藤倉 善郎(ふじくら よしろう、1974年 - )は日本のフリーライター、ジャーナリスト。宗教団体やスピリチュアル産業、疑似科学、反ワクチン、悪質な自己啓発セミナーを含むカルト的な集団を取材対象とする。特に幸福の科学をめぐるトラブルや、大学生を勧誘する各カルト集団に注目して記事を執筆する。東京生まれ、北海道大学文学部中退。在学中から、北海道大学新聞会でカルト団体や自己啓発セミナー会社の問題などを取材。
ふじくら よしろう 藤倉 善郎 | |
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生誕 | 1974年(49 - 50歳) 東京都 |
国籍 | 日本 |
出身校 | 北海道大学文学部中退 |
職業 | フリーライター ジャーナリスト |
公式サイト |
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URL | https://dailycult.blogspot.com |
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言語 | 日本語 |
設立者 | 藤倉善郎 |
開始 | 2009年 |
現在の状態 | 運営中 |
著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』、共著に『徹底検証 日本の右傾化』『だから知ってほしい「宗教2世」問題』『カルト・オカルト 忍びよるトンデモの正体』『2ちゃん化する世界 匿名掲示板文化と社会運動』など。
2009年にカルト問題専門のニュースサイト「やや日刊カルト新聞(Almost Daily Cult News)」を創刊し、総裁に就任(主筆:鈴木エイト)。2022年7月の安倍晋三銃撃事件まで、大手メディアによる統一教会問題の報道は限定的で、問題を追い続けていた数少ないメディアとして、事件後にはその取材成果が各メディアで引用された。
1974年、東京都生まれ。1992年、北海道大学文学部入学と同時に新聞サークル「北海道大学新聞会」に入会。在学中に休学して2年間ほどストリートミュージシャンを経験。1997年ごろ、所属していた別のサークルでカルトっぽい自己啓発セミナーが流行り、セミナー反対派がセミナー受講生を排除したことをきっかけに、カルトと社会の関係に興味を抱く。北海道大学新聞の紙面でこの問題を取り上げ、2年間連載。紙面より少し遅れて、1998年より他大学の院生と共同でWEBサイト「自己啓発セミナーと精神世界」を運営し、同時進行で配信した。大学生活はサークル活動が中心だった。2000年春、留年と休学を重ねた後に、大学を中退して東京に戻る。大学中退後、「自己啓発セミナーと精神世界」を前身としたWEBサイト「自己啓発セミナー対策ガイド」を運営。
マスコミ系の企業を経て、2004年からフリーライターとして活動。2016年頃まで夕刊紙「日刊ゲンダイ」でレジャー情報などの記事を書き、ジャーナリストとしての経験を積んだ。社員ではなかったが、社内に専用の机とパソコンがあり、編集会議にも参加していた。記者活動の傍ら、カルト問題、チベット問題、チェルノブイリ・福島第一両原発事故などの現場を取材し、週刊誌などに記事が掲載された。
2009年の幸福実現党結党から幸福の科学を取材し続けており、宗教研究者からは「幸福の科学についての専門家」とも評されている。他に取材した団体には、統一教会、オウム真理教(ひかりの輪、アーレフ)、神世界、創価学会、ホームオブハート、ヨハン早稲田キリスト教会などがある。2012年、さまざまな団体を取材し、その体験談やカルト団体との闘い方を書いた初の著書『「カルト宗教」取材したらこうだった』を刊行した。カルト問題について講演等を行う。
カルト問題について書ける媒体がほとんどなかったため、ライター活動と並行して、自身でメディアを立ち上げた。
