河井 案里(かわい あんり、1973年〈昭和48年〉9月23日 - )は、日本の政治家。
河井 案里 かわい あんり | |
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河井案里(2019年6月29日) | |
生年月日 | 1973年9月23日(50歳) |
出生地 | 日本 宮崎県延岡市 |
出身校 | 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了 |
前職 | 科学技術振興事業団職員 広島文化短期大学非常勤講師 |
所属政党 | (自由民主党→) (無所属→) (自由民主党(二階派)→) 無所属 |
配偶者 | 河井克行(元衆議院議員) |
選挙区 | 広島県選挙区 |
当選回数 | 1回 |
在任期間 | 2019年7月29日 - 2021年2月3日 |
選挙区 | 広島市安佐南区選挙区 |
当選回数 | 4回 |
在任期間 | 2003年4月30日 - 2009年10月22日 2011年4月30日 - 2019年4月29日 |
広島県議会議員(4期)を経て、2019年に参議院議員に初当選したが、2021年に当選無効となった(河井夫妻選挙違反事件)。旧姓は前田。夫は元衆議院議員で元法務大臣の河井克行。
宮崎県延岡市出身。建築家の父と声楽家の母の次女として生まれた。父は東京で働いていたが、多忙と生活の乱れから吐血して故郷の宮崎に移り、設計事務所を開いた。バブル期は羽振りがよく、案里を同行して海外各地へ社員旅行を繰り返した。バブル経済の崩壊などによって徐々に事務所経営が厳しくなるなか飲食業に手を出すなどしたがうまくいかず、最後に開いた焼肉屋の失敗を契機に飲食業からも手を引いた。
4歳のときに宮崎市へ移住。宮崎大学教育学部附属幼稚園、宮崎大学教育学部附属小学校、宮崎大学教育学部附属中学校、宮崎県立宮崎大宮高等学校を経て、慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程を修了。中学時代の同級生に堺雅人、大学生時代の友人に橋本岳がいた。高校では生徒会役員に立候補し、クルド人救済運動などに関わる。そして公共事業の多かった父親の職業から政治に興味を持ち、総合政策学部に進学した。大学院では「政策と民営化・民間活力の導入」を研究。
大学院修了後は、1999年に海洋科学技術センター(現・海洋研究開発機構)、2000年に科学技術振興事業団(現・科学技術振興機構)に勤務。2002年4月から2003年3月まで広島文化短期大学非常勤講師を務めた。
科学技術振興事業団専務理事だった沖村憲樹(元科学審議官)から結婚相手を探していた落選浪人中の河井克行を紹介される。紹介者の沖村を交えて夕食をともにしたその日に克行に見初められ、2001年4月20日に広島市内のホテルで結婚式を挙げた。仲人は橋本龍太郎元内閣総理大臣。司会は克行の友人で当時衆議院議員だった吉川貴盛が務めた。
結婚後、夫、河井克行の選挙サポートを始めたことがきっかけで、一緒に選挙区を回っていた克行から「君は政治に向いている」と県議選への出馬を勧められる。
2003年4月の広島県議会議員選挙・安佐南区選挙区(定数4)は、前回選で民主党・社民党の推薦を得て初当選した中国電力労組役員の森本雅彦が不出馬。後継として私鉄中国地方労組書記長の有元勝也が無所属・社民党推薦で立候補することとなった。 案里は無所属・自民党推薦で立候補し、有元や共産党新人候補らを破り得票数4位で初当選した。
2007年の県議選で自民党は現職の石橋良三、同じく現職の佐々木弘司、案里の3名に公認を出した。案里は得票数2位で再選を果たすが、佐々木は次点で落選した。
2009年、自由民主党を離党し、広島県知事選に亀井静香国民新党代表や一部の自民県議の支援を受けて立候補(自動失職)。自民党、公明党、社民党は自主投票に回った。連合広島の推薦と民主党の支援を受けた元通産官僚の湯崎英彦に敗れ、次点で落選。2010年には国民新党から第22回参議院議員通常選挙広島県選挙区への出馬を打診されたが、合意に至らなかった。同年12月に自民党に復党。
2011年の県議選に立候補し当選、議員に復帰。2012年3月には地域政党大阪維新の会が主催する維新政治塾に第1期生として参加した。2015年に4期目の当選。警察商工労働委員長、農林水産委員長、地域魅力向上対策特別委員長を歴任した。
