ヴィレッジヴァンガード (Village Vanguard) は、愛知県名古屋市名東区に本社を置く株式会社ヴィレッジヴァンガードコーポレーション (Village Vanguard Co., Ltd.) グループによって展開されている書店である。2022年5月31日現在、店舗数は318店舗(直営313店+FC5店)となっている。略称は「ヴィレヴァン」、「ヴィレッジ」。
本社(2015年9月) | |
種類 | 株式会社 |
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市場情報 | |
略称 | ヴィレヴァン、ヴィレッジ、VV、ビレバン |
本社所在地 | 日本 〒465-0025 愛知県名古屋市名東区上社1丁目901番地 北緯35度10分23.4秒 東経137度00分19.1秒 / 北緯35.173167度 東経137.005306度 東経137度00分19.1秒 / 北緯35.173167度 東経137.005306度 |
設立 | 1998年(平成10年)5月13日 |
業種 | 小売業 |
法人番号 | 7180001067799 |
事業内容 | 雑貨、書籍、CD等の販売 |
代表者 | 代表取締役会長 菊地敬一 代表取締役社長 白川篤典 |
資本金 | 23億30百万円 (2020年5月31日現在) |
発行済株式総数 | 786万3,200株 |
売上高 | 連結:292億67百万円 単体:230億19百万円 (2020年5月期) |
営業利益 | 連結:△2億86百万円 単体:6億46百万円 (2020年5月期) |
経常利益 | 連結:△3億8百万円 単体:6億34百万円 (2020年5月期) |
純利益 | 連結:△6億18百万円 単体:3億70百万円 (2020年5月期) |
純資産 | 連結:79億1百万円 単体:90億4百万円 (2020年5月期) |
総資産 | 連結:243億98百万円 単体:245億46百万円 (2020年5月期) |
従業員数 | 連結 452名、単体 110名 (2020年5月31日現在) |
決算期 | 5月31日 |
主要株主 | 菊地敬一 21.62% 菊地真紀子 5.49% (2020年5月31日現在) |
主要子会社 | 株式会社ヴィレッジヴァンガード 100% 株式会社Village Vanguard Webbed 100% |
外部リンク | www |
書籍以外にも幅広い雑貨を扱う複合型書店であり、売れ筋商品と共に趣味性の高い商品を中心に扱う。「遊べる本屋」をキーワードに、書籍、SPICE(雑貨類)、ニューメディア(CD・DVD類)を融合的に陳列して販売する。
2003年、JASDAQに上場。
2019年5月、名古屋テレビ放送(メ~テレ)にて岡山天音が主演を務めるヴィレッジヴァンガードを舞台にしたドラマ『ヴィレヴァン!』が放送された。撮影地には名古屋、都内の店舗が使われている。ドラマの設定上は、愛知県名古屋市天白区の本店が舞台であるが、店内ロケは主に東京都の三軒茶屋店で行われた。
1986年に菊地敬一が個人商店として創業。菊地が「自分が客だったら」という発想で愛知県名古屋市天白区で開店したのが始まり。
創業にあたって範とされたのは、かつて大和田康司(俳優の大和田伸也と大和田獏の兄)が1977年から名古屋市名東区で経営していた書店、「ブックショップ大和田」である。 東京の出版社に勤務の大和田の後輩でもあった菊地敬一は、「ヴィレッジヴァンガード」を始める以前に、出版社を脱サラして大和田の誘いで名古屋の「ブックショップ大和田」に入社し、働きながら陳列の仕方など本屋のノウハウを学び、1980年に2号店の店長を任された。大和田から2号店を「自分で自由に好きなように経営していい」と言われた菊地は、木造りのカントリー調の外見の店に仕上げたり、車やアウトドアなど趣味性の高い本を数多く揃えたり、BGMにジャズを流したり、本だけではなく雑貨を置くなど、個性的な店づくりを行った。これが、後の「ヴィレッジヴァンガード」の経営で生かされる。
夫婦で始めた天白区の1号店は中古の農業用の倉庫を利用したロフト風だったが、これは菊地が当時名古屋市内にあった「MGミゼット」と言う喫茶店を訪れたとき、倉庫のような大きな空間にMGミゼットの車などが置かれ、広い天井にシーリングファンが取り付けられた店の雰囲気が気に入ったことによる。倉庫を利用したビリヤード台やジュークボックスやコミックや雑貨など置いて、いつかMGミゼットの車も譲り受け、インテリアとして店内に置き、自由で開放的なロフト風の本屋をやりたいと思ったのである。また中古の農業用の倉庫は格安であり、店を始めるうえで、当初お金がなかった菊地には好都合の物件であったと言う。
