2023年のハマスによるイスラエル攻撃

2023年のハマスによるイスラエル攻撃(2023ねんのハマスによるイスラエルこうげき、アラビア語: حمله حماس به اسرائیل‎、ヘブライ語: 2023 מתקפה בראשות חמאס על ישראל‎)は、ガザ地区のテロ組織であるハマス、パレスチナ・イスラム聖戦、PFLP、DFLPの民兵組織が、2023年10月7日に隣接するイスラエル領土のガザ地区への一連の連携した武力侵攻を開始した出来事。ハマスとその他の武力勢力はこの作戦をアル・アクサ洪水作戦(または大洪水、アラビア語: عملية طوفان)الأقصى、ローマ字表記:  ʿamaliyyat ṭōfān al-ʾAqṣā )、と名付けた。一方、イスラエルでは黒い土曜日(ヘブライ語: השבת השחורה) またはシムチャット・トーラー虐殺( הטבח בשמח ת תורה )、と名付けた。そして国際的には10月7日の攻撃と呼ばれている。

2023年ハマスによるイスラエル攻撃
2023年のハマスによるイスラエル攻撃
場所 イスラエルの旗 イスラエル南部地区
日付 2023年10月7日
原因 イスラエルパレスチナの対立
攻撃手段 ロケット弾での攻撃
攻撃側人数 2900人
武器 ロケット弾
死亡者 1,139人
負傷者 3,400人
行方不明者 5人
被害者 4791人
物的被害 不明
損害 4791人死亡、負傷、行方不明、拉致
犯人 ハマース
容疑 殺人破壊
対処 ガザ地区への攻撃
謝罪 なし
補償 なし
賠償 なし
影響 ガザ地区への攻撃に発展
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ハマスとパレスチナ過激派組織による攻撃は10月7日の早朝、イスラエルに対して少なくとも3,000発のロケット弾が発射され、車両輸送や動力付きパラグライダーによるイスラエル領土への侵入で始まった。 ハマスとパレスチナ過激派の戦闘員がガザとイスラエルの障壁を突破し、イスラエルの民間人が住む街と軍事基地、 さらにはレイム英語版近郊で開催されていた音楽祭を攻撃し、 イスラエルの民間人695 名(うち子供36人を含む)と外国人71名、治安部隊373の計1,139 名が死亡した。また、ハマスとパレスチナの過激派組織はイスラエルにパレスチナ捕虜の釈放を強制するという目的を掲げて子供30人を含む約250人のイスラエル民間人と兵士が人質としてガザ地区に連行された。

ハマスは、今回の攻撃はイスラエルによるパレスチナ領土の継続的な占領、ガザ地区の封鎖、イスラエルの不法入植地の拡大、イスラエル入植者の暴力の増大、そして最近の激化への対応であると述べた。

10月7日の攻撃は世界的に衝撃を与えた。その結果として少なくとも44カ国がこの攻撃をテロリズムとして非難したが、一部のアラブ諸国とイスラム諸国はイスラエルによるパレスチナ領土占領が攻撃の根本原因であると非難した。イスラエル国内と一部の国ではこの日はイスラエル史上最も血なまぐさい日であり、ホロコースト以来ユダヤ人にとって最も死者の多い日とされた。

背景

現在のイスラエル1967年第三次中東戦争以来、ガザ地区を含むパレスチナ領土を占領している状態にある。 多くの学者によれば、ハマスの目的は1967年の国境内にパレスチナ国家を樹立することであるとされている。 一方、ハマスがイスラエル国家の破壊を繰り返し要求していると言う人もいる。 2017年にハマスは反ユダヤ主義的な文言を削除し、ハマスの闘争はユダヤ人ではなくシオニストとの闘いであるとする新たな憲章を採択した。 10月7日の攻撃前に中東の大国サウジアラビアイスラエルに対しガザ地区占領継続によるハマスやその他の過激派組織の「爆発」を警告し 、エジプトは政治的進展がなければ大惨事になると警告していたとパレスチナ自治政府当局者が証言している。

イスラエルへの攻撃の動機

10月7日の攻撃前の2023年を通じて、イスラエル軍は247人のパレスチナ人を殺害し、パレスチナ人は39人のイスラエル人を殺害した。 イスラエル人入植者の攻撃の増加により数百人のパレスチナ人が避難し、エルサレムの聖地として争われているアル=アクサー・モスク(銀のドーム)周辺で衝突が起きた(アル・アクサ衝突(2023年)英語版)。