2018年、自民党は翌年夏の第25回参議院議員通常選挙広島県選挙区に向けて、6選を目指す岸田派の溝手顕正を公認済みであった。ところが同年暮れ、安倍晋三首相や菅義偉官房長官らの意向をくんだ党本部は、党県連に対し、2人目を擁立することを打診。県連からは「組織が分裂しかねない」と一斉に反発があがった。
2019年2月19日、自民党の岸田文雄政調会長と甘利明選対委員長が国会内で会談。甘利は岸田に2人目の擁立に理解を求めた。この時点で候補者としては、自民党への入党を図る愛知県選挙区の無所属の薬師寺道代参議院議員と河井案里の名前が挙がっていた。準強制性交容疑で刑事告訴されていた愛知2区を地盤とする田畑毅衆議院議員が3月1日に辞職。薬師寺は田畑の後任を狙うこととなった。3月2日、自民党は河井を擁立する方針を固め、3月13日に正式に公認候補に決定した。そして3月14日、広島市議会議員選挙に出馬する予定だった行政書士の竹原哲が急遽、案里の後継として立候補すると表明した。
定数2の広島県選挙区において2人を公認するのは無謀であることから、自民党本部が野党系無所属の森本真治ではなく、過去に「(安倍首相は)もう過去の人」などとして安倍批判を行っていた溝手を潰すことを狙っていたとの見方がなされた。安倍首相と菅義偉官房長官の後ろ盾に自信をつけた案里と克行ははすぐに買収工作にとりかかる。3月27日、二人は三原市内のビルの一室に天満祥典市長を呼び出し、克行は帰り際、50万円入りの封筒を天満の背広の内ポケットに入れた。
3月29日、広島県議会議員選挙が告示される。克行は無投票で6選を果たした児玉浩の事務所を訪れ、児玉に30万円が入った封筒を渡した。案里の後継の竹原哲も無投票で初当選した。
4月15日、党本部は案里が支部長を務める「広島県参議院選挙区第七支部」に1,500万円を振り込む。以後、6月27日までに、同支部と克行が支部長を務める「広島県第三選挙区支部」に計1億5,000万円が振り込まれた。一方、溝手への支給額は1,500万円だった。二階俊博幹事長や菅義偉官房長官などの党幹部が選挙応援に訪れる中、案里は豊富な資金を元手に選挙戦を有利に進めた。克行はインターネットとコンサルティングの業者に、溝手のイメージを悪くするよう依頼。業者は架空の人物を名乗り、溝手や自民党県連が案里をいじめるようなことをしているとブログに投稿した。克行は記事の具体的な内容まで指示する一方、無所属の森本真治に対してはネガティブ・キャンペーンなどの工作は講じなかった。
7月21日投開票の結果、順位2位で初当選した(溝手は約2万5千票差で落選)。当確報道後、選挙事務所で支援者を前に「私は常々、自民党が2議席を取ってこそ、広島県、自民党の勝利だと言い続けてまいりましたので、きょうは万歳は差し控えさせていただきます」と述べ万歳はしなかった。
8月、菅官房長官を慕う無派閥議員17人が所属する向日葵会に入会。
10月4日に召集された第200回臨時国会で、参議院経済産業委員会、議院運営委員会、災害対策特別委員会に所属することになった。12月7日現在では、参議院ホームページには、経済産業委員会のページの委員名簿に案里の名前があったが、議院運営委員会と災害対策特別委員会ページの委員名簿には案里の名前は見当たらず、参議院ホームページの河井あんりページでの参議院における役職等一覧も経済産業委員会のみになっていた。
2020年3月3日、公設秘書が公職選挙法違反の疑いにより、広島地検に逮捕された(後述)。同月28日午後4時半頃、衆議院議員宿舎で飲酒しながら薬を多量に服用し救急搬送されたが、症状は重くなかった。
第201回通常国会の会期末直前の6月15日現在では、参議院経済産業委員会、災害対策特別委員会、国際経済・外交に関する調査会に所属し委員を務めていた。
6月17日、夫の克行と共に自民党を離党届を提出し受理された。議員辞職はしない意向を示していた。
6月18日、広島県内の地方議員や首長ら94人に投票や票の取りまとめを依頼し、計約2,570万円の報酬を渡したとして、克行と共に東京地検特捜部により逮捕された。
7月8日、公職選挙法違反(買収)の罪で克行と共に東京地裁に起訴された。
9月12日、広島市中区東白島町にある事務所が同月中に閉鎖されると取材で分かったと報じられた。
