税関(ぜいかん、英: Customs)は、関税及び内国消費税等の徴収、輸出入貨物の通関、密輸の取締り、保税制度の運営などを主たる目的・業務とする国の行政機関である。
国際的な物流の管理に関与する必須的な機関であり、世界の多くの国々に同様の機関が設けられ、その名称としても「税関 (Customs)」という言葉が使用される。また税関関連の国際機関としては、世界184か国・地域が加盟する世界税関機構がある。
アメリカ合衆国税関・国境警備局やフランス税関・間接税総局のように、国によっては出入国管理や国境の警備も兼ねる機関もあるが、日本の出入国管理は法務省出入国在留管理庁が行うなど、国によりその業務範囲は異なる。
EUでは欧州連合関税法典(UCC:Union Customs Code)で税関職員に対する関連手続きの明確化が定められている。
欧州連合関税法典(UCC)は認可事業者(AEO:Authorized Economic Operator)制度を定めており、通関手続きの簡素化の優遇を受けるもの(AEOC)、セキュリティ面での税関審査・検査削減などの優遇を受けるもの(AEOS)、その両方の優遇を受けるもの(AEOC/AEOS または AEOF)があるが、これらの申請先は各加盟国の発行権限を持つ税関当局である。
加盟国の税関当局は申請書や承認についての情報を共有している。EUには事業者登録・識別(EORI:Economic Operators Registration and Identification)システムがあり、EU域内の事業者は加盟国内の税関当局で、EU域外の事業者も最初に手続きを行う加盟国の税関当局でEORI番号を取得する必要がある。
イギリスでは1203年にジョン王によってウィンチェスター関税条令が定められ国王の主導権のもと関税制度が確立された。1275年には国王エドワード1世の財政難によりイギリス議会が羊毛・羊毛皮・原皮に対する輸出税を賦課することを国王に承認したことで恒久的な税関の機構が導入されることとなった。
1789年に連邦議会で関税法が成立し、米国で最も古い法律執行機関として税関が誕生した。
日本においては財務省の地方支分部局として置かれる国の機関である。財務省設置法では、税関の設置を第12条第1項で規定し、同条第2項で「当分の間、本省に、地方支分部局として、沖縄地区税関を置く」と規定し形式的には、税関と沖縄地区税関は別の種類の機関としている。なお財務省設置法附則第3項で「他の法令において「税関」、「税関長」、「国税局」又は「国税局長」とあるのは、別段の定めがある場合を除き、それぞれ沖縄地区税関、沖縄地区税関長、沖縄国税事務所又は沖縄国税事務所長を含むものとする。」として権限的に同一の扱いにしている。また2021年6月までは、沖縄地区税関は、部を置かなかったが、2021年7月からは他の税関と同じく4部(総務部、監視部、業務部、調査部)を置いている。
港湾等での臨船審査や密貿易監視のための沿岸哨戒などに使用する船舶が配置されており、監視艇あるいは税関監視艇と称される。
日本の税関では1990年代中期以降、大きさや行動水域により次のように分類されている。
移出入物品の検査を効率的かつ正確に実施するため、様々な特殊機材などが使用されている。
小笠原諸島における税関業務のため、国土交通省の特別の機関である小笠原総合事務所に東京税関職員が常駐(3月単位の長期出張)して税関業務を行っているが、小笠原総合事務所の事務として行っているものではない。
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