カート・スズキ: アメリカの元プロ野球選手 (1983 - )

カーティス・キヨシ・スズキ(英語: Kurtis Kiyoshi Suzuki、日本名:鈴木 清〈すずき きよし〉、1983年10月4日 - )は、アメリカ合衆国ハワイ州マウイ島ワイルク出身の元プロ野球選手(捕手)。右投右打。愛称はズック。

カート・スズキ
Kurt Suzuki
カート・スズキ: 経歴, 選手としての特徴・人物, 詳細情報
ワシントン・ナショナルズ時代
(2019年4月8日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 ハワイ州マウイ島ワイルク
生年月日 (1983-10-04) 1983年10月4日(40歳)
身長
体重
5' 11" =約180.3 cm
210 lb =約95.3 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 捕手
プロ入り 2004年 MLBドラフト2巡目
初出場 2007年6月12日
最終出場 2022年10月4日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

祖父母が愛知県名古屋市出身であり、スズキ自身は日系アメリカ人3世である。

経歴

プロ入り前

カリフォルニア州立大学フラトン校在籍時の2004年、全米大学一に輝く。正捕手として好成績を挙げ、全米大学代表チームに選ばれた他、ビッグ・ウェスト・カンファレンスのプレーヤー・オブ・ザ・イヤーとブルックス・ウォレス賞(カレッジ・ベースボール・プレイヤー・オブ・ザ・イヤー)、並びに大学最優秀捕手を称えるジョニー・ベンチ賞の3賞を受賞している。

プロ入りとアスレチックス時代

カート・スズキ: 経歴, 選手としての特徴・人物, 詳細情報 
2007年7月31日タイガース戦で、2安打3打点の活躍で初のヒーローインタビューに答える
カート・スズキ: 経歴, 選手としての特徴・人物, 詳細情報 
オークランド・アスレチックス時代(2012年3月28日)

2004年のMLBドラフト2巡目(全体67位)でオークランド・アスレチックスから指名を受け、7月16日に契約成立。この年からA-級バンクーバー・カナディアンズでプレーを始める(46試合出場)。

2005年はA+級ストックトン・ポーツで114試合に出場。守備では15失策、19捕逸を喫し、特に捕球に難があった。しかし、2年連続でベスト・ディフェンシブ・キャッチャーに選出されたほか、チームのプロスペクトランキングで10位(前年9位)となった。

2006年はAA級ミッドランド・ロックハウンズにステップアップ。99試合、打率.285、出塁率.392、OPS.807を記録し、7月9日に行われたオールスター・フューチャーズゲームに出場した他、ベースボール・アメリカ誌が選ぶAA級オールスター・チームにも選出された。シーズン終了後チーム内の有望株リストで3位にランクされ、3年連続でベスト・ディフェンシブ・キャッチャーに挙げられるなど、マイナーリーグにおいて着実に成長を続ける。

2007年の開幕はAAA級サクラメント・リバーキャッツで迎えた。控え捕手アダム・メルヒューズがテキサス・レンジャーズへ移籍したため、6月9日にメジャー初昇格。6月12日、ヒューストン・アストロズ戦の延長10回表に代打でメジャー・デビュー。14日のアストロズ戦ではライト前に初安打を放っている。7月16日、成績が低迷していたベテラン正捕手のジェイソン・ケンドールがシカゴ・カブスにトレードされたため正捕手に抜擢され、翌17日のレンジャーズ戦の8回表、ハワイ出身の日系人投手であるシェーン・コミネが5番手として登板し、メジャー史上初のハワイ出身バッテリーが誕生した。盗塁阻止率19%と低迷したが、8月16日のシカゴ・ホワイトソックス戦でサヨナラ本塁打、9月10日のシアトル・マリナーズ戦では満塁本塁打を放つなど、68試合に出場して経験を積んだ。

2008年は開幕戦から正捕手で、初めて規定打席に到達し、打率.279、7本塁打、42打点、出塁率.346を記録した。8月16日のホワイトソックス戦では代打でサヨナラ本塁打を記録。守備でも捕手としてリーグ1位の141試合で、盗塁阻止率37%(アメリカンリーグ5位)、5捕逸、23暴投に抑えた。

