『オーシャンズ12』(オーシャンズ・トゥエルブ、原題: Ocean's Twelve)は、2004年のアメリカ映画。主人公ダニー・オーシャン率いる犯罪スペシャリスト集団の活躍を描いたシリーズの続編。舞台をヨーロッパに移し、「ファベルジェの卵」を巡って怪盗「ナイト・フォックス」と対決するケイパー映画。監督はスティーヴン・ソダーバーグ。主演は引き続きジョージ・クルーニー、ブラッド・ピットほか、マット・デイモンやジュリア・ロバーツが登場し、新規キャストとしてキャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ヴァンサン・カッセル、特別ゲストとしてアルバート・フィニー、ブルース・ウィリスが登場する。
オーシャンズ12 | |
---|---|
Ocean's Twelve | |
監督 | スティーヴン・ソダーバーグ |
脚本 | ジョージ・ノルフィ |
製作 | ジェリー・ワイントローブ |
製作総指揮 | ブルース・バーマン スーザン・イーキンス ジョン・ハーディ |
出演者 | ジョージ・クルーニー ブラッド・ピット マット・デイモン キャサリン・ゼタ=ジョーンズ アンディ・ガルシア ドン・チードル バーニー・マック ジュリア・ロバーツ ヴァンサン・カッセル |
音楽 | デヴィッド・ホームズ |
撮影 | ピーター・アンドリュース |
編集 | スティーヴン・ミリオン |
配給 | ワーナー・ブラザース |
公開 | 2004年10月10日 2005年1月22日 |
上映時間 | 125分 |
製作国 | アメリカ合衆国 オーストラリア |
言語 | 英語 |
製作費 | $110,000,000 |
興行収入 | $362,744,280 $125,544,280 36億円 |
前作 | オーシャンズ11 |
次作 | オーシャンズ13 |
本作のチームは、前作の11人にテスを加えた12人となっている。
ダニー・オーシャンとその仲間たちが、テリー・ベネディクトのカジノから1億6千万ドルの大金を盗み出すことに成功してから数年後。ダニーは、テスと再婚をして幸福な生活を送り、またラスティはホテル業界に参入するなど、各々が自由気ままな生活を送っていた。しかし、そんなメンバー1人1人の面前に突如ベネディクトが現れる。ベネディクトは、2週間以内に盗んだ1億6千万ドルに利子を付けて返すよう迫る(総額約2億ドル)。集まったダニー達は、その内、使ってしまった金や利子の分9700万ドルを埋めるため、再び全員で仕事をすることを決意するが、ソール・ブルームは離脱した上、前回のカジノ強盗によりアメリカ本土において短期(残り13日)で大金を稼ぐような仕事は難しく、舞台をヨーロッパに移す。
アムステルダム(オランダ)にやってきたダニーたちは、ホテル・ピューリツァーを拠点に、現地の情報屋マツイの情報からとある厳重なセキュリティに守られた邸宅から世界最古の証券を狙う。4日かけて(残り8日)ついにセキュリティを破るものの、金庫にあったのは黒い狐の置物と、ダニーらへ挑戦を告げる謎の男の音声ファイルであった。彼こそが裏社会の掟を破ってベネディクトにダニーらの情報を売った人物であった。
一方、ユーロポールの窃盗専門の敏腕捜査官イザベル・ラヒリは、事件の捜査を担当し、現場の状況から犯人一味がかつて自分を利用した元恋人ラスティであること、さらに自身が追っている怪盗「ナイト・フォックス」に彼らが出し抜かれたことを察知する。すぐにフランク・キャットンを捕まえると、さらにラスティに会いに行き、証拠がないため捕まえこそしないが、彼の携帯電話を盗み出し、ダニーらに対する警戒網を張る。しかし、ダニー達もまた、イザベルのセリフから妨害者の正体が、かつてヨーロッパで名を馳せた大泥棒ギャスパー・ルマークの弟子であるナイト・フォックスだと知る。
木曜日(あと6日)。警戒網からの脱出時のミスでイエンがブリュッセル(ベルギー)に行ってしまうなどのトラブルに見舞われる中、ダニー達は、とあるツテからナイト・フォックスの正体が、成功した青年実業家で貴族でもあるフランソワ・トゥルアーであると知る。さっそくダニー達は、その日の内に意趣返しとしてイタリア北部のコモ湖の湖畔にある彼の邸宅から絵画を数枚盗み出す。翌日(あと5日)、ダニーはトゥルアーと面会する。トゥルアーは三大カジノ強盗を成功させたダニーが「世界一の泥棒」と評され、それを師匠のルマークが否定せず、プライドを傷つけられたことから、本当の世界一を決めるために泥棒勝負がしたく、ベネディクトに情報を流したと話す。その上で、標的は今朝、パリの美術館よりローマの美術館に移送され、月曜日(リミットの2日前)から展示予定の「ファベルジェの卵」であり、もしダニーたちが勝てば、ベネディクトへの支払いはすべて自分が立て替えると約束し、ダニーは勝負を受ける。一方、イザベルもまた、盗んだラスティの携帯電話への着信情報などを踏まえて、彼らの狙いが「ファベルジェの卵」と知る。上司に緊急配備を依頼するが、過去の失敗があって指令書への署名を拒絶されてしまう(その後、署名を偽造して特別捜査網を張らせる)。