2007年頃、宗教関連のネタを取り入れた前身ブログを始めた。
2009年10月1日、ニュースサイト「やや日刊カルト新聞(Almost Daily Cult News)」を創刊・運営し、主筆として活動。同年の創刊直後に鈴木エイトが参加し、2012年に副代表に就任した。2015年1月、鈴木に主筆を交代し、藤倉は総裁に就任した。
「やや日刊カルト新聞」では、幸福の科学問題は藤倉が、統一教会問題は主に鈴木が担当し、これらの問題についてリアルタイムに現場取材を続けている数少ないジャーナリストだった。
2021年9月12日に、統一教会の関連組織「天宙平和連合(UPF)」の集会に安倍元首相がビデオメッセージを寄せたことを報じたのは、「やや日刊カルト新聞」と鈴木が記事を寄稿した『実話BUNKA超タブー』以外では、『週刊ポスト』『FRIDAY』『赤旗』のみだった。カルト問題を扱うと教団側から攻撃を受け、SLAPP(恫喝訴訟)を起こされることが多いため、他のメディアは宗教問題を報じなくなっていた。鈴木や藤倉は「やや日刊カルト新聞」や「ハーバー・ビジネス・オンライン」で、孤軍奮闘しながらカルト問題の調査報道を続け、メディアの「空白地帯」を埋めていた。教団関連のイベントに直接赴き、政治家に質問をし、教団スタッフから嫌われ、取材を拒否され、警察に通報されるなどの経験をした。2011年には、教団広報局から、鈴木と藤倉が「要注意人物」として指名され、顔写真入りの手配書が全国の教団系施設に貼り出された。
2022年7月、安倍晋三元首相が殺害され、これを受けて政治家と旧統一教会との関係が注目された。鈴木と藤倉は、他メディアと協力して事件を調査したいと思い、旧統一教会と関係のある政治家のリストを作成し、教団の内部文書や証言をオープンソース的に公開した。他のメディアの記者たちは、このリストを使って各議員への取材を始めた。2022年9月7日、旧統一教会に関する国会内の野党ヒアリングに、鈴木と藤倉が招かれ、藤倉は「偽装勧誘の実態」を紹介し、「宗教2世の救済」や「現役信者への人権侵害問題への対策」を訴えた。事件から約半年後、銃撃事件の被告は、「やや日刊カルト新聞」の読者であり、鈴木にツイッター上でメッセージを送っていたことが分かった。
「やや日刊カルト新聞」は、宗教団体やスピリチュアル団体に関する社会的問題について、独自取材に基づく報道を行う。初期は硬い調子でカルト問題を論じていたが、真面目なだけでは被害者やその周辺の人しか読みに来ないため、カルト問題の予防のためには幅広い人々に読んでもらいたいと思い、皮肉や風刺、面白おかしい調子を取り入れるようになった。藤倉は、取材したカルト団体では信者の人権が軽視されていることが多いと指摘し、「カルト」とは「団体内でメンバーの人権を侵害したり、社会に害を及ぼしたりする集団」であり、教義のトンデモ度は関係ないとしている。強いクレームは全文をサイトに掲載し、やり取りを公開することで、カルト団体側の圧力を阻止している。「やや日刊カルト新聞」はGoogleニュースにも掲載されており、一部の記事がGoogleニュースから配信されている。
主な活動原資は広告収入と寄付である。2010-2012年、カルト問題に取り組む人物や団体の社会的な貢献を讃える「やや日刊カルト新聞社賞」を主催し、1年間の広告収入全額を贈呈していた。第1回目の賞は、オウム真理教(現・アレフ、ひかりの輪など)信者家族による団体「オウム真理教家族の会」に授与された。「やや日刊カルト新聞」の目標はサイトを続けることで、本業に支障のない範囲で参加してもらい、自分が死んでも他の人に引き継いでもらいたいと考えている。サイト運営や取材・執筆は無報酬でも構わないが、取材費まで持ち出すのは負担が大きいため、広告収入やカンパで経費を賄えるようにしたいと語っている。