イスラエルとハマスの緊張は2023年9月に高まり、アメリカの有力紙ワシントン・ポスト両者が「戦争の瀬戸際にある」と報じた。9月13日、5人のパレスチナ人が国境で殺害された。 イスラエル政府は積荷の中に爆発物が隠されているのを発見し、ガザからの輸出をすべて停止したと発表した。ハマスはこれを否定した。ロイター通信は、数日間の禁止措置が数千世帯に影響を与えたとパレスチナ人の発言を引用した。この禁止令に対抗して、ハマスは軍隊に厳戒態勢を敷き、イスラエル入植地への襲撃訓練を公然と行うなど、他のグループと軍事演習を実施した。 ハマスはまた、パレスチナ人がイスラエルとガザの障壁で抗議活動を再開することを許可した。

9月29日にカタール国際連合エジプトはガザ地区のイスラエルとハマスの当局者の間で、閉鎖された通過点を再開し緊張を緩和するための合意を調停した。イスラエルで労働許可を得ているガザ人の総数は17,000人であった。

エジプト政府はハマスによる攻撃の数日前にイスラエル政府に対し「状況の爆発がすぐに起こり、それは大きくなるだろう」と警告したと発表した。 イスラエル政府はそのような警告は無かったと否定したが、アメリカ合衆国下院外交委員会マイケル・マッコール委員長は、 エジプトの警告は攻撃の3日前に出されたと述べた。

ハマスの攻撃への準備

ガザ地区のベドウィン一族は1981年に国境を接しているエジプトガザ地区の国境に密輸トンネルを建設した。2001年にハマスは、当初は密輸を目的として、後には複数の機能を果たす広大な地下ネットワークを開始しました。トンネルは戦闘を地下に移すことを目的としていました。2014年、ハマスはトンネル建設に900人を雇用し、1人あたり3か月かかり、平均10万ドルの費用がかかった。資金はガザのモスクを通じた商業計画から来ており、イラン北朝鮮からの寄付もあったとされている。

一般的に「ガザの地下トンネル英語版」 として知られるガザのトンネル網は、ハマスの保管庫、構成員の移動、司令官による指揮の役割を果たしている。ハマスは、イスラエルの諜報機関であるイスラエル総保安庁(シンベト)の目を逃れながら、2年間にわたりトンネル内の有線電話回線を秘密通信に使用していた。これによりイスラエルへの奇襲攻撃が成功し、作戦直前に具体的な計画が明らかになり、諜報機関の不意を突かれた形となった[要出典]

攻撃に先立つ数カ月間、ハマスは武装勢力がイスラエル攻撃の準備をしている動画を公開した。2022年12月に公開された動画では、ハマスが人質を取る訓練をしている様子が映され、別のビデオではハマスの武装兵士がパラグライダーの練習をしている様子が映されていた。9月12日にハマスは戦闘員が国境を突破する訓練をしている動画を投稿した[要出典]。攻撃後、イスラエル国防軍は、ハマスが国境近くの軍事基地と居住地を広範囲に調査したと述べた[要出典]

アメリカの有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、攻撃の背後にはイランがいると非難した[要出典]。アメリカ当局とイラン政府は否定した[要出典]

イスラエル国防軍は、ガザ地区侵攻後に1万丁以上の武器を押収したと報告している。地下トンネルの兵器庫には、RPG地雷スナイパーライフルドローン燃料気化爆弾、その他の最新兵器が含まれていました。 イスラエルの情報筋によると、ハマスから押収した文書と地図は、ハマスがイスラエル近海からアシュケロンを攻撃し、イスラエル内地32マイルにある都市キルヤット・ガットに到達することを含む、イスラエルの都市キブツを侵略し占領するための1か月にわたる組織的な作戦を意図していたことを示していると発言した。 イスラエル政府によると、ハマスの武器、物資、計画の規模から、ハマスが長期間にわたってイスラエルの民間人とイスラエル国防軍に大量の死傷者を与える意図があることが示されたと発表した。また、イスラエルの治安当局者は、最初の攻撃がもっと成功していればハマスがヨルダン川西岸まで侵攻するつもりだったことを示唆する証拠を集めたと述べた[要出典]

イスラエルによる事前情報

アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズによると、イスラエル当局は攻撃の1年以上前に詳細な攻撃計画を入手していたという。この文書には、イスラエル軍の規模と位置を含む作戦計画と目標が記載されており、ハマスがこれらの詳細をどのようにして知ったかについてイスラエル国内で疑問が生じた。この文書には、侵攻前の大規模なロケット攻撃、イスラエルが国境沿いに配備した監視カメラや自動銃を無人機で破壊すること、パラグライダーを含む武装集団によるイスラエル侵攻などの計画が記載されていたと報じた。 イギリスの有力紙タイムズは「ハマスは驚くべき正確さで青写真に従った」と報じた。タイムズ紙によると、この文書はイスラエル軍と諜報指導部の間で広く回覧され、政治指導部に知らされていたかどうかは不明だが、指導部はこの計画をハマスの能力を超えているとしておおむね却下したという[要出典]