ローマに集まったダニーらは、卵の強奪計画を練る。美術館の夜間セキュリティは厳重すぎるため、昼間の展示を狙うこととし、ラスティの旧友の技術者ローマン・ネーゲルが製作した精巧な3Dホログラムとすり替える計画を立てる。一見、完璧な作戦に見えたが、ダニーとラスティは失敗を確信しており、さらにトゥルアーは自分の絵画を盗んだ実行犯であるリヴィングストン・デル、バージル・モロイ、そしてラスティが映った防犯カメラの映像をイザベルに渡していた。そして月曜日(残り2日)、美術館に集まったダニーらであったが、未だ手配書が作られておらず単独行動をしていたライナス・コールドウェル、バシャー・ター、ターク・モロイ以外は、全員が逮捕されてしまう。
逮捕を免れアジトに戻ってきたライナスら3人は明日1日の猶予しか無い中で、素人のテスをローマに呼び寄せると、妊娠中のジュリア・ロバーツに変装させ、3Dホログラムにすり替えるという奇策を立てる。期限当日、ローマにやってきたテスを説得し、ジュリアに見せかけるが、本物のブルース・ウィリスがいるなど計画が狂っていく。ソールが合流し咄嗟の機転で計画を修正して進めていくが、結局は破綻し、残ったメンバー全員も逮捕されてしまう。
その日の内に、ダニーらがいる拘置所にFBI捜査チームの一団がやってくる。リーダーの女性捜査官モリー・スターは、三大カジノ強盗の一件で、ダニーらの身柄をアメリカへ移送する手続きを取り、また、イザベルに対しては彼女の書類偽造がユーロポール長官に既に発覚していることを伝える。ダニーらを乗せ空港へ向かうFBIの車列の中、実はモリーの正体は、ライナスの母であり、彼らを助けるためにやってきたことが明らかとなる。結果、ダニーら一味はまんまと脱獄を果たす。また、自分の乗った車を追跡して空港まで来たイザベルに対し、ラスティは、彼女が書類偽造によってもはや警察にはいられないだろうと指摘し、死んだと思われている彼女の父が実は生きていることや、会わせたい人がいると言って、自分についてくるように言い、2人はプライベートジェットに乗る。
夕暮れ。コモ湖の邸宅に戻ってきたトゥルアーを、客としてやってきたダニーとテスが待ち構えていた。既に脱獄しているダニーの手腕を讃えつつも、トゥルアーは卵が搬入された土曜の内に、その類まれなる身体能力でセキュリティを突破し、偽物にすり替えていたことを明かした上で、自分の勝ちを認めるよう迫る。ところが、実はダニーはルマークと旧知の仲であり、残り6日(木曜日)の時点で、既にルマークと直接会って、彼から話を聞いていた。「ファベルジェの卵」が勝負の標的になることも予測されており、実はパリからローマに移送されている時点で、既にダニーらによって偽物にすり替えられていた(つまり、ダニーがトゥルアーと最初に会って勝負の取り決めをした時には既に卵を盗んでいた)。トゥルアーは強いショックを受けるも負けを認め、ベネディクトへの支払いを約束する。一方、シチリア島の海辺の寒村にて、ラスティはイザベルを、一人の初老の男と引き合わせる。彼こそ彼女が追っていたギャスパー・ルマーク本人であり、さらに亡き母から既に死んだと聞かされていた実父であった。父娘は互いに抱擁を交わす。
ベネディクトのオフィスにて、ルーベンは2億ドルの小切手をベネディクトに渡し、完全に約束は果たされたことを確認する。2人の背後には用務員に変装して既に潜入しているトゥルアーがいる中で、ルーベンは、ダニーらの報復を疑うベネディクトに対し、君のカジノが再び襲われてもそれはダニーではないと断言する。
本作の脚本は、途中でジュリア・ロバーツが双子を妊娠していることが判明して、手直しがなされた。
撮影は、2004年にニュージャージー州アトランティックシティ、フロリダ州セントピーターズバーグ、ラスベガスのベラージオで行われた。また、シカゴ、アムステルダム、パリ、モンテカルロ、コモ湖(ジョージ・クルーニーの別荘「ラグリオ」)、ローマ、シチリア島カステッランマーレ・デル・ゴルフォもロケ地となっている。オランダでの撮影は3週間を費やし、カッテンカビネット(猫の博物館)、ホテル・ピューリッツァー、ハーレム鉄道駅、ハーグ市庁舎で撮影が行われている。パリでは、ソルボンヌ、駐仏オーストラリア大使館、パリ北駅で撮影が行われた。その後、イタリア方面へ移動し、カジノ・ド・モンテカルロ(モナコ)やヴィラエルバもロケ地となっている 。
レビュー集計サイト「Rotten Tomatoes」では181件のレビューを基に55%の支持、平均評価は5.8/10となっている。同サイトの批評コンセンサスでは「ある人は、最新のスターが勢揃いした強盗映画を楽しめ、いかにもなスター映画と評しているが、一方では怠惰で自己満足的で非論理的だと宣言している」。Metacriticでは、39人の批評家を基に100点満点中58点の加重平均スコアを獲得しており、「賛否両論または平均的な評価」としている。CinemaScoreでの観客評価では、A+からFまでの平均点で「B-」と平均的な評価をされている。
