深夜アニメ(しんやアニメ)は、主に深夜番組として放送されるテレビアニメ全般の呼称である。
本項では、主に地上波(NHKおよび在京キー局系列局)およびその系列のBS放送局でおおむね23時以降の深夜から未明にかけて放送されるテレビ番組を対象として説明する。
なお、TOKYO MXなどの独立放送局で放送される新作テレビアニメ全般については「UHFアニメ」も参照のこと。本項ではそれに該当する番組群を便宜上「独立局系深夜アニメ」などと称することとする。
深夜アニメという単語を命名ないし提唱した人物や団体は不明だが、ソニーのDVD/BDレコーダー(スゴ録/BDZシリーズ)における録画予約の番組ジャンルの「深夜アニメ」という項目や、2016年4月より放送しているインターネットテレビ局のAbemaTV(現在のABEMA)での「深夜アニメチャンネル」(2018年4月の改編でこのチャンネルは消滅)など、各種媒体や商品で深夜帯に放送されるテレビアニメを指す名称として使用されている。
日本では、朝や夕方など(全日帯)に子どもやファミリー向けを中心としたテレビアニメが長年放送されてきたが、1990年代後半からは深夜帯にも青年向けのテレビアニメが徐々に放送され始めた。1998年頃からは需要を見込んだ深夜帯のアニメ番組の採算性が注目されるようになり、テレビアニメの放送形態として一般化していった。この動きには、深夜帯のアニメ番組でも製作委員会方式が採用されだしたことが一因であるといわれている。製作側にとっては映像ソフトの販売による収益が見込めることに加えて、深夜枠で放送することでそのコストを安くあげることができ、テレビ局側にとっても深夜の番組枠を有効活用できるというメリットがあることが製作本数の増加に繋がった。
少子化により子どもやファミリー向けのテレビアニメの需要が低下する中、2000年代半ば頃になると、アニメファンや原作のファンなどにターゲットを切り替え、製作委員会の出資企業が放送局の番組枠を買い取ってスポンサーとなり、深夜アニメが数多く放送されるようになった。2006年には、深夜アニメの製作分数が全日帯のアニメとほぼ互角となる規模まで拡大。製作本数は同年の時点で深夜アニメが全日帯のアニメを越えていると分析しているものもある。さらに、日本動画協会が発行する「アニメ産業レポート」によると、2015年には日本のアニメ史上初めて、キッズ・ファミリーアニメ(全日帯放送)と深夜アニメ(深夜帯放送)の制作分数が逆転した。レポート内では、「深夜アニメがマイナーな領域だという認識を改めなければならない時代が訪れた」と総括している。
テレビ放送は後日発売されるビデオソフト(DVDやBlu-ray Disc)および関連商品の販売促進を主な目的としており、製作費を回収するための重要な収益源でもある。スポンサーはビデオソフトや音楽ソフトのメーカー、原作の単行本の出版社、ゲームなどのコンテンツ系企業が主体である。なお、スポンサーによる収入だけでは基本的にビジネスとして成立しないことから、関連商品にはしばしば特典が用意され、視聴者の購入意欲を高める手法が採られている。
現在の関東圏民放局(在京キー局、独立局)の詳細な放送動向については、本項次節を、BS・CS放送の状況についてはBS・CS放送局における主な放送の動向を参照。
インターネットにおける深夜アニメ配信の状況については、テレビアニメのインターネット配信などを参照。
作品の放送期間は、在京キー局が製作するテレビドラマなどと同様に1クール(3か月間・10 - 13回)がほとんどで、長くても2クール(6か月間・22 - 26回)までが基本となり、3クール以上連続で放送されたものはごく一部に限られる。なお、『SPY×FAMILY』などのように当初から期間をあらかじめ分割して放送するケースも増加傾向にある。
