ヒゲオヤジは、手塚治虫の漫画に登場する架空の人物である。本名は伴 俊作(ばん しゅんさく)とされることが多いが、ほかの名前で登場していることもある。
手塚治虫のスター・システムを代表する「俳優」のひとり。頭頂部から禿げ上がった頭と、二股に垂れ下がった白い口髭がトレードマークの中年男性として描かれる。服装は背広に格子模様の蝶ネクタイを付けていることが多い。『鉄腕アトム』をはじめとした複数作品で「本名は伴俊作、通称ヒゲオヤジ」と名乗っているので「伴俊作」が俳優としての本名であるかのように言われることもあるが、実際にはそれ以外の役名で登場した作品も多く、その中には、「ビル」や「サム」など、明らかに日本人でないものも含まれている。そのため俳優名としては「ヒゲオヤジ」で通すのが一般的である。
商業作品でのヒゲオヤジのデビューは、1946年の『関西輿論新聞』版『ロストワールド』(ただし、それ以前に、同年の『マァチャンの日記帳』第26回(1946年2月2日掲載)にも1コマだけ出演している)。単行本では1947年10月の『怪人コロンコ博士』が初出であり、同作で初めてケン一とコンビを組んでいる。また、「伴俊作」名での初出演作は、1948年の単行本版『ロストワールド』である。『地底国の怪人』(1948年)・『ふしぎ旅行記』(1950年)等の初期長編では、少年主人公のケン一とコンビを組んで、準主役を演じていることが多い。
得意な役柄は江戸っ子気質(手塚によれば「神田の生まれ」)の熱血漢で、正義感が強く不正や差別には断固として敵対する。また好奇心が強く様々な事件に首を突っ込むところがあり、そのため多くの作品で私立探偵が当たり役となっている。ただし、決して善玉専門というわけではなく、悪役やそれに近い役柄で出演したこともある。
キャラクター原案は手塚ではなく、手塚の中学時代の友人今中宏である。大阪の老舗菓子屋「鶴屋八幡」の息子だった彼が、自分の祖父今中久吉をモデルに落書きしたのを、手塚が漫画の登場人物として借用した『オヤジ探偵』が起源である。そのため、手塚の中学時代の習作では、ヒゲオヤジは関西弁を話していた。
「アトム今昔物語」にて、20代後半から30代始め頃の姿が登場しているが、がっしりした体格の気の強そうな青年であった。
など多数
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