人工知能

人工知能(じんこうちのう、英: artificial intelligence)、AI(エーアイ)とは、「『計算(computation)』という概念と『コンピュータ(computer)』という道具を用いて『知能』を研究する計算機科学(computer science)の一分野」を指す語。「言語の理解や推論、問題解決などの知的行動を人間に代わってコンピュータに行わせる技術」、または、「計算機(コンピュータ)による知的な情報処理システムの設計や実現に関する研究分野」ともされる。大学でAI教育研究は、情報工学科や情報理工学科コンピュータ科学専攻などの組織で行われている(工学〔エンジニアリング〕とは、数学・化学・物理学などの基礎科学を工業生産に応用する学問)。

日本大百科全書(ニッポニカ)』の解説で、情報工学者・通信工学者の佐藤理史は次のように述べている。

誤解を恐れず平易にいいかえるならば、「これまで人間にしかできなかった知的な行為(認識、推論、言語運用、創造など)を、どのような手順(アルゴリズム)とどのようなデータ(事前情報や知識)を準備すれば、それを機械的に実行できるか」を研究する分野である。

1200の大学で使用された事例がある計算機科学の教科書『エージェントアプローチ人工知能』は、最終章最終節「結論」で、未来はどちらへ向かうのだろうか?と述べて次のように続ける。SF作家らは、筋書きを面白くするためにディストピア的未来を好む傾向がある。しかし今までのAIや他の革命的な科学技術(出版・配管・航空旅行・電話システム)について言えば、これらの科学技術は全て好影響を与えてきた。同時にこれらは不利な階級へ悪影響を与えており、われわれは悪影響を最小限に抑えるために投資するのがよいだろう。論理的限界まで改良されたAIが、従来の革命的技術と違って人間の至高性を脅かす可能性もある。前掲書の「結論」は、次の文で締めくくられている。

結論として、AIはその短い歴史の中で大いに発達したが、アラン・チューリングの「計算機械と知能」(1950年)という小論の最後の文は今も有効である。つまり
「われわれは少し先までしか分からないが、多くのやるべきことが残っているのは分かる」

概要

「人工知能」の定義・解説

出典 定義・解説
日本語辞典『広辞苑 推論・判断などの知的な機能を備えたコンピュータ・システム
百科事典『ブリタニカ百科事典 科学技術 > コンピュータ … 人工知能(AI)。一般的に知的存在に関連している課題をデジタルコンピュータやコンピュータ制御のロボットが実行する能力〔アビリティ〕
人工知能学会記事「教養知識としてのAI」 『人工知能とは何か』という問いに対する答えは,単純ではない.人工知能の専門家の間でも,大きな議論があり,それだけで1 冊の本となってしまうほど,見解の異なるものである.そのような中で,共通する部分を引き出して,一言でまとめると,『人間と同じ知的作業をする機械を工学的に実現する技術』といえるだろう
学術論文「深層学習と人工知能」 人工知能は,人間の知能の仕組みを構成論的に解き明かそうとする学問分野である
学術論文「人工知能社会のあるべき姿を求めて」 人工知能をはじめとする情報技術はあくまでツール

人間の知的能力をコンピュータ上で実現する、様々な技術・ソフトウェア群・コンピュータシステム、アルゴリズムとも言われる。主力な特化型AIとしては、

等がある。

概史

人工知能という分野では、コンピュータの黎明期である1950年代から研究開発が行われ続けており、第1次の「探索と推論」,第2次の「知識表現」というパラダイムで2回のブームが起きたが、社会が期待する水準に到達しなかったことから各々のブームの後に冬の時代を経験した。

しかし2012年以降、Alexnetの登場で画像処理におけるディープラーニングの有用性が競技会で世界的に認知され、急速に研究が活発となり、第3次人工知能ブームが到来。2016年から2017年にかけて、ディープラーニングと強化学習(Q学習、方策勾配法)を導入したAIが完全情報ゲームである囲碁などのトップ棋士、さらに不完全情報ゲームであるポーカーの世界トップクラスのプレイヤーも破り、麻雀では「Microsoft Suphx(Super Phoenix)」がオンライン対戦サイト「天鳳」でAIとして初めて十段に到達するなど最先端技術として注目された。第3次人工知能ブームの主な革命は、自然言語処理、センサーによる画像処理など視覚的側面が特に顕著であるが、社会学、倫理学、技術開発、経済学などの分野にも大きな影響を及ぼしている。

第3次人工知能ブームが続く中、2022年11月30日にOpenAIからリリースされた生成AIであるChatGPTが質問に対する柔軟な回答によって注目を集めたことで、企業間で生成AIの開発競争が始まるとともに、積極的に実務に応用されるようになった。この社会現象を第4次人工知能ブームと呼ぶ者も現れている。

