『マイティ・ソー』(Thor)は、2011年のアメリカ合衆国のスーパーヒーロー映画。マーベル・スタジオ製作。主演はクリス・ヘムズワース。
マイティ・ソー | |
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Thor | |
監督 | ケネス・ブラナー |
脚本 | アシュリー・エドワード・ミラー ザック・ステンツ ドン・ペイン |
原案 | J・マイケル・ストラジンスキー マーク・プロトセヴィッチ |
原作 | スタン・リー ラリー・リーバー ジャック・カービー 『マイティ・ソー』 |
製作 | ケヴィン・ファイギ |
製作総指揮 | ルイス・デスポジート スタン・リー パトリシア・ウィッチャー |
出演者 | クリス・ヘムズワース ナタリー・ポートマン トム・ヒドルストン ステラン・スカルスガルド コルム・フィオール ジェイミー・アレクサンダー レイ・スティーヴンソン イドリス・エルバ カット・デニングス 浅野忠信 クラーク・グレッグ レネ・ルッソ アンソニー・ホプキンス |
音楽 | パトリック・ドイル |
撮影 | ハリス・ザンバーラウコス |
編集 | ポール・ルベル |
製作会社 | マーベル・スタジオ |
配給 | パラマウント映画 |
公開 | 2011年5月6日 2011年7月2日 |
上映時間 | 114分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $150,000,000 |
興行収入 | $449,326,618 $181,030,624 5億円 |
前作 | MCU アイアンマン2 |
次作 | MCU キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー マイティ・ソー マイティ・ソー/ダーク・ワールド |
「マーベル・コミック」のヒーローコミック『マイティ・ソー』の実写映画化の第1作品目。また、様々な「マーベル・コミック」の実写映画を、同一の世界観のクロスオーバー作品として扱う『マーベル・シネマティック・ユニバース』としては、第4作品目の映画となる。
「マーベル・コミック」の作品『マイティ・ソー』を原作とする実写映画化作品。様々な「マーベル・コミック」のヒーロー作品を、同一の世界観でクロスオーバー作品として扱う一大企画『マーベル・シネマティック・ユニバース』の一作品でもあり、その中では『アイアンマン2』に続く第4作品目となる。
主演のクリス・ヘムズワースとトム・ヒドルストンはハリウッドの駆け出し俳優だったが、北米で2週連続1位を記録。世界興行収入で4億ドル以上売上げるなどのヒットとなった。それを受けて2作目の製作も決定した。日本では7月2日に公開され、キャッチコピーは「神失格の男(ヒーロー)"二つの世界"の運命は彼の手に」である。
西暦965年。オーディン率いるアスガルドの軍団は、ラウフェイ率いるヨトゥンヘイムのフロスト・ジャイアントの侵略からミッドガルド(地球)を守るために戦っていた。戦闘の末、アスガルドの戦士たちはフロスト・ジャイアントを破り、そのパワーの源である「箱」を押収した。
現代。オーディンの息子のソーのアスガルド王位継承の儀式の最中に、フロスト・ジャイアントが「箱」を奪おうと宝物庫に侵入したが、戦闘マシン「デストロイヤー」に阻止される。オーディンは休戦を崩したくないとするが、儀式を台無しにされたソーはオーディンの制止を無視し、弟のロキ、幼馴染のシフ、「ウォリアーズ・スリー」のヴォルスタッグ、ホーガン、ファンドラルを引き連れ、ヨトゥンヘイムに攻め込んだ。激戦の中、オーディンが介入して一同は退却するが、アスガルドとヨトゥンヘイムは開戦の危機を迎えた。怒ったオーディンは罰としてソーのパワーを奪い、ムジョルニアと共に地球に追放した。
ソーはニューメキシコ州へと落下し、天文物理学者のジェーン・フォスター、そのアシスタントのダーシー、指導者のエリック・セルヴィグ博士に発見される。やや離れた場所でムジョルニアも発見され、S.H.I.E.L.D.のエージェントのフィル・コールソンらが調査を始める。ジェーンはワームホールの研究のヒントがソーにあると考えるが、研究データや機材をS.H.I.E.L.D.に押収されてしまう。ムジョルニアを探すソーと研究データを取り戻したいジェーンはS.H.I.E.L.D.のキャンプに向かい、ソーは単身で突入するが地面に刺さったムジョルニアを持ち上げられず、捕らわれてしまう。その後、ソーはセルヴィグの助けで解放されてジェーンと再会し、彼女と惹かれあう中で、自身の行いを反省し、追放という罰を受け入れようとしていた。
