得撫島(うるっぷとう)は、千島列島にある島。ロシア名はウループ島 (Остров Уруп)、英語表記はUrup。得撫郡に属した。
得撫島 | |
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地形図 | |
所在地 | 帰属未定 (実効支配: ロシア) |
座標 | 北緯45度56分00秒 東経150度2分00秒 / 北緯45.93333度 東経150.03333度 |
面積 | 1,450 km² |
最高標高 | 1,426 m |
プロジェクト 地形 |
島の名前の由来は、アイヌ語で「紅鱒」を意味する「ウルㇷ゚(小書きのプ)」から。知里真志保の著書にもこのことが記してある。
スイスの企業グループ「ソルウエイ・インベストメント・グループ」の子会社「クリル ゲオ」による大規模な金鉱開発が展開されている。
近世においては定住者がおらず、択捉島など他島のアイヌ民族が漁猟のために一時的に居住していたのみであった。18世紀のロシアの南下にあわせて本格的に入植が行われ有人島になっていたが、明治年間に日本領に編入されてからは実質的には一時居住者のみで、定住者は存在しなかった。
年産で約1トンの金と年産4トンの銀が産出されるアジア有数の金鉱山がある。開発はスイスの鉱山会社 グリルゲオ社が行っている。
長さ約 115 キロメートル、幅は約 20 キロメートルで、択捉水道(ロシア名:フリーズ海峡 пр. Фриза)を隔て、およそ 40 キロメートルで択捉島と相対し、北東方向110 キロメートルには新知島がある。全体的に北東から南西に向けて細長いエンドウマメのような形を持つ。国後島より僅かに小さく、千島列島では4 番目に大きな面積を有する。
以上の火山の周辺にも複数の山がある。火山があるため、現在も噴煙や温泉が噴出しており、硫黄の臭いが漂う。オホーツク海側には、温泉が滝となって流れている箇所がある。
島は海獣保護区に指定されていることから「ラッコの島」とも呼ばれている。北端の烏ノ尾岬は最大のラッコの生息地であり、300~400頭が確認されている。
択捉島との間には、植物学で言う分布境界線(宮部線)がある。ここは(植物学上の)温帯と亜寒帯との境であり、得撫島より北の島には広葉樹林が見られなくなる。
島には、戦時中に旧日本軍が作ったトーチカが残っている。また、旧ソ連の実効支配が始まってからは国境警備隊が駐留していた。北東部に防空レーダー基地、測候所、灯台などが集中し、150人程が居住していたが、現在は撤退により放置され、廃墟や残骸と化した。
スイスの鉱山会社SolwayがDanchenkovsky(Kupol)鉱床とAinskoye鉱床の二か所で金を採掘している。
とこたんわん。ピリカモエ埼から温泉埼に至る約8海里の弓形開湾。
つりがねわん。床丹湾の北東約20海里にある島最大の湾。旧・オトイマモイ湾。口幅6海里、湾入2.5海里。
緯度はそれ程高くないにもかかわらず、寒流の親潮と強力なアリューシャン低気圧の影響により亜寒帯気候(ケッペンの気候区分のDfc)となっている。この気候は極地の気候(ケッペンの気候区分のET)に近く、穏やかで霧の多い夏と寒く雪が多い冬がある。 実際の気候は、シベリア本土や満州の強い大陸性気候よりもはるかにアリューシャン列島の亜極海洋性気候と似ているが、2月の平均気温−5.8 °C (21.6 °F)は「海洋性」気候の下限をはるかに下回っている。得撫島は他の千島列島の島々と同じく、季節遅延は非常に大きく、最も気温が高いのは8月と9月、最も低いのは2月である。実際、夏至よりも秋分の方が暖かい。
得撫島の気候 | |||||||||||||
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月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 3.9 (39) | 8.9 (48) | 5.0 (41) | 13.9 (57) | 21.1 (70) | 26.1 (79) | 23.9 (75) | 25.0 (77) | 22.2 (72) | 17.8 (64) | 13.9 (57) | 10.0 (50) | 26.1 (79) |
平均最高気温 °C (°F) | −2.8 (27) | −3.9 (25) | −1.7 (28.9) | 2.8 (37) | 6.1 (43) | 8.9 (48) | 12.2 (54) | 13.9 (57) | 13.3 (55.9) | 9.4 (48.9) | 3.9 (39) | 0.0 (32) | 5.2 (41.4) |
日平均気温 °C (°F) | −4.7 (23.5) | −5.8 (21.6) | −3.6 (25.5) | 0.3 (32.5) | 3.3 (37.9) | 5.8 (42.4) | 8.9 (48) | 10.8 (51.4) | 10.3 (50.5) | 6.9 (44.4) | 2.0 (35.6) | −2 (28) | 2.7 (36.9) |
平均最低気温 °C (°F) | −6.7 (19.9) | −7.8 (18) | −5.6 (21.9) | −2.2 (28) | 0.6 (33.1) | 2.8 (37) | 5.6 (42.1) | 7.8 (46) | 7.2 (45) | 4.4 (39.9) | 0.0 (32) | −3.9 (25) | 0.2 (32.4) |
最低気温記録 °C (°F) | −16.1 (3) | −16.1 (3) | −17.8 (0) | −8.9 (16) | −3.9 (25) | −2.8 (27) | 0.0 (32) | 2.8 (37) | 0.0 (32) | −2.2 (28) | −7.2 (19) | −12.2 (10) | −17.8 (0) |
降水量 mm (inch) | 116.6 (4.591) | 76.5 (3.012) | 93.0 (3.661) | 97.0 (3.819) | 93.5 (3.681) | 71.6 (2.819) | 117.9 (4.642) | 103.6 (4.079) | 154.9 (6.098) | 158.5 (6.24) | 139.2 (5.48) | 149.1 (5.87) | 1,371.4 (53.992) |
出典:Worldwide Bioclimatic Classification System |
続縄文時代とオホーツク文化期に集落が発達した時期があるが、日本側の資料によると18世紀までは定住者が居なかった。以後、択捉島など他島のアイヌの定住や、ロシアが使役のためアレウト人を入植させるなど、住民の定着が見られるようになる。
かつて得撫島は、NHKラジオ第2放送の「気象通報」で「ウルップ島」として天気が伝えられていた。しかし1997年7月19日を最後に観測結果の入電が途絶え、2001年12月3日に正式に観測地点から除外される。その理由は公表されていないが、島の気象測候所が廃止されたという説が支配的である。
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