2009年は打率.274、15本塁打、88打点、出塁率.313の好成績を残した。長打は自己最多の53本を記録した。守備では捕手として135試合で2年連続でア・リーグ1位だった。

2010年は打率.242、13本塁打、71打点を記録。守備では捕手としてリーグ3位の123試合に出場した。

2011年は打率.237、14本塁打、44打点を記録。守備では捕手としてリーグ3位の129試合に出場した。

2012年はマリナーズと東京で開催されたMLB日本開幕戦のメンバーとして訪日している。開幕に先立って東京ドームで開催されたプレシーズンゲームでは読売ジャイアンツ戦でレビ・ロメロから、阪神タイガース戦ではランディ・メッセンジャーから本塁打を記録している。また、この試合では、東日本大震災で被災した福島県の親戚を招待していた。

ナショナルズ時代

2012年8月3日にデビッド・フレイタスとのトレードで、ワシントン・ナショナルズへ移籍した。移籍後は43試合に出場し、打率.267、5本塁打、25打点だった。

2013年は79試合に出場し、打率.222、3本塁打、25打点だった。

アスレチックス復帰

2013年8月22日にダコタ・バッカス(英語版)とのトレードで、アスレチックスに復帰した。移籍後は15試合に出場して打率.303、2本塁打、7打点を記録した。オフの11月1日にFAとなった。

ツインズ時代

カート・スズキ: 経歴, 選手としての特徴・人物, 詳細情報 
ミネソタ・ツインズ時代
(2015年8月22日)

2013年12月23日にミネソタ・ツインズと年俸275万ドルの1年契約を結んだ。

2014年5月20日のサンディエゴ・パドレス戦では自身初のランニング本塁打を記録。自身初のオールスターゲームにも選出された。7月31日にツインズと総額1200万ドルの2年契約(2017年の球団オプション付き)に合意した。最終的に正捕手として131試合に出場し、3年ぶりに規定打席に到達した。守備面では失策を4つに抑えて守備率.995を記録したが、盗塁阻止率では85回中21回を刺して阻止率25%だった。

2015年も正捕手を務め、2年連続で131試合に出場したが、打率.240、5本塁打、50打点に終わった。捕手としてア・リーグ2位の130試合に出場し、守備率は.997、盗塁阻止率は15%に留まった。

2016年は106試合に出場し、打率.258、8本塁打、49打点を記録した。6月18日のニューヨーク・ヤンキース戦では自身8年ぶりの代打本塁打をアロルディス・チャップマンの102mph(約165km/h)の速球から記録した。守備では99試合捕手を守り5失策、守備率.993だった。他、4試合で指名打者として出場した。オフの11月3日にFAとなった。

ブレーブス時代

2017年1月30日、アトランタ・ブレーブスと1年150万ドルで契約を結んだ。ブレーブスではタイラー・フラワーズの控えとして出場し、少ない打席数ながら打率.283、自己最多の19本塁打、50打点を記録した。守備ではR.A.ディッキーのナックルボールに苦しみ、自己ワーストの10捕逸を喫した。シーズン終了前の9月23日、1年350万ドルで契約延長。

2018年は105試合に出場(先発捕手としては83試合)し、打率.271、12本塁打、50打点を記録した。オフの10月29日にFAとなった。

ナショナルズ復帰

2018年11月19日、古巣のナショナルズと2年1000万ドルで契約を結び、6年ぶりの復帰が決定した。

2019年はヤン・ゴームズと出場機会を分け合う形で85試合に出場。9月3日のニューヨーク・メッツ戦では、9回に6点差からの逆転勝利を決める逆転サヨナラ本塁打を放った。同7日のブレーブス戦で右肘の炎症を負うも、重症ではなく2週間で復帰した。最終成績は打率.264、17本塁打、63打点だった。守備面では盗塁阻止率が10%しかなかった。ポストシーズン、NLDSは4試合に出場したが無安打に終わり、第5戦では顔面付近に死球を受けて途中交代した。NLCS第3戦で初安打を記録。アストロズとのワールドシリーズ第2戦では決勝点となる本塁打を打ったが、第3戦で負傷交代。その後出場することはなかったが、チームはワールドシリーズ制覇を成し遂げた。

