超音速(ちょうおんそく、supersonic speed)とは、媒質中で移動する物体と媒質の相対速度が、その媒質における音速を超えること、およびその速度を指す。
音速との比であるマッハ数を使えば、マッハ数が1より大きいとも定義できる。ただし、速度単位としてのマッハは対気速度で気温や気圧によって変化する。便宜上、超音速機のカタログスペックにおいては、対地速度1225km/h(340.31m/s、15℃・1気圧)をマッハ1とすることが多いが、この場合は物理現象としての音速・超音速とは扱いが異なる。
音速とは、媒質中を伝わる振動の最高速度であり、超音速ではこれを超えるため、物体先端部から広がる衝撃波などの特異な現象を伴う。 しかし、実際に移動している物体の周囲では、空気などの媒質は複雑な流れ(乱流)を持ち、物体表面と媒質の相対速度は確率分布を示す。これは、機体が超音速に達していなくても、機体の一部では超音速による衝撃波が発生し得ることを意味する。 そこで、航空機の設計・運用などでは、機体表面に超音速の気流が存在しない速度(亜音速)を超え、全ての気流が超音速となるまでの、亜音速の気流と超音速の気流が混在する領域を遷音速として別扱いしている。
航空機の衝撃波を観測するには太陽を光源とするシュリーレン法で撮影されているが、撮影できるのは太陽面通過時(2回)に限られていた。2015年にアメリカ航空宇宙局のアームストロング飛行研究センターによりフィルターを利用して複数回の撮影を可能とした『背景指向シュリーレン(BOS)法』が開発された。
流れはマッハ数により以下のように分類され、その特徴が異なる。よって、下記全ての領域を通過するような大気圏再突入カプセルの場合、膨大なデータの取得が要求される。以下、航空宇宙工学の観点もふまえて簡単に解説する。
超音速により発生する衝撃波(圧力波)や、これが減衰したソニックブーム(衝撃音)が地上に到達すると、建造物のガラスが割れるなどの被害を与えるため、超音速機の運用には制約条件が多い。また、エンジンの効率が悪く、運用費が非常に高く付く。従って、現在運用されているものは、高い速度が要求される軍用機のみである。多くの航空機は、低コストで航続距離も長く環境への影響も少ない亜音速機である。
このほか、短時間・小規模な超音速物体は地上でも利用されている。
なお、1945年4月9日にハンス・ギド・ミュッケ(en)がメッサーシュミット Me262による急降下加速で音速到達を主張しているが、公式には認められていない。また、1947年10月1日や1948年4月26日に、ジョージ・ウェルチ(en)が操縦するXP-86が、急降下によって音速を突破した記録もあるが、いずれも水平飛行ではない。
航空機が音速に近づくと、機首先端の空気は圧縮され高温となる。さらに音速に達すると高エネルギーの衝撃波が発生するが、逆に言えばこれを生み出すために大きな運動エネルギーを要求される。これは造波抵抗と呼ばれ、航空機の開発では、これを克服する技術的困難さも相まって、音の壁と呼ばれた。
1942年、英国の航空大臣は、音速の壁を破ることのできる世界で最初の航空機を開発する計画を、マイルス・エアクラフト社とともに極秘で開始した。結果として、この計画はマイルス M.52試作機を開発した。これは高度11キロメートル(36000フィート)において、1分30秒で時速1600キロメートル(時速1000マイル)に達するように設計された。
この航空機の設計には、現在の超音速航空機でもいまだ使われているような多くの革新的技術が導入された。最も重要な進化の一つが、超音速下でも操縦性を維持させる全浮動尾翼であった。これはマイルス・リサーチ社のデニス・バンクロフトと彼のプロジェクトチームによる独創案の産物であった。この計画は、有人による戦闘飛行が行われる前に科学研究所所長のベン・ロックスペーサー卿によって中止された。
後に政府命令によって、すべての設計データとマイルス M.52に関する調査結果はアメリカ合衆国のベルエアクラフトに送られた。お互いの管理者間での情報交換の合意はあったが、記録によると、アメリカ政府は英国のデータを受け取った後に取り扱いを封印したという。後のマイルス M.52に関する設計検証実験では、人が乗っていない3/10スケールの模型が1948年10月にマッハ1.5を達成したとされている。
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