なお店名の名前の由来はジャズ好きでもある菊地が、当初、本屋でジャズのライブをやるのが夢だったことから、ニューヨークにあるジャズクラブ「ヴィレッジ・ヴァンガード」の名から名付けられた。また菊地が好んだジャズ・ミュージシャンのソニー・ロリンズの『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』やビル・エヴァンスの『サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』などのライブ・アルバムの名からも影響も受けている。
当初店内でドラムを叩いたとき、ドラムの音が倉庫造りの店内に大きく反響し失敗してしまう。店でジャズのライブの催行こそ断念したものの“ヴィレッジヴァンガード”の店名や、ジャズのBGMを店内で流すなど、「ジャズのある店」の雰囲気は残した。
書店でありながら、書籍と文房具だけではなく業種の異なる商材を並べて陳列する売り方は、今でこそ珍しくなくなったが、この会社が創業した1986年当時としてはかなり斬新なアイディアだったといえる。業態の模範となったのは前述の通り「ブックショップ大和田」であるが、創業者菊地の生まれ育った北海道新得町には酒屋がタバコやお菓子といっしょに書籍も売っているという業態の店しかなかったことも関係している。
菊地はヴィレッジヴァンガードの店のコンセプトを表すキーワードは「サブカルチャー」、「アコースティック」、「アンプラグド」、「アナログ」、「ネイチャー」、「アメリカンポップカルチャー」、「ノスタルジー」、「おしゃれ」などとしており、キーワードのひとつ「ノスタルジー」では、古いジャズや、オールディーズなどの音楽を演出効果をあげるためにBGMで店で流したり、昔の懐かしいアメリカのものを置いたり、雑誌などではカーグラフィックのバックナンバーを並べたり、中心にあるのは洗練されたものばかり集めた「ミュージアムショップ」で、さらに、サブカルチャーとか、ノスタルジーとか、おしゃれとか、幾つかのキーワードで表現される「ヴィレッジヴァンガード」テイストがコアになっており、「気持ちの悪いもの」やある種の「ダサさ」が商売には必要で、その方が面白くなり、洗練されたものと気持ち悪いものの線の引き方が、「ヴィレッジヴァンガード」のノウハウだと言う。
1号店を始め名古屋市内及び愛知県内にあった初期店舗は主に倉庫を利用したロフト風だった。ジュークボックスやビリヤード台などが置かれ、ジャズやブルースなどの音楽、映画、車、オートバイ、登山関連、アメリカンカウンターカルチャー、マニアックなコミックなど普通の書店ではあまり見かけないような趣味性の高い本、BRUTUSやモノ・マガジンなどの雑誌から、色んな雑貨を扱っていた。
また当時、社員やアルバイト店員は元は客であった。商品は担当者の裁量による装飾的な陳列をされ、店舗ごとに異なったレイアウトになっている。後述するPOPや陳列方法で来店意欲を高めている。下北沢店や吉祥寺店などはサブカルチャーの殿堂のような佇まいで、ヴィレッジを象徴する店舗と言われる。現在はショッピングモールを中心にテナント出店を進めている。
店内において「書籍コーナー」、「SPICEコーナー」、「ニューメディアコーナー」のようにその品目別に売場を構成するのではなく、「映画コーナー」、「クルマコーナー」、「インテリアコーナー」等、ジャンル別に売場を構成しそのジャンルにふさわしい各品目の商品を混在させて陳列、販売。
書籍は出版社やシリーズ、文庫や新書等の版形、SPICEに関してはキーホルダーやTシャツ等といった、その商品形態に縛られた陳列を行っていない。「何に関する本なのか」あるいは「何をモチーフにしたキーホルダーなのか」等といったように、その商品の内容を重視し、その内容にふさわしい商材を複合的に陳列して販売。
顧客に対してより効果的に商品特性を伝えるためのPOP(各店員の個性・感性によって各人が工夫を凝らして手書きする商品説明書)を作成することで、その商品の魅力を伝えるだけではなく、顧客が店舗そのものに対しても楽しさを感じられるような売場空間の創造に尽力。
顧客から、従業員になることを強く希望するアルバイト従業員を採用。その後、アルバイト従業員に対する様々なOJTにより店舗運営に必要な知識を身に付けた者を正社員候補のアルバイト従業員と認定。さらに、その中から優秀な人材をアルバイト店長として採用し、その中から充分な実績を残した者を正社員として採用。
現場が顧客ニーズを最も正確に把握していると考えているため、仕入や商品構成など店舗運営に関わる重要な権限の大部分を店長に委譲。このことにより、チェーンストアでありながら店舗ごとに個性(店舗のバリエーション)を持つことが可能となっている。その反面、店長には書籍やSPICEなどの多種多様な商品知識や、店舗運営者としての高い判断能力が必要となる。
かつては「POS無し、値引きなし」を標榜し、担当者の経験を頼りに仕入れを行い、大量仕入れによる値引きは行われないという方式が取られていた。2012年5月からはPOSシステムが導入され、店舗ごとの販売データをマーケティングに活用している。