朝夕を中心とした従来のテレビアニメはその多くが全国ネットで放送されるが、深夜アニメの場合は各局のローカル編成枠での放送が基本となるため、同じ番組であっても、放送される日時は放送局により大きく異なる。2010年代後半以降になると、深夜アニメでも全国同時ネットで放送される番組枠が誕生している(それ以前にも、日本テレビ系列で『NANA』が単発ながら全国同時ネットの深夜アニメとして放送されたことがある)。
全国ネット以外で放送される深夜アニメは、大半が三大都市圏(関東・近畿・中京広域圏)ないし五大都市圏(三大都市圏に加えて北海道と福岡県)での放送で、それ以外の地方では放送実績が少ない。これは、放送局の組み合わせが製作委員会の意向により決定される場合が多く、対象から外れた放送局では番組販売を通じて放送局側が番組を購入し放送する形となるためである。ただし、三大・五大都市圏以外でも積極的に深夜アニメ(独立局系の番組を含む)を放送している放送局もあり、中には作品の製作委員会に参加した実績がある放送局もある。また、日本の特定の地域を舞台として描いている作品の場合、その地元の放送局で単発的に放送されるケースもある。
視聴率は深夜帯であるため、2009年頃の水準では2.0%以上で「合格点」といわれ、4.0%以上で「高視聴率」といわれる。インターネット配信が一般的となった2020年代には、2%台で高視聴率として扱う報道も見受けられる 一方、深夜アニメの一般層への需要が高まったことにより、日本テレビの『FRIDAY ANIME NIGHT』のようにリアルタイム視聴を前提として早い時間帯に放送するケースも見られるようになった。
アニメ以外の深夜番組と同様に、独自の番組枠名称(商標)を命名するケースも増えている(具体例は関連項目を参照のこと)。フジテレビの『ノイタミナ』や毎日放送の『スーパーアニメイズム』のように、全てのネット局で共通して名称を使用することもある(専門チャンネルでの遅れネットや再放送、インターネット配信ではこの限りではない)。
日本の深夜アニメ第1号は、1963年から1964年にかけて水曜夜23時40分 - 23時55分にフジテレビ系列で放送された『仙人部落』 である(第9話よりプライムタイムの22時30分 - 22時45分に移行)。1969年には在京キー局ではない系列局の名古屋テレビ(メ〜テレ) が初めて製作した『六法やぶれクン』が放送されたが、その後15年以上にわたって深夜アニメの放送が途絶えた。
1980年代に入ると、1986年の『ハートカクテル』(日本テレビ)、1987年の『レモンエンジェル』(フジテレビ)、1989年の『小松左京アニメ劇場』 (毎日放送)、『セイシュンの食卓』(よみうりテレビ、『11PM』枠内)、1992年の『スーパーヅガン』(フジテレビ、史上初の30分枠深夜テレビアニメ)、1995年の『行け!稲中卓球部』(TBS)などが製作された。これらの作品は話題とはなったものの、すべて単発の試みに留まっている。アニメ評論家の藤津亮太は、OVAとして製作・発売された『銀河英雄伝説』が1990年にテレビ東京の深夜帯で放送されたことや、再放送枠ではあるが1992年に開始された毎日放送の『ヒーローは眠らない』枠の存在も、「テレビアニメにおける深夜枠開拓の先駆けの一つ」という見解を示している。また、1997年からTBSの深夜帯のバラエティ番組『ワンダフル』内で放送された短編アニメ「ワンダフルアニメ」の大ヒットも指摘されている。
1990年代後半に入り、1995年にテレビ東京系列で水曜夕方に本放送され大人気を博した『新世紀エヴァンゲリオン』が、テレビ東京の深夜帯において数度再放送された際の視聴率が(深夜帯としては)驚異的な数字を叩き出し、その他系列局や各地の地方局で再放送ないし遅れネットにおいても異例の高視聴率を記録した。テレビ東京でかつてアニメ部門のプロデューサーを務めた東不可止は、『新世紀エヴァンゲリオン』の1997年における再放送の反響が大きかったことを挙げている。また、人気漫画を原作とする『逮捕しちゃうぞ』も大きな反響を呼んだ。
