軽飛行機(けいひこうき)とは小型の飛行機を指す非公式なカテゴリーのひとつ。公式ないし明確な定義があるわけではないが、概ね自重1,500kg以下、レシプロ単発、プロペラ推進、発動機出力300hp以下、乗員8名程度以下の固定翼飛行機で、遊覧・移動・写真撮影などを目的とし、飛ぶこと以外の特別な装備を持たないものを指す。
アメリカの航空業界では最大離陸重量が12500ポンド (5,670 kg)以下の航空機を「Light aircraft」と分類している。
国際民間航空機関の航空機分類にある「軽航空機」は気球や飛行船などの空気より軽い航空機を、超軽量動力機は非常に軽量かつ簡単な構造の機体を有する動力付の航空機を指し、軽飛行機とは異なる。
軽飛行機でも業務としての輸送、ビジネス、曲技飛行、農薬散布などの目的を持ち、そのための設計が行われている場合はそれぞれ輸送機(軽輸送機)、ビジネス機、曲技機、農業機などと呼ばれ、軽飛行機とは言わないのが普通である。また、軽飛行機は軍用に用いられることもあるが、その場合も「連絡機」「観測機」「練習機」等、その目的に沿った呼び方が行われるが、マスコミであっても外形的な印象から「軽飛行機」と記述することがある。
エンジンはライカミング・エンジンズやコンチネンタル・モータースの製品が主流であるが、近年では複合材料により機体を軽量化することで100馬力以下の低出力だが軽量なエンジンを搭載した機体もある(テクナム P2008など)。
完成品だけでなくユーザー自らが機体を組み立てることを前提とし、設計図と部品のリスト(専用部品は付くこともある)を販売する組み立てキット(ホームビルト機)も多い。
長年セスナ、ビーチクラフト、パイパー・エアクラフトのビッグスリーにムーニー社(Mooney International Corporation)が続くという状態であったが、近年では新興メーカーのダイヤモンド・エアクラフト・インダストリーズとシーラス・エアクラフトのシェアが伸びている。
フランスやアメリカなど超軽量動力機の規制が緩い国の市場向けにFk14 PolarisやCZAW SportCruiserのように軽飛行機と遜色ない機体も開発されている。近年では軽飛行機の中でも性能を限定することで低価格を実現したLight-sport aircraft(LSA)と呼ばれるカテゴリーが登場しており、アメリカでは自家用操縦士よりも簡単に取得できるLSA限定資格(sport pilot)も創設された。
高出力の電動機やリチウムイオン電池、小型のジェットエンジンなどが安価に生産されるようになったことで、軽飛行機並みの運動性能を備えたモーターグライダーも登場している。
かつては弾着観測や連絡飛行に多用されたが、それらの任務の大半はヘリコプターに移っている。また初等・基本練習機としての用途でも、軍用機の発動機がターボプロップやターボジェットおよびターボファン主流になるなかで、レシプロエンジンよりも強力なターボプロップエンジンを装備した運動性の高いものに変わってきている。そのため、今日では軽飛行機は軍用の主力機として用いられることは多くない。例外として、軽飛行機をベースに武装を施した軽攻撃機がCOIN機(Counter Insurgency) として対ゲリラ・対テロ作戦などに使用される事がある。
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