精神科医 香山リカ: 日本の女性精神科医 (1960-)

香山 リカ(かやま りか、1960年7月1日 - )は、日本の精神科医、評論家。北洋大学客員教授。元・立教大学現代心理学部映像身体学科教授。 神戸芸術工科大学大学院客員教授、甲子園大学心理学部客員教授。 臨床心理士、評論家、エッセイスト、政治活動家、ニューウェーブ雑誌『HEAVEN』編集長代理、ピースボート水先案内人。本名は中塚尚子。

香山 リカ
(かやま りか)
精神科医 香山リカ: 来歴・人物, 社会的活動など, 思想
人物情報
全名 香山リカ
別名 中塚尚子(本名)
生誕 (1960-07-01) 1960年7月1日(63歳)
日本の旗 日本北海道札幌市(出身地は小樽市
居住 日本の旗 日本
出身校 東京医科大学医学部卒業
学問
研究分野 精神医学
精神分析学
心理学
研究機関 むかわ町国民健康保険穂別診療所(現在)
神戸芸術工科大学
帝塚山学院大学
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北海道小樽市出身。小樽ふれあい観光大使。2022年4月からむかわ町国民健康保険穂別診療所副所長。

「香山リカ」はリカちゃん人形が由来の筆名。黒縁眼鏡がトレード・マーク。ミュージシャンの中塚圭骸は実弟である。

来歴・人物

1960年(昭和35年)、北海道札幌市生まれで、小樽市で育つ。東京学芸大学附属高等学校を経て、東京医科大学卒業。大学卒業後、市立小樽第二病院への勤務、神戸芸術工科大学助教授、帝塚山学院大学教授を経て、立教大学教授 を務め、2022年3月に退職。

父親は、北海道大学出身の医師であった。地元の中学校を卒業してから単身上京し、女子学生専用の賄いつき下宿から高校に通学した。1978年(昭和53年)、高校3年生のとき親に買ってもらった三軒茶屋のマンションで独り暮らしを始める。

1970年代後半に、松岡正剛率いる工作舎に出入りしていたが、やがて工作舎で知り合った山崎春美(ロックバンド「ガセネタ」「TACO」のボーカリスト)の誘いにより、高杉弾が創刊した自販機本『Jam』の後継誌『HEAVEN』のライター及び編集者となり、TACOのライブ「自殺未遂ギグ」では山崎のドクターストップ役をつとめ、山崎が失踪した後の『HEAVEN』末期は代理で編集長役を務めた。

評論家・文筆家・社会運動家でもあり、エッセイなど数多くの著書を執筆。立教大学教授としてはペンネームの香山リカ名義 を用いている。本人曰く「学生時代に雑誌に文章書いたら編集長が勝手にこの名にした」。

人材派遣会社パソナ元会長の中山隼雄を名誉会長、その息子中山晴喜を代表理事・理事長とする中山隼雄科学技術文化財団で理事を務める。

2019年12月にアフガニスタンでの人道支援活動を続けてきた中村哲が殺害されたことを契機として医師としての社会貢献活動に取り組むことを考えるようになり、2021年に北海道むかわ町が(公財)北海道地域医療振興財団を通じて、常勤医が1名となっていた穂別診療所の臨床医を募集していたのを知り、本名で応募。面談を経て2022年4月から穂別診療所の副所長に着任した。この時点で筆名の「香山リカ」での活動を廃業するつもりでいたが、面談時の診療所長からの勧めもあり、月曜から金曜はむかわ町での診療活動を行い、土日に東京で「香山リカ」としての活動を続けている。

趣味

政治活動

「九条の会・医療者の会」に参加しており、「マガジン9条」発起人である。また靖国神社に代わる新たな追悼施設に関しては、戦争責任がうやむやにされるため反対と発言した。また2007年(平成19年)の参議院議員選挙の際、福島瑞穂とともに社会民主党の政見放送に出演し、過去には党議員である辻元清美が早稲田大学在学中に設立した民間国際交流団体であるピースボートに水先案内人として乗船する。

2011年3月の原発事故の当初は、「ネットで原発にのめり込むのは引きこもりやニートが多く見える」と主張していた。2012年7月の反原発集会では、原発維持派や原発推進派を「心の病気」と批判している。