本作は、物語の開始が遅いこと、複雑なプロット、先行するアクションの多くを否定する最後のどんでん返しのために批判された。ワシントン・ポスト紙のスティーブン・ハンターは、「それはすべて腹立たしいほど、杜撰な注釈1つによって終わってしまう。私たちのために脚色されたラストシーンWXYZが展開され、それを私たちは誠意をもって受け入れたにもかかわらず、そこに突然かつ恣意的にSTUVが挿入され、WXYZは完全に無効化されてしまうのだ」と評した。ニューズウィーク誌の評では「キャストたちは楽しんでいるように見えるが、不自然なオシャレさは自己満足に気取っているだけに見え、独り善がりに感じられる」。USAトゥデイ紙のClaudia Puigは「このまま行けば、オーシャンズ17あたりで、製作のためにハリウッド全体を丸1日使うことになるだろう」。エンターテインメント・ウィークリー誌では「これまでに作られた中で最悪の続編映画25本」の1つと評された。
一方、肯定的なレビューとしては、シカゴ・サンタイムズ紙のロジャー・イーバートが4つ星のうち3つを与え、その巧妙さを称賛した。「本作はすべての場面で出てくる気の利いたジョークでキャラクター達を個性的に見せている・・・・・・ 振る舞い、セリフ、会話劇、スターの魅力、賢しい仲間内のジョーク。私は本当にそういうのが好きなんだ」。また、監督のスティーヴン・ソダーバーグは、オーシャンズシリーズ3作品のうち、本作を最も好きな作品に挙げている。
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え | |
---|---|---|---|
ソフト版 | 日本テレビ版 | ||
ダニー・オーシャン | ジョージ・クルーニー | 小山力也 | 磯部勉 |
ラスティ・ライアン | ブラッド・ピット | 細井治 | 堀内賢雄 |
ライナス・コールドウェル | マット・デイモン | 竹若拓磨 | 桐本琢也 |
フランク・キャットン | バーニー・マック | 茶風林 | 銀河万丈 |
バシャー・ター | ドン・チードル | 大黒和広 | 檀臣幸 |
バージル・モロイ | ケイシー・アフレック | 落合弘治 | 村治学 |
ターク・モロイ | スコット・カーン | 木下浩之 | 古田信幸 |
イエン | シャオボー・チン | 小野塚貴志 | 樫井笙人 |
リヴィングストン・デル | エディ・ジェイミソン | 渡辺穣 | 田原アルノ |
ルーベン・ティシュコフ | エリオット・グールド | 富田耕生 | 内海賢二 |
ソール・ブルーム | カール・ライナー | 大木民夫 | 富田耕生 |
テリー・ベネディクト | アンディ・ガルシア | 内田直哉 | 大塚芳忠 |
テス・オーシャン | ジュリア・ロバーツ | 佐々木優子 | 勝生真沙子 |
フランソワ・トゥルアー | ヴァンサン・カッセル | 大塚芳忠 | 森田順平 |
イザベル・ラヒリ | キャサリン・ゼタ=ジョーンズ | 沢海陽子 | 山像かおり |
ギャスパー・ルマーク | アルバート・フィニー | 長克巳 | 稲垣隆史 |
ローマン・ネーゲル | エディー・イザード | 田中正彦 | 江川央生 |
モリシオ・ジョルダーノ警察署長 | マッティア・スブラージア | 諸角憲一 | 金尾哲夫 |
マツイ | ロビー・コルトレーン | 楠見尚己 | 登場シーンカット |
モリー・スター | チェリー・ジョーンズ | 磯辺万沙子 | 沢田敏子 |
ポール | ジェローン・ウィリアムズ | 岩崎ひろし | てらそままさき |
ブルース・ウィリス | 内田直哉 | ||
トファー・グレイス | 小野塚貴志 | 星野貴紀 | |
音楽プロデューサー | ジャレッド・ハリス | 田中正彦 | |
銀行員グレック | エド・クロス | 岩崎ひろし | 岩田安生 |
テレーザ | 勝田晶子 |
日本ではワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメントよりDVD、ブルーレイが発売。
This article uses material from the Wikipedia 日本語 article オーシャンズ12, which is released under the Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 license ("CC BY-SA 3.0"); additional terms may apply (view authors). コンテンツは、特に記載されていない限り、CC BY-SA 4.0のもとで利用可能です。 Images, videos and audio are available under their respective licenses.
®Wikipedia is a registered trademark of the Wiki Foundation, Inc. Wiki 日本語 (DUHOCTRUNGQUOC.VN) is an independent company and has no affiliation with Wiki Foundation.