イスラエルの新聞紙ハアレツによると、イスラエル国内諜報機関イスラエル総保安庁(シンベト)とイスラエル国防軍司令部らは、ハマスによる攻撃の数時間前にキブツ・レム近くのノヴァ音楽祭に対する脅威の可能性について話し合ったが、祭典の主催者には警告はなかったという[要出典]

国連機関の関与疑惑

2024年1月26日、国際連合パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が、この攻撃に複数の職員が関与した疑いがあるとして、調査を開始した。

攻撃

2023年10月7日(土曜日)、イスラエル夏時間(UTC+3)午前6時30分頃、ハマスはアル・アクサ洪水作戦と呼ばれる作戦の開始を発表した。ハマスの軍事部門イッズッディーン・アル=カッサーム旅団の司令官ムハンマド・デイフは音声メッセージを公開し、その中で、この作戦は「地球上の最後の占領を終わらせるため」であると宣言した。デイフ司令官は今回の攻撃はイスラエルによる16年間にわたるガザ地区封鎖、 ヨルダン川西岸地区の諸都市へのイスラエル侵攻、アルアクサ・モスクでの暴力、イスラエル入植者の暴力への反応であると述べた。その直後、ハマスの最高指導者イスマーイール・ハニーヤもテレビ演説で同様の発表をした[要出典]

ロケット弾攻撃

2023年のハマスによるイスラエル攻撃 
ハマスによるイスラエル攻撃中に、イスラエル南部の病院であるバルジライ医療センターの産科病棟にハマスのロケット弾が命中し被害を受けた様子

ムハンマド・デイフ司令官は、作戦開始時の20分間にガザ地区からイスラエルに向けて5000発以上のロケット弾が発射されたと述べた。 イスラエル情報筋は、ガザ地区から3,000発の飛翔体が発射され、5人が死亡したと発表した。ガザ地区周辺地域のゲデラ、ヘルツェリヤテルアビブアシュケロンを含むシャロン平野でハマスによるロケット弾攻撃の爆発が確認された。また、ベエルシェバエルサレムレホヴォトリション・レツィヨンパルマヒム空軍基地では空襲警報が発令された。

ハマスとパレスチナ武装勢力はガザ地区沖でもイスラエルのボートに発砲し、ガザ境界フェンスの東側部分ではパレスチナ人とイスラエル国防軍の間で衝突が起きた。 同日夕方にはハマスがイスラエルに向けてさらに約150発のロケット弾を発射し、ヤブネ、ギヴァタイム、バト・ヤム、ベイト・ダガン、テルアビブリション・レジオンで爆発が確認された。

イスラエル南部への侵攻

2023年のハマスによるイスラエル攻撃 
10月7~8日のおおよその状況
スデロットでハマスとパレスチナ過激派がイスラエル人を殺害する映像(画像を押すと動画が見れる)
ハマスとパレスチナ過激派がメファルシムでイスラエル人を殺害する動画(画像を押すと動画が見れる)
2023年のハマスによるイスラエル攻撃 
ベエリの民家についた血痕

約2,900人のハマスとパレスチナ過激派の構成員が、同時的にトラックピックアップトラックオートバイブルドーザースピードボート、電動パラグライダーを使ってガザ地区からイスラエルに侵入した。 画像やビデオには、黒い軍服を着て重武装し覆面をした過激派がピックアップトラックに乗り、 スデロットで発砲し、数十人のイスラエル民間人や兵士を殺害し、住宅を放火する様子が映し出されている。 また、公開された他のビデオには、捕虜となったイスラエル人、燃え盛るイスラエルの戦車、また、イスラエル軍車両を運転する過激派の構成員が映っている動画なども投稿された。また、一部の報道によると、イスラエルの初期対応部隊は射殺したハマスの武装構成員の遺体から文書を回収し、小学校や青少年センターを含む民間人を攻撃して「できるだけ多くの人を殺害」し、将来の交渉に使用するために人質をとるという指示が記されていたと報じた。また、一部のハマスとパレスチナ過激派のメンバーはおそらくプロパガンダ目的で、ボディカメラを装着して行為を記録した者もいた。 また、イスラエル政府の発表によると、一部の過激派は攻撃中にキャプタゴンを使用したという。キャプタゴンはシリアで製造され、中東全域で使用されている覚醒剤として知られている。

