長崎市(ながさきし)は、長崎県の南西部に位置する市。長崎県の県庁所在地および人口が最多の市であり、中核市に指定されている。 九州地方で第7位の人口を有する。
ながさきし 長崎市 | |||||
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国 | 日本 | ||||
地方 | 九州地方 | ||||
都道府県 | 長崎県 | ||||
市町村コード | 42201-1 | ||||
法人番号 | 6000020422011 | ||||
面積 | 405.69km2 | ||||
総人口 | 391,744人 [編集] (推計人口、2024年3月1日) | ||||
人口密度 | 966人/km2 | ||||
隣接自治体 | 諫早市、西海市、西彼杵郡時津町、長与町 | ||||
市の木 | ナンキンハゼ (1975年8月1日制定) | ||||
市の花 | アジサイ (1968年3月21日制定) | ||||
市章 | 五芒星 | ||||
長崎市役所 | |||||
市長 | 鈴木史朗 | ||||
所在地 | 〒850-8685 長崎県長崎市魚の町4番1号 北緯32度44分58秒 東経129度52分47秒 / 北緯32.74953度 東経129.87964度 東経129度52分47秒 / 北緯32.74953度 東経129.87964度 | ||||
外部リンク | 公式ウェブサイト | ||||
ウィキプロジェクト |
「鎖国」体制であった江戸時代には、国内唯一の江戸幕府公認の国際貿易港(対オランダ、対中国)・出島を持つ港町であった。幕末期も、長崎港は日米修好通称条約の開港場に指定された。このため、出島跡を初めとして、旧居留地や長崎新地中華街など、異国情緒に満ちた港町として有名である。また、三菱重工業長崎造船所は三菱重工業発祥の地でもあり、日本の工業化を支えた港湾都市であった。歴史的経緯からカトリック教徒の数が比較的多いことでも知られており、特にカトリック教会は長崎県単独で一つの大司教区を形成している(日本の大司教区は長崎含め3つあり、東京大司教区は東京・千葉で、大阪大司教区は大阪・兵庫・和歌山で構成)。
実戦で使用された核兵器(原子爆弾)としては、広島市に次ぐ世界史上2番目の、そして最後の被爆都市としても知られる。「近隣の核武装国による核攻撃を想定するのは、他国に誤解を与える」との信念の下で、全国自治体の中では唯一、国民保護計画案から、他国より核攻撃される事態の想定をあえて削除している(2007年5月11日田上富久市長発言)。なお、長崎県は計画案の中で核攻撃への対処事項を記述している。
長崎市の人口は、国勢調査では1920年の第1回調査で横浜市に次ぐ全国7位、九州1位だった。しかし、相対的地位は低下する一方で1930年の第3回調査で福岡市、1940年の第5回調査で八幡市(現在の北九州市八幡東区および八幡西区。のちに長崎市が抜き返すが、1963年に北九州市を発足させ再度逆転)、1947年の第6回調査で熊本市、1975年の第12回調査で鹿児島市、2000年の第17回調査で大分市にそれぞれ抜かれて九州6位になった。
推計人口は2022年7月1日に40万人を割り込み、同年8月1日には宮崎市に抜かれて九州7位になっている。特例市である佐賀市を除けば九州地方の県庁所在地である中核市では最も人口が少ない。
現在でも人口減少が著しく、2020年の第21回調査では前回より藤沢市、豊田市、高松市、富山市に抜かれて、全国44位になっている。1975年から1980年代には現在の長崎市に相当する地域に人口50万人以上が居住していたが、2018年から2019年にかけて人口が4,832人減少し、社会減は全国の市で最も多かった。
人口減少が著しい要因としては、「坂の街」ゆえの住宅難がある。長崎市は、マンションやアパートの適地が少ないため都市規模に比して家賃や分譲価格が高い。2019年の民営住宅の月額平均家賃が福岡市よりも高く、名古屋市と同水準であった。そのため市は容積率を緩和して家賃高騰の解消を目指している。
長崎市と全国の年齢別人口分布(2005年) | 長崎市の年齢・男女別人口分布(2005年) |
■紫色 ― 長崎市 ■緑色 ― 日本全国 | ■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性 |
長崎市(に相当する地域)の人口の推移 | |
総務省統計局 国勢調査より |