ヴィレッジヴァンガード独自の呼称であり、輸入雑貨、玩具、服飾品、生活雑貨等の、書籍及びニューメディア(CD・DVD類)以外の商品を指す。「SPICE」とは、SELECT…えり抜きの・選ばれた、POP…ポピュラーな・華々しい、INTELLIGENCE…知性的な、CULTURAL…文化的な、ENTERTAINMENT…楽しみ・楽しませる、という雑貨類を形容する5語の頭文字を組み合わせた造語。また主要商品である書籍を引き立てるためのスパイスであるという意味も持たせている。
書籍販売が主業ではあるが、売上げの割合では多くない。店舗にもよるが、書籍は全売上げの3割までに留まっている。一般的な書店と違い、新刊、雑誌の類を極力置かず、各部門の担当者の嗜好による仕入れが行われ、「遊べる本屋」を体現する一面となっている。サンクチュアリ・パブリッシング、幻冬舎、いろは出版等の大手出版社以外の書籍が多く扱われる傾向がある。通常の書店と同じく、取り寄せ注文が可能。
CDを含めた雑貨は、全売上げの7割以上を占める重要な取り扱い商品である。加えて、書籍とは違い粗利率が高い商品も多く、一般的な書籍専門店よりも収益性が高い要因ともなっている。
インテリア、アパレル、菓子、玩具などを扱い、幼児から高齢者まで幅広い顧客へ普段見ることのない商品を提供する。取り扱う商品は、高級嗜好よりもマニアックだったりトリッキー、キッチュな物を売りにしているものが多い。
黄色地に緑色の縁取り、右下にロゴマークの入った専用の用紙に描かれた独特のユーモラスな文章で商品の特徴を端的に説明する。このPOPはヴィレヴァンの最も特徴的な一面であり、商品を高く評価するものから販売しておいてディスるものまでさまざまで非常に人気がある。提示される内容は、商品を見た担当者の印象に基づく。
菊地敬一は1号店を始める前からPOPが決め手になると考え、どの様に商品を陳列して商品を伝えるのかに注力していた。POPは全て菊地が書くのではなく社員に任せ、「とにかく面白い事を書いて、楽しく儲けよう」とだけ伝えている。菊地曰く、心に響くPOP を書くコツは「短く・考えるな・書を入れろ」で、多少ふざけていてもポイントをついて、商品の説明がきちんとしていればいいとしている。
1号店創設当初のエピソードとして、まずくて食べられないようなあるアメリカのお菓子を店に置いた時、半ばやけくそで「まずい!めちゃくちゃまずくて罰ゲーム用」と書いたら飛ぶように売れたという。
業態の多角化を企図して、2003年(平成15年)2月に飲食店事業に参入。東京都杉並区の阿佐ケ谷駅前にハンバーガーショップ「ヴィレッジヴァンガードダイナー」1号店をオープン。2017年(平成29年)8月にAs-meエステールグループへ譲渡し、2021年(令和3年)3月以降はエステールホールディングス株式会社が運営する。2021年(令和3年)1月現在、吉祥寺、代田、荻窪、ルミネ町田、豊洲フォレシア、イオンモール幕張新都心、ベリエ千葉、越谷レイクタウン、長久手、イオンモール大高、プライムツリー赤池の計11店舗がある。
「ヴィレッジヴァンガード」よりもやや高い年代の顧客層をターゲットにしており、落ち着いた雰囲気の店舗デザインや、やや高めの価格帯設定が特徴。棚卸資産回転率と粗利益率の向上を目的とした商品構成及び陳列方法を再構築したアパレル、時計、雑貨等の店舗。テーマは「大人になっても遊びたい!!」。「ヴィレッジヴァンガード」隣接フロアへの出店が主だが、2021年頃より大挙閉店(「ヴィレッジヴァンガード」フロアへの吸収統合)が顕著になっている。
2006年(平成18年)3月に子供向け絵本・玩具・DVDや母親向け育児書などを組み合わせたファミリー層向けの新業態の店舗「QK」をイオンナゴヤドーム前ショッピングセンター(現・イオンモールナゴヤドーム前)に開店。
2012年(平成24年)9月15日に、主に「売れ残り品」や「仕入れたのにほとんど売れなかった商品」を格安で販売するアウトレット店舗「ヴィンテージヴァンガード」(VINTAGE VANGUARD)をイオンモール名古屋みなとに開店。その後、「ヴィレッジヴァンガードアウトレット」「ヴィレッジヴァンガードZ」を出店。
中南米やアジア各国の民芸品や雑貨の販売と、これらの地域の衣服デザインを日本向けにアレンジしたオリジナル衣料雑貨の製造・販売を手掛けていた。2007年5月グループ入りし、2016年8月1日に金融情報配信会社フィスコ(ジャスダック上場)の親会社であるネクスグループに売却した。
オンライン事業の株式会社ヴィレッジヴァンガードウェブド(Village Vanguard Webbed)を設立。 クリエイター商品・限定商品が好調。(対前年120.2% 公式通販は151.9%)。
2013年(平成25年)5月7日に「インターネットで僕らが本当に住みたい部屋を探せるようにする」をコンセプトに、株式会社Village Vanguard Webbedによって運営開始。2015年9月に株式会社シースタイルへ事業譲渡。
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