一方、スチュアート・ラッセルらの『エージェントアプローチ人工知能』は人工知能の主なリスクとして致死性自律兵器監視と説得偏った意思決定雇用への影響セーフティ・クリティカル〔安全重視〕な応用サイバーセキュリティを挙げている。またラッセルらは『ネイチャー』で、人工知能による生物の繁栄と自滅の可能性や倫理的課題についても論じている。マイクロソフトは「AI for Good Lab」(善きAI研究所)を設置し、eラーニングサービス「DeepLearning.AI」と提携している 。

世界の研究開発動向と政策

Googleはアレン脳科学研究所と連携し脳スキャンによって生まれた大量のデータを処理するためのソフトウェアを開発している。2016年の時点で、Googleが管理しているBrainmapのデータ量はすでに1ゼタバイトに達しているという。Googleは、ドイツのマックスプランク研究所とも共同研究を始めており、脳の電子顕微鏡写真から神経回路を再構成するという研究を行っている。

中国では2016年の第13次5カ年計画からAIを国家プロジェクトに位置づけ、脳研究プロジェクトとして中国脳計画(英語版)も立ち上げ、官民一体でAIの研究開発を推進している。中国の教育機関では18歳以下の天才児を集めて公然とAI兵器の開発に投じられてもいる。マサチューセッツ工科大学(MIT)のエリック・ブリニョルフソン(英語版)教授や情報技術イノベーション財団(英語版)などによれば、中国ではプライバシー意識の強い欧米と比較してAIの研究や新技術の実験をしやすい環境にあるとされている。日本でスーパーコンピュータの研究開発を推進している齊藤元章もAIの開発において中国がリードする可能性を主張している。世界のディープラーニング用計算機の4分の3は中国が占めてるともされる。米国政府によれば、2013年からディープラーニングに関する論文数では中国が米国を超えて世界一となっている。FRVT(英語版)やImageNetなどAIの世界的な大会でも中国勢が上位を独占している。大手AI企業Google、マイクロソフト、Appleなどの幹部でもあった台湾系アメリカ人科学者の李開復は中国がAIで覇権を握りつつあるとする『AI超大国:中国、シリコンバレーと新世界秩序(英語版)』を著してアメリカの政界やメディアなどが取り上げた。

フランス大統領エマニュエル・マクロンはAI分野の開発支援に向け5年で15億ドルを支出すると宣言し、AI研究所をパリに開き、フェイスブック、グーグル、サムスン、DeepMind、富士通などを招致した。イギリスともAI研究における長期的な連携も決定されている。EU全体としても、「Horizon 2020」計画を通じて、215億ユーロが投じられる方向。韓国は、20億ドルを2022年までに投資をする。6つのAI機関を設立し褒賞制度も作られた。目標は2022年までにAIの世界トップ4に入ることだという。

日経新聞調べによると、国別のAI研究論文数は1位米国、2位中国、3位インド、日本は7位だった。

日本も加盟する経済協力開発機構(OECD)は、人工知能が労働市場に大きな影響を与える可能性が高いと警告しているが、2023年時点ではまだその兆候は見られない。人工知能の爆発的な普及は、世界の労働市場をまもなく一変させる可能性がある。日本を含む各国政府は、人工知能のような高度なスキルを持つ人材を育成し、低所得労働者の福祉を向上させるべきである。日本も加盟しているOECDは、高齢者やスキルの低い人々に人工知能の訓練を義務付けている。人工知能のような新興かつ高度なスキルが求められる時代は、従来のスキルがすでに時代遅れで使い物にならないということでもある。計算神経科学者が忠告しているように、すでに、人工知能がすべてを変える、加速する変化と生涯学習の時代になった。

2024年の人工知能の展望については、従来の人工知能はビッグデータの単純明快な課題から学習して複雑な課題を解決することは得意であるが、新しい未知の種類のデータや学習データの少ない複雑な課題は苦手なので、2024年は学習データの少ない人工知能の開発が重要になる。人間の基本的な欲求や宇宙の理解に取り組む人工知能は、特に学習データが少ない状況に対応することが予想される。人工知能開発ツールの自動化、人工知能の基盤モデルの透明化、話題の映像自動生成人工知能の成功も期待される。また、学習言語データは欧米言語が中心であるため、人工知能格差の拡大を防ぐために、欧米言語以外の学習データにも取り組む動きが世界的に広がっている。

応用例

人工知能 
人工知能が突如として爆発的に成長する中、人間のために役立つ人工知能という考え方もこれまで以上に重要になっている。

脳神経科学・計算神経科学

計算神経科学や人工知能の産物であるChatGPTと同様の言語モデルは、逆に今、脳神経科学研究の理解に寄与している。

医療・医用情報工学・メドテック

医療現場ではAIが多く活用されており、最も早く導入されたのは画像診断と言われている。レントゲンやMRI画像の異常部分を検知することで、病気の見逃し発見と早期発見に役立っている。また、AIがカルテの記載内容や患者の問診結果などを解析できるよう、自然言語処理技術の発展も進んでいる。今後はゲノム解析による疾病診断、レセプトの自動作成、新薬の開発などが行えるよう期待されている。

また、症例が少ない希少疾患の場合、患者の個人情報の保護が重要になるため、データを暗号化した状態で統計解析を行う秘密計算技術にAIを活用して、データの前処理、学習、推論を行えることを目指す研究が行われている。