攻撃当日の朝、イスラエル国防軍報道官は、ガザ地区の武装勢力が少なくとも7か所を通ってイスラエルに入り、 イスラエルの4つの小さな田舎コミュニティ、国境都市スデロット、2つの軍事基地を陸と海の両方から侵攻したと述べた。 イスラエルのメディアは、ナハル・オズ英語版クファール・アザ 英語版マゲン英語版べエリ英語版スーファ英語版を含む7つのコミュニティがハマスの占領下に入ったと報じた。 また、エレズ交差点はハマスの管理下に入り、過激派がガザからイスラエルに入国できるようになったと報告された。 イスラエル警察英語版長官コビ・シャブタイ英語版は、イスラエル南部地区で21の活発な衝突が起きている場所があると述べた。

ハマスの軍事部門イッズッディーン・アル=カッサーム旅団の武装構成員はジキムへの水陸両用車での上陸を実行した。パレスチナ情報筋は地元のイスラエル軍基地が襲撃されたと主張している。イスラエル国防軍(IDF)は、海岸で襲撃者2名を殺害し、ゴムボート2隻を含む船舶4隻を破壊したと発表した。ハマスの武装勢力はナハル・オズ郊外の軍事基地も攻撃し、少なくとも18人が死亡、7人が人質となった。 イスラエル国防軍(IDF)の火災調査では、ハマスの武力勢力が基地と民間の場所の両方で「数分以内、あるいはそれ以下の時間で窒息を引き起こす可能性のある有毒ガスを含む発火物質」を所持していたことが判明した。

スデロット警察署はハマスの武力勢力によって占領され、武力勢力の構成員が警察官や民間人を含むイスラエル人30人を殺害したと報じられた。10月8日にイスラエル当局がハマスが占領したスデロット警察署に突入し、制圧した発表した。この突入によって当局はハマスの構成員10人を無力化したことも併せて発表された。

レイム音楽祭虐殺事件

2023年のハマスによるイスラエル攻撃 
少なくとも364人が死亡、多数の人質が取られたレイム音楽祭の虐殺でハマスの武力勢力が男性を拉致する様子

ハマスの武力勢力はイスラエルへの攻撃の一環として、キブツ・レム近くのユダヤ教の祝日である「仮庵の祭り」を祝う野外音楽祭「スーパーノヴァ・仮庵の祭り」で民間人364人を殺害、さらに多くが負傷させた。また、ハマスは音楽祭に参加していた民間人を少なくとも40人を拉致し人質に利用した。この大量虐殺は、10月7日の侵攻の一環であったガザに隣接する入植地でのイスラエル民間人を対象とした多数の虐殺の中で、最も多くの死傷者を出した。

10月7日午前6時30分(早朝)、空にガザ地区から発射された無数のロケット弾が飛んでいるのが確認された。 午前7時ごろ、ロケット弾攻撃を警告するサイレンが鳴り響き、音楽祭の参加者らは避難した。 その後、軍服を身に付けてオートバイ、トラック、電動パラグライダーを使ってイスラエル側に越境した武装過激派の構成員が祭りの会場を取り囲み、逃げようとする音楽祭の参加者に向けて無差別に発砲した。近くの防空壕、藪、果樹園に避難していた参加者は、隠れている間に殺害された。 道路や駐車場に到着した人々は、武装勢力が車両に発砲する中、交通渋滞に巻き込まれた。武装勢力は地面にうずくまる負傷者数名を至近距離で射殺して処刑した。

ハマスによって拉致された人質の所在や状態の詳細は公表されていない。レイム音楽祭での虐殺はイスラエル史上最大のテロ攻撃であり、イスラエル史上最悪の民間人虐殺でもあった。

クファルアザの虐殺

2023年のハマスによるイスラエル攻撃 
10月7日のハマスによる攻撃後のクファルアザにある民家の子供部屋の様子

ハマスによるイスラエルの攻撃では、約70人のハマスの武装構成員がガザ地区との国境から約3キロメートル(1.9マイル)にあるキブツの一つクファルザ英語版を攻撃し、住民を虐殺、人質数人を拉致した。 クファルザのキブツには700人以上の住民がおり、イスラエル国防軍(IDF)が完全な支配権を取り戻すのに2日かかった。 殺害されたイスラエル人の正確な数は不明であるが、イスラエル政府によると10月15日の時点で52人が死亡し、さらに20人以上が行方不明となっている。