そんな中、テレビ東京は1996年に放送された『エルフを狩るモノたち』を皮切りに深夜アニメ枠の開拓を進めるようになった。深夜での放送は不安視されたが、視聴率2%台という深夜においてはまずまずの記録を出し、原作のコミックやサウンドトラックも売れた。さらに当時、大量生産に有利なデジタルアニメの実用化や、概要で述べたように製作委員会方式の確立で資金調達が容易になったことも相まって、新作テレビアニメの放送数が急増し、深夜アニメ枠はちょうどその受け皿として機能することとなった。それを受けて他の在京キー局や、在阪局・在名局なども次々と深夜アニメ事業に参入するようになる。
1998年には当初から独立局での深夜帯放送を念頭に製作された『LEGEND OF BASARA』が放送されたのを皮切りに、独立局各局でも深夜アニメの展開が開始され、その後の深夜アニメの有力な担い手となっている。その一方で、2000年代前半にはフジテレビやテレビ朝日を中心に番組編成の混乱による放送トラブルが相次ぐなど、様々な事情から深夜アニメの総放送本数は一進一退を繰り返した。
深夜アニメの黎明期からおおむね2000年代にかけての放送エリアは、概要で述べたように三大都市圏ないし五大都市圏が中心で、それ以外の地方ではスカパー!(当時のスカパー!e2、またはスカパー!HD・SD)やケーブルテレビなどにより衛星放送の受信環境を整えてBS放送局やAT-X・アニマックスなどのアニメ専門チャンネルで視聴するか、DVDなどのビデオソフトを購入する、またはレンタルビデオに頼るほかない状況が続いていた。BS放送局では、BS-TBS(当時はBS-i)が2000年代前半からTBS製作の番組や同局オリジナルの深夜アニメを継続して放送したほか、2007年12月に開局したBS11が開局当初から積極的に深夜アニメを編成している。その他のBS放送局でも、2010年代半ば頃から深夜アニメの放送本数が拡大しており、製作委員会への参加も活発になっている。毎日放送でかつてアニメプロデューサーを務めた竹田青滋はデジタルハリウッド大学の講演にて「アニメ番組が地上波からBSへシフトするのは間違いなくトレンドとなる」と語っている。
また、インターネットのブロードバンド接続の技術進歩もあり、2010年代に入ると、テレビ放送に加えてインターネットでのストリーミング配信やVOD配信を実施する作品が増加した。ニコニコ動画は2010年代に入るとニコニコチャンネルにおいて公式配信(ニコニコ公式アニメ)に力を入れているほか、dアニメストアやNetflix・Amazon Prime Video・ABEMAなど、深夜アニメを含むテレビアニメの配信を実施する動画配信サービス(プラットフォーム)が続々と生まれている。動画配信サービスの誕生により、インターネットの接続環境を整えれば、深夜アニメの放送がない地域でも作品を視聴できるようになった。製作側にとっても、動画配信のプラットフォームが支払うライセンス料が、従来のビデオソフトなどの売り上げに代わる新たな収益源となりつつある。
1990年代には午前(7 - 10時)が11.0%、夕方(17 - 19時)が72.8%、深夜(24時以降)が13.6%であったテレビアニメの作品数は、2000年代には午前14.7%、夕方21.6%、深夜56.2%となった。
2010年代になると、これまで全日帯で放送されることが多く、子ども・ファミリー向けアニメとしての性格も兼ねていた週刊少年ジャンプや系列の雑誌で掲載されている作品についても深夜帯での放送が増加した。一例として、2014年に放送が開始された『ハイキュー!!』は、第1期は夕方に放送されたが、第2期以降は深夜帯での放送となった。また、2019年に第1期が放送された同誌原作の『鬼滅の刃』は独立局系深夜アニメとしては異例のヒット作となった。アニメコラムニストの小新井涼は、「20を超えるプラットフォームでの配信や毎月の一挙配信などによって、リアルタイムで逃してしまった潜在的な作品ファンを配信で取り込むことができていた」として、深夜アニメからの国民的ヒット作が生まれる上で、「SNSでの口コミと後追いのための配信環境の充実」が必要条件となっていくと指摘している。また同作は全日帯でも高視聴率が期待できる作品だが、表現の自主規制によって原作が改変されるのを防ぐため、あえて深夜での放送に踏み切ったとみられている。