10月27日夜、東京拘置所から保釈。
第203回臨時国会の召集直後の10月31日現在では、参議院財政金融委員会に属していた。
11月25日、公設秘書の事件について最高裁判所が上告を棄却し、公設秘書の有罪が確定。12月21日、広島高等検察庁は、連座制を適用し、案里の当選無効などを求める行政訴訟を広島高等裁判所に起こした。
2021年1月21日、東京地裁は懲役1年4か月、執行猶予5年の判決を言い渡した。
1月下旬、自民党幹部は、案里が「間違いなく近々に辞める」として、案里の辞職に伴う補選が4月25日投開票になるとの見通しを周辺に伝えた。党県連は案里に代わって擁立する候補者の人選を水面下で進め、党本部は、党県連が選ぶ候補者に公明党の支援を取り付ける方向で調整し始めた。
2月3日、公選法違反の罪で有罪判決を受けたことを受け、案里は政策秘書を通して参議院に議員辞職願を提出。同日の本会議で辞職が許可された。翌日4日には公式ホームページ及びTwitterのアカウントも削除。
被告、検察ともに控訴しなかったため、翌日5日の0時に有罪が確定。当選無効となり、2026年2月まで5年間の公民権停止となった。なお、議員活動中に河井に支払われた「歳費」「期末手当」「文書通信交通滞在費」は合計4942万円あまりであり、当選無効になってもこれを返納する義務はない。当選無効による参議院広島県選挙区の再選挙は衆議院北海道2区及び参議院長野県選挙区の補欠選挙と同じ4月25日に行われ、野党統一候補の宮口治子が当選した。
5月21日、広島高等裁判所は有罪となった元公設秘書が連座制の対象になる「組織的選挙運動管理者」に当たると認定し、河井案里に対し参議院広島選挙区での立候補を5年間禁止する判決を出し、上告がなかったため、同年6月8日に連座制適用についても判決が確定した。これにより公民権停止に加え、参議院広島県選挙区での立候補に限り2026年6月まで禁止となる。
2022年1月20日、午後6時半ごろ、河井元議員の親族から「『さようなら』と連絡があった」などと110番があった。警察官が自宅マンションに駆け付けたところ、意識がもうろうとした状態の元議員が見つかったという。自殺未遂と見られる。命に別状はなかった。睡眠薬を20錠ほど飲んだとみられている。
広島県参議院選挙区第七支部 (支部長:河井案里) | 広島県第三選挙区支部 (支部長:河井克行) | |
4月15日 | 1,500万円★ | |
5月20日 | 3,000万円★ | |
6月10日 | 3,000万円★ | 4,500万円★ |
6月27日 | 3,000万円 | |
計 | 7,500万円 | 7,500万円 |
※いずれも在職時代。
当落 | 選挙 | 執行日 | 年齢 | 選挙区 | 政党 | 得票数 | 得票率 | 定数 | 得票順位 /候補者数 | 政党内比例順位 /政党当選者数 |
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当 | 広島県議会議員選挙 | 2003年4月13日 | 29 | 広島市安佐南区 | 無所属 | 1万801票 | 15.51% | 5 | 4/7 | / |
当 | 広島県議会議員選挙 | 2007年4月8日 | 33 | 広島市安佐南区 | 自由民主党 | 1万7223票 | 20.31% | 5 | 2/6 | / |
落 | 広島県知事選挙 | 2009年11月8日 | 36 | ―― | 無所属 | 19万5623票 | 25.87% | 1 | 2/5 | / |
当 | 広島県議会議員選挙 | 2011年4月10日 | 37 | 広島市安佐南区 | 無所属 | 2万799票 | 24.94% | 5 | 1/6 | / |
当 | 広島県議会議員選挙 | 2015年4月12日 | 41 | 広島市安佐南区 | 自由民主党 | 2万733票 | 27.03% | 5 | 1/7 | / |
当選無効 | 第25回参議院議員通常選挙 | 2019年7月21日 | 45 | 広島県選挙区 | 自由民主党 | 29万5871票 | 28.99% | 2 | 2/7 | / |
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