スマート農業・アグリテック

AIを搭載した収穫ロボットを導入することで、重労働である農作業の負担を減らしたり、病害虫が発生している個所をAIでピンポイントで見つけだして、農薬散布量を必要最小限に抑えたりすることが可能になる。また、AIで事前に収穫量を正確に予測できれば、出荷量の調整にも役立つ。

Googleは農作物のスキャニングと成長記録を行う農業AIロボット「Don Roverto」を開発。多くの苗の個体識別を行い実験を繰り返すことで、厳しい環境下でも耐えられる気候変動に強い種を瞬時に見つけ出せる。

児童保護

子どものネット上の安全に人工知能を入れることは、国連や欧州連合で継続的に注目されている。

また、2歳児の失読症の診断など、子どもの発達にも寄与している。

日常生活

2022年秋にChatGPTが公開されて以来、生成AIの活用も日常化しつつある。人工知能は未だに指示(専門用語でプロンプトと言う)に対して誤った回答を返すことも多いため、誤った回答を抑制するための過渡期の手法としてプロンプトエンジニアリングという手法も実践されている。加速度的な人工知能の性能向上を考慮した場合、遅くとも2020年代の内には人間との対話と同等の質問応答が可能となるため、プロンプトに対する人工知能特有の工夫は不要となる見通しがある。

2023年4月に自動車の自動運転は、レベル4(一定条件下で完全に自動化した公道での走行)が解禁された。福井県永平寺町では実証実験に成功しており、2023年度中に運転許可を申請する方向で検討している。

2023年10月、『ネイチャー』誌で、ウィキペディアの信頼性が人工知能によってついに向上する可能性が示された。

2023年現在、人工知能を用いたサービスが日常生活に浸透してきている。PCやスマートフォンの画像認識による生体認証や音声認識によるアシスタント機能はすでに普通のサービスとなっている。AIスピーカーが普及してきており、中国製掃除ロボットに自動運転技術が応用されている。人工知能は、台風被害の予測、地震被災者の支援、健康のための大気汚染の把握などにも応用されている。

文化・芸術

音楽分野においては、既存の曲を学習することで、特定の作曲家の作風を真似て作曲する自動作曲ソフトが登場している。またリズムゲームに使われるタッチ位置を示した譜面を楽曲から自動生成するなど分野に特化したシステムも開発されている。また、特定の音声を学習させて、声優の仕事を代替したり、特定のキャラクターや歌手などの声で歌わせたりなどが行われており、規制やルール作りなどの必要性が議論されている。また前述した音声学習を用いて1つのトラックから特定の楽器や歌声を取り出す「デミックス」と呼ばれる技術も登場しており、ビーチ・ボーイズやビートルズなどはこれを活用してトラック数の少ない時代の楽曲をリミックスして新たなステレオ・ミックスを作成したり、セッション・テープが破棄されたりマルチ・テープの音源に欠落がありモノラルしか存在しなかった楽曲のステレオ化をするなどしている。2023年にビートルズが発表したシングル『ナウ・アンド・ゼン』ではジョン・レノンが1970年代に録音したカセットテープからボーカルを抽出するのに使われた。

画像生成の技術としては、VAE、GAN、拡散モデルといった大きく分けて三種類が存在する。絵画分野においては、コンセプトアート用背景やアニメーションの中割の自動生成、モノクロ漫画の自動彩色など、人間の作業を補助するAIが実現している。AIに自然言語で指定したイラスト生成させるサービス(Stable Diffusionなど)も登場している。このような人工知能を利用して制作された絵画は「人工知能アート(Artificial intelligence art)」と呼ばれているが、教師データとして利用された著作物の知的財産権などを巡り、深刻な懸念が広がっている。

人工知能は、絶滅危惧言語や生物多様性の保護にも応用されている。学術的に構造化された文献レビューとして通常質の高い証拠とされる統計的な文献分析や、学術的な風土のために発表できなかった研究などの問題を考慮した体系的な見方を提供することに加え、さらに人工知能や自然言語処理機能を用いた厳密で透明性の高い分析を行うことで、科学的な再現性の危機をある程度解決しようと試みている。

将棋AIは人間同士・AI同士の対局から学習して新しい戦法を生み出しているが、プロ棋士(人間)の感覚では不可解ながら実際に指すと有用であるという。

スポーツの分野では、AIは選手の怪我のリスクやチームのパフォーマンスを予測するのに役立つ。

メタ分析によれば、AIが政治的な意思決定を行うことも、2020年時点では学術界ではまだ注目されておらず、AIと政治に関するトピックは、学術界ではビッグデータやソーシャルメディアにおける政治的問題に関する研究が中心となっていた。人工知能による人類絶滅の危険を懸念する声が存在するが 、一方で平和を促進するための文化的な応用も存在する。系統的レビューの中には、人工知能の人間を理解する能力を借りてこそ、テクノロジーは人類に真の貢献ができると分析するものもある。