基本的には印刷媒体ではないが、藤倉の意向で紙媒体とネットという2本柱を続けている。コミックマーケットに出店する際には、新聞紙面の体裁に編集したものを「号外」として販売する。また、2013年春には「やや日刊カルト新聞 2013年新入生歓迎特別版」(A3両面またはA4両面)を印刷し、首都圏10大学付近の街頭などで4,000部以上配布した。
大学時代、自己啓発セミナー団体「ライフスペース」が、藤倉のWEBサイトの記事について情報削除を求めて抗議してきた。団体は、「グル(高橋弘二)のメッセージ」として掲示板に抗議文を書き込んだり、自身のWEBサイトに北海道大学新聞会を非難する声明を掲載したり、1999年1月には大学の学長の自宅に謝罪広告掲載を求める内容証明を送るなどした(大学は抗議を無視、ライフスペースは同年11月にミイラ事件で有名になった)。
2012年、『週刊新潮』2012年11月22日号で執筆したルポに、幸福の科学が運営する「幸福の科学学園」(栃木県那須郡那須町)の教育基本法で禁じられている宗教教育や政治教育、生徒への懲罰の実態や違法性をリポートした。この記事は「文科省も県もお手上げ!子供に嘘を刷り込むデタラメ授業!『坂本龍馬の前世は劉備』と教える幸福の科学学園の罪」というタイトルで、幸福の科学学園について「歴史などの通常の授業で教員が霊言に基づいた内容を教えている」「幸福実現党を支持する政治教育を行っている」「寮生活のルールを破るなどした生徒に対して『独房懲罰(部屋に鍵はかからない)』を行っている」ことなどを指摘していた。
この記事について、教団側は藤倉と新潮社に対して名誉毀損で1億円の損害賠償を求めて提訴したが、記事の真実性が認められ、下記のように全て藤倉側が勝訴した。
2014年12月12日、一審・東京地裁の判決は、幸福の科学学園側の請求を全面的に棄却し、新潮社と藤倉が勝訴した。12月24日、幸福の科学側は控訴した。
2015年3月26日、二審・東京高裁は、控訴棄却の判決を言い渡し、新潮社と藤倉は勝訴した。幸福の科学側は上告したが、2016年に最高裁は、上告を棄却し藤倉側の勝訴判決が確定した。
2018年1月17日、藤倉が正当な理由もなく教団施設「初転法輪記念館」に立ち入り、内部を撮影したとして、幸福の科学は建造物侵入で被害届を提出し、その後、刑事起訴された。2012年、藤倉が『週刊新潮』で幸福の科学学園を批判的に報道したことから、幸福の科学は「やや日刊カルト新聞」のメディア単位で、「教団施設やイベントへの立入禁止」を通告していた。しかし、この施設は一般公開施設であり、幸福の科学のウェブサイトには「神社仏閣と同じように、どなたでもご利用いただける宗教施設」と説明され、誰でも自由に入ることができる状態だった。藤倉の弁護団には、宗教やカルトの問題に取り組む紀藤正樹弁護士や山口貴士弁護士などが参加している。裁判には、宗教社会学者の塚田穂高が証人として出廷した。
2021年3月15日、一審・東京地裁(三浦隆昭・裁判長)は、「報道のための取材の自由は十分尊重に値する」「過去の批判的記事を理由に、一律に排除しようとする幸福の科学の意思決定のあり方の当否については議論もある」とした一方で、「内部の写真を撮る必要性は明らかでない」「政治活動そのものを取材するような事案とは異なる」「建物の管理権を不当に侵害するものと言わざるを得ない」などとして罰金10万円、執行猶予2年の判決を言い渡した。藤倉は、判決について「潜入などのイレギュラーな形ではなく、一般公開の施設に入って様子を見るのは基本的な取材手法」「批判的な記事を理由に立入禁止とし、建造物侵入罪を濫用してメディアを抑えようとする人たちには、好都合な状況になってしまう」「取材・報道の自由を萎縮させかねない」として控訴した。
2023年6月28日、二審・東京高裁は、控訴を棄却した。7月11日、藤倉は最高裁に上告した。
ほか
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