ラーズ・テイラー=タツジ・ヌートバー(Lars Taylor-Tatsuji Nootbaar、日本名:榎田 達治〈えのきだ たつじ〉、1997年9月8日 - )は、 アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス郡エルセグンド(英語版)出身のプロ野球選手(外野手)。右投左打。MLBのセントルイス・カージナルス所属。
セントルイス・カージナルス #21 | |
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基本情報 | |
国籍 | アメリカ合衆国 |
出身地 | カリフォルニア州ロサンゼルス郡エルセグンド |
生年月日 | 1997年9月8日(26歳) |
身長 体重 | 6' 3" =約190.5 cm 210 lb =約95.3 kg |
選手情報 | |
投球・打席 | 右投左打 |
ポジション | 外野手 |
プロ入り | 2018年 MLBドラフト8巡目(全体243位) |
初出場 | 2021年6月22日 |
年俸 | $732,400(2023年) |
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度) | |
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国際大会 | |
代表チーム | 日本 |
WBC | 2023年 |
この表について |
獲得メダル | ||
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男子 野球 | ||
日本 | ||
ワールド・ベースボール・クラシック | ||
金 | 2023 |
野球経験がある父や兄の影響で5歳の頃から野球を始める。高校までソフトボール選手だった母を相手に打撃練習や自宅の駐車場の壁に向かってボールを投げ練習した。
2006年に、日米親善高校野球大会でアメリカを訪れた日本代表選手の船橋悠(当時早稲田実業学校高等部)、塩澤佑太(当時帝京高等学校)をヌートバー家でホームステイさせた際、ヌートバーは田中将大や斎藤佑樹らと写真を撮ってもらったほか、ボールボーイとしてアメリカ選抜の試合に参加している。この経験から幼少期より日本代表としてWBCに出場することを夢見ていた。
高校時代は野球とアメフトをプレー。
2018年のMLBドラフト8巡目(全体243位)でセントルイス・カージナルスから指名されプロ入り。契約後、傘下のA-級ステート・カレッジ・スパイクスでプロデビュー。56試合に出場して打率. 227、2本塁打、26打点、2盗塁を記録した。
2019年はA級ピオリア・チーフス、A+級パームビーチ・カージナルス、AA級スプリングフィールド・カージナルスでプレーし、3球団合計で101試合に出場して打率.264、7本塁打、38打点、4盗塁を記録した。
2020年は新型コロナウイルスの影響でマイナーリーグの試合が開催されなかったため、公式戦の出場は無かった。
2021年は5月のマイナーリーグ開幕からAAA級メンフィス・レッドバーズでプレーし、6月22日にメジャー契約を結んでアクティブ・ロースター入りした。メジャーデビューとなった同日のデトロイト・タイガース戦では「9番・左翼手」で先発出場して3打数無安打だったが、犠飛でメジャー初打点を記録した。この年メジャーでは58試合に出場して打率.239、5本塁打、15打点、2盗塁を記録した。
2022年は主にライトでの起用が続き、メジャーで108試合に出場して打率.228、14本塁打、40打点を記録した。出塁率・長打率・OPSはMLB平均を上回っているデータから、12月23日に「第5回WBC日本代表」の最終候補にリストアップされていることが報じられた。
2023年は1月にWBC日本代表に正式に選出され、3月に行われた第5回WBCでは全試合に「1番・中堅手」として出場。日本の優勝に大きく貢献した。詳細については後述。 レギュラーシーズンでは3月30日のトロント・ブルージェイズとの開幕戦に「2番・左翼手」として先発出場し、4打数1安打2四球の好成績を残したが、6回の攻撃で三塁ベースにヘッドスライディングする際に左手親指を挫傷。10日間の故障者リスト入りを余儀なくされた。その後4月15日のピッツバーグ・パイレーツ戦で戦列に復帰すると、翌16日の同カードでは復帰後初安打となる1号2点本塁打を放った。その後5月下旬には腰の筋痙攣、8月中旬には自打球による下腹部の打撲で故障者リスト入りしたものの、いずれも3週間程度で復帰している。10月1日の最終戦で4打席に立ったことで自身初の規定打席に到達した。最終成績は117試合の出場で打率.261、14本塁打、46打点、11盗塁、出塁率.367(リーグ11位)だった。
2023年1月4日、第5回WBC日本代表のメンバー入りを果たしたことが報じられた。1月11日には第5回WBC日本代表の栗山英樹監督からメンバー入りが確定したとの発言があった。1月27日に、初の日系人選手として正式に日本代表に選出。ヌートバー自身はアメリカ国籍だが、7つあるWBCの出場資格規定のうち「親のどちらかが、その国の国籍を持っている」「親のどちらかが、その国で生まれている」の2つに該当しているため選出された。
なお、当該国代表チーム所属のための条件が緩いWBCでは、自分の国籍以外の国の代表となるケースは決して珍しいことではない。ヌートバーのチームメイトであるトミー・エドマンも、母親が韓国生まれであることから韓国代表として参加していた。過去には、2017年大会でアメリカ代表を優勝に導いたマーカス・ストローマンは2023年大会ではプエルトリコ代表として、ブランドン・レアードも前回大会ではメキシコ代表としてそれぞれ大会に出場している。日本国籍保有者のケースでも、元福岡ソフトバンクホークスの真砂勇介が2023年大会では中国代表として出場し、1次ラウンドで日本代表と対戦している。
WBC本大会では決勝戦までの全7試合に「1番・中堅手」で先発出場。26打数7安打、打率.269ながら7打点を記録し、7安打に対して7四死球を得て出塁率.424の好成績を記録。3月9日の日本の初戦となる1次ラウンド・中国戦では1回裏の第1打席で初球をセンター前ヒットにし、その後の押し出しで先制のホームを踏んだ。守備面でもスライディングキャッチでのファインプレーを見せた。22日の決勝・アメリカ戦では2回裏、一死満塁の場面で一塁ゴロながら勝ち越し点を挙げ、日本代表のWBC優勝に貢献した。
