デュエルガンダム (DUEL GUNDAM) は、テレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』に登場する、モビルスーツ (MS) に分類される架空の有人式人型ロボット兵器のひとつ。
「地球連合軍」が開発した試作機5機のうち1機。敵対国家である「プラント」の軍隊「ザフト」に強奪され、ザフトパイロットの一人「イザーク・ジュール」の搭乗機となる。5機の中では最も初期に開発され、基本的な武装を備えた汎用型となっている。強奪後の戦闘による損傷がきっかけで、ザフト製の追加装甲ユニットである「アサルトシュラウド」を纏う。「デュエル」は英語で「決闘」を意味するほか、「ガンダム」にはバクロニムが設定されており「DUEL General Unilateral Neuro-Link Dispersive Autonomic Maneuver Synthesis System」とも表記される。メディアや関連商品では「デュエルガンダム」と公称されるが、『機動戦士ガンダムSEED』シリーズやその関連作品群の作中内の設定においては、同作の他のガンダムタイプ同様に「デュエル」と呼称される。
本項では、関連作品に登場する派生機についても解説する。
デュエルガンダム DUEL GUNDAM | |
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型式番号 | GAT-X102 |
分類 | X100系 中近距離戦闘用試作MS |
全高 | 17.50m |
重量 | 61.90t 103.47t(アサルトシュラウド装備時) |
装甲材質 | フェイズシフト装甲 |
動力源 | バッテリー |
武装 | 75mm対空自動バルカン砲塔システム イーゲルシュテルン×2 175mmグレネードランチャー装備57mm高エネルギービームライフル×1 ビームサーベル×2 対ビームシールド×1 350mmレールバズーカ ゲイボルグ×1 |
特殊装備 | アサルトシュラウド (115mmレールガン シヴァ×1) (220mm径5連装ミサイルポッド×1) |
搭乗者 | イザーク・ジュール |
地球連合加盟国である大西洋連邦が、オーブ連合首長国公営企業モルゲンレーテ社の技術協力を受けてオーブ管轄の資源コロニー「ヘリオポリス」で極秘開発した5機の試作型MS(G兵器 / 初期GAT-Xシリーズ)の1機。
シリーズの中でも最初に完成したMSであり、軽量な機体の運動性や汎用性を生かした、対MS白兵戦を想定して開発された。従来のザフト製MSではMAや戦艦といった兵器群を仮想敵としていたが、戦争序盤でザフトに大敗を喫した連合軍では当初から対MS戦を想定する必要性に迫られ、携行装備に実弾・実体剣を多く持つザフトMSへの対抗策としてGAT-Xシリーズでは実体兵器をほぼ無効化するフェイズシフト装甲(PS装甲)を導入された。
デュエルはすべてのGATシリーズの母体とも言える機体で、ほかの4機は本機をもとに各々のコンセプトに特化して開発されている。これはフレームの共通化という後々の拡張用の規格統一と、能力面でコーディネイターに劣るナチュラルが機種転換を容易にできるよう操縦面にも配慮した措置でもある。軽量を活かした高い運動性能と、ビームライフルやビームサーベルを駆使した白兵戦を基本戦術とし、デュエルという機体名もこれに由来する。
シリーズ最初期に完成した本機は内外装機材との相性があまり練り込まれておらず、想定性能を充分に発揮できているとは言い難い。しかしMSとしては標準的なステータスを持ち、当時のザフト主力MSのジンをPS装甲・携行型ビーム兵器によって圧倒する。その機体構造や兵装の構成から、連合製MSの基礎となった機体と言える。本機の量産機として連合軍所属コーディネイター専用機ロングダガーを経てナチュラル用機体デュエルダガーが生産された。
ザフトが開発していた、第1世代MS用強化パーツである「アサルトシュラウド」をデュエル用に再設計し、装備した形態。第11話で損傷したデュエルの修理と並行して特注・装備されたものであり、採用にはイザークの意向が汲み取られている。「シュラウド」とは「死体を包む布」を意味する。
通常の部材で造られているものなのでPS装甲のような革新的堅牢性は無いが 、バイタルパートに装甲が追加されているため、機体の防御力は向上している。装甲厚自体は向上したため、それを生かした強襲戦能力も増強されている。また、バックパックおよび脚部に追加された高出力スラスターによる宇宙戦での機動性と、それぞれの肩部に追加されたレールガンとミサイルによって火力を高められており、本装備は火力と推進力の向上を主眼に置いたユニットと言える。同時に総重量が100トン近くにもなるため、重力下における活動は制限される。なお、戦闘中でもパイロットの操作による任意の排除が可能。大戦後期には地球軍が本機を参考として、同コンセプトの強化装甲「フォルテストラ」を開発した。