長崎半島および西彼杵半島を市域とする。諫早市、西海市、西彼杵郡時津町・長与町に隣接する。市の形状は全国的に見ても数少ない「すり鉢」状となっている。市の中心部は三方を山に囲まれており、女の都(めのと)・三原・本原・西山・片淵・小島(こしま)・稲佐(いなさ)・小江原(こえばる)・西町・滑石(なめし)など住宅地の多くは山の斜面を利用している。そのため「階段の街」「坂の街」として有名である。坂が多いため自転車に乗る人は少なく、他の都市でしばしば問題になる放置自転車などの問題は少ない。また、「自転車屋」を名乗りながらも原付バイクだけを扱う店も多い。長崎市内の小学校・中学校・高等学校は立地条件の関係上全ての学校で自転車通学が禁止されており、自転車置き場すら存在しないほどである。
市の中心部を流れる川には、北部から南下し長崎港へ注ぐ浦上川と、市の北東部から長崎港へ注ぐ中島川とがある。それぞれ川沿いに平地と埋立地があり、商業地や公共施設はそこに集中する。
長崎港の外海は五島灘や橘湾に面しており、急峻な海岸線が多いが、河口部などのわずかな平地に漁港と集落が点在する。
北西部の三重・畝刈地区や東部の矢上・かき道地区などは近年開発が進み、住宅地が増えた。
2005年1月4日の市町村合併では、長崎半島西南部や有人島の離島である伊王島・高島・池島、石炭産業の衰退で無人島となった端島(通称:軍艦島)が編入合併された。さらに2006年1月4日の市町村合併では大村湾沿岸の旧琴海町が編入合併された。
2005年12月11日に、長崎港の両岸の女神地区、木鉢地区を結ぶ「女神大橋(通称:ヴィーナスウィング)」が完成した。これは中央径間長が480メートルに達し、全長は1,289メートルで、斜張橋としては横浜ベイブリッジを上回って全国第6位の長さとなる。長崎南バイパス完成により長崎自動車道と接続され、長崎市街地南部一円を循環する長崎南環状線の一部となった。
ダムは浦上水源地・本河内水源地・鹿尾(かのお)ダム・神浦ダムなどがあるが、市街地に近い水源では環境が悪く、上水道事情はあまり良くない。市外からは大村市の萱瀬ダムからの送水のものもある。また、斜面が多いために下水道の整備も目下進行中という状況である。
町名は長崎市の地名参照。
年間平均気温は17.4℃、年降水量は約1,894.7mmである。暖流の影響が強く、九州の他都市に比べても寒暖の差は小さい。しかし、冬季は北西からの季節風がうちつけ、近くを暖流の対馬海流が流れているため、九州地方の県庁所在地の中では積雪が多い。特に2016年(平成28年)1月24日には17cmの積雪を記録した。長崎のご当地ソングには雨が登場するものが多いため、長崎は雨が多いと思われがちだが、年降水量が突出して多いわけではない。長田暁二によると「長崎のご当地ソングで雨が初めて登場するのは1939年の「長崎物語」で、同曲や1947年の「雨のオランダ坂」のヒットにより、長崎と雨が結びつくようになったのでは」という。
長崎地方気象台(長崎市南山手町、標高27m)の気候 | |||||||||||||
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月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 21.3 (70.3) | 22.6 (72.7) | 25.1 (77.2) | 29.0 (84.2) | 31.4 (88.5) | 36.4 (97.5) | 37.7 (99.9) | 37.7 (99.9) | 36.1 (97) | 33.7 (92.7) | 27.4 (81.3) | 23.8 (74.8) | 37.7 (99.9) |
平均最高気温 °C (°F) | 10.7 (51.3) | 12.0 (53.6) | 15.3 (59.5) | 19.9 (67.8) | 23.9 (75) | 26.5 (79.7) | 30.3 (86.5) | 31.9 (89.4) | 28.9 (84) | 24.1 (75.4) | 18.5 (65.3) | 13.1 (55.6) | 21.2 (70.2) |
日平均気温 °C (°F) | 7.2 (45) | 8.1 (46.6) | 11.2 (52.2) | 15.6 (60.1) | 19.7 (67.5) | 23.0 (73.4) | 26.9 (80.4) | 28.1 (82.6) | 24.9 (76.8) | 20.0 (68) | 14.5 (58.1) | 9.4 (48.9) | 17.4 (63.3) |