2020年オフの10月28日にFAとなった。

エンゼルス時代

2021年1月15日にロサンゼルス・エンゼルスと150万ドルの単年契約を結んだ。同年4月26日のテキサス・レンジャーズ戦で大谷翔平とバッテリーを組み、大谷の1072日振りの勝利を引き出した。。この年は主にバックアップ捕手として72試合に出場し、打率.224、6本塁打、24打点だった。オフの11月3日にFAとなった。

2022年3月16日にエンゼルスと1年175万ドルで再契約した。今シーズン限りで現役引退を表明。

引退後

2023年3月6日、エンゼルスのGM補佐にエディ・グアダードと共になることが発表された。

選手としての特徴・人物

ベースボール・アメリカ誌の有望株リストでは、2007年版89位にランクされた。

打席内では待球打法に徹する。対左投手を得意とするが、対右投手では今一つ。また、その勝負強さからデーブ・ジョンソンに「カート・クラッチ」という愛称を付けられた。ガッツがあり、タフな捕手ではあるが、守備能力には改善の余地がある。本人は「打撃よりもまずは守備、それがチームと投手陣から信頼を勝ち取る手段」と語っており、守備に対する意識が高い。2008年以降はその守備能力も高いレベルで安定した。しかし、年齢とともに少しずつ守備力は低下、2018年のポップタイムの平均は2.08でメジャーリーグワースト3位だった。

マイナー4年間の通算成績は、打率.283、出塁率.380、OPS.799。

左上腕には漢字で「鈴木」と入れ墨を入れている。

詳細情報

年度別打撃成績

















































O
P
S
2007 OAK 68 248 213 27 53 13 0 7 87 39 0 0 3 5 24 0 3 39 4 .249 .327 .408 .735
2008 148 588 530 54 148 25 1 7 196 42 2 3 2 1 44 2 11 69 20 .279 .346 .370 .716
2009 147 614 570 74 156 37 1 15 240 88 8 2 1 7 28 0 8 59 14 .274 .313 .421 .734
2010 131 544 495 55 120 18 2 13 181 71 3 2 0 4 33 3 12 49 22 .242 .303 .366 .669
2011 134 515 460 54 109 26 0 14 177 44 2 2 3 7 38 1 7 64 14 .237 .301 .385 .686
2012 75 278 262 19 57 15 0 1 75 18 1 0 2 2 9 0 3 53 3 .218 .250 .286 .536
WSH 43 164 146 17 39 5 0 5 59 25 1 0 2 3 11 3 2 20 2 .267 .321 .404 .725
'12計 118 442 408 36 96 20 0 6 134 43 2 0 4 5 20 3 5 73 5 .235 .276 .328 .605
2013 79 281 252 19 56 11 1 3 78 25 2 0 2 4 20 6 3 32 2 .222 .283 .310 .593
OAK 15 35 33 6 10 2 0 2 18 7 0 0 0 0 2 0 0 3 0 .303 .343 .545 .888
'13計 94 316 285 25 66 13 1 5 96 32 2 0 2 4 22 6 3 35 2 .232 .290 .337 .627
2014 MIN 131 503 452 37 130 34 0 3 173 61 0 1 1 7 34 0 9 46 9 .288 .345 .383 .727
2015 131 479 433 36 104 17 0 5 136 50 0 0 6 4 29 4 7 59 14 .240 .296 .314 .610
2016 106 373 345 34 89 24 1 8 139 49 0 0 1 4 18 0 5 48 9 .258 .301 .403 .704
2017 ATL 81 309 276 38 78 13 0 19 148 50 0 0 1 2 17 2 13 39 5 .283 .351 .536 .887
2018 105 388 347 45 94 24 0 12 154 50 0 0 0 6 22 0 13 43 6 .271 .332 .444 .776
2019 WSH 85 309 280 37 74 11 0 17 136 63 0 1 0 3 20 1 6 36 10 .264 .324 .486 .809
2020 33 129 111 15 30 8 0 2 44 17 1 0 0 3 11 0 4 19 4 .270 .349 .396 .745
2021 LAA 72 247 219 17 49 8 0 6 75 16 0 0 2 3 12 0 11 44 7 .224 .294 .342 .636
2022 51 159 139 10 25 4 0 4 41 15 0 0 1 2 15 0 2 29 3 .180 .266 .295 .561
MLB:16年 1635 6163 5563 594 1421 295 6 143 2157 730 20 11 27 67 387 22 119 751 148 .255 .314 .388 .702

