字形
呼称
- 二重のV
- 伊: doppia vu, doppio vu(ドッピャヴ/ドッピョヴ)
- 西: uve doble, ve doble(ウベドブレ/ベドブレ)
- 葡: vê dobrado, vê duplo(ヴェードブラド/ヴェードゥプロ)
- 洪: dupla vé(ドゥプラヴェー)
- 羅: dublu ve(ドゥブルヴェ)
- 芬: kaksois vee(カクソイスヴェー)
- 仏: double vé(ドゥブルヴェ)
- エス:duobla vo, ĝermana vo (ドゥオブラヴォ/ヂェルマーナヴォ(ゲルマン人のV))
- 二重のU
- 音素名称
音素
国際音声記号としては、小文字 [w] は有声両唇軟口蓋接近音。
各言語においてこの文字が表す音価は、
- イタリア語、エスペラント語、スペイン語、フランス語、ポルトガル語などでは外来語にのみ使い、起源によって [w] または [v] (スペイン語では [β])で発音する。またこれらの言語において [w] は一般に、母音音素 /u/ の異音として解釈できるものである。
- インドネシア語、英語などでは 有声両唇軟口蓋接近音 [w]。
- 英語では、音素 /w/ は後続の短母音を変化させる。ただし、母音の後にさらに軟口蓋音(/k, ɡ, ŋ/)がつづく場合にはこの限りではない。
- ウェールズ語では/w/のほかに母音/ʊ, uː/をも表す。例:cwm /kʊm/「谷」。
- オランダ語では唇歯接近音 [ʋ] (上の歯を下唇に接近させた [w])を表す。
- スラヴ語でもおおむね [v] で、v と同じ音素を持つ。スラヴ語において、v と w は外来語を除いて片方しか使われない。チェコ語・クロアチア語などでは v を、ポーランド語などでは w を使い、もう片方は外来語にのみ使われる。
- 中国語のピンインでは、介音 /u/ [ŭ] が頭子音をともなわない(音節頭に来る)場合に用いる。頭子音をともなう場合は u を用い、書き分けを行っている。なお、「五」「烏」など主母音,尾音無しで介音/u/のみの場合、あくまで発音は/u/であり半母音/w/が(たとえば英単語のwoodやwolfなどのようには)発音されるわけではないが、子音(半母音)があるかのようにwuと表記する。
- 朝鮮語のローマ字表記では、母音字母の内、発音に/w/を含むㅘ、ㅙ、ㅝ、ㅞ、ㅟはwa、wae、wo、we、wiとなりwを含む。なお、ㅚも/w/を含む発音だがoeとなりwを含まない。
- ドイツ語では有声唇歯摩擦音 [v]。
- 日本語のローマ字ではワ行の音写に用いる。ワ行の子音 /w/ は [w] に似るが、母音の/u/ と同様に円唇性が弱い。方言差や話者個人によっても変わるが、実際には後舌と軟口蓋を接近させない両唇接近音[β̞]として発音されることが多い。 /u/ の標準的な音価を [ɯ] と記すような場合には、これを [ɰ] と記述することがある。なお、訓令式およびヘボン式では「ゐ」「ゑ」「を」は「い」「え」「お」と同じ発音のため、子音無しのi、e、oとなり、実際にwが使われるのは「わ」のwaのみである。日本式では「ゐ」「ゑ」「を」もwi、we、woと表す。IMEにおけるローマ字入力では「を」は通常woになるが、「ゐ」「ゑ」はwyi、wyeと入力する場合や、直接入力出来ないがwi、weと入力して表れる「うぃ」「うぇ」、もしくはi、eと入力して表れる「い」「え」を変換すると候補に出てくるなど、IMEによってまちまちである。
歴史
古代ローマ人の時代のラテン語では、W の文字は存在せず、/w/ の音素は V の文字を使って表記していた。しかし、V の文字は/w/と同時に母音の/u/を表しており、さらに英語などのゲルマン語には、元来のラテン語にない/v/の音素があったため、V は一文字で 3 音素を表すことになった。そこで、/w/の音素を表す場合は V を重ねてVVと表記する慣習が生まれ、やがて二つのVが繋がって一つの文字になり、Wとなった。一方で母音の/u/を表すにはVの字の底を丸くしたUを用いるようになり、これが各地域に定着した。さらにドイツ語では /w/ の音素が消滅したため、新しく作られたWの字は/v/の音素を示すようになった。
