版元: 印刷物の出・発行元

版元(はんもと)とは、図書など印刷物の出版元・発行元のこと。近現代の出版業界の業界用語においては「出版社」のことを指す場合が多い。

概要

「元」は網元の「元」と同じ用法と言える。同様に「版元」とは印刷物を製作するために不可欠な「版」を持っている事業主のことを指す。これは必ずしも書籍の出版のみを示すものではない。例えば、江戸時代には版木の製作から印刷・販売までが一貫して行われており、版木を所有していた書物問屋(一般書)や地本問屋浮世絵)などを指して「(板いたの元もと)で『板元(はんもと)』」と呼んでいた。後に板が木を使わなくなり「版」に変わる。各問屋ごとに株仲間を作って活動していた。

著作権英語ではコピーライト、すなわち複製権と言うように、出版の権利とは、オリジナルの複製を大量に作成し、流通させる権利であり、そこに利益を獲得する構造がある。

近代の大量生産技術においては、版の所持が大量複製の必要条件であり、「版を所有すること」と「複製・頒布権」は分かちがたく結びついていた。このため出版権の移転とは、版を移転することであった。

版の物理的な保管場所は印刷所であることが多かった。出版社と印刷会社が別会社であってもその方法を採る場合が多く、しかし版の保管コストを出版社側が支払うことは皆無に近く、半ば慣行として印刷会社によるサービスの範囲内で行われていた。重版の声がかからないと見越して印刷会社が版を廃棄することはためらわれる傾向があった。ところが不慮のことで印刷会社が原版を失ってしまったことに対して、出版社側から賠償請求の訴訟を起こされた例があるが、自らに有利な商慣行に基づく出版社側の甘えであり、保管料を払っていない以上は正当な主張とは認めがたい、という判決が下っている。

「版の所有=出版の権利および能力」という図式、すなわち情報の複製・頒布に対する版の必要性は、現代に入りコンピュータや情報通信技術の発達により崩れつつある。現在、基本的には紙の本の印刷には版が必要であるが、オンデマンド印刷と呼ばれる技術の中には版を用いないものがあり、版元という語が本来の意味から次第に離れていく萌芽を示しているのかもしれない[独自研究?]

外部リンク

Tags:

出版社近現代

🔥 Trending searches on Wiki 日本語:

市川右太衛門筧美和子ウィキペディア米津玄師アドルフ・ヒトラーゆるキャン△ (アニメ)YOASOBI佐倉絆2PM竹内涼真門脇麦IS:SUE生田絵梨花大沢あかねク・ハラ森七菜川内博史挫滅症候群ミン・ヒジン安倍晴明アルベルト・バルドナード香淳皇后黒ずくめの組織ヒカル (アイドル)久米愛小久保玲央ブライアンBLUE MOMENT ブルーモーメントちいかわ なんか小さくてかわいいやつ森香澄転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めますAFC U23アジアカップ2024ブルーアーカイブ -Blue Archive-ケイン号の叛乱松岡禎丞田中真美子松坂慶子笠置シヅ子藤原道隆津田健次郎マドラス (企業)八甲田雪中行軍遭難事件2024年竹内都子白井カイウ尾崎豊光る君へプレデター (映画)城田優ゴジラxコング 新たなる帝国麻生太郎若山詩音マシロClariS平野レミ進撃の巨人涙の女王木南晴夏読売ジャイアンツ大島優子森繁久彌三淵忠彦岩田剛典King Gnuアフリカ文学髙橋藍坪井智哉黒羽快斗ダイアンドラゴンボール華村あすか勃起和田誠ダンジョン飯井上由美子 (脚本家)メイドインアビス葬送のフリーレンSTARTO ENTERTAINMENTいなば食品黒川敦彦🡆 More