歴史

AIの構築が長い間試みられてきているが、複雑な現実世界に対応しうる性能を持つ計算機の開発やシンボルグラウンディング問題とフレーム問題の解決が大きな壁となってきた。第1次ブームで登場した「探索と推論」や第2次ブームで登場した「知識表現」というパラダイムに基づくAIは各々現実世界と比して単純な問題しか扱えなかったため社会的には大きな影響力を持つことはなかった。第3次以降のブームでは高性能なAIが登場し、AI脅威論、AIの本格的な社会的浸透、AIとの共生方法等が議論されている。

初期

17世紀初め、ルネ・デカルトは、動物の身体がただの複雑な機械であると提唱した(機械論)。ブレーズ・パスカルは1642年、最初の機械式計算機を製作した。チャールズ・バベッジとエイダ・ラブレスはプログラム可能な機械式計算機の開発を行った。

バートランド・ラッセルとアルフレッド・ノース・ホワイトヘッドは『数学原理』を出版し、形式論理に革命をもたらした。ウォーレン・マカロックとウォルター・ピッツは「神経活動に内在するアイデアの論理計算」と題する論文を1943年に発表し、ニューラルネットワークの基礎を築いた。

1900年代後半

1950年代になるとAIに関して活発な成果が出始めた。1956年夏、ダートマス大学が入居している建物の最上階を引き継いだ数学と計算機科学者のグループの一人である若き教授ジョン・マッカーシーはワークショップでのプロポーザルで "Artificial Intelligence" という言葉を作り出している。ワークショップの参加者は、オリバー・セルフリッジ、レイ・ソロモノフ、マービン・ミンスキー、クロード・シャノン、ハーバート・サイモン、アレン・ニューウェルなどであった。ジョン・マッカーシーはAIに関する最初の会議で「人工知能」という用語を作り出した。彼はまたプログラミング言語LISPを開発した。知的ふるまいに関するテストを可能にする方法として、アラン・チューリングは「チューリングテスト」を導入した。ジョセフ・ワイゼンバウムはELIZAを構築した。これは来談者中心療法を行うおしゃべりロボットである。

1956年に行われた、ダートマス会議開催の提案書において、人類史上、用語として初めて使用され、新たな分野として創立された。

1979年、NHK技研で研究者として所属していた福島邦彦氏が曲率を抽出する多層の神経回路にコグニトロン型の学習機能を取り入れて、多層神経回路モデル「ネオコグニトロン」を発明。

1980年代から急速に普及し始めたコンピュータゲームでは、敵キャラクターやNPCを制御するため、パターン化された動きを行う人工無能が実装されていた。

1990年代はAIの多くの分野で様々なアプリケーションが成果を上げた。特に、ボードゲームでは目覚ましく、1992年にIBMは世界チャンピオンに匹敵するバックギャモン専用コンピュータ・TDギャモンを開発し、IBMのチェス専用コンピュータ・ディープ・ブルーは、1997年5月にガルリ・カスパロフを打ち負かし、同年8月にはオセロで日本電気のオセロ専用コンピュータ・ロジステロに世界チャンピオンの村上健が敗れた。

日本における第二次AIブーム

日本においてはエキスパートシステムの流行の後にニューロファジィが流行した。しかし、研究が進むにつれて計算リソースやデータ量の不足,シンボルグラウンディング問題,フレーム問題に直面し、産業の在り方を激変させるようなAIに至ることは無く、遅くとも1994年頃までにはブームは終焉した。

1994年5月25日に計測自動制御学会から第二次AIブームの全容をB5判1391ページにわたって学術論文並みの詳細度でまとめた『ニューロ・ファジィ・AIハンドブック』が発売されている。この書籍ではシステム・情報・制御技術の新しいキーワード、ニューロ・ファジィ・AIの基礎から応用事例までを集めている。

ニューロファジィ

1980年代後半から1990年代中頃にかけて、従来から電子制御の手法として用いられてきたON/OFF制御,PID制御,現代制御の問題を克服するため、知的制御が盛んに研究され、知識工学的なルールを用いるファジィ制御,データの特徴を学習して分類するニューラルネットワーク,その2つを融合したニューロファジィという手法が日本を中心にブームを迎えた。1987年には仙台市において開業した地下鉄のATOに採用され、バブル期の高級路線に合わせて、白物家電製品でもセンサの個数と種類を大幅に増やし、多様なデータを元に運転を最適化するモデルが多数発売され始めた。更に後には、人工知能とは異なるものの制御対象のカオス性をアルゴリズムに組み込んで制御するカオス制御が実用化されることになる。従来の単純な論理に基づく制御と比較して柔軟な制御が可能になることから、遅くとも2000年頃にはファジィ制御,ニューロ制御,カオス制御などの曖昧さを許容する制御方式を総称してソフトコンピューティングと呼ぶようになっている。この当時のソフトコンピューティングについては理論的な性能向上の限界が判明したため一過性のブームに終わったが、ブームが去った後も用いられ続けている。特にファジィ制御はトップダウンで挙動の設計が可能であるだけでなく、マイクロコントローラでもリアルタイム処理が可能なほど軽量であるため、ディープラーニングの登場以降も[独自研究?]幅広い分野で活用されている。

