イタリア料理: イタリアの料理あるいは食文化

イタリア料理(イタリアりょうり、イタリア語: cucina italiana)とは、イタリアを発祥とする料理・料理法・食文化の総称。世界の多くの地域で好まれている。

イタリア料理: 名称と定義, 概要, 歴史
イタリア料理
イタリア料理: 名称と定義, 概要, 歴史
イタリア料理の父ペッレグリーノ・アルトゥージにより1891年に発行されたイタリア料理大全イタリア語版
イタリア料理: 名称と定義, 概要, 歴史
伝統的にタリアテッレと和えて調理されたボロネーゼ(タリアテッレ・アル・ラグー)

2010年、イタリア料理はギリシア料理スペイン料理モロッコ料理と共に「地中海の食事」として国際連合教育科学文化機関 (UNESCO) の無形文化遺産に登録された。

名称と定義

イタリア料理: 名称と定義, 概要, 歴史 
オリーブ・オイル

日本では「イタリアン」「イタ飯(イタめし)」等の呼び名で親しまれている。

日本で認識されている特徴としては、オリーブ・オイル、麺類、トマトを多用することが挙げられる。しかし、これはあくまでもナポリなどの南イタリアの都市で食される料理の特徴であり、北イタリアでは隣接するフランスやスイスと同様にバターや生クリームを利用した料理が多い。イタリア東部ではオーストリアやスロベニアの影響が見られる。また、シチリアなどの北アフリカに近い地域ではアラブ人やベルベル人の料理の影響を受けており、クスクス、アランチーニ、スプリなどの料理が食べられている。

概要

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バルサミコ酢

総体としては、素材を生かした素朴な料理が多い。

地中海に面する地域には魚介類を用いた料理が多く、沿岸諸国以外のヨーロッパの国々で食べられることのないタコやイカも食材として使われる。しかしその一方で、北部や内陸の地域では肉や乳製品を使った料理も多く食べられる。

このようにイタリア料理は地方ごとに特徴があるため、「イタリア料理などという料理は存在しない」とする見方もある。これは、南北に長いイタリアは地理的にも多様な特徴があることや、イタリア王国による統一まで多数の独立国家があり、その国ごとにまったく特徴の異なる、例えばナポリ料理やジェノヴァ料理といった具合に郷土料理が発達しているためである。

その一方でパスタはイタリア各地で好まれ、様々な形で調理されている。

トマトの多用も特徴の一つであるが、トマトはラテンアメリカ原産であり、イタリアに広まったのは16世紀以降である。それ以前の特徴としてはアンチョビの形で魚醤を多く用い、見た目も質素であった。トマトの流入でヴァリエーションも増え、色彩も鮮やかになったが、反面それ以前の特徴の多くが失われたとの指摘もある[誰によって?]。トマトソースに用いられるサンマルツァーノ種をはじめとするイタリアのトマトは日本のトマトとは異なり、酸味が強く生食に向かない品種である。日本のトマトは加熱調理に向かないため、日本ではトマトの缶詰をイタリアから輸入している。

歴史

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アピキウスDe re culinariaリヨン:セバスチャン・グリューフィウス、1541年)

現代イタリア料理の基盤はたいへんに古く、古代ローマ帝国にまでさかのぼる。ローマ人たちは当時から食事にかける時間をとても大切にし、1日3食の構成をとっていた。そして1食をコース料理にし、2 - 3時間もかけて食事する習慣があった。彼らは満腹になると鳥の羽で咽喉を刺激して作為的に嘔吐をし、空腹になるとまた食べたという。ルキウス・アンナエウス・セネカは、「ローマ人は食べるために吐き、吐くために食べる」と評している。さらに裕福なローマ人たちの間で、腕利きの料理人を呼んで料理を客に披露することが流行だった。料理人たちはそれぞれ競って腕を磨いて新しい料理作りに励んだことで、周辺の国々の追随を許さない優れた食文化が誕生し、これがローマ帝国の発展とともにヨーロッパ各地へと広がっていった。具体例をいくつかあげると、ローマ軍の遠征兵士のスタミナ源として携帯されたことが契機となり、同様に欧州各地に広まったチーズやメロン、牡蠣などもそうである。

イタリア料理は、フランス料理の原型でもある。1533年、フィレンツェの名門貴族であるメディチ家のカテリーナ(後のカトリーヌ・ド・メディシス)がフランスのアンリ2世に嫁いでパリに移り住む際、大勢のイタリア人料理人や香料師を連れてイタリア料理や氷菓、ナイフやフォークの使用といったものをフランスに持ち込んだ。それをきっかけにして、当時粗野だったフランスの宮廷料理やテーブルマナーが洗練された。ちなみにフォークの爪は4本だが、これはナポリ王国国王・フェルディナンド4世の宮廷で、パスタがよく絡んで食べやすいように爪の数を増やしたとされている。