平均最低気温 °C (°F) | 4.0 (39.2) | 4.5 (40.1) | 7.5 (45.5) | 11.7 (53.1) | 16.1 (61) | 20.2 (68.4) | 24.5 (76.1) | 25.3 (77.5) | 21.9 (71.4) | 16.5 (61.7) | 11.0 (51.8) | 6.0 (42.8) | 14.1 (57.4) |
最低気温記録 °C (°F) | −5.6 (21.9) | −4.8 (23.4) | −3.6 (25.5) | 0.2 (32.4) | 5.3 (41.5) | 8.9 (48) | 15.0 (59) | 16.4 (61.5) | 11.1 (52) | 4.9 (40.8) | −0.2 (31.6) | −3.9 (25) | −5.6 (21.9) |
降水量 mm (inch) | 63.1 (2.484) | 84.0 (3.307) | 123.2 (4.85) | 153.0 (6.024) | 160.7 (6.327) | 335.9 (13.224) | 292.7 (11.524) | 217.9 (8.579) | 186.6 (7.346) | 102.1 (4.02) | 100.7 (3.965) | 74.8 (2.945) | 1,894.7 (74.594) |
降雪量 cm (inch) | 3 (1.2) | 0 (0) | 0 (0) | 0 (0) | 0 (0) | 0 (0) | 0 (0) | 0 (0) | 0 (0) | 0 (0) | 0 (0) | 0 (0) | 4 (1.6) |
平均降水日数 (≥0.5 mm) | 10.4 | 10.2 | 11.4 | 10.3 | 10.1 | 14.3 | 11.9 | 10.7 | 9.8 | 6.7 | 9.5 | 10.2 | 125.6 |
平均降雪日数 | 7.0 | 5.0 | 1.1 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 5.6 | 18.7 |
% 湿度 | 66 | 65 | 65 | 67 | 72 | 80 | 80 | 76 | 73 | 67 | 68 | 67 | 71 |
平均月間日照時間 | 103.7 | 122.3 | 159.5 | 178.1 | 189.6 | 125.0 | 175.3 | 207.0 | 172.2 | 178.9 | 137.2 | 114.3 | 1,863.1 |
出典:気象庁 (平均値:1991年-2020年、極値:1878年-現在) |
※行政区域の変遷は別記。
幕末の1857年に外国人居留地を建設するために大村領戸町村が幕府に没収されたが、この時までは上記の体制が続いた。
※行政区域の変遷は別記。
会派名 | 議員数 |
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市民クラブ(国民民主党・立憲民主党・社会民主党) | 9 |
自民創生(自由民主党) | 9 |
明政クラブ(自由民主党) | 9 |
公明党 | 6 |
令和長崎(無所属) | 4 |
日本共産党 | 3 |
※ 2019年5月13日現在。
議員名 | 会派名 | 備考 |
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中村泰輔 | 改革21 | 党籍は国民民主党 |
麻生隆 | 公明党 | |
浅田眞澄美 | 自由民主党・県民会議 | |
堀江ひとみ | 日本共産党 | |
中山功 | 自由民主党・県民会議 | |
赤木幸仁 | 改革21 | 党籍は立憲民主党 |
川崎祥司 | 公明党 | |
江真奈美 | 自由民主党 | |
深堀浩 | 改革21 | 党籍は国民民主党 |
下条博文 | 自由民主党 | |
前田哲也 | 自由民主党 | |
坂本浩 | 改革21 | 党籍は社会民主党 |
浦川基継 | 自由民主党 | |
久保田将誠 | 自由民主党 |
選挙区 | 議員名 | 党派名 | 当選回数 | 備考 |
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長崎県第1区(旧琴海町、旧外海町地区を除く長崎市) | 西岡秀子 | 国民民主党 | 2 | 選挙区 |
長崎県第2区(旧琴海町、旧外海町地区の長崎市など) | 加藤竜祥 | 自由民主党 | 1 | 選挙区 |
この節には独自研究が含まれているおそれがあります。 |
長崎市の商業地区は大きく4つに分けられる(長崎市中心部、長崎市中部地区、住吉地区、東長崎地区など)。
