。リプリーは因縁に決着をつけるため、囚人達と団結してエイリアンを倒そうと立ち上がる。
役名 | 俳優 | 日本語吹替 | |||
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VHS・DVD版 | 完全版DVD・BD版 | フジテレビ版 | テレビ朝日版 | ||
リプリー | シガニー・ウィーバー | 幸田直子 | 吉田理保子 | 戸田恵子 | |
ディロン | チャールズ・S・ダットン | 内海賢二 | 手塚秀彰 | 内海賢二 | 石田太郎 |
クレメンス | チャールズ・ダンス | 小川真司 | 大塚明夫 | 羽佐間道夫 | 菅生隆之 |
ビショップ マイケル・ビショップ | ランス・ヘンリクセン | 麦人 | 古川登志夫 | 有本欽隆 | 金尾哲夫 |
アーロン | ラルフ・ブラウン | 金尾哲夫 | 佐久田修 | 石丸博也 | 牛山茂 |
アンドリュース | ブライアン・グローヴァー | 富田耕生 | 佐々木梅治 | 富田耕生 | 村松康雄 |
モース | ダニー・ウェッブ | 池田勝 | 伊藤昌一 | 玄田哲章 | 水野龍司 |
ゴリック | ポール・マッギャン | 田原アルノ | 鈴木千尋 | 小野健一 | 田中亮一 |
グレゴール | ピーター・ギネス | 辻親八 | 坂東尚樹 | 幹本雄之 | 掛川裕彦 |
ケヴィン | フィル・デイビス | 星野充昭 | 三宅健太 | 土方優人 | 入江崇史 |
デヴィッド | ピート・ポスルスウェイト | 堀之紀 | 水野龍司 | 小島敏彦 | 麦人 |
ジュード | ヴィンチェンゾ・ニコリ | 笹岡繁蔵 | 小室正幸 | 村山明 | 石井隆夫 |
ボッグス | レオン・ハーバート | 斉藤次郎 | 堀之紀 | 大友龍三郎 | |
レインズ | クリストファー・ジョン・フィールズ | 小形満 | 佐々木健 | 若本規夫 | 安井邦彦 |
フランク | カール・チェイス | 宇垣秀成 | 村治学 | 辻親八 | 松本大 |
マーフィー | クリストファー・フェアバンク | 津田英三 | 斉藤次郎 | 村山明 | 天田益男 |
エリック | ナイオール・バギー | 若本規夫 | 柳沢栄治 | ||
スラコ号のアナウンス | 山口眞弓 | 吉田理保子 | 幸田夏穂 | ||
会社の男 | 星野充昭 | 三宅健太 | 伊藤栄次 | ||
日本語版制作スタッフ | |||||
演出 | 藤山房伸 | 清水良旺 | 春日正伸 | 福永莞爾 | |
翻訳 | 宮川桜子 | 石原千麻 宮川桜子 | 入江敦子 | たかしまちせこ | |
効果 | 栗林秀年 | 南部満治 | |||
調整 | 山田太平 | 長井利親 | |||
プロデューサー | 山形淳二 | 圓井一夫 | |||
制作 | ACクリエイト | ムービーテレビジョン | ニュージャパンフィルム | ||
初回放送 | 1996年4月20日 『ゴールデン洋画劇場』 20:59-23:14 本編ノーカット | 1998年3月29日 『日曜洋画劇場』 21:02-22:54 (約97分) |
※20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンより2019年4月26日発売の吹替の帝王シリーズ第16弾「エイリアン3 日本語吹替完全版 2枚組コレクターズ・ブルーレイボックス」に同梱の吹替の帝王版ディスク(劇場公開版本編)に上記のVHS・DVD版とフジテレビ版、テレビ朝日版の3種類の吹替版が収録された。同商品に特典としてフジテレビ版吹替台本とフジテレビ版のリプリー役である吉田理保子のインタビュー集が付属している。
当時として史上最高額の制作費が投じられたが、企画段階からトラブルが絶えず、映画の内容も評論家達からも酷評された。批判の矢面に立たされたフィンチャーは自身の意図に反する編集が行われた事に失望し、「新たに映画を撮るくらいなら、大腸癌で死んだ方がマシだ」と述べ、メイキング映像にも出演せず、後に成功を収めることとなる『セブン』に着手するまでの1年半にわたって脚本すら読まなかったという。
当初のプロジェクトでは、本作に原案としてクレジットされているヴィンセント・ウォードが監督を務める予定であった。エイリアンの軍事利用をもくろむ企業ウェイランド・ユタニ社は前作『エイリアン2』でも名前のみ登場しているが(完全版のみ)、今回は日系企業である事が強調され、フューリーの施設外壁に「ウェイランド湯谷」、各設備に「鉄」「危険」「超高温注意」などと日本語で書かれていたり(日本語で書かれた掲示物も垣間見える)、スラコ号の脱出艇の機体番号が漢数字になっていたりする演出が見られる。
終盤のリプリーの投身シーンは、公開版では彼女の胸からクイーンのチェストバスターが飛び出す描写があったが、2004年の完全版では『エイリアン4』でリプリーとエイリアンの遺伝子が融合するという設定への考慮から、チェストバスターは出てこない。完全版ではチェストバスターのシーンはメイキングで見ることが出来、このシーンは追加撮影で急遽加えられた物であった事などが語られている(当時ウィーバーは既に次作のために髪を伸ばしていたため、特殊メイクで処理された)。