ファジィについては、2018年までに日本が世界の1/5の特許を取得している事から、日本で特に大きなブームとなっていたことが分かっている。

ブームの経緯

松下電器(現パナソニック)が1985年頃から人間が持つような曖昧さを制御に活かすファジィ制御についての研究を開始し、1990年2月1日にファジィ洗濯機第1号である「愛妻号Dayファジィ」の発売に漕ぎ着けた。「愛妻号Dayファジィ」は従来よりも多数のセンサーで収集したデータに基づいて、柔軟に運転を最適化する洗濯機で、同種の洗濯機としては世界初であった。ファジィ制御という当時最先端の技術の導入がバブル期の高級路線にもマッチしたことから、ファジィは裏方の制御技術であるにもかかわらず世間の大きな注目を集めた。その流行の度合いは、1990年の新語・流行語大賞における新語部門の金賞で「ファジィ」が選ばれる程であった。その後に、松下電器はファジィルールの煩雑なチューニングを自動化したニューロファジィ制御を開発し、従来のファジィ理論の限界を突破して学会で評価されるだけでなく、白物家電への応用にも成功して更なるブームを巻き起こした。松下電器の試みの成功を受けて、他社も同様の知的制御を用いる製品を多数発売した。1990年代中頃までは、メーカー各社による一般向けの白物家電の売り文句として知的制御技術の名称が大々的に用いられており、洗濯機の製品名では「愛妻号DAYファジィ」,掃除機の分類としては「ニューロ・ファジィ掃除機」,エアコンの運転モードでは「ニューロ自動」などの名称が付与されていた。

ニューロ,ファジィ,ニューロファジィという手法は、従来の単純なオン・オフ制御や、対象を数式で客観的にモデル化する(この作業は対象が複雑な機構を持つ場合は極めて難しくなる)必要があるPID制御や現代制御等と比較して、人間の主観的な経験則や計測したデータの特徴が利用可能となるファジィ、ニューロ、ニューロファジィは開発工数を抑えながら、環境適応時の柔軟性を高くできるという利点があった。しかし、開発者らの努力にもかかわらず、計算能力や収集可能なデータ量の少なさから、既存の工作機械や家電製品の制御を多少改善する程度で限界を迎えた。理論的にもファジィ集合と深層学習ではない3層以下のニューラルネットワークの組み合わせであり、計算リソースや学習データが潤沢に与えられたとしても、勾配消失問題などの理論的限界によって認識精度の向上には限界があった。

以降、計算機の能力限界から理論の改善も遅々として進まず、目立った進展は無くなり、1990年代末には知的制御を搭載する白物家電が大多数になったことで、売り文句としてのブームは去った。ブーム後は一般には意識されなくなったが、現在では裏方の技術として、家電製品のみならず、雨水の排水,駐車場,ビルの管理システムなどの社会インフラにも使われ、十分に性能と安定性が実証されている。2003年頃には、人間が設計したオントロジー(ファジィルールとして表現する)を利活用するネットワーク・インテリジェンスという分野に発展した。

統計的機械学習

日本の気象庁では、1977年から気象数値モデルの補正に統計的機械学習の利用を開始している。具体的には、カルマンフィルタ、ロジスティック回帰、線形重回帰、クラスタリング等である。

また地震発生域における地下の状態を示すバロメータである応力降下量を、ベイズ推定やマルコフ連鎖モンテカルロ法によって推定したり、余震などの細かい地震の検知を補正するガウス過程回帰といった手法を気象庁は導入している。

2000年代

2005年、レイ・カーツワイルは著作で、「圧倒的な人工知能が知識・知能の点で人間を超越し、科学技術の進歩を担い世界を変革する技術的特異点(シンギュラリティ)が2045年にも訪れる」とする説を発表した。

2010年代前半

2010年代に入り、膨大なデータを扱う研究開発のための環境が整備されたことで、AI関連の研究が再び大きく前進し始めた。

2010年に英国エコノミスト誌で「ビッグデータ」という用語が提唱された。同年に質問応答システムのワトソンが、クイズ番組「ジェパディ!」の練習戦で人間に勝利し、大きなニュースとなった。

2013年には国立情報学研究所や富士通研究所の研究チームが開発した「東ロボくん」で東京大学入試の模擬試験に挑んだと発表した。数式の計算や単語の解析にあたる専用プログラムを使い、実際に受験生が臨んだ大学入試センター試験と東大の2次試験の問題を解読した。代々木ゼミナールの判定では「東大の合格は難しいが、私立大学には合格できる水準」だった。

2010年代後半

2015年10月に、DeepMind社は2つの深層学習技術と強化学習、モンテカルロ木探索を組み合わせ「AlphaGo」を開発し、人間のプロ囲碁棋士に勝利することに成功した。それ以降、ディープラーニング(深層学習)と呼ばれる手法が注目されはじめた。