ヘリオポリスを襲撃したザフト軍のクルーゼ隊によって奪われ、隊員の1人イザーク・ジュールの搭乗機となり、そのままヘリオポリスを脱出したアークエンジェルを追撃する。第5話でストライクによって破壊された腕は、強奪時に一緒に回収していた各機の予備パーツを使って修復される。第12話からはジンなどの追加装備を用いて新造されたアサルトシュラウドを装着。同時に強奪された他の3機と共にアークエンジェルを追い詰めるが、そのたびにキラ・ヤマトの駆るストライクに妨害される。
低軌道会戦を経て地球に降下した後、再びアークエンジェルを追って北アフリカ戦線ではディアッカのバスターと共にバルトフェルド隊に合流し、インド洋に出てマーシャル諸島ではアスラン・ザラを部隊長とする「ザラ隊」としてキラのストライクと交戦するが、連敗する。オーブ沖の戦闘でのニコルとの死別、アスランやディアッカとの離別の後もイザークの乗機としてクルーゼに随伴する。オペレーション・スピットブレイク発動後は連合本部アラスカJOSH-A(ジョシュア)侵攻作戦やパナマ攻略戦にも参加するが、作中でイザークとともにあまり描かれなかった。第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦を戦い抜き、後期GAT-Xシリーズ3機のうちフォビドゥンとレイダーを撃墜する(スペシャルエディション完結編ではフォビドゥンのみ)。さらに連合軍の旗艦ドゥーリットルを撃沈し、プラント防衛に貢献する。レイダー撃墜後に左肩を破損された状態でフェイズシフトダウンを起こすが、中破したバスターと共にアークエンジェルに収容されて補給を受け、ストライク用のビームライフルとシールドを装備してアークエンジェルの近くを飛行しているシーンが最後の姿となる。
GAT-Xシリーズで唯一稼動状態で停戦を迎えるが、続編『DESTINY』には登場しなかったため、その後については長らく不明だったが、次の続編『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』でバスターと共に後述のデュエルブリッツガンダムとライトニングバスターガンダムへと極秘裏に改修されていたことが判明する。
漫画『機動戦士ガンダムSEED Re:』では、上述のアサルトシュラウド以外にも大気圏内用の専用装備「ジェグス」が登場。空戦MSであるディンの飛行ユニットをベースにしたザフト版I.W.S.P.とも呼べる外観をしており、ディンの整流用エアロシェルが確認できる。
デュエルブリッツガンダム DUEL BLITZ GUNDAM | |
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型式番号 | ZGMF-1027M |
動力源 | 核エンジン |
武装 | 頭部機関砲×2 57mm高エネルギービームライフル×1 肩部ビームライフル×1 2連装ミサイルポッド×1 ビームサーベル×2 ランサーダート×2 グレイプニール×1 |
搭乗者 | イザーク・ジュール |
C.E.75年を舞台とする『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』に登場。
ユーリ・アマルフィやエザリア・ジュールらが試験用に改修した機体。同じ改修機であるライトニングバスターとともに動力系が核エンジンに、操縦系がザクウォーリア用コックピットに換装されている。
素体の外観はそのままに新型のアサルトシュラウドを纏い、右肩と左肩の装甲内に格納されたビームライフルやビームサーベル、2連装ミサイルポッドに加えて、かつてのブリッツを彷彿とさせる右腕のランサーダート2本、左腕の有線射出式ロケットアンカー「グレイプニール」を装備する。
ライトニングバスターとともに、廃棄されたボアズに置かれたクライン派の拠点に隠匿されていたが、ファウンデーションと共謀してクーデターを起こしたプラント国防委員長ハリ・ジャガンナート率いるザフト反乱軍鎮圧のためにイザークが久しぶりに搭乗する。戦闘ではエターナルに搭載されたミーティアとドッキングして事態の収拾にあたり、ジャガンナートの討伐を果たすとともにミレニアムの援護を行う。
監督の福田は当初、映画中に本機とライトニングバスターを登場させるとは考えていなかったが、制作担当の池谷浩臣が「古い機体の商品(ガンプラ)があると皆さん(ファン)が喜ぶのでは?」との意見を受けて登場させる決断をした旨を語っている。
ブルデュエル BLU DUEL | |
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型式番号 | GAT-X1022 |
全高 | 16.89m |
重量 | 84.24t |
装甲材質 | フェイズシフト装甲(フォルテストラ部ヴァリアブルフェイズシフト装甲) |
動力源 | バッテリー(パワーエクステンダー搭載) |
武装 | M2M5 トーデスシュレッケン12.5mm自動近接防御火器×2 Mk315 スティレット投擲噴進対装甲貫入弾×3 M443 スコルピオン機動レールガン M7G2 リトラクタブルビームガン×2 ES05A ビームサーベル×2 対ビームシールド |
搭乗者 | ミューディー・ホルクロフト |
アニメーション作品『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER』に登場。