登場人物が皆頭髪を剃っているのは宇宙シラミ対策という設定で、フューリーに漂着して気絶したリプリーに大量のシラミが群がるシーンも撮影された。シラミの代わりに飼育したコオロギの幼生が使用されたが、何の事前説明もなく突然振りかけられた為にウィーバーの不興を買い、編集でカットされた(完全版で復活)。
撮影に入ってからも、エイリアンが牛に寄生する設定で撮影もされていたが、公開版では犬への寄生に変更されるなど、急な修正・変更が相次いだ。完全版では再び牛に寄生する設定が採用されている。
本作で死亡したニュートは、前作で演じたキャリー・ヘンが俳優の道を選ばなかったことと、既に成長して容姿が変わってしまったこともあり、背格好の似た別の子役を起用している(そのためか、顔がはっきりと映るシーンは無い)。
1988年の脚本家組合のスト、会社上層部からの要請などもあって、製作開始後も脚本が何度も書き換えられた。
最初の脚本はウィリアム・ギブスンによるもので、舞台は人類が入植したコロニー型の宇宙ステーションであり、ヒックスとビショップが主人公で、ニュートはコロニーでエイリアン騒ぎが起きる前に地球へ帰還し、リプリーは昏睡状態のまま目覚めないが、「4人全員が生還する」というシナリオだった。
このシナリオ内では、エイリアンを軍事利用しようとした研究者の細工によって、人間がエイリアン化するウイルスがコロニー内に蔓延し、生存者たちはそのウイルスとエイリアンの二重の脅威に晒されることになる、という筋書きであった。しかし、当初監督に内定していたレニー・ハーリンは、「『2』の焼き直しにすぎない」と判断し、採用しなかった。本稿からは、囚人達の頭のバーコード状の刺青の設定が採用されている(ただし頭にあるのではなく、敵対勢力であるUPP=革新人民連合の女兵士が腕にバーコードの刺青を入れている、という描写である)。ギブスン版の脚本は後に書籍化され、邦訳が竹書房から2022年に刊行された。
2番目の脚本はエリック・レッドによるもので、リプリーを含め生存者はおろか死体すらないスラコ号が、ウェイランド・ユタニ社が経営する農業コロニーに到着するというものだった。エイリアンと戦うのはサム・スミスというコロニーで暮らす農夫の青年であり、後にサイボーグとなった彼は様々な家畜(牛、鶏、豚など)から生まれたエイリアンと白昼、西部劇よろしく戦うというシナリオだった。
しかし、最終的に「リプリーの出ないエイリアンはあり得ない」という当時の20世紀フォックス会長ジョー・ロスの鶴の一声に加え、ウィーバー自身も支持しなかったことから、採用されなかった。本稿からは、人間以外から誕生する逆関節・四足歩行エイリアンが採用されている(実際の脚本では、主人公は最初にスラコ号に乗船する兵士であり農夫ではない。実家が農家というだけである)。
3番目の脚本はヴィンセント・ウォードが草稿を書き、それをジョン・ファサノが脚本としてまとめるという形で執筆された。ただし、実際にはその前にデヴィッド・トゥーヒーによって3番目の脚本が書かれている。刑務所衛星を舞台に企業が培養したエイリアンが暴走するというストーリーで、主人公は収容されている囚人だった。
極めて宗教色の強いストーリーであり、地球は既に滅亡しており、聖書の教えに従って生きているごく一部の人間が木製のコロニーで中世さながらの生活をしていて、そこにエイリアンに汚染されたスラコ号の脱出艇とリプリーだけが到着するという内容だった。羊から生まれた「シープ・エイリアン」を筆頭に、サメ型の「シャーク・エイリアン」、麦や木目調に擬態するエイリアン、リプリーを魔女と呼んで殺そうとする人物から生まれる「ヘッド・バスター」なる新種が出てくるというものであった。
しかし、ウォードがスタッフの人選にまで口出しするようになったため、20世紀フォックスは彼を解雇すると共に、脚本を採用しなかった。本稿からは、聖書に従って生活する囚人達やリプリーのスキンヘッド、溶鉱炉でエイリアンを倒すことなどが採用された。また、原案としてウォードの名前がクレジットされている。
その後もグレッグ・プレス、ラリー・ファーガソンなど脚本家は二転三転し、最終的にプロデューサーのデヴィッド・ガイラーとウォルター・ヒルがそれらをまとめて執筆した脚本が完成稿となった(クレジット上はガイラー、ヒル、ファーガソンの3人)。以上のシナリオの変遷については『映画秘宝』に掲載された[いつ?]映画評論家の品川四郎の文章による。
製作補も務めた主演のシガニー・ウィーバーは、当初3作目には出演しない意向だったが、(自身が銃規制賛成派であることから)ガンアクションを行わないこと、自由に意見を発言して良いことを条件で出演を了承したという。しかし、現場ではフィンチャーとのトラブルが絶えず、「監督こそエイリアンよ!」と激怒するほどだったという[要出典]。
ワイランド・ユターニ・コーポレーションのC3グレード副指揮官リプリーとなり、監獄惑星フュアリ161でエイリアンと対決する。まず、エイリアンのまゆの中に閉じ込められている囚人たちを助けだすなどの任務を果たし、最後に女王エイリアンを倒すストーリー。タイトルは「エイリアン3」だが、多数のエイリアンと女王エイリアンが登場するほか、アイテムとしてパルスライフルなども登場するので映画の2と3を合わせたようなイメージの世界となっている。
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