2016年10月、DeepMindが、入力された情報の関連性を導き出し仮説に近いものを導き出す人工知能技術「ディファレンシャブル・ニューラル・コンピューター」を発表し、同年11月、大量のデータが不要の「ワンショット学習」を可能にする深層学習システムを、翌2017年6月、関係推論のような人間並みの認識能力を持つシステムを開発。2017年8月には、記号接地問題(シンボルグラウンディング問題)を解決した。

従来、AIには不向きとされてきた不完全情報ゲームであるポーカーでもAIが人間に勝利するようになった。

Googleの関係者はさらに野心的な取り組みとして、単一のソフトウェアで100万種類以上のタスクを実行可能なAIを開発していると明らかにした。

人工知能の第三次ブーム:AGI(汎用人工知能)と技術的特異点

2006年のディープラーニングの発明と、2010年以降のビッグデータ収集環境の整備、計算資源となるGPUの高性能化により、2012年にディープラーニングが画像処理コンテストで他の手法に圧倒的大差を付けて優勝したことで、技術的特異点という概念は急速に世界中の識者の注目を集め、現実味を持って受け止められるようになった。

ディープラーニングの発明と急速な普及を受けて、研究開発の現場においては、デミス・ハサビス率いるDeepMindを筆頭に、Vicarious、OpenAI、IBM Cortical Learning Center、全脳アーキテクチャ、PEZY Computing、OpenCog、GoodAI、NNAISENSE、IBM SyNAPSE、Nengo、中国科学院自動化研究所等、汎用人工知能AGI)を開発するプロジェクトが数多く立ち上げられている。これらの研究開発の現場では、脳をリバースエンジニアリングして構築された神経科学と機械学習を組み合わせるアプローチが有望とされている。

2017年10月、ジェフリー・ヒントンにより要素間の相対的な位置関係まで含めて学習できるCapsNet(カプセルネットワーク)が提唱された。

2018年3月16日の国際大学GLOCOMの提言によると、課題解決型のAIを活用する事で社会変革に寄与できると分析されている。

2018年8月、OpenAIが好奇心を実装しノーゲームスコア、ノーゴール、無報酬で目的なき探索を行うAIを公表。これまでのAIで最も人間らしいという。

2018年9月、MITリンカーン研究所は従来ブラックボックスであったニューラルネットワークの推論をどのような段階を経て識別したのかが明確に分かるアーキテクチャを開発した。

2019年、BERTなどの言語モデルにより、深層学習では困難とされてきた言語処理において大きな進展があり、Wikipediaなどを使用した読解テストで人間を上回るに至った。

2020年代前半

2020年には、OpenAIが基盤モデルとしてTransformerを採用した1750億パラメータを持つ自然言語処理プログラムGPT-3が開発され、アメリカの掲示板サイトRedditで1週間誰にも気付かれず人間と投稿・対話を続けた。プログラムと気付かれた理由は文章の不自然さではなく、その投稿数が異常というものだった。

DeepMindが開発したタンパク質の構造予測を行うAlphaFold2がCASPのグローバル距離テスト (GDT) で90点以上を獲得し、計算生物学における重要な成果であり、数十年前からの生物学の壮大な挑戦に向けた大きな進歩と称された。

最先端のAI研究では2年で1000倍サイズのモデルが出現し、1000倍の演算能力を持つコンピュータが必要になって来ている。

2020年の時点で、メタ分析によれば、いくつかのAIアルゴリズムの進歩は停滞している。

2021年4月、NVIDIAの幹部、パレシュ・カーリャは「数年内に100兆パラメータを持つAIモデルが出てくるだろう」と予想した。

2021年5月、マイクロソフトリサーチが32兆パラメーターのAIを試験。

2021年6月、中国政府の支援を受けている北京智源人工知能研究院がパラメーター数1兆7500億のAI「悟道2.0」を発表。

2021年6月、グーグルの研究者達がグラフ畳み込みニューラルネットと強化学習(方策勾配法最適化)を用いて配線とチップの配置を自動設計させたところ、消費電力、性能など全ての主要な指数で人間が設計したもの以上の行列演算専用チップ(TPU4.0)のフロアプランを生成した。そして、設計にかかる時間は人間の1/1000であった。

2021年8月、グーグルの量子人工知能研究部門を率いるハルトムート・ネベンは量子コンピュータの発達の影響がもっとも大きい分野として機械学習分野などAIを挙げた。

2021年8月、DeepMindはさまざまな種類の入力と出力を処理できる汎用の深層学習モデル「Perceiver」を開発した。

2021年10月、GoogleBrainは視覚、聴覚、言語理解力を統合し同時に処理するマルチモーダルAIモデル「Pathways」を開発中であると発表した。

2022年、研究者の間では大規模ニューラルネットワークに意識が存在するか議論が起こっている。深層学習の第一人者Ilya Sutskeverは「(大規模ニューラルネットワークは)少し意識的かもしれない」と見解を示した。