語頭に /w/ を含むゲルマン語の語彙がロマンス諸語に伝わると、werra→guerra のように /gw/ に変化した。
W の意味
一般的な略語
- 西 (west)。
- 女性(woman)。
- 幅 (width)。
- ウエスト (waist)。人体のサイズを表示するときに、B(バスト)やH(ヒップ)とともによく使われる。
- ウェイト (weight)(体重)。医療略語。
- Week(週間)の略。主に医学の分野ではよく使われる。例:3W(3週間という意味)。
- world(世界)。ワールドカップ(スポーツの国際大会)を「W杯」とするなど。
- 日本語では、「二倍の、二つの、二人の」などを意味するダブル(double)の意味で使われる(当て字)。これは英語名「ダブリュー」(double U)が「ダブル」と音が似ていること(また、俗に「ダブリュー」を「ダブル」と誤って発音されてしまうこともある)が起源である。この表現は日本語独自のもので、本来は誤用であり、日本人、もしくは、日本語に精通した外国人以外には当然ながら通じない。英語圏ではdoubleの略としてはDを用いる。
- 日本におけるインターネット上のチャットや掲示板では、笑いを文字表現する際、"warai"の省略として「w」と表すことがある(用例: 面白いねw)。基本的に全角で、「ワラ」と読むのが一般的。「www」と並べて書くこともあり、草が生えているように見えることから「草」「草生える」「大草原」などと表現されることもある。「芝」という表現もある。
- 英語の疑問詞における、"Who, What, When, Where, Why"の総称。詳しくは記事「5W1H」を参照のこと。
- 一般用照明器具の取付のうち壁付。構内電気設備配線用図記号 (JIS C 0303:2000) で用いられる。
科学分野
- タングステンの元素記号。
- 物理学では仕事、仕事関数を表す記号として用いられる。
- 仕事率(電力など)の単位、ワット。
- 熱力学では、まぎらわしさ回避のため速度を v ではなく w と表す。
- 数学では、x, y, z に次ぐ第四の未知数に使われる。(小文字)
- 第二のベクトル空間(大文字)
- コクセター群やワイル群(大文字)
- 非SI接頭辞
- ウェカ (weka) (1030)(大文字)
- ウェコ (weko) (10−30)(小文字)
- ウェクト (wekto) (10−30)(小文字) - ジム・ブロワーズ (Jim Blowers) の提案
- 三十二を意味する数字。三十六進法など、三十三進法以上(参照: 位取り記数法#Nが十を超過)において三十二(十進法の32)を一桁で表すために用いられる。ただし、アルファベットの I と数字の 1 、およびアルファベットの O と数字の 0 が混同し易いために、アルファベットの I と O を用いないことがあり、この場合、J が十八、K が十九、…、N が二十二、P が二十三、…、W が三十を意味する。
固有名詞
符号位置
大文字 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 小文字 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 備考 |
---|
W | U+0057 | 1-3-55 | W
W | w | U+0077 | 1-3-87 | w
w | |
W | U+FF37 | 1-3-55 | W
W | w | U+FF57 | 1-3-87 | w
w | 全角 |
Ⓦ | U+24CC | ‐ | Ⓦ
Ⓦ | ⓦ | U+24E6 | 1-12-55 | ⓦ
ⓦ | 丸囲み |
🄦 | U+1F126 | ‐ | 🄦
🄦 | ⒲ | U+24B2 | ‐ | ⒲
⒲ | 括弧付き |
𝐖 | U+1D416 | ‐ | 𝐖
𝐖 | 𝐰 | U+1D430 | ‐ | 𝐰
𝐰 | 太字 |
他の表現法
脚注
関連項目
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