眼鏡橋などといった文化財が多く、また路面電車が長崎市中心部を走る。長崎駅付近、新地中華街にはバスターミナルもある。
大規模アーケード商店街である浜町アーケードやベルナード観光通アーケード、またゆめタウン夢彩都やアミュプラザ長崎など大型複合商業施設が多い地区であり、浜町〜観光通一帯は古くから長崎一の繁華街で、思案橋・丸山地区は江戸時代以来の歓楽街である。
高層建築物が多く、長崎港は近年急速に開発が進み、長崎港ターミナル、松が枝国際ターミナル、水辺の森公園などが十年前〜近年整備された。水辺の森公園内には長崎県美術館、AIGなどもある。また、長崎駅裏の長崎漁港跡地には長崎県庁舎、県警本部などの移転のため土地開発も進んでいる。
北部が原爆落下中心部であり、原爆資料館や平和公園がある。
JR浦上駅があり、この駅を通る全列車が停車する。地元バス会社が経営するみらい長崎ココウォーク(バスターミナルと合体している)が2008年にオープンした。
近くには長崎新聞社や長崎文化放送など地元メディア局や、長崎ブリックホールなどといった文化的施設が多い。
中園商店街とサンモール住吉がある。付近は再開発が進み、複合商業施設チトセピアやジョイフルサンがある。長崎大学の文教キャンパスにも近いため、学生向けの店やアパートなども多い。
路面電車は3路線で、昼間は約3分に1本以上(松山・長崎駅前・中心部方面行き)、バスは住吉地区が各住宅街からのバスの経由地となっているため、バスが絶えることはない。
1963年4月1日までは東長崎町であった。長崎市中心部寄りに隣接する日見地区を含める場合もある。
国道34号線日見バイパスが通る。路面電車は通っておらず、JRの鉄道路線も東長崎北部を通っているため(JR現川駅、肥前古賀駅)、公共交通の中心はバスである。
2012年、東部地区ニコニコセンター(支所併設)がオープンした。
※廃校になった短期大学に関しては廃止された日本の短期大学一覧を参考。
※廃校になった高等学校に関しては長崎県高等学校の廃校一覧#長崎市を参考。
(*印は小中併設校)
※規模適正化により、統廃合された中学校に関しては、長崎県中学校の廃校一覧#長崎市を参考。
(*印は小中併設校)
※規模適正化により、統廃合された小学校に関しては、長崎県小学校の廃校一覧#長崎市を参考。
JR線、長崎電気軌道の中心駅は長崎駅である。
※長崎県の県道一覧を参考。
愛称名 | 運行会社 | 運行区間 | 昼/夜行 |
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オランダ号 | 近鉄バス | 京都市・大阪市(難波・梅田)・神戸市(三宮) - 長崎新地・大波止・長崎駅前南口・ココウォーク茂里町 | 夜行 |
ユタカライナー | ユタカ交通 | 大阪市(難波・梅田) - 長崎駅 | 夜行 |
出島号 | 長崎県交通局 | 北九州市 - 基山町 - 昭和町・浜口町・長崎駅前 | 昼行 |
九州号 | 九州急行バス | 福岡市 - 昭和町・平和公園・大波止・長崎駅前 福岡市・福岡空港(国際線) - 基山町 - 嬉野市 - 昭和町・平和公園・長崎駅前 | 昼行 |
りんどう号 | 長崎県交通局 九州産交バス | 熊本市 - 昭和町・大橋・長崎駅前 | 昼行 |
サンライト号 | 長崎県交通局 長崎自動車 大分バス 大分交通 | 大分市・別府市 - 由布市 - 玖珠町 - 朝倉市 - 昭和町・長崎駅前 | 昼行 |
ブルーロマン号 | 長崎県交通局 宮崎交通 | 宮崎市 - 昭和町・長崎駅前 | 昼行 |
(愛称名なし) | 長崎県交通局 西肥自動車 | 佐世保市 - 昭和町・長大東門前・大橋・浦上駅前・大波止・長崎駅前 | 昼行 |
高速シャトルバス | 長崎県交通局 | 諫早市 - 出島・長崎市役所前・長崎駅前・長崎県庁前 大村市 - 出島・長崎市役所前・長崎駅前・長崎県庁前 | 昼行 |
(愛称名なし) | 長崎県交通局 長崎自動車 | 長崎空港 - 長崎新地・大波止・長崎駅前・ココウォーク茂里町 | 昼行 |
NHK以外は全て本社・本部が市内に所在している。
※以上の「史跡」「重要文化財」は国指定の史跡及び重要文化財を指す。
-作中では「月ヶ浜」。
-作中では伊乃郷市。
他に『長崎から船に乗って』(作詞:山口洋子、作曲:平尾昌晃、歌唱:五木ひろし)も、とりわけ歌い出しが有名な歌だが、内容として長崎そのものは歌われてない。
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