2022年02月、DeepMindは自動でプログラムのコーディングが可能なAI「AlphaCode」を発表した。

2022年4月、Googleは予告どおりPathwaysを使い、万能言語モデルPaLMを完成させた。とんち話の解説を行えるほか、9-12歳レベルの算数の文章問題を解き、数学計算の論理的な説明が可能であった。デジタルコンピュータは誕生から80年弱にして初めて数学計算の内容を文章で説明できるようになった。その後、自然言語処理としてPathwaysをベースにした数学の問題を解けるモデル「Minerva」を開発した。また、Pathwaysをベースにした自然言語処理とDiffusion Modelを連携し、画像生成モデルPartiを発表した。

2022年5月12日、DeepMindは様々なタスクを一つのモデルで実行することができる統合モデル「Gato」を発表した。チャット、画像の生成と説明、四則演算、物体を掴むロボットの動作、ゲームの攻略等々、600にも及ぶ数々のタスクをこの一つのモデルで実行することができるという。

DeepMindのNando de Freitasは「今は規模が全てです。(AGIに至る道を探す)ゲームは終わった」と主張したが人工知能の歴史の中で繰り返されてきた誇大広告だという批判も存在する。

2022年5月、GoogleのチャットボットLaMDAの試験が行われた。それに参加していたエンジニアであるブレイク・ルモワンはLaMDAに意識があると確信、会話全文を公開したがGoogleから守秘義務違反だとして休職処分を受けた。この主張には様々な批判意見がある。

2022年8月、拡散モデルがベースの画像生成AI・Midjourneyの作品が米国コロラド州で開催された美術品評会で優勝した。ただし細かい部分は人間の手が加えられている。

2022年10月、DeepMindは行列の積を効率的に計算するための未発見のアルゴリズムを導き出す「AlphaTensor」を開発した。。「4×5の行列」と「5×5の行列」の積を求める際に、通常の計算方法で100回の乗算が必要なところを、76回に減らすことができた。またこれを受けて数学者もさらに高速な行列乗算プログラムを公表した。

2022年11月30日、OpenAIがGPT-3.5を用いたChatGPTをリリースした。全世界的に従来よりも圧倒的に人間に近い回答を返す質問応答システムとして話題となり、産官学を巻き込んだブームを引き起こした。非常に使い勝手の良いChatGPTの登場により、AIの実務応用が爆発的に加速すると予想されたため、これを第4次AIブームの始まりとする意見も挙がっている。

2022年12月、Googleは、「Flan-PaLM」と呼ばれる巨大言語モデルを開発した。米国医師免許試験(USMLE)形式のタスク「MedQA」で正答率67.6%を記録し、PubMedQAで79.0%を達成した。57ジャンルの選択問題タスク「MMLU」の医療トピックでもFlan-PaLMの成績は他の巨大モデルを凌駕した。臨床知識で80.4%、専門医学で83.8%、大学生物学で88.9%、遺伝医療学で75.0%の正答率である。Googleロボティクス部門はまた、ロボットの入力と出力行動(カメラ画像、タスク指示、モータ命令など)をトークン化して学習し、実行時にリアルタイム推論を可能にする「Robotics Transformer 1(RT-1)」を開発した。

2023年1月11日、DeepMindは、画像から世界モデルを学習し、それを使用して長期視点から考えて最適な行動を学習する事が出来る「DreamerV3」を発表した。

2023年12月、Googleはさらに「Gemini」と呼ばれる人工知能基盤モデルを発表した。この人工知能基盤モデルの特徴は、一般的なタスクにおいて専門家よりも高い正答率を示すことで、「Gemini」はついに専門家を超えたと宣伝されている。

一般的に2018年頃はまだ、AIは肉体労働や単純作業を置き換え、芸術的・創造的仕事が「人間の領域」となると予想されてきたが、実際には2020年代前半から芸術的な分野へ急速に進出していると学術界でさえ予想できなかった節がある。またAIの実用化後も残るとされた翻訳、意思決定、法律相談など高度なスキルを必要とする分野への応用も進んでいる。一方で2023年時点では肉体労働や単純作業への利用は自動倉庫の制御、囲碁の盤面の映像から棋譜を作成するなど限定的な利用にとどまっている。テスラ社は開発を進める二足歩行ロボットTesla Botに汎用人工知能を搭載し、単純労働を担当させると表明している。

人工知能は今、質問応答、意思決定支援、需要予測、音声認識、音声合成、機械翻訳、科学技術計算、文章要約など、各分野に特化したシステムやこれらを組み合わせたフレームワークが実用化された。