年度別守備成績



捕手(C) 一塁手(1B)


































2007 OAK 66 431 32 2 0 .996 7 36 29 7 .194 -
2008 141 927 53 6 4 .994 5 87 55 32 .368 -
2009 135 923 68 5 7 .995 3 108 81 27 .267 -
2010 123 825 35 8 5 .991 7 85 66 19 .224 -
2011 129 914 55 7 7 .993 5 136 98 38 .279 -
2012 75 491 37 2 4 .996 4 60 37 23 .383 -
WSH 42 324 24 3 3 .991 2 33 28 5 .152 -
'12計 117 815 61 5 7 .994 6 93 65 28 .301 -
2013 78 556 30 5 5 .992 0 59 53 6 .102 -
OAK 15 65 5 1 0 .986 3 6 4 2 .333 -
'13計 93 621 35 6 5 .991 3 65 57 8 .123 -
2014 MIN 119 737 39 4 1 .995 3 85 64 21 .247 -
2015 130 825 35 3 8 .997 3 94 80 14 .149 -
2016 99 679 28 5 2 .993 1 64 52 12 .188 -
2017 ATL 77 553 42 3 2 .995 10 55 42 13 .236 -
2018 93 744 33 5 5 .994 3 62 50 12 .194 -
2019 WSH 75 666 27 3 1 .996 6 50 45 5 .100 -
2020 30 271 10 0 2 1.000 1 33 28 5 .152 -
2021 LAA 69 597 33 10 5 .984 7 43 35 8 .186 -
2022 44 341 10 1 1 .997 2 42 35 7 .167 1 2 0 0 1 1.000
MLB 1540 10869 596 73 62 .994 72 1138 882 256 .225 1 2 0 0 1 1.000
  • 2022年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

記録

    MiLB
    MLB

背番号

  • 28(2007年 - 同年途中、2019年 - 2020年)
  • 6(2007年途中 - 同年終了)
  • 24(2008年、2012年途中 - 2013年途中、2017年 - 2018年、2021年 - 2022年)
  • 8(2009年 - 2012年途中、2014年 - 2016年)
  • 22(2013年途中 - 同年終了)

脚注

関連項目

外部リンク

Tags:

カート・スズキ 経歴カート・スズキ 選手としての特徴・人物カート・スズキ 詳細情報カート・スズキ 脚注カート・スズキ 関連項目カート・スズキ 外部リンクカート・スズキ10月4日1983年アメリカ合衆国ハワイ州プロ野球選手マウイ島ワイルク捕手英語

🔥 Trending searches on Wiki 日本語:

れいた目黒蓮川口春奈柄本佑椎名林檎マリーゴールド (女子プロレス)福原遥進撃の巨人上田麗奈亀井亜紀子 (政治家)粗品 (お笑い芸人)終末トレインどこへいく?杉咲花上野千鶴子白眞勲錦戸亮唐鳳妙義龍泰成ハリー・ケイン本多力毎熊克哉田中みな実魔法科高校の劣等生酒井菜摘北陸大学安倍晋太郎錦鯉 (お笑いコンビ)Twitter永野芽郁LE SSERAFIM阿部なつき槙野智章高畑充希国際電話番号の一覧機動戦士ガンダムSEED勇気爆発バーンブレイバーン膣内射精Instagram宮崎駿ガールズバンドクライ桜井ユキわるいやつら鶴岡果恋福本大晴Hide伊藤俊介 (お笑い芸人)眞栄田郷敦雅山哲士Z世代木村祐一ブラッド・ピットボクシング現王者一覧イラン2022年のフンガ・トンガ噴火遙洋子NewJeans国鉄三大ミステリー事件ダンジョン飯横田真悠はるかぜに告ぐハローキティ平良とみ読売ジャイアンツ鈴木孝之藤原道兼トレバー・バウアー平岩紙SEVENTEEN (音楽グループ)伊藤隆大震度7麻生太郎花咲舞が黙ってない白岩蘭奈東京都東日本大震災オードリー (テレビドラマ)水谷瞬涙の女王🡆 More