一方アスガルドでは、ロキは自分がオーディンによって拾われたラウフェイの息子だったと知る。すべてを明かした直後に深い「眠り」についてしまったオーディンに代わってロキは王位へつき、さらにヨトゥンヘイムに行ってラウフェイにオーディンを暗殺すれば「箱」を返すと持ちかけた。ロキに不信感を抱いたシフとウォリアーズ・スリーは、ソーを戻すためにビフレストの番人であるヘイムダルを説得し、地球へと向かった。これを知ったロキはソー抹殺のためにデストロイヤーを地球へ送り込んだ。
シフとウォリアーズ・スリーがデストロイヤーに立ち向かうが歯が立たない。友と地球の人々を守るため、ソーはその身をデストロイヤーの前にさらし致命傷を負う。その時、再びソーを主と認めたムジョルニアが飛来し、力を取り戻したソーはデストロイヤーを粉砕した。そしてロキを止めるため、ソーは仲間たちと共にアスガルドへ帰還する。
ロキの手引きでオーディンの寝室に侵入したラウフェイだが、そこでロキに返り討ちにされる。全ては王位継承者としての伯付けを目論むロキの罠だった。報復の大義名分を得たロキは、ビフレストを暴走させてヨトゥンヘイムを滅ぼそうとし、これを止めようとするソーと激闘を繰り広げる。ソーは二度とジェーンに会えなくなると覚悟の上でビフレストを破壊する。二人は宇宙に投げ出される寸前に目覚めたオーディンに助けられるが、敗北を悟ったロキは自ら宇宙の彼方へと姿を消す。
全てが終わり、ソーはビフレストの跡地に佇むヘイムダルに地球の様子を尋ねる。ヘイムダルの目にはソーと再会するために研究を続けるジェーンの姿が映っていた。
その後、S.H.I.E.L.D.の基地に招かれたセルヴィグ博士はニック・フューリーから無限の力を生み出す謎のキューブの調査を依頼される。何かに魅入られるように依頼を承諾するセルヴィグ。傍らの鏡に映るセルヴィグの隣にはロキの姿があった。
地球そのものである世界。遠い過去にアスガルド人たちが幾度となく訪れ、その際の伝説が北欧神話として残されている。
かつてサム・ライミ監督が『ダークマン』の後に『ソー』を映画化する話があったが、実現せず、映画化企画はマーベル・スタジオが軌道に乗る1997年4月まで破棄された。その後、映画『X-メン』の成功により映画化が現実味を帯びてきた。その後テレビ映画として作り、UPNが放送し、タイラー・メインをソー役にする話があった。2000年5月、マーベル・スタジオはArtisan Entertainmentに融資を求めるが、企画倒れになってしまう。その後、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが映画化権を獲得し、2004年12月、デヴィッド・S・ゴイヤーに監督・脚本が依頼された。2005年に、ゴイヤーとマーベルで話し合いが行われたが、その後、彼は企画から外れた。
2006年4月、パラマウントがソニーから映画化権を買い取り、マーク・プロトセヴィッチが脚本を書くことになった。同年、映画はマーベル・スタジオが制作すると発表された。2007年8月、マシュー・ヴォーンが本作を監督する契約を交わした。ヴォーンはプロトセヴィッチの初期案に3億ドルの製作費を見込み、1億5000万ドルまで落とすために脚本が書き直された。またヴォーンは2008年後半にクランクインの予定だった。『アイアンマン』の成功後、マーベル・スタジオは『アイアンマン2』でソーを紹介し、2010年6月4日に『マイティ・ソー』を公開予定と発表した。