日本革命的共産主義者同盟の機関紙によれば、朝日新聞の慰安婦や原発報道の誤報によって朝日批判の世論が起こったことにつき、香山は「社会の病」と呼び、「日本社会を救うため、発言を続けなければならない」と述べている。

2011年大阪市長選挙では、山口二郎らと平松邦夫体制の維持を訴え、自治体改革や教育行政に「政治主導」を打ち出す橋下徹の姿勢をファシズムをもじったハシズムという造語で非難した。

その後は、2015年7月24日に「安倍政権NO! ☆ 0724 首相官邸包囲 -民主主義を取り戻せ!戦争させるな!-」でスピーチを行ったり、安倍政権NO! 実行委員会に寄稿する などの活動をしている。

2016年1月、銀座で行われた「慰安婦問題 日韓合意を糾弾する国民大行進」に対して抗議の姿勢を示した。また、植村裁判を支える市民の会共同代表に就任し、その活動を支えている。

精神科医としての社会批評活動

  • ワールドカップWBCなどのスポーツの国際大会や北朝鮮による日本人拉致問題などを例に採り上げて、日本代表を応援する行為などに見られる(著書では若者の)「『日本人』意識の高揚」を不健全で偏狭な「ぷちナショナリズム」症候群と名付け批判している。
  • 朝日新聞が自社の調査により従軍慰安婦問題や「吉田調書」の報道が誤報・虚報だったことが判明した際に、同社へ批判が高まると「橋下徹から始まったヘイトスピーチがエスカレートし、『朝日新聞的』な存在すべてに対するバッシングとなった。これは病的な社会の表れだ」と語り、「外に敵を見つけて叩く。この対象はこれまでは北朝鮮―韓国―中国だった。ところがそれでは済まず国内に敵を見つけ、罵るようになった」と批判し、「朝日ジャーナリズム の崩壊は、社会に致命的な打撃を与え、取り返しのつかないことになる。そうならな いために、私も発言を続けたい」と述べた。
  • J-CASTニュースによると、沖縄に派遣された機動隊員に対して罵声が浴びせられている状況に関してツイッター利用者から質問されたが、香山が罵声で惨事ストレスは発生せず影響はないと答えたことが注目を浴び批判されたとしている。
  • 東京新聞の「香山リカ ふわっとライフ」において、いわゆる萌え系のご当地キャラを採り挙げ、ごく少数でも「幼い女の子を見て、色っぽいなと感じてもいいのだ」「どんなふうに見ても笑顔で受け入れてくれる、それが少女なんだ」と勘違いしてしまう人がいるのではないかとの見解を表明。少女が性犯罪の被害に遭った事件が報道される度に、「この加害者は、萌えキャラを見ているうちに、少女を性の対象だと考えるようになったのではないか」と思うのだという。
  • ヘイトスピーチを「反韓デモにおける在日韓国・朝鮮人への差別表現」に限って言えば、参加者らは陰謀論の犠牲者であり、心の「ケアの視点」が必要だが、彼らにその必要性を理解してもらう術がわからないとしている。

社会的活動など

  • 放送倫理・番組向上機構(BPO)放送倫理検証委員会委員(2010年 - 2016年)
  • GREEの利用環境向上委員会メンバー
  • 公益財団法人中山隼雄科学技術文化財団理事

思想

原子力発電(2011年7月1日)

2011年7月1日、ダイヤモンド社書籍オンラインにおいて連載しているコラム「香山リカの『こころの復興』で大切なこと」で「ネットで原発にのめり込むのは引きこもりやニートが多く見える」「(反原発派は)病名をつけなければならないとしたら適応障害」「ファンタジーへの逃避で平穏を保ってきた彼らがいま原発問題にこころの平穏を見出している」などとした。強い批判を受け、誤解を与える結果となってしまったことについて謝罪した。

しかし、2012年7月、香山は代々木公園での反原発集会で「原発維持や推進をしようとする人たちは、私、精神科医からみると、心の病気に罹っている人たちに思えます」と再び発言。ジャーナリストの江川紹子は、香山が精神科医である以上、病気を比喩に使うことには慎重であるべきと指摘するとともに、許し難いものを感じると批判した。

