ヴォルフスシャンツェ (Wolfsschanze) とは、第二次世界大戦で東部戦線のドイツ国防軍の作戦行動を指導するため、アドルフ・ヒトラーが設けた要塞化された指揮所Ǎである。また、第二次世界大戦中に各地に設けられた総統大本営の一つである。名称はドイツ語で「狼の砦」を意味するが、日本では英語の The Wolf's Lair の重訳である狼の巣という名称もよく知られている。
ヴォルフスシャンツェ 狼の巣 | |
---|---|
Wolfsschanze | |
Part of 総統大本営 | |
ポーランド、ヴァルミア=マズールィ県, ケントシン | |
ヒトラー専用のブンカー | |
座標 | 北緯54度04分49秒 東経21度29分39秒 / 北緯54.0804度 東経21.4941度 東経21度29分39秒 / 北緯54.0804度 東経21.4941度 |
種類 | 耐爆薬式ブンカー |
施設情報 | |
所有者 | ポーランド政府 |
管理者 | Wilcze Gniazdo |
一般公開 | Yes |
現況 | 遺跡 (破壊) |
歴史 | |
建設 | 1941年 (1941年6月21日) |
建設者 | Hochtief AG トート機関 |
使用期間 | 3½ years |
建築資材 | 2 m (6 ft 7 in) 鉄筋コンクリート |
現況 | ドイツ軍によって、1945年1月27日に爆破 |
主な出来事 | 7月20日事件 |
駐屯情報 | |
元指揮官 | SS中将 ヨハン・ラッテンフーバー |
駐屯部隊 | RSD 総統護衛師団 |
使用者 | アドルフ・ヒトラー ナチス・ドイツ政府 国防軍最高司令部 |
建設された場所は、東プロイセン州のラステンブルク(現:ポーランド領ケントシン)の東約8 kmの森林の中である。ラステンブルク周辺は東プロイセン時代から屈指の景勝地で、現在はポーランド・マズーリ湖沼地帯として知られる。
この施設には居住棟、厚生棟(食堂・娯楽室・映画館など)、管理棟がおよそ40棟、コンクリート製の大型掩蔽壕(ブンカー)が7棟、小型のものが40棟があった。ブンカーのコンクリートの厚さは6 mから8 mに達していた。この他、鉄道引込線と滑走路が2ヵ所があった。
周囲は50 mから150 mの幅の地雷原に囲まれ、有刺鉄線は10 kmに達し、面積は周囲の森林地帯を含め8平方kmに及んだ。警備する将兵は1944年時点で約2,000名に達した。
建設はアウトバーンの建設者フリッツ・トート博士の率いるトート機関が担当した。ソ連侵攻開始の2日後の1941年6月24日にヒトラーは首都ベルリンよりこの地へ移ったが、工事は一部進行中であった。ヒトラーが1944年11月20日にこの地を去るまでの間、総統大本営の機能はこの地に置かれた。ヒトラーはオーバーザルツベルクのベルクホーフに滞在する以外のほとんどをこの地で過ごした。
ヴォルフスシャンツェはヒトラー暗殺未遂事件の舞台としても有名である。国内予備軍参謀長クラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐は、ヒトラーの臨席する戦況会議室に時限爆弾を仕掛けた(ヴァルキューレ作戦)。現在、事件現場となった会議室跡には記念碑がある。
ベルリン陥落のおよそ3ヵ月前の1945年1月27日、ソ連軍が東プロイセンに侵入した時、ヴォルフスシャンツェのすべての施設は12トンの爆薬を使ってドイツ軍によって爆破された。
第二次大戦後、ポーランド領となったヴォルフスシャンツェ周辺は未処理の地雷が多数残され、一般人立ち入りは長く禁止されていた。ポーランド政府による地雷処理は1955年に終了した。
現在、ヴォルフスシャンツェ跡はケントシン市最大の観光名所となり、訪問者は見学料を支払った後、案内人(ポーランド語、ドイツ語、英語)に従い一巡する仕組みとなっている。入口にはホテルがあり、宿泊も可能。最大の見所はヒトラー暗殺未遂事件現場となった会議室跡、ヒトラー防空壕跡、ゲーリング防空壕跡である。暗殺未遂事件当日、シュタウフェンベルク大佐が国内予備軍司令部のあったベルリン・ベンドラー街と当地の往復に使用した飛行場もそのまま現存している。
ヴォルフスシャンツェ跡は2008年公開のアメリカ映画『ワルキューレ』で認知度を上げた。地元では整備のための投資を募っている。
アドルフ・ヒトラーの「アドルフ」は古高ドイツ語の "adal(高貴な)" と "wolf(狼)" に語源があるという。ヒトラーは1920年代よりお忍びで動く場合に偽名として "Wolf(狼)" を使用し、親しい仲間に "Herr Wolf"(Herrはドイツ語で男性への敬称であり、英語のMr.に当たる)と呼ばせていた。彼は大戦中、ヴォルフスシャンツェ以外にもヨーロッパ各地に総統大本営を建設したが、その名称のいくつかは下記のように Wolf(ヴォルフ)を含んでいる。
(一部は見取り図と一致しない。黄土色はコンクリート・石造りの混合建築、青色はコンクリート建築、赤色は石造り建築、茶色は道路を示す。)
This article uses material from the Wikipedia 日本語 article ヴォルフスシャンツェ, which is released under the Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 license ("CC BY-SA 3.0"); additional terms may apply (view authors). コンテンツは、特に記載されていない限り、CC BY-SA 4.0のもとで利用可能です。 Images, videos and audio are available under their respective licenses.
®Wikipedia is a registered trademark of the Wiki Foundation, Inc. Wiki 日本語 (DUHOCTRUNGQUOC.VN) is an independent company and has no affiliation with Wiki Foundation.