2023年5月11日、日本政府は首相官邸で、「AI戦略会議」(座長 松尾豊・東京大学大学院教授)の初会合を開いた。

科学とAI

  1. タンパク質の折り畳みの高精度予測
  2. 自然言語処理によるRNAコドン配列の解析
  3. 気象物理過程式のパラメータ逆推定および気象モデルの最適統合
  4. プレート境界の摩擦パラメータ推定、すべり量、発生サイクルを学習させることによる地震発生時期の予測
  5. iPS細胞の生死などの状態、分化と未分化、がん化などの非標識判別
  6. 膨大な論文・公開特許から化合物の物性値や製法を抽出し知識ベース化できる化学検索エンジン
  7. 薬剤、分子探索、活性化合物構造の自動提案
  8. 宇宙の大規模構造の偏りをもたらした初期の物理パラメータを推定、宇宙全体の3Dシミュレーションの効率化
  9. 画像分類CNNを使用したマウス脳神経の自動分類、回路自動マッピング
  10. GANと回帰モデルによる複雑材料系(充填剤や添加剤)の特性予測
  11. CAD設計手法の一つであるトポロジー最適化における、制約条件と解析結果の因果関係の抽出
  12. 第一原理計算(DFT計算)よりも10万倍以上高速な、55元素の任意の組み合わせの原子構造を高い精度で再現できる原子シミュレーターを用いた材料探索
  13. 流体力学の方程式を使わない、流体シミュレーション
  14. 医療診断用 視覚言語モデル
  15. ロボットの動作生成
  16. 科学的再現性の危機を解決するための論文の厳密性と透明性分析
  17. コーディング自動化

哲学とAI

哲学・宗教・芸術

Googleは2019年3月、人工知能プロジェクトを倫理面で指導するために哲学者・政策立案者・経済学者・テクノロジスト等で構成される、AI倫理委員会を設置すると発表した。しかし倫理委員会には反科学・反マイノリティ・地球温暖化懐疑論等を支持する人物も含まれており、Google社員らは解任を要請した。4月4日、Googleは倫理委員会が「期待どおりに機能できないことが判明した」という理由で、委員会の解散を発表した。

東洋哲学をAIに吸収させるという三宅陽一郎のテーマに応じて、井口尊仁は「鳥居(TORII)」という自分のプロジェクトを挙げ、「われわれはアニミズムで、あらゆるものに霊的存在を見いだす文化があります」と三宅および立石従寛に語る。アニミズム的人工知能論は現代アートや、「禅の悟りをどうやってAIにやらせるか」を論じた三宅の『人工知能のための哲学塾 東洋哲学篇』にも通じている。

元Googleエンジニアのアンソニー゠レバンドウスキーは2017年、AIを神とする宗教団体「Way of the Future(未来の道)」を創立している。団体の使命は「人工知能(AI)に基づいたGodheadの実現を促進し開発すること、そしてGodheadの理解と崇拝を通して社会をより良くすることに貢献すること」と抽象的に表現されており、多くの海外メディアはSF映画や歴史などと関連付けて報道した。UberとGoogleのWaymoは、レバンドウスキーが自動運転に関する機密情報を盗用したことを訴え裁判を行っている一方、レバンドウスキーはUberの元CEO(トラビス゠カラニック)に対し「ボットひとつずつ、我々は世界を征服するんだ」と発言するなど、野心的な振る舞いを示している。

2021年のメタ分析によれば、人工知能の設計はもちろん学際的なものであり、感覚の限界による偏見を避けるように注意しながら、宇宙のさまざまな物質や生物の特性を理解すべきである。

発明家レイ・カーツワイルが言うには、哲学者ジョン・サールが提起した強いAIと弱いAIの論争は、AIの哲学議論でホットな話題である。哲学者ジョン・サールおよびダニエル・デネットによると、サールの「中国語の部屋」やネド・ブロックらの「中国脳」といった機能主義に批判的な思考実験は、真の意識が形式論理システムによって実現できないと主張している。

批判

生命情報科学者・神経科学者の合原一幸編著『人工知能はこうして創られる』によれば、AIの急激な発展に伴って「技術的特異点、シンギュラリティ」の思想や哲学が一部で論じられているが、特異点と言っても「数学」的な話ではない。前掲書は「そもそもシンギュラリティと関係した議論における『人間の脳を超える』という言明自体がうまく定義できていない」と記している。確かに、脳を「デジタル情報処理システム」として捉える観点から見れば、シンギュラリティは起こり得るかもしれない。しかし実際の脳はそのような単純なシステムではなく、デジタルとアナログが融合した「ハイブリッド系」であることが、脳神経科学の観察結果で示されている。もちろん、人工知能が人間を超えることを期待すべきではないという学者もいるし、そもそもそうした人間対人工知能の戦争不安はメンタルヘルス上よくないので控えるべきである。前掲書によると、神経膜では様々な「ノイズ」が存在し、このノイズ付きのアナログ量によって脳内のニューロンの「カオス」が生み出されているため、このような状況をデジタルで記述することは「極めて困難」と考えられている。

文学・フィクション・SF(空想科学)

脚注

注釈

  • ^ : artificial intelligence
  • ^ : chatterbot
  • ^ 新井紀子がリーダー。
  • 出典

    参照文献

    関連文献

      英語資料

    関連項目

    教育研究・研究開発

    研究開発・応用科学

    開発事例・応用事例

    研究課題

    関連分野

    深層学習・機械学習に関連する数学、物理学

    AIに関する哲学的項目

    外部リンク

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