右派団体のデモ(2016年1月10日)

2016年1月10日に元在日特権を許さない市民の会会長の桜井誠主催で行われた「慰安婦問題での日韓合意を糾弾する国民大行進」と題したデモに対し、香山が「死ね」「糞喰らえ」を意味する中指を立てるジェスチャーをしながら「バカヤロー!」「豚ヤロー死ね!」などと奇声を上げている様子を映した動画がネットで拡散された。

小林よしのりは、香山の様子はもはや鬼女であるとし、「わしは一見して、ぞっとしたのだが、『やっぱりか』という妙な納得もある。精神科医が精神のバランスが取れているとは限らない。精神を病んだ精神科医だって、存在するのだ」として、左右問わずSEALDsも含めた「運動団体」の狂気についての分析をしてみる必要があると述べた。

一時期コメンテイターとして引っ張りだこだった香山のテレビへの露出が激減したのは、この動画がネット上に拡散したことが少なからず影響していると指摘されている。

勝間和代

2009年に出版した「しがみつかない生き方」では、普通の幸せを手に入れるためには『勝間和代を目指さない』など、勝間和代に触れた内容であったが、承諾を得ていなかったため勝間より批判された。香山は「私も勝間さんの言うように、『売る努力』をしないといけないと思ったんで。それを便乗商法とするなら、それはいいんじゃないですか」「勝間さん、BIGだったし、こんな小物(私)の言うことなんか気にしないでほしい」などの反論を行っている。勝間は香山が勝間和代を論じることについて「イラつくというよりは、面倒くさい」としている。 この問題を受け、勝間が反論のために出版したことについては、「それも便乗ではないか」と反対に指摘をした。

中国

香山は、2019年3月に発売された雑誌『実話BUNKA超タブー』vol.43の「吉田豪の人間コク宝インタビュー」記事で、「あと中国語を習ってて。それも、もし日本が中国に乗っ取られても、私は中国の味方ですって言って生き延びるために(笑)。」「だって、医学とか見てても中国ってすごい伸びてるし。去年、向こうの首相が北海道に来たとき、『北海道を乗っ取ろうとしてる』とかみんな言ってて。もしそうなったときは『私はずっと中国の味方でした』とか、『中国語も話せます』とか言って(笑)」と発言し、インタビュアーの吉田豪にたしなめられていた。 。

虎ノ門ニュース!8時入り(2015年4月24日)

2015年4月24日、DHCシアター制作『虎ノ門ニュース!8時入り』(現・DHCテレビジョン制作『真相深入り!虎ノ門ニュース』)の放送中に青山繁晴の支持者を「信者」と表現。共演者の須田慎一郎が「宗教だから」と返し、司会者のサンキュータツオは「(ファンには)ネトウヨもついている」と述べたほか、番組を公開放送している局のサテライトスタジオまで観覧しにくる熱心な視聴者に対しても「仕事しろよ」と揶揄した。これを受けて4月30日の放送では、冒頭、プロデューサーの山田晃が経緯説明と謝罪を行い、香山の釈明文と共演者の謝罪文を読み上げた。しかし、J-CASTニュースの記事によると、同日に香山はツイッターで、番組とスポンサーであるDHCへの不満をあらわにしたことや青山と視聴者を再度中傷したが、ほどなくして削除したという。

5月1日放送分の番組冒頭において、再度の検証と謝罪が山田と香山を含む共演者全員で行われた際、山田より上記ツイートについて説明を求められた香山は「これは私が書いたものではない」と明言し、アカウント乗っ取りの可能性も示唆した。山田は「番組関係者しか知りえない情報がある」「香山さんがお書きになられたものでなければ、誰か内部の者の仕業と断定せざるをえない」「香山さんがお書きになられたものではない、ということですので、名誉回復もしなければいけない」「また池田信夫氏にも誹謗中傷が繰り返されており、放置できない事態である」とし、この件について引き続き調査報告を行うとした。香山は番組終了後、「楽しくツイッターを利用してきましたが、アカウント乗っ取りなどに対応できなくなり、いったんこのアカウントを閉じさせていただき、再スタートを検討します」とツイッターの休止を発表した。