本項では、在京キー局および主要な系列局の深夜アニメの大まかな放送の傾向や特徴について、系列ごとに述べる。
番組枠そのものなどのより詳細な概要については、各節の冒頭に示した該当記事を参照のこと。
日本テレビ(日テレ)は1997年の『剣風伝奇ベルセルク』をきっかけに深夜アニメの放送に本格的に参入した。読売テレビなどの系列局が製作した番組が逆ネットされたケースも少数ある。
しかし全国展開は遅れ、2006年には全国同時ネット枠『animo』を水曜23時台に新設したものの、『NANA』1作限りで廃枠となる。その17年後の2023年10月改編において金曜23時枠に『FRIDAY ANIME NIGHT』枠(フラアニ)を新設、『NANA』以来の全国同時ネット枠を復活させた。
2010年代以降は断続的に(新作の)放送を休止する時期があり、2013年からは改編期ごとに放送日時が流動的になる傾向があった。2017年7月期からは番組枠名称として『AnichU』(アニチュウ)を制定 し、これ以降は放送日の変動はある程度落ち着いている。2021年4月期からの日曜未明(土曜深夜)の番組は、クロスネット局を含む系列全30局で放送が行われている(一部同時ネット局があるが、放送日時は基本的に各局で異なる)。
上記の記事でも詳述している通り、日本テレビおよび同局を擁する日本テレビホールディングスは深夜アニメに携わるアニメ制作会社(マッドハウス・タツノコプロ)やレコード会社(バップ)などの企業を子会社にいくつか擁しており、それらの企業が中心となって作品の製作のほとんど(または一通り)を賄っている。その関係で他の在京キー局が製作する作品と異なり、提供クレジットを流さないサステイニング・プログラム(系列局ではサスネット)として放送し、作品関連のCMが一切流れないケースも多い。一方、『FRIDAY ANIME NIGHT』枠の作品は日本テレビが製作委員会の中心ではなく、作品関連のスポンサーも付いているケースが多い。
以下、他系列でのパターンを含めて三大都市圏での独立局や異系列局で放送されるなどのパターンに関しては基本的にテレビアニメ#変則的な事例を参照。本項では端的で異質さが際立っているパターンを紹介する。
テレビ朝日(テレ朝)は1997年10月期に初の深夜アニメ『深海伝説MEREMANOID』を放送したが、同局は古くから深夜に自社制作のバラエティ番組を多数放送していることから、2010年代末期までの長年にわたり、深夜アニメは不定期に1番組ずつ放送されるのみだった。2000年代半ばには、一時的に番組数が毎クール2本程度まで増えた時期があったが短期間で再び減少し、在京民放局の中で最も消極的であった。
2020年4月より、同局の深夜帯では初となる深夜アニメの番組枠名称として『NUMAnimation』を制定。同年10月からは、後続に新設された朝日放送テレビ・ABCアニメーション製作の『ANiMAZiNG!!!』とセットで、系列全24局での全国同時ネットで放送されている。2024年4月現在、NHKや各局で唯一23時台または24時台に全国ネットの深夜アニメ枠を設けていない。
TBSテレビは2004年10月期からの長年にわたり、毎クール2番組体制で自社制作の深夜アニメを継続して放送していた。2019年7月期以降は旧作の再放送が行われる時期が生じ始め、2021年1月期以降は毎クール1番組体制に縮小している(2022年4月期のみ再度2番組を放送)。2018年4月期からは『アニメリコ』という番組枠名称が設定されたが、2021年7月期をもって廃止された。
