ヘルツ: 国際単位系 (SI) における周波数・振動数の単位

ヘルツ(英: hertz 記号: Hz)は、国際単位系(SI)における周波数(en:frequency)のSI組立単位である。その名前は、ドイツの物理学者で、電磁気学の分野で重要な貢献をしたハインリヒ・ヘルツに因む。

ヘルツ
hertz
記号 Hz
国際単位系 (SI)
種類 SI組立単位
周波数
組立 s−1
定義 1秒間に1回の周波数
語源 ハインリヒ・ヘルツ
テンプレートを表示

用語(周波数と振動数)

英語の frequency の日本語訳としては、周波数振動数の2つの訳語があり得る。しかし日本の計量法は、計量の前提となる物象の状態の量(一般には物理量とみなして良い。)として、72量を定めているが、この中では「周波数」の語のみを用いている。また、国際単位系国際文書SI組立単位の一覧表における hertz の物理量として仏語版のfréquence, 英語版のfrequencyを日本語版では、「周波数」とのみ訳出している。このため、この項目では「周波数」の語のみを用い、「振動数」の語を用いない。

定義

1ヘルツは、「1秒間に1回の周波数」と定義される。

ヘルツとその記号 Hz はSI組立単位である s−1 に与えられた固有の名称と記号であるが、一定周期で発生する現象にのみ使用される。ランダムに発生するような現象についてはヘルツではなく s−1(毎秒)を使用する。特に、1秒間に原子核が崩壊する数は、ベクレル (Bq) という単位で表される。

角速度・角周波数もs−1の次元を持っているが、常に、s−1ではなく明示的な単位であるHz または rad/s(ラジアン毎秒)を用いて表現されることが推奨される。回転数はヘルツで表現することができ、60回転毎分 (rpm) = 1回転毎秒は1 Hzに等しい。1回転は2πradなので、角速度が2π rad/sの回転は1回転毎秒=1 Hzに等しい。

歴史

ヘルツという単位名称は、1930年に国際電気標準会議で制定され、1960年に国際度量衡総会(CGPM)で、それまでの単位名称「サイクル毎秒」を置き換えて採用された。

サイクル毎秒 (記号: c/s, cps) または略してサイクル(記号: c)という単位は、日本では1972年7月1日を以ってヘルツに変更された。サイクル・サイクル毎秒は使用されなくなったが、(旧)計量法には、全面改正される1997年9月30日まで残っていた[1]

使用例

一般的には、電波・電磁波・音波などの波の周波数を表すのに用いられることが多い。ラジオ放送では、テレビ放送などと違い、搬送波周波数表記で選局するのが一般的である。また、CPUなどのクロック周波数を表すのにも用いられる。

電磁波

電磁波の周波数について使われる場合は、Hzは1秒あたりの電磁放射の振動の数を指す。

CPU動作周波数

CPUのクロック信号の周波数(クロックスピード)を意味する。 1974年から2000年までに製造されたほとんどのCPUは、メガヘルツの範囲の速度で動いていた。それ以降の家庭用コンピュータで用いられているものはギガヘルツ (GHz; 109ヘルツ) の速度で動作しているが、多くの組み込み用コンピュータ、携帯ゲーム機などでは依然としてメガヘルツの速度で動いている。

さまざまなバス(たとえばCPUとシステムRAMを接続しているメモリバス)もまた、メガヘルツの範囲の周波数のクロック信号によって信号を転送している。

倍量・分量単位

ヘルツの倍量・分量単位は、以下の通りである。分量単位は、定義はできるが実用されることは稀である。

ヘルツ (Hz) の倍量・分量単位
分量 倍量
記号 名称 記号 名称
10−1 Hz dHz デシヘルツ 101 Hz daHz デカヘルツ
10−2 Hz cHz センチヘルツ 102 Hz hHz ヘクトヘルツ
10−3 Hz mHz ミリヘルツ 103 Hz kHz キロヘルツ
10−6 Hz µHz マイクロヘルツ 106 Hz MHz メガヘルツ
10−9 Hz nHz ナノヘルツ 109 Hz GHz ギガヘルツ
10−12 Hz pHz ピコヘルツ 1012 Hz THz テラヘルツ
10−15 Hz fHz フェムトヘルツ 1015 Hz PHz ペタヘルツ
10−18 Hz aHz アトヘルツ 1018 Hz EHz エクサヘルツ
10−21 Hz zHz ゼプトヘルツ 1021 Hz ZHz ゼタヘルツ
10−24 Hz yHz ヨクトヘルツ 1024 Hz YHz ヨタヘルツ
10−27 Hz rHz ロントヘルツ 1027 Hz RHz ロナヘルツ
10−30 Hz qHz クエクトヘルツ 1030 Hz QHz クエタヘルツ
よく使われる単位を太字で示す

符号位置

記号 Unicode JIS X 0213 文字参照 名称
U+3390 -
ヘルツ記号

脚注

注釈

出典

関連項目

参考文献

  • (準拠すべき基本文献)[2] BIPM 著、産業技術総合研究所 計量標準総合センター 訳『国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版』産業技術総合研究所 計量標準総合センター、2020年3月。 

Tags:

ヘルツ 用語(周波数と振動数)ヘルツ 定義ヘルツ 歴史ヘルツ 使用例ヘルツ 倍量・分量単位ヘルツ 符号位置ヘルツ 脚注ヘルツ 関連項目ヘルツ 参考文献ヘルツSI組立単位en:frequencyドイツハインリヒ・ヘルツ周波数国際単位系英語電磁気学

🔥 Trending searches on Wiki 日本語:

クリス・ペプラー山口茜 (1996年生の女優・声優)熊本地震 (2016年)松本明子藤圭子デーブ・ロバーツ (外野手)高橋礼メインページ松澤可苑大津亮介Stray Kids瀬戸康史中村喜伸森香澄宮本浩次 (エレファントカシマシ)林家つる子ピザ配達人爆死事件黒執事 (アニメ)松井裕樹幾田りら川口春奈フェラチオ間宮祥太朗岡田有希子GTO (漫画)約束 〜16年目の真実〜中森明菜TOKYO MER〜走る緊急救命室〜上川隆也ティム・ウェイクフィールドレガレイラ菅原文太からかい上手の高木さん麻生周一第三次世界大戦魔法科高校の劣等生上川周作大泉洋長谷川堯三遊亭小遊三柄本時生平野紫耀くるり〜誰が私と恋をした?〜有馬ゆみこNumber i瀬戸麻沙美沢城みゆきクローズZEROBUMP OF CHICKENエイブラハム・リンカーン令和ロマン五稜郭平維将Dr.ハインリッヒ高階貴子浜辺美波本宮泰風ILLIT堀川りょう真田広之ダルビッシュ有イタチアンナチュラル佐久間由衣見上愛ドラゴンボール新庄剛志菊池風磨一条天皇紫式部大石浩二SoftBank (携帯電話)ハイキュー!!織田信長なにわ男子宇多田ヒカルの作品山林堂信彦ラランド (お笑いコンビ)山下リオ🡆 More