このように、西洋を代表して世界三大料理に数えられているフランス料理は、イタリア料理の影響を受けて成長した。ローマ時代から続くイタリアの食文化が西洋料理の母的存在と言われるのは、こうした歴史によるものと言える。

スパゲッティソースやピザソースに使われるトマトはメキシコ原産であり、トマトがヨーロッパに持ち込まれたのは16世紀からとされ、食用に一般的に利用され始めたのは18世紀に入ってからになる。それ以前のスパゲッティはチーズなどで食されていた。

食事作法

いったん口に入れた果物の種や皮などを再度口から出す行為は印象が悪い。

果物やパンにかぶりついて食べることもマナーが悪く、大きな塊で給仕されたスイカ等はナイフで小さく切ってから食べる。

食事の際の口直しや皿のソースを拭って食べるためにパンが提供される。一般的にピザはコース料理には入らず、ピザを食べる際はパンは提供されない。ただし、トラットリア格以下ではピザとコース料理の両方をメニューに載せているレストランも多く、どの料理を食べるか、どの順番で給仕してもらいたいのかは客が自由にウェイターに頼むことができる。

レストランでは、これらの全てを注文しなければならないわけではない。レストランにおいてデザートやコーヒーは、食後に再度ウェイターが注文を取りに来ることが一般的である。

イタリア料理のコースでは、料理の出る伝統的な順番が存在する。メニューも一般的にこの順序で記載されている。

イタリア料理: 名称と定義, 概要, 歴史 
アペリティーヴォ
イタリア料理: 名称と定義, 概要, 歴史 
アンティパスト
    前菜(オードブル)として作り置きの料理が多い。ハムチーズ燻製カルパッチョなど。プリモ・ピアットが出来るまでの時間稼ぎともいえる。
    3. プリモ・ピアット (primo piatto)
    主菜。直訳すると第一皿となるが、一皿だけとは限らない。サラダパスタリゾットポレンタスープなどが分類される。サルデーニャではクスクスもプリモ・ピアットとして供される。
    4. セコンド・ピアット (secondo piatto)
    主菜。直訳すると第二皿となる。大きく魚料理肉料理の2種類に分類される。その両方がコースに含まれる場合、まず魚が給仕される。
    5. コントルノ (contorno)
    副菜(副食)、サイドディッシュ。ミニサラダや野菜(焼き野菜や煮野菜)。付け合わせ。通常セコンド・ピアットの料理には日本の様な付け合わせの野菜が付かないため、野菜を取りたいときにはコントルノを別に注文する必要がある。茹でる、焼く、揚げる、煮る、マリネにするなどシンプルに調理されているものが多い。伝統的なメニューではセコンド・ピアットといっしょにサラダが出るということになっている。品物によってはセコンド・ピアットと同じ皿に載っている。
    6. ドルチェ (dolce) / チーズと果物(formaggio e frutta)
    デザート甘味)。ドルチェ(菓子)としてしばしば手の込んだ一皿が供される他、ドルチェが供されるまでの繋ぎとしてなど、伝統的にはこの前後でチーズ果物も供され、これを特に分けて称する際はformaggio e frutta(「チーズと果物」の意)などとする。
    7. カッフェ (caffè)
    コーヒー。基本的にエスプレッソ・コーヒーである。カフェ・ルンゴ(長いコーヒー)と注文した場合、若干のお湯で割ったものが出る(日本のブレンドコーヒーと同程度の濃さ)。カップッチーノ(エスプレッソ・コーヒーの上に泡立てたミルクを載せたもの)やラッテ・マキアート(染み付きミルク。泡立てない温かい牛乳の上にエスプレッソコーヒーを注いだもの)などミルクの入ったものは満腹でないことを意味するため、避けるのが無難。イタリア人は食後にカプチーノは飲まないが、カフェ・マキアット(染み付きコーヒー。エスプレッソコーヒーの中に少量の泡立てたミルクを垂らしたもの)は食後にもよく注文される。
    8. ディジェスティーヴォ (digestivo)
    食後酒グラッパリモンチェッロなどのリキュール類が小さなグラスで供される。

曜日との関係

ローマでは、曜日によって食べるべき料理の伝統が残っている。特に木曜・金曜・土曜の習慣は偏在であり、市内のレストランではそれらを守っているところもある。また、金曜の習慣に関してはイタリア全土でも言える。