2008年5月にヴォーンの契約が切れると、マーベルは再度プロトセヴィッチに脚本を書かせ、新たな監督を探した。2008年9月には、D・J・カルーソがプロジェクトを引き受ける話が出てきた。その後、ケネス・ブラナーへの交渉が行われ、2008年12月に彼の雇用が発表された。ブラナーは2010年1月の撮影開始を希望し、マーベル・スタジオの予定だった2010年7月16日から約1年遅れの2011年6月17日に公開日を遅らせることとなった。その後、2011年7月22日公開予定の同スタジオ製作映画『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』から間隔を空けるために公開日は2011年5月20日に変更された。2009年2月、『アイアンマン』でニック・フューリーを演じたサミュエル・L・ジャクソンが、本作を含む9作品に同役で出演する契約を交わした。だがジャクソンは2010年4月のインタビューで、『マイティ・ソー』に出演する予定はないと述べた。2011年2月、『レイト・ナイト・ウィズ・ジミー・ファロン』にて、ジャクソンは『マイティ・ソー』でのシーンを撮影中と明らかにした。
2009年2月、ソー役の俳優を探すオーディションが行われた。25歳前後の俳優を探し、2009年5月にクリス・ヘムズワースと交渉した。後日、マーベルは以前にブラナーと働き、当初主演に考えられていたトム・ヒドルストンをロキ役にキャスティングしたと発表した。マーベル・スタジオのケビン・ファイギはヘムズワースとヒドルストンの両者との契約成立を6月に明かした。フィージはまた、映画では現代の地球とアスガルドの両方が舞台だが、ソーの人間体であるドナルド・ブレイク医師の設定は無いと述べた。
ヘムズワースとヒドルストンが決まった後、残りのキャストが埋まり始めた。7月、マーベルはナタリー・ポートマンがジェーン・フォスターを演じると発表した。9月、ジェイミー・アレクサンダーとコルム・フィオールがキャストに加わり、アレクサンダーがシフ、フィオールが役名不明の悪役を演じるだろうと報じられた。スウェーデンのニュースサイト『Ystads Allehanda』のインタビューで、ステラン・スカルスガルドのキャスト参加を述べた。10月下旬までに、アンソニー・ホプキンスがオーディンに配役された。さらに数週間後、マーベルはウォリアーズ・スリーをキャスティングし、ファンドラルをスチュアート・タウンゼント、ホーガンを浅野忠信、ヴォルスタッグをレイ・スティーヴンソンが演じると発表した。数日後、イドリス・エルバのヘイムダール役でのキャスト参加が発表された。
ナタリー・ポートマンはインタビューにて、女優のカット・デニングスがプロジェクトにかかわるのを明らかにした。デニングスは、ポートマン演じるジェーン・フォスターの同僚のダーシー役となった。12月、レネ・ルッソがソーの養母でオーディンの妻のフリッガ役に振り当てられた。その後、ジョゼフ・ガット、トロイ・ブレンナ、ジョシュア・コックスが役名不明でキャスティングされたことが明らかになった。また2010年1月、アドリアナ・バラッザが脇役でキャストに参加。撮影開始の数日前、「創造性の違い」からスチュアート・タウンゼントが降板し、ファンドラル役はジョシュア・ダラスに変わった。『スパイダーマン4』の製作遅延に伴い、パラマウントとマーベル・エンタテインメントは、公開日を2週間繰り上げて2011年5月6日に変更した。
2008年10月、マーベル・スタジオは『アイアンマン2』、『マイティ・ソー』、『キャプテン・アメリカ: ザ・ファースト・アベンジャー』、『アベンジャーズ』の計4作の撮影の為にカリフォルニア州マンハッタンビーチのラリースタジオと長期契約した。主要撮影は2010年1月11日開始。2月、パラマウントがビーチ撮影のためにカリフォルニア州デル・マー市と交渉したと報じられた。3月15日、撮影場所はニューメキシコ州ガリステオに移った。4月、パラマウントは撮影のための移動費用が高額であるとしてデル・マーでの撮影を諦め、カリフォルニア北部に変更した。
主要撮影は5月6日に完了し、ポストプロダクションが始まったとクリス・ヘムズワースが明らかにした。特殊効果はフランスのBUF Compagnieが主導となり、デジタル・ドメインと協力して行われる。2010年6月、クリス・ヘムズワースの衣装のコンセプト・アートが公開された。
2010年7月、『ロサンゼルス・タイムズ』は本作と『キャプテン・アメリカ』の2作が3D映画として公開予定であると報じた。プロデューサーのケヴィン・ファイギによると、撮影では3Dカメラを使わないが、ポストプロダクションの段階からステレオDによる3D変換として製作される。