ベエリの虐殺

2023年のハマスによるイスラエル攻撃 
ベエリの虐殺後に発見されたハマスの武装構成員の遺体と破壊された民家

10月7日のハマスによるイスラエルへの攻撃当日の朝、約70人のハマスの武力構成員がガザ地区近くのイスラエルのキブツの一つであるベエリで虐殺を行った。この虐殺では、女性平和活動家として知られているカナダ系イスラエル人のビビアン・シルバー英語版子供乳児を含む少なくとも130人が殺害され、 地域住民の 10% の命が奪われた。また、数十軒の家屋も全焼した。 いくつかの新聞はこの虐殺をテロ行為と呼んだ。残虐行為をイスラム国(ISIS)の残虐行為と比較する人もいた。ハマスによって 人質が取られ、駆けつけたイスラエル国防軍との対立が始まった。 生存者の証言によると、同士討ちによる死者も出たという。ハマスの戦闘員約40人と人質14人(うち子供2人)がいるとされる住宅にイスラエル国防軍戦車が発砲し、家の人質は1人を除いて全員死亡した。

死傷者

レイム音楽祭虐殺後のイスラエル軍によるハマスの掃討映像(画像を押すと動画が見れる)

ハマスによるイスラエルへの攻撃はイスラエルの歴史の中で最も血なまぐさい日であり、ユダヤ人にとってはホロコースト以来最も多くの死者を出した日と考えられている。 当初は最大1,400人が殺害されたと報告された。11月10日の時点で、推定数は約 1,200 人であった。 12月に、この死者数は社会保障データを使用してさらに修正され、1,139人となった。 この死者数には、子供36人(10歳未満は14人)を含む民間人766 名と治安部隊373 名が含まれている。また、殺害された最年少者は生後10か月で、25人は80歳以上の民間人であった。

このハマスによる攻撃により3,400人以上が負傷し、 247人の民間人と兵士が人質となった。 10月19日にイスラエル当局はさらに100人から200人が行方不明になったと発表した。2023年12月までに、行方不明者の数は合計5人となった。 イスラエル人の死傷者には、主にネゲブ・ベドウィンコミュニティの出身の約70人のアラブ系イスラエル人が含まれていた。

10月7日べエリの虐殺英語版では女性や子供を含む100人以上の民間人が殺害され、レイム音楽祭虐殺事件では270人以上が殺害された。10月10日時点で10月7日に発生したクファルアザの虐殺では100人以上が殺害されたと発表されているが、総死者数は不明である。スデロットのバス停留所で9人が射殺された。 クセイフェでは少なくとも4人が殺害されたと発表された。アシュケロンでは少なくとも400人の負傷者が治療を受けた。 ベエルシェバでは他に280人が報告され、そのうち60人が重篤な状態となった。イスラエル北部ではテルアビブでロケット弾攻撃による負傷者が報告された。この攻撃で少なくとも49人のイスラエル人の19歳未満の子供と青少年が死亡した。

ハポエル・テルアビブFCのストライカーであるリオル・アスリンはレイム音楽祭虐殺事件で殺害されたことが確認された。 シャール・ハネゲブ地域評議会英語版の議長であるオフィル・リブシュタイン英語版がハマスの武装勢力との銃撃戦で死亡した。ラハット英語版の警察署長ジャヤル・ダビドフ英語版もハマスによって殺害された。 イスラエル国防軍は、イスラエル兵士247人が死亡したことを確認した。 死亡が確認された者の中には、ケレム・シャローム近郊で殺害されたナハル旅団司令官ヨナタン・スタインバーグ大佐も含まれていた。

犠牲者の数が多く、地理的に分散しているため、すべての遺骨を見つけるのは困難であった。 虐殺から数週間後、従来の捜索技術が限界に達すると、イスラエル国防軍(IDF)はイスラエル自然公園局ハゲワシの飛行経路追跡への支援を求めた。その結果少なくともさらに5体の遺体が発見された。 イスラエル国防軍(IDF)はまた、周囲の瓦礫と区別できないほどひどく焼けた遺跡の回収を支援するためにイスラエル考古学庁英語版考古学者に援助を求めた。その結果として少なくとも10人の犠牲者の遺骨がこの方法で回収された。