地球連合軍第81独立機動群「ファントムペイン」が、アクタイオン・インダストリー社を中心とした複数企業の技術協力を受けて推進したエースパイロット用カスタマイズMS開発計画、通称「アクタイオン・プロジェクト」にもとづき、再製造されたデュエルを改修した機体。パイロットは「ファントムペイン」特殊戦MS小隊に所属する少尉ミューディー・ホルクロフト。機体名の「ブル」は、イタリア語で「青」を意味する。
僚機である汎用型のX105E ストライクノワール、砲戦型のX103AP ヴェルデバスターとの連携を想定し、近接白兵戦闘を重視したカスタマイズが施されている。各部に配置された増加アーマー「フォルテストラ」は、ロングダガーやデュエルダガーに採用された同名ユニットを再設計したもので、追加装備された強化スラスターや各種兵装によって機動力・攻撃力共に向上が成されている。フォルテストラやザフトのアサルトシュラウドは着脱可能なボルトオン装着方式であったが、本機ではそれらを本体と直結された固定装備とすることで、電力供給の必要なVPS装甲化が全面的に果たされた。同時に、フォルテストラは着脱不可とされている。これにより、純粋な防御装甲としての機能が高められている。同時に、装甲の採用部位には軽量化とともに可動域を損なわない配慮がなされ、原型機の持つ運動性を低下させないまま防御力の増強に成功した。マニピュレーターは可動指を再構築しつつ、アクチュエーターを改良したモデルとなっている。
ブレイク・ザ・ワールド事件後、キルギスプラントを襲撃したザフト軍の殲滅任務を受け、ストライクノワールやヴェルデバスターと共に急行し、これを鎮圧する。その後は西ユーラシア地方を進撃中のハンニバル級陸上戦艦ボナパルトの防衛任務に就き、迫り来るザフトのMS部隊を駆逐するが、背後よりバクゥの奇襲を受けてビームサーベルで右腕、シールド、レールガンを切断されたうえ、左足を撃ち抜かれて行動不能となる。最後は、3機のケルベロスバクゥハウンドのビームファングでコックピットをまるで食い殺されるかのように滅多刺しにされて大破し、パイロットのミューディーも戦死する。
レーゲンデュエル REGEN DUEL | |
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型式番号 | LR-GAT-X102 |
全高 | 18.16m |
重量 | 64.19t |
装甲材質 | フェイズシフト装甲 |
動力源 | バッテリー |
武装 | 75mm対空自動バルカン砲塔システム「イーゲルシュテルン」×2 175mmグレネードランチャー装備57mm高エネルギービームライフル |
搭乗者 | カイト・マディガン |
フォトストーリー、小説からなる外伝作品『機動戦士ガンダムSEED VS ASTRAY』から登場。
「ライブラリアン」がデュエルを独自改修・再設計した機体。パイロットはカイト・マディガン。型式番号冒頭の「LR」は「ライブラリアン・レーゲン」の略で、「レーゲン」はドイツ語で「雨」を意味する。
レールガンやバズーカといった中・遠距離戦能力を付加し、状況に応じて装備をパージし戦う能力を強化されている。そのため、基本戦術は、まずバズーカによる遠距離砲撃、続いて中距離戦をビームライフルとレールライフルで行い、ビームサーベルによって至近戦闘に移行するというものである。
また、機体各部には装甲やスラスターが増設されているが、アサルトシュラウドのように重量増を招かないよう最低限のものとし、白兵戦への移行時にパージする必要がなくなっている。また、肩アーマーはゲイルストライクで培われた技術をフィードバックしつつ小型化し、大推力によって左右に機動することも可能となった。足首は装備を戦闘中に使い捨てることによって発生する重量の変化に対応するため、調整機能が追加されている。顔部は「GZ型」と呼ばれるタイプのものに変更されているが、これはカイトの嗜好から、自身のコレクション機体から流用したもの。通常のデザインの物と性能面の差はない。
ライブラリアンの強化型Gは全機がストライカーシステムに対応しており、本機もストライカーパック用背部プラグが追加されているため、バックパックはそれ自体をストライカーパック「バズーカストライカー」として着脱可能で、他の強化型Gに装着、または別のストライカーを装着することができる。
カイトは自分の乗機にはビームと実体弾を切り替えて撃てる専用銃を装備しているが、本機には例外的に装備されていない。
緒戦でアグニス・ブラーエのターンデルタと交戦し、大破させる。その後、地上でグゥド・ヴェイアのヴァンセイバーと共にイライジャ・キールのイライジャ専用ザクファントムと交戦するが、ヴェイアがイライジャ専用ザクファントムを奪って逃走した際には追撃を放棄する。その後、プレアからの命令でザフトのジン部隊と交戦・撃破する。
ライブラリアン崩壊後はカイトのコレクションに加えられ、彼のパーソナルマークである赤縁の白十字がマーキングされる。
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