多くの番組はBS系列局BS-TBSにもネットされ古くから全国視聴が可能だった。2017年以降は同局製作の作品が系列局にてネットされるケースは極めて少なく、地上波では関東ローカルとなる場合が多くなったが、2024年1月期より『呪術廻戦』第2期(毎日放送製作)を放送した木曜23:56枠で系列全28局ネットのアニメ枠を新設した。同枠は系列全局で同時ネットであるが、ローカルセールス枠となっている。
また、同局では毎日放送(MBS)製作の『スーパーアニメイズム』→『スーパーアニメイズムTURBO』と『アニメイズム』を、CBCテレビ製作の『アガルアニメ』をそれぞれ逆ネットしており、うち『スーパーアニメイズムTURBO』と『アガルアニメ』は系列全28局での全国同時ネットで放送されている。
TBS・MBS・CBC製作の番組では字幕放送を実施しているが、『アニメイズム』枠のみ2023年1月期をもって廃止された。また、『スーパーアニメイズム』→『スーパーアニメイズムTURBO』、『アガルアニメ』では連動データ放送も実施している。かつてはTBS製作番組でも連動データ放送を実施していたが、2016年1月期をもって終了した。
TBS製作の番組は2009年7月期まで、毎日放送およびCBCテレビ製作の番組は2007年1月期まで、地上デジタル放送では一般的な16:9の画面比率やハイビジョン画質で制作された作品であっても、BS-TBS(2009年3月まではBS-i)を除いて画面の両端をカットし4:3の比率で放送していた。
第1期とその続編(番外編なども含む)のネット局(関東圏やBS放送も含む)が異なったり、放送時間も全国ネット枠(日中→深夜)とローカル枠(深夜)を行き来する事例も少なくない。詳細は『アニメイズム』、『アニメシャワー』、『土6』→『日5』→『アニメサタデー630』(第1部)各ページを参照。
テレビ東京(テレ東)は歴史で述べたように、1996年10月期の『エルフを狩るモノたち』を皮切りに深夜アニメの放送を順次拡大。最盛期にはほぼ毎日数番組ずつ深夜アニメが放送されていたが、2010年代後半になると減少に転じている(クールごとに本数の変動が大きく、2015年4月期と2019年10月期は新作の深夜アニメが全くなかった)。
かつてはテレ東が製作に関与しない番組(独立局と同様の放送形態)も少なくなかったが、2010年代後半の時点では大半の番組で製作委員会に参加している。ただし、2020年代に入ると再び不関与の番組が増えており、地上波では自系列以外の放送局でネットされる番組も増加している。
テレ東が製作に参加する番組の場合、ネット局は系列の全6局か、三大都市圏のテレビ大阪とテレビ愛知との3局のいずれかのパターンが多い。2010年代後半になると、地上波では関東ローカルとして、BSテレ東(2018年9月まではBSジャパン)とAT-Xの3局の組み合わせで放送されるケースもある。なお2020年代以降、テレビ愛知でも放送されない番組が増加傾向にある(2022年1月期はテレ東の深夜アニメのネットが1本もなく、同年4月以降もテレ東や系列局との同時ネット以外のローカル枠で放送される番組は減少に転じている)一方、2022年4月からは系列全6局同時ネットの作品が必ず放送されている。
テレ東の番組を多く放送している独立局の三重テレビ、岐阜放送(ぎふチャン)、びわ湖放送、奈良テレビ、テレビ和歌山でも番組販売を通じて遅れネットを行う場合がある。いずれの局も全日帯に放送するケースが見られる。
系列局が製作に参加する番組は事例が少ない。かつてテレビ大阪が製作し、日曜朝に第2期・第3期が放送された『ギャラクシーエンジェル』の第4期が深夜アニメとして放送された。2016年7月期にはテレビ愛知が『orange』の製作委員会に参加、翌2017年4月期の『王室教師ハイネ』ではテレビ大阪が久々に製作委員会に参加した。2021年4月にはテレビ愛知が子会社としてTVA advanceを設立 し、製作委員会への参加などの役割を担っている。
テレビ愛知は東海地方における独立局系の深夜アニメの受け皿的存在でもあり、特に独立局系の深夜アニメの番組規模が拡大した2000年代半ばには、テレ東系の深夜アニメも多くネットする関係で、早朝に近い時間帯まで相当数の作品が放送されていた。ただ、2010年代半ばからは独立局系の番組についても同局を含む東海地方ではネットされない番組が増加傾向にある。