パレスチナスンナ派イスラム原理主義ハマスは少なくとも247人のイスラエル人を拉致して、ガザに移送し人質として利用した。 10月8日に パレスチナイスラーム主義組織イスラーム聖戦は少なくとも30人の捕虜を拘束していると発表した。 クファル・アザからは少なくとも4人が連行されたと伝えられている。 ガザ地区で撮影された映像には、拉致されたイスラエルの人々が写っており、ガザの住民が死体を運ぶトラックを応援している様子が映っていた。 ベエリでは捕虜4人が殺害されたと報告されたが、ハマスは10月9日のイスラエル国防軍のガザ空爆で捕虜4人が死亡したと述べた。 イェディオト・アロノスの写真家ロイ・イーダンは行方不明と報告され、クファル・アザで子供と一緒に拉致された可能性が高いとされている。。妻は殺害され、子供2人は救出されるまでクローゼット英語版の中に隠れることで生き延びることができた。 イーダンの遺体は10日後にクファル・アザ虐殺の犠牲者の一人であると確認された。 アメリカ系イスラエル人のハーシュ・ゴールドバーグ・ポリンも誘拐された者の一人だった。10月11日、ハマスのカッサム旅団は、フェンス近くの空き地で人質3人(女性1人と子供2人)を解放する様子を映したと思われるビデオを公開した。イスラエルはこのビデオを「演劇」として却下した。 Ynetによると、10月7日にも同士討ちによる死傷者が出たが、イスラエル国防軍(IDF)は「キブツで起きた犠牲者の数が膨大で複雑なため、調査するのは道徳的に健全ではない」と考えたという。当時兵士たちが置かれていた困難な状況のため、南部のイスラエル人コミュニティも同様だった。

遺骨の特定

2023年のハマスによるイスラエル攻撃 
アブ・カビール法医学研究所英語版所長のチェン・クーゲルによると数百を超える遺体が見分けがつかない状態で研究所に到着したという

アブ・カビール法医学研究所英語版 所長のチェン・クーゲル氏によると、数百の遺体が「見分けがつかない」状態で研究所に到着したという。 被害者は、特に火災から回収された骨片を処理する必要があった。血が染み込んだベビーベッド。縛られて処刑された犠牲者。そして縛られた後、生きたまま焼却された2人の犠牲者である事が判明した。

ハマスの攻撃によって数百人が行方不明となり、遺体は見分けがつかないほど焼かれたため、イスラエル当局は社会全体から回収チームを招集した。この中にはイスラエル考古学局の考古学者も含まれており、他の法医学チームが見落としていた骨片を灰や瓦礫からふるいにかけようとして、古代の遺骨を特定し、除去した。

膨大な数の死傷者が当局を圧倒した。遺体はシュラ国防軍基地とアブ・カビール法医学研究所に無秩序に運ばれた。軍、警察、民間のさまざまなチームが混乱を引き起こした。考古学者たちは部屋を系統的に捜索し、部屋を格子状に分けて慎重に骨の破片を取り出した。考古学チームはある家で灰の下から血痕を発見し、遺体の輪郭であると判断し、後にDNA分析によってメニ・ゴダールと特定された。

反応

イスラエルの反応

2023年のハマスによるイスラエル攻撃 
ガザ地区拉致されたイスラエル人人質の解放を求めるポスター

ハマス及びパレスチナ武装勢力による最初のガザ境界線突破後、イスラエル国防軍が反撃のために軍隊を派遣して対応するまでに数時間の時間を有した。イスラエル国防軍を支援するために派遣された最初のヘリコプターはイスラエル北部から出発し、ハマスによる襲撃開始から1時間後にガザ地区に到着した。イスラエルはどの前哨基地や入植地が占領されているかを判断すること、またハマス及びパレスチナ武装勢力と地上の兵士や民間人を区別することが困難であった。 そのためヘリコプターの乗組員は当初、猛烈な勢いで砲撃を開始し、4時間で約300の目標を攻撃した。 その後、ヘリコプターの乗組員は攻撃の速度を緩め、標的を慎重に選択し攻撃を行なった。イスラエルの新聞ハアレツのジャーナリストであるジョシュ・ブレイナーによると、イスラエル警察関係者は、警察の捜査により、ハマスの武装構成員に向けて発砲したイスラエル国防軍のヘリコプターがレイム音楽祭虐殺事件で「どうやら音楽祭の参加者の一部にも命中した」ことが判明したと述べた。後にイスラエル警察はハアレツの報道を否定した。

2023年のハマスによるイスラエル攻撃 
イスラエル国防軍によるガザ地区への侵攻

イスラエル国防軍(IDF)ガザ地区「鉄の剣作戦」を開始し、ガザの境界から80キロ以内の地域に非常事態を宣言した。また、ハマスを攻撃を開始する際に「重大な誤りを犯した」とし「イスラエルが勝利する」と誓った 。 イスラエル国防軍は「戦争準備状態」を宣言し、ガザ地区だけでなくヨルダン川西岸地区や隣国レバノンシリアとの国境沿いにも予備兵が配備されると追加発表した。 ガザ近郊の地域の住民は屋内に留まるよう求められたが、イスラエル南部と中部の民間人は避難所の隣に留まることが求められた。ガザ周辺の道路はイスラエル国防軍によって閉鎖された。また、テルアビブの道路も封鎖された。