5月8日放送分の番組冒頭にて、山田が説明した内容によると、前回の放送後に香山を含む番組関係者全員と話し合いを行った際、「アカウントの乗っ取りなら、警察に届けるべきでは?」と提案したところ、香山は「問題の内容は、ファンに向けて書いたダイレクトメールの下書きだった。その下書きがいつの間にかツイートされてしまった」「乗っ取りではなく、ツイッターアプリの誤作動かもしれない。過去にも同じ誤作動が起きた」と説明を一転させた。これを受け、原因を究明した上で該当機関に問い合わせ、報告を行うことを全員で約束したが、香山はその後、文書にて、約束した調査報告については触れることもなく番組スタッフへの不満と番組降板を申し入れ、番組側はこれを了承したと報告を行った。山田は文書の内容には確認された事実と異なるものがあるとして、引き続き香山への反論を含むやり取りを行っていくとした。】

事件

無断転載(2007年2月8日)

2007年2月8日にKKベストセラーズから出版した『知らずに他人を傷つける人たち ― モラル・ハラスメントという「大人のいじめ」』の一部文章がウェブサイト『職場のモラル・ハラスメント対策室』からの無断転載であったことが判明し、3刷以降は当該部分に出典が追加された。

講演会(2018年11月24日)

2018年11月24日に、京都府南丹市で市主催の香山の講演会が開催される予定だったが、同市は突如中止を決めた。市役所に男性が押し掛けて妨害を示唆したり、同趣旨の電話が多数寄せられたりしたことを理由としている。香山は「妨害に屈して引き下がったのは残念」として、市の対応を批判している。

愛知知事リコール妨害容疑による刑事告発(2020年8月31日)

2020年8月31日、愛知県の大村秀章知事のリコールを求めた署名運動を巡り、「署名者の個人情報は県広報で公開される」などと虚偽の情報をツイッターに載せて運動を妨害したとしてリコール団体の代表を務めた高須克弥に、ジャーナリストの津田大介、映画評論家の町山智浩らと共に刑事告発された。その後、2021年9月8日に愛知県警に地方自治法違反(署名運動妨害)の疑いで上記二人と共に書類送付(書類送検)された。ただし、愛知県警は名古屋地検に起訴を求めない意見を付けたとみられている。2022年3月17日に名古屋地検は香山ら3人を嫌疑不十分で不起訴とした。

訴訟

2016年10月27日にインターネットで配信された番組が香山の名誉を棄損しているとして、2017年3月13日にチャンネル桜と同社コンテンツ「沖縄の声」の栗秋琢磨、平原伸泰、鉢嶺元治に対して計500万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。香山は、番組の制作過程を明らかにして内容の根拠を確認したいと述べている。代理人は小倉秀夫弁護士。チャンネル桜側は「受けて立ちます」とコメントしたとされる 。

2019年10月10日、東京地裁は番組中の発言を名誉毀損と認定し、チャンネル桜と番組出演者1名に計100万円の支払いを命じた。

批評対象を精神科医の名で「病気」扱いする香山に対する批判

  • スポーツ国際試合において日本チームを応援するような「『日本人』意識の高揚」を不健全で偏狭な「ぷちナショナリズム」症候群としている ことにつき、「精神医学を一般的な信条の問題などに当てはめる手法」として後藤和智が批判している。
  • 香山は橋下徹の問題点を指摘する本 において、橋下の行動原理を「ある種の危機や不安を抱いている病理のひとつの証拠」と分析した。橋下は「一度も接触せずに病名がわかるなんて。サイババか!」としたが、香山は橋下への主張について「社会的影響力を持った人物本人やその人を受け入れる民衆について分析する手法が、精神医学の一分野として伝統的に存在します」とし、現象分析としての「診断」を説明した。
  • 漫画家小林よしのりのアシスタントである時浦兼は、香山の性格については「すぐばれるクソガキみたいな嘘を平気でつく」と主張している。

著作

単著

共著

編著

監修

翻訳

解説

ラジオ

家族

夫は、スポーツライターの斎藤文彦 (事実婚関係)。 弟は、ミュージシャンで歯科医の中塚圭骸。

脚注

関連項目

外部リンク

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