テレビ北海道とTVQ九州放送(テレQ)はそれぞれ北海道・福岡県における独立局系の番組の主要なネット局として機能している。一方で、テレビ大阪とテレビせとうちは独立局系の深夜アニメがほとんど放送されていない(2010年代半ば頃までは両局とも少数を断続的に放送していた)。
フジテレビは1998年4月期から1999年10月期にかけて『頭文字D』などを放送し、2001年4・7月期の『パチスロ貴族 銀』をきっかけに深夜アニメの放送に本格参入した。しかし、2003年12月1日の地上デジタル放送のチャンネル開局に伴う放送設備のメンテナンスによる深夜帯の放送休止が頻発したことなどが災いし、番組編成の混乱が多発した。
2004年10月から半年間の休止を経て、2005年4月期には『ノイタミナ』枠を設立 して再度参入。これ以降はフジテレビ自身も製作委員会の幹事役として積極的に関与するようになった。当初は深夜アニメ枠としては珍しく、少女漫画や女性向け漫画を原作とする作品を中心に放送した。『ノイタミナ』枠は年々他の系列局でもネット局が拡大され、ほとんどの系列局で放送実績があるものの、他系列と異なり未だ系列全局でのネットには至っていない。2018年10月期からは、BSフジも製作に参加する『+Ultra』枠 が、2023年10月期からはbilibiliと連携して中国製アニメの日本語吹替版を中心に放送する『B8station』枠 が新設された。
2016年4月期から 2018年10月期まで、『ノイタミナ』枠の番組はAmazon Prime Videoで有料の独占配信を実施した(本放送から1クール程度経過すると、FOD経由で他の配信サイトでも配信される)。『+Ultra』枠も同様に2021年1月期まではNetflixが独占配信を行なったが、第1話の放送後に全話分の先行配信を実施していた(一部例外あり)。
2022年4月以降はテレビ東京において系列全局でネットされる作品が必ず放送されており、唯一全国ネットの深夜アニメ枠を常設していない系列となっている。また、TBS製作の全国ネット深夜アニメ枠が2024年1月に新設されたため、キー局としても全国ネットの深夜アニメ枠を有していない唯一の局となった。
1998年に放送された『LEGEND OF BASARA』を皮切りに独立局各局でも深夜アニメが多数放送されている。
2023年現在ではTOKYO MXが積極的に製作委員会に参加している他、その他の独立局も時折製作に参加するケースがある。TOKYO MX・サンテレビ・KBS京都のほか、毎日放送を中心とする在阪広域局やテレビ愛知でも番組数が多い。後述するように、BS11・BSフジ・BS日テレ・BS朝日などのBS放送局でも多数放送されているほか、AT-Xなどのアニメ専門チャンネルやABEMAなどのインターネット配信を活用すれば、地域を問わずほとんどの番組を視聴できる。
NHKでも地上波・BSを問わず深夜アニメを放送することがあり、民放各局と異なり日本全国で視聴できる。
2008年4月からはBS2において『衛星アニメ劇場』枠で新作のテレビアニメが複数放送された(第1弾は『今日からマ王!(第3シリーズ)』と『アリソンとリリア』)。2011年4月のBSのチャンネル改編により新設されたBSプレミアムでも、『BS深夜アニメ館』枠で過去作が1年間再放送された。2012年4月以降は別の時間帯に本放送する番組の再放送や民放のアニメ番組の再放送などを実施。2013年6月からは約2年半ぶりに新作の『キングダム』(第2シリーズ)を放送した。その他にも、過去に教育テレビ(Eテレ)やBS2で放送済みの番組を再放送することがあった。
総合テレビでは2011年4月に『もしドラ』を放送し(全日帯の22時55分からのフライングスタートを実施)、2014年8月には『目玉焼きの黄身 いつつぶす?』、2015年4月には『英国一家、日本を食べる』が放送された。