ハマスによるイスラエル攻撃後、イスラエルは潜在的な紛争への準備を強化した状態を宣言した。イスラエル国防軍(IDF)は戦争準備状態を宣言し、イスラエルの首相であるベンヤミン・ネタニヤフ は治安当局の緊急集会を招集した。 イスラエル国防軍はさらに、「鉄の剣作戦」(ヘブライ語: מבצע חרבות ברזל、ローマ字:  Mivtsá charvot barzél)と名付けられた作戦の下、ガザ地区で標的を絞った攻撃を開始したと発表した。 イスラエル警察長官コビ・シャブタイは、イスラエル国防軍が「ガザ地区からの大規模な攻撃」と呼んだものを受けて、「戦争状態」が存在すると発表した。 長官はまた、イスラエル南部全土での「民間人の移動」の閉鎖と、同地域へのヤマム対策部隊の派遣を発表した。 イスラエル国防軍(IDF)の首席報道官であるダニエル・ハガリ英語版少将は、このイスラエル南部地域に4個師団が配備され、既存の31個大隊を増強したと述べた。

イスラエルの大統領であるイツハク・ヘルツォグはイスラエルは「非常に困難な時期」に直面していると述べ、イスラエル国防軍、その他の治安部隊、救助隊、ハマスにより攻撃を受けている住民に力と激励を与えた。また、ベンヤミン・ネタニヤフ首相はテレビ放送で「我々は戦争状態にある」と述べた。ネタニヤフ首相はまた、イスラエル国防軍は他国が「この戦争に参加するという間違い」を犯さないように国境での展開を強化すると述べた。その後の演説で、ネタニヤフ首相は「ガザ地区を無人島にする」と脅し、ガザ地区の住民に対して「今すぐ立ち去る」よう促した。

イスラエル首相府英語版の発表によると、10月7日にイスラエル安全保障内閣英語版は「ハマスイスラーム聖戦の軍事的および政府的能力の破壊」をもたらすための一連の行動に着手することを決議した。 ガザの電力の最大80%を供給しているイスラエル電力公社は、その地域への電力を遮断した。結果としてガザの電力供給は120MWから20MWに減少し、パレスチナ自治政府が費用を負担した発電所に依存せざるを得なくなった。

ベン・グリオン空港ラモン空港は運航を続けたが、複数の航空会社がイスラエル発着の便をキャンセルした。イスラエル鉄道は国内の一部で運行を停止し、一部の路線を臨時バス路線に置き換えた。 クルーズ船アシュドドハイファの港を旅程から外した。

武装勢力の拘束と尋問

イスラエル国防軍(IDF)が公開した映像で、ハマスの軍事部門イッズッディーン・アル=カッサーム旅団特殊部隊ヌフバ (ハマース)のメンバーが尋問中にクファル・アザ虐殺の出来事を証言した。

10月7日のハマスによるイスラエル攻撃後、イスラエルでは600人以上の武装勢力構成員が拘束された。イスラエルは容疑者らの尋問により、軍事的対応や紛争に対する世界的な理解を形成する上で重要な役割を果たした同組織の戦略、イデオロギー、作戦方法に関する重要な洞察が明らかになったと主張している。 ハマス及びパレスチナ武装組織の構成員に対する尋問は主にイスラエル南部の刑務所で4週間にわたって行われ、11月初旬に終了した。 イスラエルの情報源に基づくと、イスラエル総保安庁(シン・ベット)とイスラエル国防軍第504部隊が用いた尋問方法には、身体的強制を禁止するイスラエルの法律を遵守するための心理的関与が含まれていた。イスラエルの軍事行動を検証し、ハマスの言説に対抗することを目的とした尋問ビデオの公開した。

イスラエル系アラブ人

2023年のハマスによるイスラエル攻撃 
ベドウィンコミュニティの指導者および誘拐され殺害されたベドウィンの家族らとともにラハト市にいるイスラエルのアイザック・ヘルツォグ大統領

統一アラブリスト指導者のマンスール・アッバス 英語版アラブ人で国会議員のアイマン・オデ英語版を含むアラブ系イスラエル人の政治家らは、ハマス主導のイスラエル攻撃を非難した。イスラエルのアミチャイ・チクリ 英語版社会平等大臣は、「アラブ国民は多くの団結と責任感を示しており、これは特にネゲブのベドウィン住民に当てはまる」と述べた。

