ファンク(funk)は、音楽ジャンルの1つであり、アフリカ系アメリカ人(黒人)起源のブラック・ミュージックのジャンルである。
ファンク funk | |
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様式的起源 | ゴスペル、ソウル、ファンキー・ジャズ、リズム・アンド・ブルース |
文化的起源 | 1960年代中盤 アメリカ合衆国 |
使用楽器 | ベース・ギター、エレクトリック・ギター、ドラムス、キーボード、ボンゴ、クラビネット、シンセベース、ホーン、コンガ、ワウペダル |
派生ジャンル | ディスコ ヒップホップ ブギー コンテンポラリー・R&B ギャングスタ・ラップ ブレイクビーツ ニュージャックスウィング Gファンク ニューロ・ファンク(en) リキッド・ファンク(en) ハウス ファンク・ステップ(en) |
サブジャンル | |
Go-Go P-Funk Deep funk Nu-funkなど 他多数 | |
融合ジャンル | |
Acid jazz Afrobeat Free funk Funk rock Funk metal Funky house G-funk Go-Go Jazz funk UK funky |
ファンキーとファンクの違いは、ファンキーがアメリカ南部の田舎を連想させるのに対し、ファンクは都会的な印象を与える点に特徴がある。ファンキーは、60年代にファンクが誕生する以前の50年代に、すでにファンキー・ジャズ(ソウル・ジャズ)に対して使われていた。ファンク、R&Bなどの音楽用語は、黒人生活全般を指す面があった。英和辞典的な解釈では、”ジャズをベースにしたビートの強い音楽”という訳語もある。体臭やセックスの匂いを、ファンキー・スメルと呼ぶ場合があり、「ファンク」という言葉は感覚的な言葉であり、明確に日本語に訳すことは難しい。
ファンクは1960年代(1964年ごろ)にジェームス・ブラウンの曲「アウト・オブ・サイト」が契機となり、原型が形成された。ジェームス・ブラウンのファンクは、西アフリカのポリリズムと、戦前アメリカのアフロアメリカンによるワーク・ソングからの影響が指摘されている。その後、ベーシストのブーツィー・コリンズが、ジョージ・クリントンによりPファンクに招かれ、Pファンク黄金時代を築き上げた(Pファンクを参照)。一方、1970年代初頭サンフランシスコから、白人・黒人混成バンドスライ&ザ・ファミリー・ストーンが登場し、彼らのロック的要素を取り入れたファンクが、白人にも受け入れられるようになった 。また、ファンクはラテンとも融合し、ウォーの曲「シスコ・キッド」(1972年)のようなラテン・ファンクがうまれた。ファンクはアフリカへも紹介され、ファンクにアフリカのリズムも融合したアフロビートへ繋がり、フェラ・クティやマヌ・ディバンゴらにより発展していった。
ファンクは1970年代前半にはポップ、ソウル・チャートともに好調だった。だが、1970年代後半には、ディスコ・ブームにより、ファンクは一時的に後退期を迎える。1980年代前半でもソウル・チャートでは人気だったが、1980年代後半にはニュー・ジャック・スウィングやグラウンド・ビート、ハウスなどの台頭により、ファンクは勢いを失っていった。
1960年代前半にジェームス・ブラウンが「アウト・オブ・サイト」を発表した後、ブルース・ミュージシャンがいち早く反応し、ローウェル・フルソンの曲「トランプ」に象徴される「ファンク・ブルース」が生まれた。1960年代末から1970年代初頭にはスライ&ザ・ファミリー・ストーンが、白人にも受け入れられるようなロックの要素をファンクに取り入れ、ウッドストックへの出演もあいまって、人気グループとなった。さらに1970年代には、ジョージ・クリントンがPファンク(パーラメント - ファンカデリック)として活動し、黒人層を中心に支持された。その他の1970年代ファンクの代表的アーティストとしては、ブーツィー・コリンズ(Pファンク)、クール・アンド・ザ・ギャング、オハイオ・プレイヤーズ、BTエクスプレス、ジミー・キャスター・バンチ、ジョー・テックス、ブリック、グラハム・セントラル・ステーション、アース・ウィンド・アンド・ファイアー、スレイブ、ファットバック、ヴァーノン・バーチ、コモドアーズ(デビュー時)などが挙げられる。
1980年代に入るとザップとロジャー・トラウトマン、プリンス、リック・ジェームスがファンク界を牽引する存在となった。他にもバーケイズ、カメオ、コン・ファンク・シャン、ワン・ウェイ、レイクサイド、ダズ・バンド、ギャップ・バンド、オーラらのファンク・アーティストが、ソウル・チャートを中心に人気となった。だが、1980年代後半から1990年代、2000年代とファンクは不振だった。2010年代の前半まではファンクは消滅したような状態だったが、2010年代の後半に入ってマーク・ロンソン、ブルーノ・マーズらが1980年代風のファンク曲をヒットさせ、話題となった。
ファンクはジャズ・シーンにも大きな影響を与え、マイルス・デイヴィスやハービー・ハンコック、ジミー・スミス、オーネット・コールマン(フリー・ファンク)、ヘッドハンターズなどがファンクを取り入れ、彼らのサウンドはジャズ・ファンクと呼ばれた。80年代後半には、レア・グルーヴのブームも発生した。
ファンクとロックを融合した音楽を、ファンク・ロックにジャンル分けする場合がある。黒人が演奏した場合は、ブラック・ロックとも呼ばれる。フリーの「ザ・スティーラー」、デヴィッド・ボウイの「フェイム」(1975年)、ローリング・ストーンズの「ホット・スタッフ」(1975年)、エアロスミスの「ラスト・チャイルド」(1976年)、INXSの「ニード・ユー・トゥナイト」(1988年)などは、ファンクのリズムを持ったロック曲である。主なアーティストとしては、1970年代にはリック・デリンジャー、レッドボーン、ファンカデリック、マザーズ・ファイネスト、初期のバーケイズ、ワイルド・チェリーらがいた。1980年代はINXS、ファイン・ヤング・カニバルズ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、フィッシュ・ボーン、後期のカメオらが、1990年代にはキザイア・ジョーンズ、スティーヴィー・サラス、シールらが活動した。
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