2016年10月から深夜アニメ枠が常設されており、2018年3月までは土曜23時台、翌4月から2022年3月までは月曜0時台(日曜深夜、2番組放送する時期もあり)、翌4月からは日曜0時 - 0時25分枠(土曜深夜)に放送されている。時期によってはTOKYO MX・BS11などの番組と競合が発生する場合もある。
2020年4月からはEテレでも月曜22時50分 - 23時15分に深夜アニメのレギュラー放送枠が設定されていた。この枠は翌年8月をもって終了している。
日本の特定の地域を舞台としている作品を、地元に所在する放送局がローカル編成で放送することがある。NHKではACジャパンなどの一部の公共広告を除いてCMを放送しないため、民放での放送時にCMに充てていた時間を活用して、オリジナルの紀行コーナーを追加している。
2011年の地上デジタル放送への完全移行と並行して、BSチューナーを内蔵したテレビやレコーダーの普及が進んだこともあり、BSデジタル放送局における深夜アニメの放送が拡大。2023年現在、毎日いずれかのBS放送局で深夜アニメが放送されている。ネットされる番組数が増えたことで深夜アニメ番組同士の競合が発生することもあり、同一のスポンサーのCMが同じ時間帯に放送されることもある。
なお、下記に挙げている作品についての具体的な概要は、各作品の記事を参照のこと。
日本の深夜番組ではいわゆるお色気番組が古くから一定数放送されていた時期があり、おおむね1990年代前半頃までは人間の裸体や遺体が放送されることもしばしばあったが、確立が1990年代後半以降になった深夜アニメに関しては黎明期から厳しい表現の自主規制を受けている。概要で述べたようにテレビ放送時になされていた自主規制をビデオソフトでは外すことで、ビデオソフトの販売促進の手段として活用している作品も珍しくない。
特にテレビ東京では、1997年にポケモンショックを起こした経験を機に放送基準に厳格な姿勢へ転向しており(全日帯では1998年の『カウボーイビバップ』が放送中止に追い込まれた)、2002年に放送された『フィギュア17 つばさ&ヒカル』では小学生相当の年齢の女子キャラクターの誕生や入浴により裸体が映るシーン(エロティックなものではなく、作劇上必要かつ自然なもの)に対して大幅な修正が入った内容で放送され、物議を醸した。2010年代以降は『トリニティセブン』や『チェンソーマン』のように、お色気や残虐な描写に対して規制を最小限に抑えた作品も放送されるようになっている。
フジテレビは黎明期は比較的規制に寛容だったが、2004年に放送されたお色気描写が豊富な『GIRLSブラボー first season』では方針を転換し、多くの自主規制を行なって放送した。その後『ノイタミナ』制定以降は再び規制が緩くなる傾向が見られ、『クズの本懐』や『平穏世代の韋駄天達』のように過激な描写が盛り込まれた作品も放送されることがある。
TBSも自主規制について厳格な傾向があり、『怪物王女』では原作から設定を改変して血液の描写をほとんど削除したケースもある。対して系列局の毎日放送は『BLOOD-C』のように規制に寛容な傾向がある。時間帯を問わず同局製作の作品がTBSで放送される際、TBS側で追加の規制を加えられることは基本的にはない。テレビ東京と同様に2020年代に入ってからは『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術Ω』 のようにお色気の描写がある程度見受けられる作品も放送されている。
一方でテレビ朝日は(深夜アニメ自体の放送が少なかったため他局と一概に比較はできないものの)平成中期には規制が比較的緩い傾向にあったが、『NUMAnimation』枠の設置以降は自主規制に厳しい傾向があり、『カッコウの許嫁』では原作のお色気描写の削除が行われた。
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