パレスチナ人の反応

ハマス

ハリド・マシャルはハマスの攻撃を称賛し、イスラエル占領に対する正当な抵抗であると称した。同氏は「私たちは10月7日の作戦の結果をよく知っている」と述べ、解放を求めるためにはパレスチナ人の命が犠牲にされなければならないと強調した。

ハマスの幹部であるハリル・アル・ハイヤは、この行動は「単に衝突を起こすだけでなく、方程式全体を変えるために必要だった…我々はパレスチナ問題を再び議題に戻すことに成功したが、今ではこの地域に誰もいない。穏やかさを感じています。」と述べた。

ハマスのメディア顧問であるタヘル・エル・ノウノウは、「イスラエルとの戦争状態がすべての国境で永続化し、アラブ世界が(ハマス)側に立つことを望む」と述べた。

ハマスの高官であるガージ・ハマドはインタビューで、「我々はイスラエルに教訓を与えなければならないし、これを何度でも繰り返すつもりだ。アル・アクサ洪水は初めてであり、第二回・第三回も起こるだろう」と述べた。 4番目、私たちには戦う決意があるからです。」と述べた。また、彼はハマスが「代償を払う」用意があることを強調し、最後にイスラエルの排除を求める呼びかけで締めくくった。「あの国はアラブとイスラム諸国にとって安全保障上、軍事上、政治上の大惨事となるため、我々は排除しなければならない」。これらのコメントは、10月7日にハマスによるイスラエル民間人殺害について尋ねられたハマドがBBCのインタビューから突然退席した事件の後に出たものである。

ハマスは攻撃による民間人の殺害を否定した。この出来事に言及したその公式発表は、一部の西側メディアが推進する「捏造された主張の虚偽」を否定し、「我が国のパレスチナ人民とその抵抗に対する嘘と中傷に満ちたシオニストの物語を専門外に採用しており、その最新のものは」それは子供たちを殺害し、斬首し、民間人を標的にしたという主張をした。民間人260人が殺害されたランス音楽祭の虐殺について尋ねられたとき、ハマスの幹部の一人であるムーサ・アブ・マルズークは、それは「偶然」であり、攻撃者らは兵士たちが「休んでいる」と思ったのかもしれないと答えた。

2024年1月にハマスは「私たちの物語」と題した報告書を発表し、「一部の過失」は認めたものの、民間人を意図的に標的にしたことは否定し続け、死者はイスラエルのせいとし、攻撃を「すべてに立ち向かうために必要なステップであり、通常の対応だ」と正当化した。

パレスチナ自治政府

ハマス攻撃前夜、パレスチナ国の事実上の首都であるラマッラーでの緊急会合でパレスチナ自治政府マフムード・アッバス議長は、パレスチナ国民には入植者やイスラエルの占領軍の恐怖から身を守る権利があると述べた。パレスチナ政府機関WAFAによれば、アッバス議長はまた、イスラエルの侵略下にあるガザ地区のパレスチナ人の苦しみを軽減するために、利用可能なすべての資源を直ちに送るよう政府と関連当局に命じた。10月16日にアッバス議長は「ハマスの行動はパレスチナ人を代表していない」と宣言した。2024年2月現在もアッバス議長はまだ10月7日の虐殺を非難してはいない。

パレスチナ人の世論

2023年11月に10月7日の攻撃後のガザでのイスラエルの行動の結果、ガザとヨルダン川西岸のパレスチナ人の間でハマスの人気が大幅に高まったことが判明した。ラマッラーに拠点を置く研究・コンサルティング・開発会社であるアラブ世界研究開発(AWRAD)が11月14日に実施した調査では、パレスチナ人はこの攻撃に対する圧倒的な支持を示した。同紙は、「ヨルダン川西岸地区に住むパレスチナ人の圧倒的多数が、この攻撃を極度または『ある程度』支持すると回答した(83.1%)」と述べた。

ガザ地区ではパレスチナ人の支持は低く、攻撃を「非常に」または「ある程度」支持したのはわずか63.6%だった。14.4%は攻撃に反対も支持もしないと答え、20.9%は攻撃にある程度反対した。

ガザ地区とヨルダン川西岸地区のパレスチナ人のうち、ハマスがイスラエル攻撃中に戦争犯罪を犯したと信じていると答えたのはわずか10%で、パレスチナ人の大多数はイスラエルでのハマスの残虐行為を映した映像を見たことがないと述べた。

国際的な反応

脚注

出典

関連項目

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