2010年10月、2、3の新しい場面のために撮り直しをしたと報じられた。
2011年3月、編集の際に劇場公開版からアドリアナ・バラッザのシーンが取り除かれた。ケネス・ブラナーはカットした理由の説明と謝罪の手紙を彼女に送った。バラッザは「映画が素晴らしい出来で、才能ある俳優たちと共演した場面がカットされるのは残念ですが、私は映画の性質を理解しており、そして場面がカットされることは珍しいことではありません」と答えた。バラッザは劇場公開版では一場面のみ登場する。
2011年5月、エンドクレジット後のステラン・スカルスガルドとサミュエル・L・ジャクソンのシーンは『アベンジャーズ』のジョス・ウェドンが監督したと明らかとなった。
『マイティ・ソー (サウンドトラック)』 本作の音楽はパトリック・ドイルが手掛け、ブエナ・ビスタ・レコードよりアルバム盤が発売された。エンディング曲にはフー・ファイターズの「ウォーク」が使用された。
2011年4月17日にオーストラリアのシドニーでワールド・プレミアが行われた。アメリカでは5月2日にハリウッドのエル・キャピタン劇場で行われた。
2010年のコミコン・インターナショナルで予告編(5分以上)が初公開され、インターネット上に流出した。一般向けの第一弾ポスターは2010年12月9日に公開され、翌10日には予告編が公開された。2011年2月、フォックス放送が中継する第45回スーパーボウルで30秒のテレビスポット(広告料は300万ドル)が流された。マーベル・スタジオとアキュラは共同で2011年のシカゴ・コミック・アンド・エンターテインメント・エキスポでバイラル・マーケティングを開始した。この他の公式プロモーション・パートナーはバーガーキング、ドクターペッパー、セブン-イレブン、Visaなど。
本作の公開に合わせて、マーベルアニメーションによるテレビアニメの製作が発表された。また、ビデオ映画『勇者ソー: アスガルドの伝説』が5月17日に発売された。
さらにセガで本作をベースとしたコンピュータゲーム Thor: God of Thunder が開発され、2011年5月3日に発売された。このゲームではクリス・ヘムズワースとトム・ヒドルストンが声の出演を果たした。
世界で最も早い一般公開はオーストラリアの2011年4月21日で、公開3日間で580万ドルと『ワイルド・スピード MEGA MAX』に次いで初登場2位となった。これは、2008年の『アイアンマン』を1%上回る成績である。その翌週、56市場で公開され、週末に8920万ドルを売り上げた。北アメリカでは、公開初週末に約6600万ドルを記録、その内10%の約660万ドルは、213か所のIMAX劇場による。2011年5月18日時点で北米で1億7793万1000ドル、それ以外の国々で2億6170万ドルの興収を記録。
本作は批評家には概ね好意的な反応を得ており、Rotten Tomatoesでは231のレビュー中77%が支持して「フレッシュ」となっており、平均点は10点満点で6.7点を獲得した。また、Metacriticでは、39のレビューで100点満点中58点となっている。
『ハリウッド・リポーター』誌のメーガン・レーマンは「雷神のハンマーを投げつける衝撃音で今年のスーパーヒーローの夏がスタートする」と述べた。『シカゴ・サンタイムズ』のリチャード・ローパーは、「オリジナルのスパイダーマン以来最も愉快なスーパーヒーローのデビューだ」と評した。
逆に、『シカゴ・サンタイムズ』のロジャー・イーバートは「マーケティングには成功しているが作品としては失敗」と、否定的なレビューを書いた。また、『ニューヨーク・タイムズ』のA・O・スコットは、「想像以上に商業的成功への打算がプログラムされた一例」と、映画を嫌った。『ロサンゼルス・タイムズ』のケネス・トゥランは、絶賛も酷評もせず、「予測できる要素とできないものとの美的なにらみ合い」と記した。トゥランはヘムズワース、ホプキンス、エルバの演技を称賛したが、特殊効果が矛盾し、地球でのストーリーに目新しさが無いと感じていた。
日本ではパラマウント ジャパンよりBlu-ray、DVDが2011年10月21日に発売された。
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