飲食店の種類

イタリア料理の飲食店は各種形態がある。

    リストランテ (Ristorante)
    コース料理を中心とする高級料理店。リストランテクラスの高級店ながら、オステリア・トラットリア、エノテーカ居酒屋)と名乗ってカジュアルな印象を持たせたりする場合があり、店名だけでは判断しにくくなってきている。
    トラットリア (Trattoria)
    大衆食堂。地方料理や家庭料理を出す個人経営、家庭経営の店。アルコール類も楽しめ、アラカルト料理を中心とする。
    オステリア (Osteria)
    軽食堂、居酒屋で、歴史をもち高級な料理店。アルコール類も楽しめ、アラカルト料理を中心とする。
    ベットラ (Bettola)
    オステリアとほぼ同様。イタリア語で食堂、台所という意味。
    タヴェルナ (Taverna)
    トラットリアとほぼ同様。調理済みメニューを出す簡易店もある。
    ロカンダ (Locanda)
    専門店
    以下のピッツァパスタワイン専門店の他に、ビールカクテルジェラートを専門に扱う店もある。
    バール (Bar)
    カウンター席を持つ喫茶店。夜には日本のショットバー類似となる。軽食、エスプレッソ、パン、ジェラートなどを出す店もある。小さな集落にも必ず存在し、コミュニティの中心的な役割も担っている。また宝くじバスの切符なども販売したりと、コンビニエンスストア的な役割も果たしている。
    カフェテリア (Caffetteria)
    喫茶店。バールと混ざった形態のものもある。
      パスティチェリア (Pasticeria)
      菓子専門店。
      ジェラテリア (Gelateri)
      アイスクリーム専門店。(Gelateria)

地域分類

イタリア料理: 名称と定義, 概要, 歴史 
各州でどのような食材が使用されるかを示した地図(1990年時点)。
frequente - よく使用される食材
raro - まれに使用される食材

イタリア料理の分類と一覧

パスタ

パスタ料理は第一皿に分類される。小麦粉を練って作った種々の形態の麺類(パスタ)とソースの組合せが基本である。パスタは、サラダに入れたりスープの具にしたりしても用いられる。グラタンもパスタ料理の一種である。デザートで「パスタ」の名がつくものがあるが、これはペースト状の菓子の意味を示す(パスタ参照)。

ピッツァ

ピッツァ(ピザ, pizza)は、平たく伸ばしたパン生地の上に具材を載せて焼いた一品料理。軽食として供されることが多い。イタリア本国ではリストランテ格の店で商品化していない店が多く、ピッツェリアと呼ばれる専門店で提供される。またイタリアでは、安く簡単に素早く食事を済ませると言えばピッツェリアでピザを食べることが一般的である。イタリア各地で味付けや生地に差があり、ミラノのピザが最も薄い。最も伝統あるピザがナポリピッツァである。ローマのピザは、ミラノとナポリの中間の厚さであることが多い。味付けや具材などはアメリカのものとは大きく異なる。

米料理

米料理と言えばリゾットが有名だが、米は小型のパスタと同様に扱われることも多い。米をデザートに用いるのも一般的である。イタリアは欧州一の米どころであり、料理ごとに最適な種類の米を使い分ける。カルナローリ米やアルボリオ米といった品種が有名で、最も普及している。

パン

パン

料理が給仕されるまでの空腹を紛らわせるため、また食事とともに口直ししたり、皿のソースを拭って食べたりするのに用いられる。具材を乗せたり挟んだりし、一品の軽食料理として食べることもある(パニーノ)。

パン料理

スープ

肉料理

サラミ、ハムなどの肉製品

魚料理

野菜料理

その他の料理

チーズ

デザート(菓子)

酒類

ワイン

スパークリングワイン

蒸留酒

リキュール

ビール

その他の酒類

カクテル

飲み物

コーヒー

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ローマの老舗バールであるタッツア・ドーロ

ミネラルウォーター

ガス無しは Naturale(ナトゥラーレ)、ガス入りは Frizzante(フリッザンテ)。

清涼飲料水

イタリアの料理人

イタリア料理研究家

日本におけるイタリア料理

歴史

日本最古のイタリア料理店は、1880年に新潟市でピエトロ・ミリオーレが開業したイタリア軒である。イタリア軒は、日本に現存する最古の西洋料理店とされている。また、明治末期にはじめてマカロニが輸入された記録もあり、ホテルで広まっていった。第二次世界大戦後は、日本に残されたイタリア(旧ファシスト政権側)の元軍人や軍属が日本人と結婚し、日本に永住するにあたって料理店を開いた。1970年代以前には本格的イタリア料理店は日本には数えるほどしかなかったが、ピザやパスタが注目されるようになった1970年代から全国的にイタリア料理として親しまれるようになり、日本人の麺類嗜好と重なって定着したとされる。バブル期には「イタ飯」と俗に呼ばれることもあった。イタ飯は、後の「〇〇めし」という俗語の初出であった。

日本にあるイタリア料理チェーン店

その他

関連項目

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ペッレグリーノ・アルトゥージ

脚注

注釈

出典

参照

外部リンク

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