長打力と選球眼の良さ、そして変化球への対応に定評があり、狙い球を絞ってスイングするスタイル。打球速度の速さはMLB屈指と評されている。
外野の全ポジションをこなし、俊足を生かした広い守備範囲と強肩が魅力。
父のチャーリー(Charlie)はオランダ系アメリカ人、母の榎田久美子(えのきだくみこ)は埼玉県東松山市出身の日本人。日本名の「達治」は、東松山市議会議員を務めた祖父の名前にちなむ。父方の曽祖父、全米穀物飼料協会(NGFA)会長を務めた実業家のハーバートは、カリフォルニア州を地盤とするロナルド・レーガンとも親交があり、後にロナルド・レーガン記念大統領図書館を建設して寄贈、1990年代にはラーズの母校である南カリフォルニア大学野球部にも多額の寄付を行っていた。
父親は大学在学中に日本語を学び、日本へ語学留学した経験もある。
3人兄姉の末っ子で、兄と姉は母の郷里である埼玉県で生まれている。兄のナイジェルはかつてオリオールズ傘下の1Aでリリーフ投手だった。なお、ラーズはアメリカ生まれであり、日本での生活経験はない。
叔母(父の妹)は1990年に来日して以来日本に在住しており、大分県立芸術文化短期大学国際総合学科の教授を務めている。
明るい性格の持ち主で、チームではムードメーカーとしても愛されている。カージナルスでは同僚が打撃で活躍した際に、ベンチで私物のペッパーミルを回してお祝いし、好評を博してチーム内で広がりを見せている。このパフォーマンスには「小さなことからコツコツと継続して進んでいけば、良いことが起きる」という意味が込められている。なお、第5回WBCでも日本代表メンバー間に波及し、このパフォーマンスをモチーフにした公式フェイスタオルが急遽作成されるまでに至っている。2023年12月1日発表の「現代用語の基礎知識 選 2023ユーキャン新語・流行語大賞」では「ペッパーミル・パフォーマンス」がトップテン入りした。
カージナルスファンからの人気が高く、自身が打席に立つ際や活躍した際に「ヌーーーート!(Noooot!)」と声援(ヌーイングと称される)を送られるのが恒例となっている。なお、第5回WBC以降は日本にも浸透し、同国で行われた試合でも沸き起こっている。
年 度 | 球 団 | 試 合 | 打 席 | 打 数 | 得 点 | 安 打 | 二 塁 打 | 三 塁 打 | 本 塁 打 | 塁 打 | 打 点 | 盗 塁 | 盗 塁 死 | 犠 打 | 犠 飛 | 四 球 | 敬 遠 | 死 球 | 三 振 | 併 殺 打 | 打 率 | 出 塁 率 | 長 打 率 | O P S |
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2021 | STL | 58 | 124 | 109 | 15 | 26 | 3 | 1 | 5 | 46 | 15 | 2 | 1 | 1 | 1 | 13 | 1 | 0 | 28 | 0 | .239 | .317 | .422 | .739 |
2022 | 108 | 347 | 290 | 53 | 66 | 16 | 3 | 14 | 130 | 40 | 4 | 1 | 0 | 5 | 51 | 1 | 1 | 71 | 3 | .228 | .340 | .448 | .788 | |
2023 | 117 | 503 | 426 | 74 | 111 | 23 | 1 | 14 | 178 | 46 | 11 | 1 | 1 | 3 | 72 | 2 | 1 | 99 | 7 | .261 | .367 | .418 | .784 | |
MLB:3年 | 283 | 974 | 825 | 142 | 203 | 42 | 5 | 33 | 354 | 101 | 17 | 3 | 2 | 9 | 136 | 4 | 2 | 198 | 10 | .246 | .351 | .429 | .780 |
年 度 | 代 表 | 試 合 | 打 席 | 打 数 | 得 点 | 安 打 | 二 塁 打 | 三 塁 打 | 本 塁 打 | 塁 打 | 打 点 | 盗 塁 | 盗 塁 死 | 犠 打 | 犠 飛 | 四 球 | 敬 遠 | 死 球 | 三 振 | 併 殺 打 | 打 率 | 出 塁 率 | 長 打 率 | O P S |
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2023 | 日本 | 7 | 33 | 26 | 7 | 7 | 0 | 0 | 0 | 7 | 4 | 2 | 0 | 0 | 0 | 6 | 0 | 1 | 6 | 1 | .269 | .424 | .269 | .693 |
年 度 | 球 団 | 中堅(CF) | 左翼(LF) | 右翼(RF) | |||||||||||||||
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試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | 試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | 試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | ||
2021 | STL | - | 9 | 10 | 0 | 0 | 0 | 1.000 | 26 | 45 | 3 | 2 | 1 | .960 | |||||
2022 | 12 | 17 | 1 | 0 | 1 | 1.000 | 11 | 11 | 1 | 0 | 0 | 1.000 | 79 | 141 | 6 | 2 | 3 | .987 | |
2023 | 73 | 164 | 2 | 1 | 1 | .994 | 24 | 36 | 0 | 0 | 0 | 1.000 | 34 | 68 | 4 | 1 | 1 | .986 | |
MLB | 85 | 181 | 3 | 1 | 2 | .995 | 44 | 57 | 1 | 0 | 0 | 1.000 | 139 | 254 | 13 | 5 | 5 | .982 |
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